私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

15 / 85
テイルホワイト・トライブライド
テイルホワイトと志乃の純粋な三つ編み属性がエレメリンクしたことで発動したテイルホワイトの新形態。髪型が志乃と同じ三つ編みとなり、体の装備も重装甲へと変化し、超遠距離特化型となる。標準装備されている銃の他にもフォースリボンに触れることにより右腕に装備されるフロストバンカーは銃として使えるほか、必殺技時には近接武器としても使用できる。テイルギアに何らかの異常を起こす危険があるため、現在この形態になることは禁止されている。

武器:フロストバンカー
必殺技:クレバスドライブ


FILE.15 体育祭とエレメリアン

 パァン!

 スターターピストルの景気のいい音がなり、我が高校の体育祭は始まった。

 体育祭ともなれば、''それ''関連のエレメリアンが出てこないとも限らない。 うーん、例えばお転婆とか……違うかな。

 とにかく、私にとっては気の休む時間なんてこの体育祭にはないんだ。

 

「あまり神経質なのも問題ですよ、奏さん」

「フレーヌ、来てたんだ」

 

 フレーヌが言うには、体育祭ということで簡単にグラウンドに入って来ることができたらしい。 生徒の親や親戚なんかも見にくるわけだし、それはそうだろう。

 

「エレメリアンが出現したらすぐ連絡しますから、奏さんはパァーッと体育祭を楽しんでくださいっ!!」

 

 嬉しいけど、楽しんでくださいと言われるほど体育祭好きじゃないんだよねえ……。

 

「あっ、志乃さん走るみたいですね」

 

 フレーヌが指差す方を見ると志乃がスタートラインの手前に立ち手足をプランプランしているのが見えた。どうやらすっかりその気になってるようだ。

 先生がスターターピストルを天に構え、パァンという音を鳴らすと同時に志乃やその他女子が走り出す。

 なかなかの速さで走っていたように見えたけど志乃は六人中四位とまあまあの結果に終わった。

 

「おっしいですねえ。 結構接戦だったんですが……」

 

 指をパチンと鳴らしながらフレーヌは自分のことのように悔しがっていた。

 その後も徒競走は続き、あっという間に終わってしまった。

 

「ところで奏さんは何出るんですか?」

「本当は出たくなかったんだけど、一つだけでもって言われたから騎馬戦にだけ出るの」

「学生ならもっと楽しまなきゃ損ですよ?」

 

 え、もしかして今の私、歳下に説教されてる?

 まだ中学生の女の子に言われるなんて急に恥ずかしくなってきた。とりあえず鉢巻ちゃんと巻いとこ。

 私が慌てて首にかけていた鉢巻を巻いたのを見てフレーヌはニコッと笑いながら話しかけてきた。

 

「私の世界じゃ十五歳で成人を迎えてしまうんです。 長く学生として暮らせるこの世界が羨ましくって」

 

 なるほど、歳下のくせに妙にしっかりして大人びてると思ったらそんな理由が。

 でもまあ確かに、この世界も国によって成人を迎えるのはバラバラだし、他の世界となるとこの世界とは常識が違うのは当たり前なのかな。

 

「私の世界では成人して社会に出るのが早い分、心の成長も早いんですよねきっと、だから六歳の頃にはツインテールにするのが恥ずかしくなってきちゃったりするんです」

 

 聞いたことなかったけど、フレーヌは小さい頃ツインテールにしていたのだろうか。 今の言葉はツインテールにしていた頃の実体験だろうか。

 

「ねえ、フレーヌはツインテールにしてたことあるの?」

「いえ、私は小さい頃からずっと今の髪型のままです」

 

 鮮やかなオレンジ色の髪を摘んで、フレーヌは答える。

 意外な答えだった。

 ツインテールにしたこともないフレーヌがなんで他の世界にきてまでツインテールを守ろうとしているのか私には理解できなかった。

 私の考えを読み取ったかのようにフレーヌは話し続ける。

 

「私がツインテールを守ろうとしているのはきっとあの戦士に会いたいからです。 あの戦士の作ったテイルギアを使ってエレメリアンと闘っていればいつか私の前に現れる……心のどこかでそう思っているんだと思います」

「……」

「それにあの戦士が命をかけて守ろうとしたのがツインテールなら、私はそれを引き継いでもいいと考えているのです」

 

 いつになく真剣なフレーヌにどう言葉をかければいいのかわからない。

 フレーヌはツインテールを守るのは戦士のためだと言った。

 なら私は何だろう。 ……いや、考えるまでもない。 ツインテールのせいで起きているくだらない闘いを止めるため、最初からそう思って闘っている。

 フレーヌが己の信念を貫くのなら私も貫いてみせる。

 

「フレーヌの話聞けてよかったよ」

「ええ、聞いてくれてありがとうございます」

 

 うん、と私は頷くと自分の席へと歩き出した。

 グラウンドの反対側に応援席があるため二百メートルは歩かなくてはいけないのだが、私の足は途中で止まることとなった。

 

「あれって…」

 

 グラウンドの隅に生えている茂みに何か大きく白いものが動いているのがわかった。 たまにひょこっと顔を出しグラウンドの様子を伺っているようだ。

 間違いなくあれはエレメリアンだ。

 急いで私は校舎の陰に隠れ、誰もいないことを確認すると変身コードを口にする。

 

「テイルオン」

 

 一瞬眩い閃光が走ったあとに私は変身を完了させた。

 変身してすぐ、フレーヌに通信をいれる。

 

「フレーヌ、エレメリアンがグラウンドにいた。 今から倒しに行くから」

 

 フレーヌの通信を待たずに私は白いエレメリアンの元へかけ、まず一撃、相手が気づかないうちに打ち込んだ。

 

「ぬおう!!?」

 

 白いエレメリアンは衝撃で吹っ飛び、グラウンドを転がると、なんとトラックの中に入っていってしまった。

 突然の出来事に体育祭に参加している誰もが凍りつき、しばらくして声を上げ始める。

 

「怪物だ!」

「テイルホワイトが来るぞ!!」

「ホワイト様早く来てー!!」

 

 トラックの周りに座っていた生徒や敷地の外にいる通りがかった人たちもみんなテイルホワイトを呼び始める。

 よし、なら望みどおり出て行ってあげようじゃないか!

 とう、という掛け声とともに私は大きくジャンプし白いエレメリアンの眼前に着地した。

 

『おおーっと!なんとテイルホワイトが私たちの学校に駆けつけてきてくれましたー!!』

 

 競技の実況をしていた放送部の部員が私とエレメリアンの闘いを実況し始めた。

 

「テイルホワイト! 僕はただ見ていただけだったんだ、邪魔しないでよ!」

 

 白い…いや、白かと思った半透明なエレメリアンは私に向かって声を荒げ文句を言い始めた。

 そういえば、確かに属性力を奪おうとはしてなかったような…。

 

「折角だし、僕の名前を教えて上げよう! 僕はジェリーフィッシュギルディ、この時期に鉢巻属性(ヘッドバンド)を探すのは苦労したんだ!」

 

 ジェリーフィッシュって……ああ、クラゲだ!

 鉢巻属性なんてものもあるんだね。 確かに鉢巻なんて女子がするのは体育祭の時ぐらいだし、しかもこの時期じゃ体育祭やってるとこも少ないだろうし大変だったろうな。

 

『テイルホワイトの相手は半透明の怪物だ! この相手にテイルホワイトはどうやって闘っていくのか!?』

 

 どうにも集中しにくいが、周りに人がいるのはいつものことだし軽く捻ろう。

 私はフォースリボンに触れ、アバランチクローを両手に装備する。

 

「くらえ! 電気ショーック!!」

「え!?」

 

 ジェリーフィッシュギルディはなんと力なく垂れている触手から電気を放出し攻撃してくる。 が、なんとか私は直前でかわすことができた。

 電気が当たった地面を見ると多少焦げている、どうやら本物の電気らしい。

 

「久しぶりに王道の悪役っぽいやつが出てきた感じ……」

 

 すぐにジェリーフィッシュギルディに向かいアバランチクローを繰り出すが、それはスッと避けられる。

 私の言った言葉にジェリーフィッシュギルディは反応し答えてきた。

 

「ふふん、それだけじゃないぞ。 次は……麻痺毒!!」

 

 今度は正面から触手がでてきて目の前の私に突き刺そうとしてきた。

 咄嗟にアバランチクローの手甲でその触手を弾きなんとか命中せずに済み、すぐに体制を整える。

 弾いたそのクローで今度こそジェリーフィッシュギルディを叩きつける事に成功する。

 

「な!?」

 

 しかし、物凄い弾力でクローごと私は反対方向に弾き飛ばされてしまった。

 

「なあ━━━━ッ!?」

 

 トラックの端、おおよそ十メートルから十五メートルほどエレメリアンの弾力で吹き飛ばされていた。

 

『あーっと!テイルホワイト大丈夫か!?』

 

 実況うるさいぞ。

 えっと、今何があったんだろう。

 私が立ち上がると同時にフレーヌから通信が入る。

 

『どうやら今回のエレメリアンですが今まで通りの攻撃じゃ勝てそうにないですね。 アバランチクローを弾くということは必殺技も効くかどうか怪しいです』

「じゃあ、どうすればいい?」

 

 エレメリンクなら、そんな考えが私の中に生まれる。

 最悪テイルギアに異常が出てしまったとしても、学校の人たちの属性力を守れればまだマシだ。 少なくとも今のまま負けるよりかは。

 私が焦って考えを巡らせる中、フレーヌには秘策があるのか余裕のある声で話し出した。

 

『ふっふっふ、とうとうあの新技を使う時が来たようですね』

「新技!? 早く教えて!」

 

 ためにため、フレーヌは話した。

 

『その名も''オーラピラー''です!』

 

 初めてテイルギアをつけた時と同じように、驚くほど鮮明に頭の中にオーラピラーについてのイメージが浮かんできた。

 

「わかった!」

 

 十メートルほど先でジェリーフィッシュギルディはまたも電気ショックを撃ちだそうとしているみたいだ。触手をウネウネさせている。

 明確にオーラピラーを撃つという意思を持つと首の下あたりにある青い部分が発行し、その光は右腕につけているテイルブレスへと送られテイルブレスが激しく発光しだした。

 

「僕の勝ちだ! 電気ショ━━━━━━ック!!」

「オーラピラー!!」

 

 ジェリーフィッシュギルディが電気を放つのと同時にテイルブレスから白い光が発射され一直線にジェリーフィッシュギルディへと向かっていった。

 

『物凄いエネルギー波がぶつかり合っているーー!!』

 

 放ったオーラピラーと電気がぶつかると、ジェリーフィッシュギルディの電気をオーラピラーは飲み込み、そのままジェリーフィッシュギルディへと直撃した。

 

「う、うわあああ!!」

 

 ジェリーフィッシュギルディに当たった瞬間オーラピラーはドーム状に膨らみだす。

 それと同時にジェリーフィッシュギルディは放電しだしそのままドームの中で爆散した。

 

「すごい!テイルブレスから必殺ビーム出るんだ!!」

 

 さすがフレーヌだ、いつの間にこんな必殺技を開発していたなんて。しかし、機械越しのフレーヌはどこか自信なさげに話し出す。

 

『えーと、オーラピラーは敵をバインド……つまり拘束するためのもののはずですが……』

「そういえばゲームによくいたっけ、打撃に強くて魔法とかに弱い敵…」

 

 なんか拍子抜けしてしまった。

 オーラピラーと電気のぶつかり合いから静かにしていた我が高校の生徒たちも次第にざわつきはじめる。

 

「やったぜ!」

「ホワイト様素敵よー!!」

「もっとここにいてくれー!」

 

 とりあえず笑顔で周りに手を振って私はジャンプし校舎の屋上に着地した。

 変身を解くと、フレーヌから再び通信が入る。

 

『おつかれさまです。 オーラピラーに関してはこちらでもう一度、調査しておきますので』

「よろしくね」

 

 体育祭はまだ始まったばかりだというのに、私はとても疲れていた。

 これから競技が続き、私もやらないといけないなんて……。もう競技に出たようなもんじゃないのかな、ないね。




どうも皆さん、阿部いりまさです。
今回は体育祭です(ゼロに近いですが…)。
体育祭に関連のある属性力を考えていたのですが中々決まらず鉢巻属性というのものにしました。
そしてついにでました、オーラピラー!
原作のオーラピラーとの違いとしては、アニメ版のようにテイルブレスから発射する、相手に直接発射するなどですかね。
感想、質問などどんどん募集しています!
それでは。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。