私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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速水黒羽
性別:女
年齢:??
誕生日:??
身長:154cm
体重:44kg

奏の前に突如現れた謎の少女。
普段は神の一剣の白いローブを羽織っている。 ローブの下には自らの属性力を極限まで高めた事で生成された黒いテイルギア?を装着している。
シャークギルディとゼブラギルディを鍛えていたのも彼女。




FILE.26 似た者同士

 謎の威圧感を放つ黒いツインテールを持つ速水黒羽という少女と対峙した私はフレーヌからの通信を聞き、早々に基地へと戻ってきていた。

 

「速水黒羽ですか……明らかにこの世界の人間ではありませんね」

「……フレーヌが他にテイルギアを渡したの忘れてるだけの可能性は?」

「そんなことはありません!」

 

 時々冗談を交えながら謎の少女速水黒羽について考察していく。でもあながち冗談とは言い切れないんだよなあ……。

 私のテイルギアの装備のカラーリングは白と少しの青にアンダースーツの黒の三色。 速水黒羽のテイルギアは黒い装備に少しの赤に黒いアンダースーツと少し違うところもあるけど対になっているように感じる。

 もっとも引っかかるのはあの黒いツインテール。 ツインテールの中ではもっともメジャーなはずのツインテールが妙に気になって仕方がない。……そういえばリンクブレスの色って黒に赤いラインだったっけ。

 

「ねえ、リンクブレスで変身って本当にできないの?」

 

 絶対にないとは思うけど確認のためだ。

 

「志乃さんのことを疑っているんですか?」

「う…!」

「一瞬……本当に一瞬に私も考えましたがそのような機能はつけてませんのでありえないかと思われます」

「そ、そうだよね」

 

 やっぱりないか。

 それに速水黒羽は私達が聞いたことのないことも口にしていた。

 アルティメギル四頂軍の神の一剣。

 今まで私が闘ってきたエレメリアンからはそのような単語は一切出てこなかったし、志乃がそれを知ることはできないはずだ。

 ……まあ速水黒羽の正体やアルティメギル四頂軍のことはおいおい解き明かしていくとして、今は目の前の敵だ。

 幹部と言っていたオルカギルディは倒すことが出来たが私がテイルホワイトになったあの日のモニターに映っていた隊長らしきエレメリアンを倒していない。

 おそらく、オルカギルディよりも強いだろう、もしかしたらクラーケギルディと同じくらいの強さかもしれない。 いつでも厳しい闘いを受け入れる覚悟は持っておいたほうがいいな。

 オルカギルディが散る際に言い残した言葉を思い出す。

 

『アルティメギルは氷山の一角だ!』

 

 この言葉は嘘じゃなく本当のことだったら闘いはこの先も、今この世界の属性力を奪おうとしている部隊の隊長を倒しても続くということなのだろう。 そしてきっとその相手が速水黒羽らになるわけだ。

 また先のことを考えてしまったかな。

 

「……奏さん、これを」

「え?」

 

 フレーヌが突然立ち上がりスカートのポケットから何かを出し私に差し出してきた。

 黒をベースに所々走っている赤いライン、これは間違いなく、

 

「……リンクブレス?」

「はい、実は予備のために二つ作っておいたんです」

「へえー、でもなんで私に? テイルギアあるよ?」

「これから先は私でも予想がつかない闘いがあるかと思われます。 もし奏さんがリンクブレスを使いこなせる人を見つけたら譲ってもらいたいんです。 奏さんとのエレメリンクですから奏さん自身が選んだほうがいいかと思われますので」

 

 志乃と同じように私とエレメリンクできるほどの属性力の強さをもつ人を私が選び、このブレスを渡せばいいということらしい。

 私はブレスを見た。

 志乃のブレスに入っている三つ編みのマークが入っていない。

私が渡した人の属性によってここに入るマークが、エレメリンクによって得る力が変わるわけだ。

 

「わかったわ。 私とエレメリンクできる人に譲るまでは私が預かっておく。 ありがと、フレーヌ」

「今のところ、残りのリンクブレスはそれ一つなので慎重にお選びください」

 

 私は頷き、リンクブレスを自分の服のポケットにしまいこむ。とはいっても今は夏休みだし、毎日外に出るわけじゃないからこのブレスを誰かに渡すのはだいぶ先になりそうだが。

 

「そういえば最近気になることがありまして」

 

 フレーヌは目の前にあるたくさんのキーの中から一つをカシャンと押すと大きなモニターにたくさんの菱形とその下に文字が表示された。

 

「これって私が倒したエレメリアン?」

「ええ、正確には属性玉ですね」

 

 端っこのほうを見ると掌属性やらアホ毛属性やら雀斑属性やら懐かしい文字が並んでいる。 日付順に並んでいるらしいが最近のほうの属性だけ赤い文字で表示されている。

 

「今まで倒してきたエレメリアンは皆海に存在する生物がモチーフとされてきました」

 

 フレーヌがまたキーをカシャンと押すと今度は私が戦闘中の映像を切り取った画像が何枚か表示された。 うん、何が言いたいかは大体わかってきた。

 

「最近は海の生物より陸にいる動物とかが多い気がするね」

「ええ、最近になってその傾向が出てきたということは定期的に新しい隊員が部隊に合流しているとも考えられます」

「アルティメギルはまだまだたくさんってわけね……」

 

 海の生物をモチーフにしたエレメリアンに、クラーケギルディのような幻の生物をモチーフにしたエレメリアン、陸の生物をモチーフにしたエレメリアンと私が会い闘ってきただけでこれだけの種類のエレメリアンがいるのだ。

 

「あと奏さんの夢の件ですけど、戦闘中も特に異常は見られなかったので特に気にする必要はないかもしれませんね」

「そうみたい、ありがと。 そんなら疲れたし家に帰るね」

「カタパルトでお送りしましょうか?」

「途中で寄るとこあるし平気。またね」

 

 はい、とフレーヌが答えると私は立ち上がり階段へと向かう。

 さっきの闘いじゃなんとも思わなかったけど外は暑いんだろうな…。

 

 

 空き教室から出ると真夏の熱気が一気に体に襲ってきた。

 特に蝉、これが夏を実感させ暑さを倍増しているように感じる。先ほど聞いた田舎の蝉の声がオペラなら、これはもうジャンジャガうるさくドラムやギターを鳴らしているだけの下手くそなバンドのように思える。

 そのうち蝉のエレメリアンとか出てくるのだろうか。 出てくるんなら夏はやめてほしいな。

 暑さを倍増させる蝉の声を聞きながらそう思い学校の校門へと歩いていく。

 

「お、奏!」

 

 サッカー部のやつの一人に声をかけられたが無視しよう。 しかし私が無視してもそいつは私の隣へとやってきた。

 

「無視かよ」

「名前で呼ばないで」

 

 私の隣に来て一緒に歩き出したのは部活動で学校に来ていた嵐だ。

 この暑さの中での練習は相当きついだろう、汗が染み込んだ練習着を着ている。 ……だからなるべく近づかないでほしい。

 

「……なあ、俺もかなり反省したんだぜ? そろそろ許してくれると」

「ああん?」

「いえいえ!なんでもないです!!」

 

 反省したとかそういうのはもういいんだ。 私が勝手にしたことだし嵐は悪くない。

 ただ……わかっているのに、私は嵐のことが許せないと思っている。

 私の中にあるこの矛盾がなくなるまではなるべく嵐とは距離をとっておきたいのだ。そして、そんなことを思っている自分は一体なんなんだろう。

 

「ところでなんで学校にいんだ? 部活やってたっけ」

 

 私は悩んでいるというのに、嵐のこの何も気にしていない感じ……すごく腹立たしい。

 

「別に、教える義理はないでしょ」

「冷てえ……」

 

 嵐は何故かついてくるが、まだ部活の途中のはず……目の前の校門をくぐれば隣のうるさいのとさっさとお別れだ。しかし、校門をくぐるが嵐はまだ私の隣を歩いている。

 

「なんで来るの?部活は?」

「ああ、もう終わったよ」

 

 く、タイミングが悪かった。

 何を言ってもついてくるだろうしこのまま放っておいたほうが面倒くさくなくていいかもしれない。

 しばらく、私はもちろん嵐も黙りながら歩いていると、駅前の大きいロータリーで嵐は足を止めた。

 

「なあ伊志嶺、あれ見ろよ」

 

 無視して歩こうかと思ったけど名前を呼ばれたので渋々止まり嵐が指差した先を見る。 その先にはテイルホワイトの大きい看板があった。

 看板の中のテイルホワイトはエレメリアンと闘っている最中の映像を切り取ったモノでその下には『ホワイトブレス新発売!』とやたら丸っこい文字で書かれていた。

 ホワイトブレスじゃなくてテイルブレスだけど…。 ブレスのことなんてわざわざテレビに言わないししょうがないかな。

 

「テイルホワイトのツインテール、いいよな」

「……私は特に何も思わないけど」

 

 今の言葉は真実だ。

 変身してる私が自分のツインテールをみても特に綺麗だとか思うことがない。

 

「……俺のせいだよな。 俺がお前からツインテールを奪っちまったんだ」

 

 一旦顔を沈め、自分の足下をみる嵐。

 その言葉だと、まるで嵐がエレメリアンで私からツインテール属性を奪ったというふうに聞こえてしまう。

 

「俺はポニーテールが好きだ、ツインテールよりも。 だけど……もう誰かのツインテールを奪いたくないし奪われたくないって思ってんだよ」

「……」

「だからツインテールを守るために闘っている彼女の力になりたいんだ」

「……テイルホワイトが聞いたら、喜ぶんじゃない?」

 

 私は先に歩き始めた。

 嵐も私と同じような気持ちなんだ。

 ツインテールが嫌いだけど、ツインテールを奪わせたくない私。 ツインテールよりポニーテールが好きだけど奪わせたくない嵐。

 もし過去の諍いがなければ、きっと私たちは協力してアルティメギルからこの世界の属性力を守っていたんだろうな。

 ま、過去の諍いがなければ私はツインテールを嫌いにはなってないんだけどね。

 

 

「まさか補修部隊のラクーンドギルディがこうもあっさりと…」

 

 アルティメギルの大ホールでは恒例の作戦会議兼テイルホワイト鑑賞会が行われていた。

 補修部隊を加え、今まで空席が目立ってきていた大ホールも少しだけ埋まり始めてきている。 しかし、部隊に合流し、意気揚々と出撃したラクーンドギルディがあっさりとテイルホワイトに敗れたことで自信を取り戻しかけていた隊員達はまたしても沈鬱な表情を浮かべている。

 

「情けないなお前達は……」

 

 大ホールの隅の薄暗い廊下から登場したオルトロスギルディが呆れたように言い、中央のテーブルに腰掛けた。

 

「オルトロスギルディ様、どちらへ?」

「あ、ああ。 趣味に時間を割いていた」

 

 サンフィシュギルディの問いにやや言葉が詰まりながらもオルトロスギルディは答えた。

 

「オルトロスギルディ様、少しだけ私に話させてください」

「おう」

 

 中央のテーブルからやや離れた席に座っていた硬い殻にほぼ全身を覆われているシェルギルディが突然立ち上がった。

 

「オルトロスギルディ様の特訓のおかげで我らは力をつけることができてきています。 しかし、やはりテイルホワイトには遠く及ばない…」

「ふむふむ」

 

 聞いているのかいないのかわからないがとりあえずシェルギルディは続けた。

 

「やはりここは中途半端な援軍ではなくもっと実力のある部隊に来ていただけたら、と」

 

 シェルギルディの言葉に大ホールがざわざわと騒々しくなってきた。

 要するに彼は雑魚の部隊が合流しても意味ない、と言っているのである。それを理解した補修部隊は当然のごとく反発し始めた。

 

「貴様! それは我らに対する愚弄か!!」

 

 補修部隊の隊員を皮切りに大ホールはシャークギルディ部隊対補修部隊で討論になりはじめた。

 

「そもそも貴様らの部隊が情けないから私たちが来てやったのだぞ!!」

「うるせえ! 来るのがお前らじゃ戦況は変わらねえんだよ!!」

「なんだと!?」

「なんだあ!?」

 

 討論は次第にただの口喧嘩へと発展し口喧嘩では収まり切らず近くにいたもの同士でちょっとした取っ組み合いが始まると、それが大ホール全てに広がり大ホールは無法地帯のようにそこら中でエレメリアン同士のガチ喧嘩が始まりだした。

 

「黙りやがれえぇぇいい!!!!」

 

 オルトロスギルディの制止の声で大ホール内は水を打ったように静かになり、喧嘩していた隊員達は各々の席へと戻り着席していった。

 全員が着席したのを確認するとオルトロスギルディは右の首の顎に手を当て話し始めた。

 

「両部隊の主張は俺もよくわかっている。 確かにこのままでは諸君らの育成が終える前に撤退せざるを得ない状況になるやもしれん」

「………」

「アルティメギル四頂軍も美の四心はすでにある世界に出撃している、貴の三葉は壊滅、死の二菱は万一美の四心が壊滅した時のため準備を進めている、神の一剣を出撃させるのも危険だ」

「まさか死の二菱がツインテイルズの世界に進行する準備を!?」

 

 サンフィシュギルディの問いに二つの首で頷きさらにオルトロスギルディは続けた。

 

「しかし、強力な力を持つが暇を持て余している部隊が一つあるのだ」

「な、何のことですか……」

 

 生唾を、もしくはそれに該当する液体を飲み込み、オルトロスギルディの言葉を待つ隊員達。

 

「アルティメギル四頂軍は現在剣、菱、葉、心の四つからなっているが……かつてはそこにもう一つの部隊があり、五つ合わせてアルティメギル五頂軍と呼ばれていたのだ」

「ま、まさか……」

 

 老兵だからこそ、サンフィシュギルディはその部隊の存在を知り、そして恐れていた。

 

「もしこの部隊ではどうしようもできないと俺が判断した場合、アルティメギル四頂軍から外された幻の部隊………ジョーカーである聖の五界(セイン・トノフ・イールド)を呼ぶことになるぞ!!」

 

 オオオオ………。

 大ホール内の所々から部隊の名前が出されると歓声が上がりはじめた。しかしほとんどの隊員はその部隊の存在を知らないため、どういう反応をすればいいものかと悩んでいる。

 

「しかし、聖の五界は首領様によって解散させられそのほとんどが神の一剣や他の部隊に配属されたと聞きましたが……」

「ああ、俺が神の一剣にいた時もそういう奴はいた。 しかし、聖の五界は元隊長らが非承認の部活と称して今も活動は続けているのだ」

「なるほど…………部活……?」

「安心しろ、変わり者が多いが実力は確かだからな」

 

 変わり者、というのはアルティメギルの中ではかなり重要なキーワードとなる。

 変わり者、問題児が多いアルティメギル四頂軍だが聖の五界も例外ではなかったということだ。

 

「さあ、聖の五界が合流するまでもなくこの世界の属性力をいただこうではないか!! ふっはははははは!!!」

 

 オオオオオオ……。

 バラバラになりかけていた部隊が一つとなった。

 オルトロスギルディは隊員達の声を聞くと満足そうにニヤリと笑い薄暗い廊下へ消えていった。

 

 

 大ホールが会議やら色々な意味で盛り上がっている頃、基地の最下層エリアでは今でもシャークギルディとゼブラギルディの壮絶な特訓が行われていた。 しかし、メロゲイマ・アニトュラーのため執筆を続けているのはゼブラギルディのみでありシャークギルディは座禅を組み冥想している。

 

「見えた……!!」

 

 唐突にシャークギルディは立ち上がり己の目を開け拳に、腰に、足に力を入れる。

 特訓が完了したのだ。

 早くにテイルホワイトを倒すため、足早としてしまったが自らが望む力を手に入れたシャークギルディは満足気にゼブラギルディと向かい合わせに立ったあと片膝をつきしゃがみこんだ。

 

「我の変わりにメロゲイマ・アニトュラー、どうか乗り切ってくれ!」

「はい、御武運を!!」

 

 ゼブラギルディと堅い握手を交わすとシャークギルディは立ち上がり最下層フロアの出口へと向かっていく。

 シャークギルディはメロゲイマ・アニトュラーを習得することは出来なかった。 日々大きくなる復讐の炎により執筆が止まってしまいとても続けられる状態ではなくなってしまったのだ。

 メロゲイマ・アニトュラーの変わりに白いローブの速水黒羽からの厳しい特訓を乗り切り、彼はオルカギルディを凌ぐ強さを手に入れたのだ。

 特訓によりできた身体中の傷は彼にとって誇らしいものである。

 彼の復讐はテイルホワイトに留まらず、師匠のクラーケギルディを倒した異世界のツインテール戦士のツインテイルズまで見据えていた。

 

「待っていろ!オルカギルディの仇、テイルホワイト。 そして、我が師匠を倒したツインテイルズ……!!!」

 

 復讐の炎がさらに膨れ上がり、彼を包み込む。

 夏をさらに暑くする炎は消えることはない。




どうも皆さん、阿部いりまさです。
登場して以来くすぶってきたシャークギルディがとうとうテイルホワイトと対決しそうですね。
そして完全オリジナルの聖の五界(セイン・トノフ・イールド)という部隊とは一体なんなのか。
じっくり書いていこうと思います。
感想、質問等どんどん募集しています!
それでは。
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