身長:786cm
体重:960kg
属性力:貧乳属性(スモールバスト)
シャークギルディが激しい修行の末手に入れた最終闘体。
素早さと正確さをうりにしていたシャークギルディの戦闘スタイルと違い力任せに闘うスタイルへと変わった。
その強さはかつての師であるクラーケギルディや、親友であるオルカギルディをも遥かに凌駕する。
先の大きい槍、貧乳槍スモール・バスティラスは様々な用途に使用することができる。
白く神秘的な体は禍々しい青黒い姿となり、三メートルに近い身長は七メートル、もしくは八メートルはあろうかというほどまで巨大化していた。
太くなった腕には先程まで握っていたシャムシールのような剣ではなく穂先が巨大な槍へと変わっていた。
変身した。エレメリアンが変身したのだ。
メガロドギルディの圧倒的な威圧感と迫力で一歩、私は後退りする。
『まさか……こんなエレメリアンがいるなんて……!!』
変身してパワーアップするエレメリアンなど、今まで倒してきた数多くのエレメリアンの中にはいなかった……いや、もしかしたら変身しなかっただけなのかもしれない。
フレーヌも初めて見たようで信じられないといった声が聞こえてくる。
「……ふむ」
先の大きな槍を砂浜に突き刺し、メガロドギルディは自分の手をグーパーと動かし始めた。 一通り動かしたところで砂浜から大きな槍を引き抜き自分の手に収める。
「素晴らしい力だ……! 俺の力は完全にテイルホワイトを超えている!!」
フロストバンカーを構えながらジリジリと後ろに下がる私にメガロドギルディが気づくと槍を担ぎ上げた。
「ほう……恐怖を感じているのか、あのテイルホワイトが! 中途半端な胸をしているが故、自身の覚悟も中途半端のようだな!!」
「すっごいムカつく……」
そうだ、いくら相手が迫力ある変身しても結局は変態だ。 その変態を倒す事が今の私、テイルホワイトのやる事だ。
「私はいつも通り……あんたたち変態をブッ飛ばすだけなんだから!!」
エレメリンクを一旦解除し、フォースリボンに触れアバランチクローを両手に装備する。
ほぼ同時にメガロドギルディへと突き出したアバランチクローは、片手で容易く受け止められてしまった。
「ふんっ!!」
力を入れ、握りこむとアバランチクローの鉤爪部分がいとも簡単に粉々に砕かれてしまう。
「なっ!?」
アバランチクローを防がれた事は何回かあったが、こんなにも簡単に破壊されてしまったのは初めての事だ。
「諦めろテイルホワイト、もはやお前に勝機などない……!」
その豪腕を振りかぶるメガロドギルディ。
「く……!!」
慌てて残ったアバランチクローの手甲部分で防御するも容易く手甲も粉々に砕かれ、体についている装甲も傷つけられながら砂浜を抉り、海へと吹き飛ばされた。
小さい波が体にうちつけるなか、なんとか立ち上がるが、みると私のテイルブレスが力なく放電しはじめている。
「この状況で立ち上がるのは愚かとしか言いようがないな」
「……私は約束したの……絶対にこの世界の属性力を奪わせたりしないってね」
テイルブレスを左手で抑える。
ツインテールで勝てないなら、三つ編みで勝てばいい。
私が念じるとテイルブレスが激しく閃光しその中に三つ編みのエンブレムが浮かび上がった。
〈三つ編み(トライブライド)〉
装甲は完全には修復できないものの闘える状態でエレメリンクを発動する事が出来た。
今度はフロストバンカーを右腕に装備し、同時に光線を何発か発射させた。
「無駄だと……言っているのだああああああああ!!!」
担ぎ上げていた大きい槍を縦に降ると私が発射した光線をいとも簡単に全て切り裂き、光線は霧散してしまった。
「くっ……!!」
続けてさっきの倍以上光線を撃ち出すが、今度は槍を自分の前で回転させいくつもの光線を先程よりも簡単に弾き返していった。
弾かれた光線は上空を力なく舞った後に砂浜に向かって落下し、大きな穴をあける。
「無駄な足掻きをするのはやめろ」
そう言うと、メガロドギルディは巨大に見合わない身軽さと速さで一瞬で私に近づき、再び豪腕を振り下ろしてくる。
今度は体を捻らせなんとか避けるも仰向けに私は倒れてしまう。 そして顔のすぐ上にはあの槍があった。
私目掛けて落ちてくる槍をフロストバンカーでギリギリ防御する。
「ほう、俺の貧乳槍スモールバスティラスを受け止めるとはなかなかの武器じゃないか!!」
威圧感や迫力とは全く合わない発言をするメガロドギルディだが、今はマジで言っているのだろう。
貧乳槍をフロストバンカーに突き刺しながら、合わせてまた豪腕を振り下ろしてくる。
アバランチクローだと受け切れなかったがなんとフロストバンカーだと二つ同時の攻撃もどうにか受けきる事が出来ているようだ。
「耐久力のある武器のようだが、いつまで持つか!」
幾度となく振り下ろされてくる貧乳槍と豪腕に負けじとフロストバンカーは耐えていた。しかし、このままではフロストバンカーが壊れなくとも私の体力が切れ、押しつぶされてしまいそうだ。
『奏!!』
「ぐうう……!!」
私にとっての地獄の時間はまだ続く。
◇
エレメリアンとテイルホワイトが現れた、という情報はステージの周りだけでなく、すでにこのリゾート地全体に届いていた。
シャークギルディが変身を始め、周りに突風が吹き荒れると、ステージの周りにいたテイルホワイトのファンも、これからテイルホワイトを見に行こうとしていた砂浜のファンも危険を感じ遠くへと移動していた。
しかしそんな中、海の家の陰にいる二人の姿があった。
「奏が危ないよ!なにこのエレメリアン!?」
「ええ、私もまさかエレメリアンが変身するとは……」
一人は小型のノートパソコンのようなものを操作しているフレーヌと、もう一人は黒いブレスを発光させながらフレーヌの肩を揺さぶる志乃だ。
二人ともメガロドギルディに苦戦するテイルホワイトを見て酷く焦っている。
「奏!!」
フロストバンカーで防御するだけの奏に対して心配する声を上げる志乃。
その時二人の横を一つの影が横切りテイルホワイトとメガロドギルディの元へと駆けていった。
「嵐……?」
「危険です!志乃さん止めてください!!」
「嵐、危ないよ!!」
は少しだけ追いかけ孝喜の腕を掴んだ。
「話してくれ! 俺はテイルホワイトの力になるって決めたんだよ!!」
「冷静になりなよ! いつもの嵐らしくないよ!」
「志乃さんもどうか冷静に……」
二人だけだと喧嘩になりそうな勢いなのでフレーヌがなだめに入るが嵐は聞こうとはしない。
志乃の手を振り払うと嵐はまたテルホワイトとメガロドギルディが闘うところまで一直線に走っていく。
「男性でも狙うエレメリアンはごく稀にいますし、彼の顔を覚えられたら相当危険です…私たちも行きましょう!」
ノートパソコンのようなものをボタンを押して親指サイズまでたたみ込みフレーヌも走り出した。
「え、ちょっと……もうっ!」
数十メートル先を走っている嵐に続き走り出したフレーヌに続き渋々志乃もテイルホワイトの元へと走り出した。
◇
フロストバンカーを盾に使いメガロドギルディの攻撃を防いできたが、限界はすぐにやってきた。 とうとうフロストバンカーもヒビが入り始め、私の体力も底を尽きようとしている。
私の状況など考えるわけもなく、メガロドギルディは攻撃を止めることはなく、その豪腕から放たれる思い一撃と貧乳槍と呼ばれた半ば打撃武器のような槍で執拗に攻撃を続けてくる。
(ヤバい……何か抜け出す方法は……!)
一か八か、今思いついたことを行動に移した。
巨大な体躯をしている分、若干メガロドギルディは振り上げてから振り下ろしてくるまで間がある。そこを狙うしかない。
(今だ!!)
豪腕を振り上げた瞬間にフロストバンカーを右腕から外すと、そのままフロストバンカーはロケットのように右腕から発射しメガロドギルディに強烈な一撃を繰り出す。
「……ぐう!!」
予期していなかったためかメガロドギルディは初めてダメージを負ったようにフロストバンカーが直撃した部位を腕で触りながら二、三歩後退した。
「これで……どう!?」
その隙に、メガロドギルディに当たった空中に浮いているフロストバンカーをジャンプし素早く右腕に装備、そのまま近距離で光線を発射する。しかし、私の反撃はここまでだった。
「うおおお!!」
メガロドギルディは貧乳槍を体の前へと持ってくると大きな槍先を利用し、そのまま盾として使う。
光線は貧乳槍を破ることは出来ずにあたり一面に飛び散り、再び砂浜に穴を開けていく。
「テイルホワイトー!!!」
飛んで行った方向に人が来ているのに気づき、私は咄嗟にフロストバンカーから光線を発射し、その人の頭上に落ちようとしていた光線を破壊させた。
(嵐!?)
光線を撃ち落とすのに夢中で気がつかなかったが近くまで走ってきていたのは嵐だ。 何でこんなところに。 とりあえず、危険すぎるし早く逃したほうがよさそうだ。
「テイルホワイト大丈夫か!?」
「大丈夫よ、大丈夫だから早く逃げて!!」
嵐がこの場にいるのは極めて危険だ。 さっきのように私が撃った光線が流れ弾となって嵐に当たるかもしれないし、何より強力なエレメリアンが目の前にいるのだ。
「俺はテイルホワイトの力になりたかったんだ!頼むから一緒に闘わせてくれ!!」
「私の力になりたいなら早く逃げて!」
メガロドギルディへと向かっていこうとする嵐を腕を掴んで止めるも全く言うことを聞こうとしない。
「俺は…ツインテールを守りたいんだ!!」
その言葉に、私の心の奥底にあったあの言葉が蘇ってきた。
━━━━━年齢考えずよくそんな髪型にできるよな。
パンッと乾いた音が戦場に大きく響く。
嵐の腕を勢いよく引きこちらを向かせ気づいたら私は彼の左の頬にビンタしていたのだ。
「ふざけないでよ……! あの時はあんなこと言っておいて今更私の力になりたいだなんて!!」
気づけば少しだけ視界が潤んできている。
いきなりビンタされたせいか嵐は呆然とただ私を見ているだけだ。
やがて小さな声で話す。
「か、奏……?」
嵐の言葉にハッと我に戻り頭を下げた。
「 ……ごめんなさい八つ当たりしちゃって。 嵐は私に気づかせてくれただけなのにね……」
頭を上げると嵐の前に回り込み再びメガロドギルディと対峙する。
「メガロドギルディ!」
「なな、なななんだ!?」
「タイム!」
腕を縦と横にし、Tの字を作る。
「う、うむ……認めよう!!」
メガロドギルディが頷いたのを見て、私は再び嵐に向きなおると、テイルブレスに収納していたある物を取り出し、それを嵐へと手渡した。
「こ、これは……」
私のテイルブレスとは対照的な色をした、全体的に黒く、赤いラインが入っているリンクブレスだ。
「もし……本当に私の力になってくれるなら、それを腕にはめて…私の力になりたいって念じて欲しいの…。 嫌ならいいから」
「い、嫌なわけないだろ! 俺が力になれるのなら一個でも二個でもこのブレスをはめてやる!!」
そう言いながら嵐は渡したリンクブレスを右腕にはめ込む。 ブレスをつけた右腕を嵐が胸の前へと持ってくるとその瞬間、私のテイルブレスと嵐のリンクブレスが光だし、それが互いに繋がった。
「な、なんだ!?」
テイルブレスとリンクブレスを繋いでいた光の線が消え、テイルブレスが激しく閃光し、トライブライドからまだ見たことのないエンブレムへと変わった。
テイルブレスの閃光がそのまま光の繭となり私を包み込み、光の繭が砕けると三つ編みのテイルホワイトからまた新たに''変身''が完了した。
「なんだと!?」
驚愕するメガロドギルディ。
当たり前だ、今までのツインテール、三つ編みともまた違う変身を今、私はしたのだ。
「なあ!?」
「ねえフレーヌ、奏が!」
「はい、新たな力、新たなエレメリンクです!」
その場にいる嵐と遅れてやってきた志乃とフレーヌの驚く声が遅れて聞こえてくる。
周りが吹雪の中、銀色に輝く私の髪の毛がたなびくが、今までのように左右についているわけでも、髪が編み込まれているわけでもない。
形をわずかに変えた一つのフォースリボンが凛々しく私の一つ結びの髪を、''ポニーテール''を結っていた。
私は嵐とのエレメリンクにより新たな形態を手にしたのだ。
「テイルホワイト・ポニーテール!!」
先ほどまで、瞳からこぼれ落ちそうだった涙を凍らせ、風の中に巻き上げると私は高々に新形態の名を口にした。
「第一ラウンドは私の勝ち、第二ラウンドはあんたの勝ち、そして最終ラウンド……私が勝つ!!」
メガロドギルディとの最終ラウンド、開始だ!
皆さんどうも、阿部いりまさです。
今回はテイルホワイトが新たな形態を手にしました。
果たしてツインテールとポニーテールが共存していいのか、ということに関してはしっかりと考えてあるのでご安心ください。
それと今までモブ同然だった孝喜もこれからの活躍に期待していただければと思います。
感想、質問等どんどんお寄せください。
それでは。