私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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FILE.22 授業中なエレメリアン

 シャークギルディが再奥のフロアにこもりメロゲイマ・アニトュラーに挑戦し始めてから二週間が経っていた。

 メロゲイマ・アニトュラーへの挑戦は信頼を寄せるサンフィシュギルディにのみ伝えられ、今は彼が隊長代理となり部隊を指揮していた。

 侵攻に関しては、隊員を送り込めばテイルホワイトによって隊員は敗れ、戦闘員が記録した闘いのわずかな映像が残るだけ。 幾度も同じことが続き、テイルホワイトの強さはさすがのサンフィシュギルディももはや手が追えないほどになっている。

 テイルホワイトに属性力を育ててもらい、横から奪うという作戦は最早機能しておらず無駄に犠牲を払ってしまっている。

 希望がなければ、撤退もやむを得ない状況だ。しかし、希望はある。

 一つ目はシャークギルディがメロゲイマ・アニトュラーにより、大幅に戦闘力が上がるかもしれないこと。 彼はもともと首領から期待され、隊長を任された、そのポテンシャルは計り知れない。

 二つ目は配属が決まったオルトロスギルディの存在だ。しかし、あまりあてにはできなかった。 配属が決まったという報から一切連絡も、情報もなく本当にオルトロスギルディが来るのか怪しくなってきていた。

 

「私たちはどうすれば……」

 

 大ホールの中央にあるテーブルに肘をつき、下を向く。

 

「サンフィシュギルディ様」

 

 自分の名前を呼ばれ、上半身だけ振り返るとそこにはゼブラギルディが立っていた。

 

「サンフィシュギルディ様! シャークギルディ様の居場所を教えてください! 私も強くなりオルカギルディ様の、いずれはクラーケギルディ様の仇を討ちたいのです!!」

「な、何をしてるのです!?」

 

 彼は真っすぐサンフィシュギルディを見つめた後、膝をつき深い土下座をした。

 ゼブラギルディの本気の行動に思わずサンフィシュギルディは声を上げやめさせようとするも、やめようとはせず、ただ懇願していた。

 重い空気の中、サンフィシュギルディが断ろうとすると大ホールの隅の通路から声が聞こえてきた。

 

「ゼブラギルディの覚悟、しかと見届けた!」

 

 懐かしい演出で登場したのは隊長のシャークギルディだった。

 神秘的な白い体にはフロアにこもる前にはなかった傷が至る所にできている。

 

「シャークギルディ殿!!」

「隊長様!私をあなたの修行に是非付き合わせてください!!」

 

 シャークギルディが大ホールに足を踏み入れたのとほぼ同じタイミングでまたもや土下座をするゼブラギルディ。

 

「うむ、手合わせできる相手がいるのは心強い。 我から願おう、我と共に修行してほしい」

 

 なんとシャークギルディからゼブラギルディに修行の申し出をしてきた。

 シャークギルディの言葉にゼブラギルディは顔をあげ、体をブルブル震わせ始めた。

 

「はい! こちらこそよろしくお願いいたします!!」

「よし、早速始めるぞ。ついてくるがいい」

「はい!」

 

 そう言うと、二人の隊員は大ホールの隅にある薄暗い廊下へと続く通路へきえていった。

 

「二人ともどうか……どうかご無事で……!!」

 

 きえていった二人を見送り、大ホールにただ一人残されたサンフィシュギルディはポツリと呟いた。

 

 

 オルカギルディを倒してからはなんだかエレメリアンが出現する頻度が減っているように感じた。

 オルカギルディの言っていた作戦通りに弱い隊員を多く私と闘わせ、私をツインテールの女神とし、世界にツインテールを溢れさせるならもっとでてきていいはずなのだけど。

 もしかしたら、作戦を変えたのかもしれない。

 

「あ……!」

 

 先生の声以外は静かな教室でカチャンという音が響く。

 クルクルとシャーペンを回しながら考えていたが、シャーペンを床に落としてしまった。

 クラスにいる人たちの半分以上、こちらを向いたので手でごめん、と伝えながら床に落ちたシャーペンを拾う。

 最近は授業中でもアルティメギルのことを考えてしまってまるで授業に集中できないでいる。

 全く、ほんとにいい迷惑だ。アルティメギルは思わぬところでも侵略を進めているのか……。

 

「ふわあ……」

「こら、授業中ですよー」

「はーい、すいませーん」

 

 私が床に落としたシャーペンよりもわざとらしく大きな声であくびしたのは嵐君……いや嵐だった。

 むかつくので今まで無理やり他人行儀に接してきていたけど、もうめんどくさいからいいや。

 本当にうしろから見てもむかつく、あの退屈そうな顔。

 おそらくサッカー部の朝練だかで疲れているんだろうけど、私だって毎日のようにエレメリアンと闘っているんだ。

 少しイライラしたせいか、手の上で回していたシャーペンがより一層早く回りだした。

 

「あのー、伊志嶺さん?」

「え?」

「授業中なんで……」

「あ、ごめんね」

 

 とりあえず謝り、横目でジーっとその男子を見てみるとやはり、テイルホワイトにお熱らしい。

 彼の筆入れにはテイルホワイトの缶バッジや、テイルホワイトのシール、テイルホワイト名言シールなどなど最近多く売り出されているものがペタペタと所狭しとくっついていた。

 別にキモいだとかそういうことは一切思わない。だって大体の男子や女子までもが同じ缶バッジやシールを筆入れや財布、プリクラ風にスマホに貼っていたり、当たり前となってきているから特に何か思うこともなかった。……やっぱり感覚が麻痺しかけてる気がする。

 キーンコーンと授業の終わりを知らせるチャイムがなり、先生が出て行くと教室はざわざわし始めた。

 今日はあとは帰りのHRだけだし、もうひと辛抱だ、と思ったのだが。

 何事か男女それぞれの学級委員が教壇の前に立ち、衝撃的な話を始めた。

 

「えー、皆さんにお願いがあります。 我が高校で''テイルホワイト応援部''なるものを設立したいと考えています」

 

 何だって?

 冷静にそう思っているのは私と志乃……志乃は盛り上がっている方にいた。

 結局私だけクラスのノリに置いていかれている!?

 続いて女子の学級委員が話し始める。

 

「うちのクラスのみんなにはこの入部届けに新設希望として提出してもらいたいの!」

 

 女子の学級委員からお願いされるとクラスはより一層騒がしくなる。

 

「よっしゃぁぁ!!」

「もちろん手伝うよぉ!!」

「ホワイト姉様のために尽くすわ!」

 

 なんだろうここは。

 まるでテイルホワイトが宗教の教祖にでもなったのではないかと思わせるほどの熱気に余計にテンションが下がってく。

 もうこの際、テイルホワイトとして本当にテイルホワイト教とかの教祖になってしまおうか、そんないけない考えも頭に浮かんでくる。わりと大きな宗教になりそうだし。

 部活申請書類が私の机に届き、さっさと書いてしまおうと思うと前の席の男子からもう一枚の紙を渡された。

 

「あれ?二枚必要なの?」

「いや、なんかアンケートらしいよ」

 

 私は聞き逃してしまったらしいがどうやらクラス内でテイルホワイトに関するアンケートをとるらしい。

 どれどれ、と見てみると。

 

テイルホワイト調査

一、テイルホワイトの押し部位は?

二、テイルホワイトに言われたい言葉は?

三、テイルホワイトに踏まれたい部位は?

四、テイルホワイトにビンタされたい部位は?

五、テイルホワイトにされたいことは?

 

 何だろう、このアンケートは。

 どれもこれも微妙にセクハラ気味のことを聞いているし、半分以上はこのアンケートを作ったドMのための質問ばかりになっている。

私も書かないといけないのかな…。

 

 

「さあ! 早く脚についているパーツを脱ぎ、くるぶしを俺に見せてはくれぬか!?」

「うっさい!」

 

 学校が終わり、家へと帰る途中にフレーヌからエレメリアン出現の報を聞き、駆けつけると大きな噴水のある公園で水遊びを楽しむ幼女を襲おうとしているエレメリアンを見つけ、今に至っている。

 最初は幼女属性だとか、ロリコン属性だとか、水着属性だとか思ったけど奴の会話からするとくるぶし属性のようだ。……またニッチな属性をもつエレメリアンもいるもんね。

 

「アバランチクロー!!」

 

 フォースリボンを叩き、いつものようにアバランチクローを出現させ両腕に装備し構える。

 

「ちょ、ちょっとま……」

「オーラピラ━━━━━━ッ!!」

 

 有無を言わせずオーラピラーをくるぶしギルディに命中させバインドする。

 

「やめてくれえ!!せめてくるぶしを!くるぶしを!!」

 

 ブレイクレリーズし、アイシクルドライブでくるぶしギルディを突き破ると断末魔をあげる暇もなく爆散した。

 エレメリアンを舐めないで闘うと決めたクラーケギルディの時からこれが私の戦闘スタイルだ。

 相手だってそれなりの覚悟を持ちこの世界に現れ、属性力を奪うのを阻止しようとする私と闘っている。 いくら相手が弱かろうが全力をだし、私は勝利を収め続ける。

 

『ちょっと怖いですね……』

「私がいれば怖いことなんておこりっこないよ」

 

 フレーヌが怯えた様子で通信してきたのでできるだけ優しい声をだしなだめておく。。

 

『いえ、あの……なんでもないです』

 

 また怯えた様子で私に返事をした後フレーヌは通信を切ってしまった。

 うん、安心してフレーヌ。

 オルカギルディ戦の時の約束必ず守ってみせるからね!




皆さんどうも、阿部いりまさです。
なんだか最近は本文の内容よりもサブタイトルのほうが考えるのが難しくなってきている気がしないでもありません。
感想、質問等どんどんお待ちしています。
それでは。
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