私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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オルカギルディ
身長:294cm
体重:310kg
属性力:保護服属性(ウェットスーツ)

シャークギルディを補佐するためにサンフィシュギルディとともに部隊に配属されたエレメリアン。 戦闘力が低いサンフィシュギルディとは対照的に、戦闘力は高く、シャークギルディに匹敵すると言われる。部隊に配属されたのは最近だが、将となる前のシャークギルディを知っている数少ないエレメリアン。 属性力を奪う''ある作戦''には肯定的。



FILE.10 ツインテールな意思

 基地に帰ってきた私は変身を解除していたのだがフレーヌさんに言われて、またもテイルホワイトに変身した。

 

「これでいい?」

「はい。もう解除してもらって結構ですよ」

 

 フレーヌさんの許可が下りたので私はまた変身を解除しテイルホワイトから伊志嶺 奏となった。

 フレーヌさんはしばらく顎に手をあて考える人のポーズをとりゆっくりと口を開いた。

 

「アバランチクローが出せないといい、戦闘員が強くなったように感じたり、もしかしたらテイルギアに異常があるかも知れません。一度私にテイルギアを預けさせてもらえますか? おおよそ一時間ほどで終わると思いますので…」

 

 もしフレーヌさんの言う通りテイルギアに異常があるのだとしたら断る理由はない。 忘れかけてたけどテイルギアも科学でできた機械、メンテナンスが必要ないわけないのだ。

 それについさっきコーラルギルディが出てきたばかりだし、しばらくエレメリアンも出てこないだろう。

 

「うん、ありがと。お願いするね」

 

 手からテイルギアを外しフレーヌさんに預ける。

 預けたと同時に何か小さいカードのようなものを代わりに手渡された。

 

「簡易型のイマジンチャフです。 一応持っておいてください」

 

 エレメリアンに私の属性力を認知させないためにか。 今までもテイルギアがその役割を果たしてくれていたおかげで私は属性力を奪われずに済んでいるわけだ。

 自分では信じられないけど一応私はテイルギアを使えるほどのツインテール属性を持っているらしいし、イマジンチャフは常に携帯しとかないとね。

 私のテイルギアをもちメンテナンスルームに入ろうかという時、志乃がフレーヌさんを引きとめた。

 

「もう嫌だよ。 奏ばっかり辛い思いさせて私だけ安全なとこで闘いを見てるだけなんて…」

「志乃?」

 

 私に言葉を返さずに、志乃はさらに続けた。

 

「だからお願いフレーヌさん! 私も闘いたい! 奏と一緒に闘いたいの!」

 

 志乃の言葉を聞き、メンテナンスルームの扉の前に立っていたフレーヌさんはテクテクとこちらに歩いてきて志乃の肩に手を乗せた。

そして暗い顔で話し出す。

 

「残念ながらあなたにはテイルギアを扱うほどのツインテール属性はありません。 それに、テイルギアを作るためにはツインテール属性をコアにする必要があります。 テイルギアのためのツインテール属性が無い以上、テイルギアをもう一つ作ることは出来ないのです」

「……」

 

 志乃はわかっていた、と思っているような顔をしている。

 志乃に無理だ、と伝えたフレーヌさんはしばらくするとまたテイルギアのメンテナンスのための部屋に入っていった。

 部屋の中に居るのは私と志乃だけになり沈黙が生まれる。

 みると、志乃はまだ暗い顔をしている。これは……何か声をかけなければ!

 

「志乃、私は平気だよ。 今回はちょっとテイルギアの調子が悪くなっただけみたいだし、強いって思ったのはクラーケギルディくらいだし」

 

 今はこれしか言えない。

 志乃は助けてたいと言ってくれるけど、私もこんな闘いに親友を巻き込みたくないのだ。

 

 

 ほどなくしてメンテナンスルームからフレーヌさんが出てくる。

 予想よりもかなり早く三十分とたっていないのだけど。 この速さならイマジンチャフを借りなくても良かったんじゃないかな。

 フレーヌさんは扉の前から私たちがいるテーブルまで来てテイルギアをテーブルに置き、自分も座ってから話し始める。

 

「テイルギアを調べましたが…これといって異常は見られませんでした」

 

 テイルギアに異常はなかった。

 つまりアバランチクローが出てこなかったり、モケモケが強く感じたのは一体何だったのだろうか。

 原因を考えている中、続けてフレーヌさんが話す。

 

「考えられることが二つあります。一つはテイルギアの故障や異常、もう一つは…装着者自身の異常です」

「装着者って、私自身の異常……!?」

「テイルギアは装着者の意思によって構築し、力を引き出します。 おそらくアバランチクローが出てこず、戦闘員が強く感じたのは意識が弱くなっているか、もしくは…」

「「もしくは?」」

 

 めずらしく志乃とハモった私だが今は「ハモったー!」とかやっている暇はない。

 次にフレーヌさんは驚くべき言葉を口にする。

 

「ツインテール属性そのものが消えかかっている、ということかも知れません」

 

 私自身の異常…つまり私のツインテール属性がなくなってきているからテイルギアの力をうまく引き出せなかった、こういうことなのか!?

 でも、私はツインテールが嫌い。この考えは変身前も変身後も変わらず持っている。 闘いを始めたのもツインテールで起こるくだらない闘いを止めるため。 その理由もずっと変わらない。

 じゃあなぜ、今更テイルギアの力を引き出せなくなっているんだろう…。

 私がうーん考えているとフレーヌさんが話しかけてきた。

 

「安心してください。 今回の原因はツインテール属性が消えかかっているからではないと断言できますので」

「え、どういうこと?」

 

 するとフレーヌさんは胸ポケットから一昔前の体温計のようなものを取り出し先端を私に向けた。 赤い液体がみるみる体温計のようなものの上に上がっていきカンストした。

 

「これは小型の属性力検査機です。相手にこの先端を向けることでその人の属性力と属性力の強さを調べることができます。 ちなみに今はツインテール属性を検査したところ見事にカンストしました。初めて変身した頃と全く変わっていないのでツインテール属性が消えかかっているわけではありませんね」

 

 フレーヌさんの言うことが正しいなら、問題は前者の理由、私の意思のせいでテイルギアの力を引き出せないということになる。

 一体なんで……。

 沈黙した後、志乃が話し出した。

 

「奏には失礼かもしれないけど、クラーケギルディのことなんじゃ…」

 

 クラーケギルディ、圧倒的な力でそれまで全勝だった私をねじ伏せた恐怖の貧乳好きエレメリアン。

 クラーケギルディについてはいつか絶対倒してやると決心したはずだし、理由はそれじゃない気がするんだけど。でも気がつかないうちにひょっとして…。

 

「もしかしたら私、エレメリアンが怖くなって、力を出せなくなってる……?」

 

 自分で思ったことをそのまま斜め前にいる二人に話した。

 圧倒的な力を持ったエレメリアンにボコボコにされたことでエレメリアン対する恐怖が私の知らない心の奥に植えつけられているのかもしれない、そう思った。となると、これは私自身で解決すべき問題なんだ。

 

「次にエレメリアンが出てきたときには今まで通り、闘ってみせるから!」

「…わかりました。 ですが前も言った通り危ない状況になったら…」

 

 次の言葉が何かわかり私はフレーヌより先にその言葉を話す。

 

「撤退、ね」

 

 テイルギアを手にはめながらそう話すと、席から立ち上がり私は学校の空き教室へと続く階段へと歩き出す。

 

「奏……」

 

 後ろで志乃が私の名前を呟いたとき、手にはめているテイルギアがほのかに暖かくなり、光ったような気がした。

 

 

 シャークギルディは大ホールへと続く暗い廊下を歩いていた。

 後ろで何かの気配を感じた、シャークギルディは歩を止めると後ろにいる者に話し始める。

 

「やけに早い帰還だな、コーラルギルディ」

 

 そう言われ廊下の陰から出てきたのはアルティメギルらしくない配色をしているエレメリアン、コーラルギルディだった。

 

「まあね。 テイルホワイトが本調子じゃなかったみたいでどうもテンション上がらなくて、困りますよ」

「そうか。 だが、その状態のテイルホワイトなら属性力を奪うことはできたのではないか?」

 

 その言葉にすぐさまコーラルギルディは返答した。

 

「それじゃ面白くないので。 私は面白い闘いをして満足した後、属性力を頂きたいんです」

 

 コーラルギルディのその言葉にシャークギルディはフッと笑い再び大ホールに向かって歩き始めたが、コーラルギルディはシャークギルディの後をついていこうとせず大ホールとは逆の方向へと歩いていった。

 シャークギルディが大ホールに着くと部下のエレメリアン達が相変わらずテイルホワイトのフィギュアとにらめっこしながら弱点探しをしていた。

 

(遠距離が弱点ということがここまで難しいものか……)

 

 クラーケギルディのようなアーチの長い触手などがあればテイルホワイトを圧倒できるが、そのような強力な触手を持っている部下はあまりいない。 触手を持たぬものもいる。 しかし、いくらでも対処のしようはあるのだ。

 

(しばらく、コーラルギルディに任せるとするか…)

 

 部下達が弱点を探している間に、実力のあるコーラルギルディに対テイルホワイトを任せ、あわよくば属性力を頂く。 今の部下達の状況ではこうすることしかできなかった。

 しかし、そのコーラルギルディもかなりの気分屋だ。 気にくわないことがあったり、気分が変わったといって出撃しないこともしばしばであまり戦力として計算できないのだ。

 シャークギルディが苦悩しているそんな中、一体のエレメリアンが席を立ち、大ホールの中央のシャークギルディの椅子までやってきた。

 龍のような外見をしながらも幼さが残るそのエレメリアンは話し出した。

 

「私はもう我慢できません! テイルホワイトの銀色の髪を見る度に、全身に震えがきてしまうのです! どうか出撃の許可を!!」

 

 そのエレメリアンの言葉を聞いて、静かにテイルホワイトを鑑賞……研究していた大ホールのエレメリアン達はざわざわと騒ぎ出した。

 テイルホワイトを否定するエレメリアンが出たのは初めてだったのだ。

 コーラルギルディでさえ否定はしておらず興味無さげなだけだったが明確に否定の意を表したのがこのエレメリアンが初だ。

 

「静まれ!」

 

 シャークギルディが力強く言うと大ホール内はまたも静かになった。

 

「シーホースギルディよ貴様の覚悟しかと受け取った。 出撃を許可する」

「ありがとうございます!」

 

 シャークギルディの言葉に深々と一礼し、そのエレメリアン、シーホースギルディは大ホールから早歩きで出て行った。

 

「よろしいのですか、隊長」

 

 サンフィシュギルディがシャークギルディに当人達にしか聞こえない小さい声で話しかけた。

 

「ああ、できればこんなことはしたくないがな。 我も将として、アルティメギルに属しているのだ」

 

 冷静に、冷徹にシャークギルディはそう話した。

 シャークギルディの言葉を聞き、サンフィシュギルディはうつむき暗い顔をしている。

 シャークギルディが涼しい顔をしているその内に苦悩を秘めていることは誰にもわからなかった。

 




どうも皆さん、阿部いりまさです。
とうとうこのお話も第10話まで続けることができました!本当にありがとうございます!!
本編では最近暗い雰囲気が進んでいますので後書きくらいはハイテンションでいかせてくれると助かります!
それではみなさん、次回お会いしましょう!
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