私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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テイルギア(フレーヌver.)
フレーヌが基地に残されていたデータから作り出したツインテール属性を核として装着者の属性力と共鳴し生成される対エレメリアン用強化武装。深海や宇宙空間でも変わりなく運用出来るが時間制限あり。オリジナルよりやや性能は劣る。 テイルギアを作り出すには核となるツインテール属性がいるのだが、どこから手に入れたのかは今のところ不明。


FILE.12 白き三つ編みの戦士

 かつてない力が頭から足の先、身体中を駆け巡るが、それでも収まりきらない力が私の周りを冷気として覆っていた。

 ダイヤモンドダストのような光景に誰もが、私自身でさえも目を奪われていた。

 ただ髪型が変わっているだけではなく、上半身下半身ともに新たな装備が追加され、重装甲となったテイルギア。

 間違いなく、私と志乃の力でテイルギアはパワーアップしていた。

私の変化に嘆声を上げ、話し始めるコーラルギルディ。

 

「へえー! 三つ編みの力……いいじゃん、楽しみだ!」

 

 コーラルギルディは背中から一本だけでなく、二本三本とどんどん剣を取り出していき私に投擲してきた。

 二本、三本と避けるが、最後に投げた四本目を私は捕まえ自らの武器として、今度は私がコーラルギルディに突きつけた。

 

「さあ、これがあんたが見たがっていたお望みのフルパワーだよ!」

 

 肩の装甲から蒸気ではなく猛吹雪が噴出し私の持っているコーラルギルディの剣を包み込んでいくと、その剣は形を変えていく。

 変形が終了すると細い剣は重々しい銃器へと変わり私の右腕に装備された。

 

「甘い! そんな重いもの持ってるとアタシの攻撃避けられないよ!!」

 

 二本の剣を両手に構え、私へめがけて次々と切りつけてくる。 が、私は攻撃を避けようなんて思っていなかったのだ。

 頭から腰にかけてのパーツが重機のように強固になったのに加え、新しい武器でガードすることにより、猛攻から私を守ってくれていた。

〈フロストバンカー〉

 私の弱点である遠距離戦をカバーするために咄嗟に考え、私が創り出した新たな武器だ!

 強力な光線を放出する砲を中央に、その周りにはマシンガンの役割を果たし、光線を連続発射できる小さな砲が二つ付いている。 身体の外側に位置する部分には自分の身体と武器を守るためのシールドもついている。 完全遠距離特化型の武器!

 

「ちっ、硬い!」

 

 そうだ、シールドはものすごい強度を誇る。 故にこのシールドで相手を叩けば絶大なダメージを与えられるってこと!

 コーラルギルディが怯んだ一瞬を見逃さずフロストバンカーを体に叩きつけると同時に真ん中にあるメインの大きい砲から光線を発射させる。

 

「ぐああっ!!」

 

 少しタイミングがずれ、光線はコーラルギルディをかすめるだけだったが相当なダメージは与えられたはずだ。 その証拠にコーラルギルディの体は時々放電を起こして、火花が散っている。

 発射した光線は空に向かっていきある程度の高さまで届くと花火のように爆発した。 ……なんだこれは。

 

「くそっ!出てきなさい!!」

 

 再びコーラルギルディの後ろにあの黒い渦が現れモケモケが十数体出てきて私の周りを取り囲む。

 

「楽しませろと言ったわりに、モケモケに頼るわけね」

 

 私の言葉に耳を貸そうとしないコーラルギルディ。

 モケモケはジリジリと距離を詰めて来る。しかし、恐れることはない。

 私はフロストバンカーを上へと構え、メインの光線を発射し、空中で弾けさせると、いくつにもなった光線がモケモケをめがけて落下し次々とモケモケを倒していき、秒と経たずに渦から出てきたモケモケは全滅した。

 対峙する私とコーラルギルディ。

 よく見るとコーラルギルディは体をプルプルと震わせていた。

 

「こうなったら…全力を出すぞ!あばずれがああああああああああッ!!!」

 

 コーラルギルディはシーホースギルディを倒した時のような無数のトゲと剣を私に向けて放って来る。

 

「それが自分の仲間を倒したあんたの本性か!!」

 

 今度はメインではなくサブの光線二つを発射し、私に向かって飛んでくる無数のトゲと剣を撃ち落とし、破壊していった。

 驚愕するコーラルギルディ。

 奥の手も通用しないとわかったコーラルギルディは私から視線を外した。 奴の目線を辿ると志乃がいる……まさか!?

 

「三つ編みの根源を潰してやる!!」

「や、やめてっ!!」

 

 コーラルギルディは志乃に向かって私にやったような奥の手を使い次々とトゲと剣を飛ばしていく。

 私は咄嗟にメインとサブの光線全てを発射させる。

 ダメだ。 角度的に全部は撃ち落せない!!

 そのまま、志乃のいた場所には何本ものトゲや剣が地面に突き刺さってしまった。

 志乃……!

 しかし、そこに志乃の姿はなかった。

 やがてフレーヌさんから通信が入る。

 

『志乃さんを基地へと転送しましたので無事です!』

「ふう、ありがと……」

 

 志乃の無事を知り安堵するのと同時にコーラルギルディに対する激しい怒りが奥底から込み上げてきた。

 まさか、一般人である志乃から先に狙おうだなんて。

 絶対に許せない。

 

 

 志乃は気づくとフレーヌの基地へと転送されていた。

 

「間に合いました……」

 

 志乃が声の主の方へと顔を向けるとせわしなくキーボードのようなものをタイピングしている。

 

「イレギュラーな事態で、テイルギアの解析をしていて、連絡する暇がありませんでした。 ごめんなさい」

 

 志乃に話しかけながらフレーヌは機械を操作し、必死にテイルホワイトに起きたことを解析している。

 もはやテイルギアはフレーヌの知るものではなくなっているため、少しでも今のテイルギアを理解する必要があった。

 フレーヌがテイルギアの解析を進めている今もテイルホワイトとコーラルギルディは激しい戦闘を繰り広げているのが画面から痛いほど伝わってきている。

 

「出ました!」

 

 ターン!とエンターキーを押すように大きいボタンを押すと一番大きな画面に今のテイルホワイトの見取り図のようなものが映し出された。

 

「奏さん、聞こえますか? その形態になれたのは志乃さんの三つ編み属性とテイルギアが繋がったからです。 今はその形態を維持できていますが志乃さんが近くにいなくなってしまい三つ編み属性がテイルギアに送れなくなっています」

「私と繋がった!?ていうか送れなくなったって…」

『つまりあんまし時間はないわけね』

「はい……。もってその形態はあと三十秒もないかと思われます」

 

それはあまりにも短すぎる時間だと、フレーヌも志乃も感じた。 しかし、闘っている奏はそう思わなかったようだ。

 

『それだけあれば、充分!』

 

 自信を持ち、力強く、奏はそう話した。

 

 

「くそっ! こんなはずじゃなかったのに……!!」

 

 徹底的に光線で攻め、近づいてきたら力の限り叩きつける。

 地面に力なく手をつき、絶望しているのか、コーラルギルディはそう言う。

 

「今までのエレメリアンは私以外に刃を向けたことはなかった」

 

 コーラルギルディは話しかけると顔をこちらに向けた。

 圧倒的な力を見せつけられたクラーケギルディでさえ、周りのヤジウマに手を出そうとはしなかった。 いくら属性力を奪ったとしても、建物や車を破壊しても、人間を傷つけるような真似だけはしなかった。

 いつしか私はエレメリアンに一種の信頼のようなものを寄せてしまっていたのかもしれない。でも、その信頼は目の前にいるエレメリアンによってバラバラに砕け散った。

 

「悪いけど、あんたを倒すことに躊躇いなんてない!」

 

 私は必要なくなった一つのフォースリボンをフロストバンカーに装填する。

 これが今の私のフルパワー!!

 

「ブレイクレリ━━━━━━ズ!!」

 

 渾身の一撃を叩き込むために咆哮とともにフロストバンカーから新たなる猛吹雪が吹き荒れる。

 

「このクソガキ━━━━ッ!!!」

 

 身の危険を感じたのかコーラルギルディは私に向かい突進を始める。

しかしもう遅い、必殺技の準備は完了し、今まさに放たれる!!

 

「クレバス━━━━」

 

 メインの光線とサブの光線が一緒に放たれると三つ編みのように絡み合いコーラルギルディに迫ると直撃し、貫通した。

 

「ドライブ━━━━━━ッ!!!」

 

  光線が貫通するのと同時に背中から蒸気と炎が吹き出し、光線を列車のレールのようにしてコーラルギルディの胸元に一瞬で滑り込み、フロストバンカーで渾身の右ストレートを叩き込む。

 殴られた反動で数十メートル後ろに飛ぶコーラルギルディ。

 すでに体のあちこちから放電が始まっている。

 

「ははは……。 このアタシが、こんな小娘にやられるなんて…。ツインテールと三つ編みを使いこなすなんて、何者だよあんた」

 

 苦悶の声を上げながら質問してくるコーラルギルディ。

 

「ツインテールが大っ嫌いな、普通の高校生よ」

「へへ、そうかい。 三つ編み使いになったってのは私の秘密にしといてやる。 基地のアホどもには教えられないわ」

「……」

 

 私の言葉に満足したような表情をみせ、コーラルギルディは爆散した。

 最低な奴だった。

 仲間に手をかけるばかりか、人間にも手を出そうとするエレメリアンがいるなんて思わなかった。

 志乃が無事で本当によかった。

 三十秒が過ぎたのか私は気づくと変身がとけ、伊志嶺 奏に戻っていた。

 なんだか疲れがどっときた気がする。

 属性玉を回収し制服のポケットに入れた。

 

『お疲れ様です。 とりあえず今日は休んでください。 明日テイルギアに異常がないかチェックするので…』

「りょーかい」

 

 すっかりと夕陽に染まってしまった空の下、私は再び帰路へとついた。

 

 

 世界の狭間に浮かぶアルティメギルの基地の大ホールはいつもより一際ざわざわしている。

 シーホースギルディがコーラルギルディの手によって倒されたこと、コーラルギルディがテイルホワイトに倒されたことが連続しておきたせいだ。

 しかし、大ホールの大きなモニターにはいつも通り、ツインテールのテイルホワイトが映っていた。

 

「コーラルギルディめ……!!」

 

 怒りに震え、拳をダンッとテーブルに叩きつけるオルカギルディ。

 今度はサンフィシュギルディが続けて話す。

 

「隊の仲間を倒してしまうばかりか、テイルホワイトにも敗れるとは最悪な結果です」

 

 オルカギルディとは対照的に、サンフィシュギルディは落ち着き、機械を操作しながら淡々と話した。

 

「隊長である我の教育不足だった。 すまない、皆の者」

 

ひどく落ち込んだ様子で大ホールにいるエレメリアンに語りかけるシャークギルディ。

 隊長として、コーラルギルディの暴走を止められなかったこと、そのためシーホースギルディを犠牲にしてしまったことを反省しているのが、周りから見てもひしひしと伝わってきた。

 さらにシャークギルディは続けた。

 

「コーラルギルディは取り返しのつかないことをしてしまった。 しかし、奴も我の部下であり、この隊の仲間だ。 皆の者よ、テイルホワイトの属性力奪取を今一度、頼みたい」

 

 椅子から立ち上がり、あろうことか隊長であるシャークギルディが頭をさげ大ホールにいるエレメリアンに頼み事をした。

 隊長の態度に最初は戸惑いを隠せなかった大ホールのエレメリアン達だが、やがて何処からか返事が聞こえてきて、次々に賛同の意をあげ始めた。

 隊長と部下の絆はまた強くなり、基地にいるエレメリアンはより一層テイルホワイトの脅威となるだろう。




どうも皆さん、阿部いりまさです。
自分的に具体的なバトル描写をいれ、エレメリアンと闘うのはウーチンギルディ戦、クラーケギルディ戦に続き三度めとなります。
だがちょっと待ってほしい、この話だけじゃ三つ編みにした意味はないのでは?と思う方も多数おられると思います。
その辺はおいおい書いていくつもりなのでどうか……。
それでは次回、お会いしましょう。
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