私は、夢を見ている。
何処だろうか。
見たことがなく、来たこともない薄暗い空間で私は一人立ち尽くしている。
変な夢だし、早く覚めてほしい。しかし、夢だと自覚していても、現実の私は起きてくれないようだ。
仕方なく、何もない空間を何もない方向へと歩き出してみた。
しばらく、何もない薄暗い景色が変わらなく続いていたが前方に何かがあるのを発見した。
徐々に近づいていくとだんだん前方にあるものがはっきりと見えてくる。
私の前にいるのは━━━━━━
「━━━テイルホワイト!?」
私の前にいるテイルホワイトは大きい柱にロープで拘束されている。
意識はないようで眠ったように目を瞑り俯いているだけだ。
直感的に私は、拘束されているテイルホワイトを助けたいと思った。
なんとかロープを解けるか試してみるも、結び目がなかなか硬く解くことができない。
周りに助けを求めようにもここには私と拘束されているテイルホワイトしかいない。
もう一度ロープを解くのに挑戦しようとするとテイルホワイトのテイルブレスが激しく輝きテイルホワイトを光へと飲み込んでいった。
私の意識も、テイルブレスの放った光へと吸い込まれていく。
気がつけば私は、ベッドの上で上体を起こし、ボーッとしていた。
机の上にある時計を確認すると朝の五時半。 夏休みに入ったばかりの高校生が起きる時間としては優等生すぎる。
「…………」
ただの夢にしては、あのテイルホワイトはリアル過ぎる。 さっきまで目の前で見てたような感覚だ。
今度、フレーヌに聞いてみようか。
◇
夏休みに入り、今日で一週間がたった。
高校生活は一旦休止中だがテイルホワイトとしての活動にゴールデンウィークも夏休みも冬休みももっといえばきっとお正月もあるわけがなく、定期的に現れるエレメリアンをこの暑い中倒すことが続いている。
もはやパターン化してきた闘いは街の人にとっては娯楽として楽しまれておりエレメリアンに対する恐怖など皆無に等しい状態だ。 ……まあ最初からそうではあったんだけど。
だが、四日前に現れたエレメリアンを最後にエレメリアンが出現しなくなっている。
おそらくこのエレメリアンが出現しない期間は新しい作戦のための準備期間、ということだろう。
今度は一体どんな作戦を仕掛けてくるのやら。
アイスを咥え、扇風機の風を間近で感じながらテレビを見ているとふと、あの夢を思い出した。
初めてあの夢を見てから五日くらいたつが一昨日の夜も全く同じ夢を見たのだ。
何処かもわからない空間で拘束されているテイルホワイトを助けようとする夢、私に何かを知らせようとしてる?でも何を?
「冷たっ!」
しばらく考え込んでいたようで足に溶けたアイスがかかってしまった。
今日にでも基地へ行ってフレーヌに確認してみたほうがいいかもしれない。
ソファに放ってあったスマホを手にとりフレーヌに入れてもらった特製のアプリ''テイルコネクト''を起動した。
実は基地を紹介してもらった時にフレーヌと素早く連絡が取れるようにスマホに入れてもらっていたのだ。……いわば改造に近いけど、正義のためだしメーカーさんは許してくれるだろう。
起動したテイルコネクトのメニュー画面からフレーヌへの通信ボタンを選ぶと通信が開始され、呼び出し音が鳴り始めた。
『はいはーい、フレーヌです!』
十秒ほどすると間の抜けた声が聞こえてきた。
「フレーヌ、私。 実は相談したいことがあってさ…」
『もしかして………恋の相談とかですか?』
「違うよ」
『もしかしてアルティメギルに関連することですか? でしたら外ではアレなので基地へ来ていただけると』
「違うけど、一応そうするね」
通信を切るとガタガタと冷蔵庫が揺れ出した。
まさか、あの時みたいに冷蔵庫の中とフレーヌの基地が…。
冷蔵庫のドアを開けると白い光の空間が出来上がっていた。あー、また……。
「よいしょ……と」
冷蔵庫の中へ飛び込むと白い光に包まれた。
◇
神秘のベールに包まれた世界の間にある空間の巨大基地。
アルティメギルの基地の大ホールでは新しく部隊に配属されたオルトロスギルディにテイルホワイトについてサンフィシュギルディらから説明を受けていた。
「と、いうことです」
一通り説明を終えたサンフィシュギルディからタブレットを渡され、オルトロスギルディは中に入っている画像を見始め、ある一枚で指をとめた。
「これは……!?」
タブレットの画面に映っている写真はゼブラギルディとの闘いで髪型が三つ編みへとなっているテイルホワイトだ。
「つい先日、我々も知ったのですが、闘い方やなどが非常に慣れているためかなり前から三つ編みへと変身できるようになっていたのかと」
「くそ、兄貴を思い出して嫌な気分になった…」
「兄貴、というのはケルベロスギルディ様のことでございますか」
「ああ、トライブライドなんてものを信仰した挙句ツインテイルズに敗れた愚兄だ」
ケルベロスギルディは圧倒的な実力を持つ幹部であったが、自身の属性が三つ編みということもあり、早々に闘いから身を引いていた。しかし、ツインテイルズの力が凄まじくやむなしに出撃したところツインテイルズの前に敗れてしまったという。
そんなケルベロスギルディを弟であるはずのオルトロスギルディは毛嫌いしていた。
理由はケルベロスギルディと相反する自身の属性力にあった。
大きな胸板に記された自身の属性力、そのマークは━━━━━━ツインテール属性のマークだ。
「ツインテールこそが最強にして最も可憐な属性力なんだ。 三つ編みなどにかまけているテイルホワイトを見ると、こう体中がムズムズしてくるんだ!!」
「まさか、出撃を!?」
ようやく合流してくれた神の一剣に入れるだけの戦士をここで出撃させ、もしテイルホワイトに敗北してしまうことなどあれば、今度こそこの隊は撤退を命じられてしまうかもしれない。 サンフィシュギルディはそれだけは避けていたいと考えている。
オルトロスギルディといえば、隊員の育成力なども評価され、様々な戦士を育ててきたこともアルティメギルでは有名だ。
この部隊は今まで効率化を図り、ツインテール戦士と闘うのはシャークギルディやオルカギルディに任せきりだった。 その作戦で育成を放棄してしまった隊員を鍛えてもらえれば、そう思っていた。
「ふん、まずは腑抜けた隊員を鍛えることからだな。 俺は一旦、自分の艦に戻るぞ」
白いローブをマントのように翻し、オルトロスギルディは薄暗い廊下へと姿を消していった。
オルトロスギルディは自分の乗ってきた艦に戻り、白いローブをぬぎ捨てた。
彼の艦の彼の部屋には子でもかというほど壁一面にツインテールにしている少女のフィギュアが飾られていた。
定番の魔法少女はもちろん、小学生のツインテールや二十歳以上のようにも見える女性のツインテールなど幅広く壁一面の棚には埋もれている。
その中には、一部ショーケースに入れられたフィギュアもある。 これは彼が闘ってきた幾多もの世界のツインテール戦士のフィギュアだ。
皆、オルトロスギルディに敗れ、ツインテール属性を失い、ツインテールにできなくなっていった。 そんな彼女たちの姿を忘れないよう戦士として闘っていた頃のフィギュアを作り部屋に飾っている。
オルトロスギルディがツインテール戦士に勝利を収めた証でもあった。しかし、その中に他の戦士とは違う雰囲気を出しているフィギュアがある。
ショーケースを開けそのフィギュアを手に取るオルトロスギルディ。
「俺はお前を超えたのだ、ドラグギルディ……!!」
握りしめていたフィギュアを再びショーケースに入れると、白いローブを羽織った。
自分の部屋から出ると、またも彼はシャークギルディ部隊の艦へと戻っていった。
◇
「それは確かに妙な夢ですねえ……」
顎に手を当て足を組み考えているフレーヌは神妙な顔をする。
「しかし、前のようにテイルギアをうまく扱えなくなっているわけでもありませんし……疲労ですかね……」
確かにそうだ。
おかしな夢を見るが、前のようにエレメリアンと闘っていて違和感を感じるようなことはない。ということはまさか本当に、疲れてるだけなのかな……。
「しかしラッキーでした。最近はエレメリアンの出現頻度が減っていますからね」
フレーヌはモニターに向き直り、停止中だったアニメを再生し視聴し始める。
どうやらこの前の魔法少女のアニメらしい。しかし、半分ほどみたところで急に画面が変わり赤い三角形のマークが表示され、基地のアラームが鳴り始めた。
「エレメリアン!?」
アラームに私はビックリしたがフレーヌは動じずただ画面を見ているだけだ。 さすが、司令塔ともなればどんな急な事態でも落ち着きを忘れていないらしい。
「いいところだったのにぃ━━━ッ!!」
「違うでしょ!!」
どうやらいいところでアニメが切れてしまったため固まっていただけのようだ。しかし、このタイミングでエレメリアンか……やっぱり空気読めないな奴らは。
テイルブレスを胸の前に構え、変身コードを唱える。
「テイルオン……!」
テイルブレスが激しく閃光し、私はテイルホワイトへと変身が完了した。
やっぱり変身できるし、変身してからも体に異常は感じられない。
空間跳躍カタパルトに入ると、目の前が白くなっていった。
なんか前にもこんな終わり方があったような……。
この話が今年最後の更新ですね。
皆さん、良いお年を!
それと感想、質問どんどんお寄せください。
それでは。