私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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FILE.29 爆裂、ポニーテールの力

 初めてエレメリンクした時と同じだ。

 身体中を駆け巡り、収まりきらないパワーが冷気となって空気中に漂い、真夏の太陽に照らされ美しく神秘的な光景を生み出している。

 実は……ある程度、予感はしていた。

 三つ編みの事を好きであり、三つ編み属性のある志乃とエレメリンクすると三つ編みになるなら、ポニーテールを好きな嵐にはポニーテール属性があるんじゃないか、エレメリンクすればその力を使えるのではないか、と。

 そして、それは正しかったんだ。

 

「ツインテール属性と対をなすポニーテール属性が強く出ている……。お前とあの少年に何があったと言うのだ……」

「まあ、借りたのかもね」

 

 ウインクしながらメガロドギルディの問いに答える。

 

「三人共、危ないから下がっててね」

 

 きっと激しい闘いになる。

 今の距離じゃその闘いに巻き込まれてしまうだろうし、そうならないとあってもやはり危険だ。

 私の言葉に三人とも頷き、今いた位置から背を向けて移動し五十メートルほど離れたところで再びこちらを向く。 まだ距離が足りない気がしなくもないけど、フレーヌが側にいれば何かしらの対策は立ててくれるだろう。

 改めてメガロドギルディへと私は向き直る。

 

「お待たせ。 タイムは終わりって事で」

「ふん、待ちくたびれたぞ」

 

 メガロドギルディがスモールバスティラスを構えると私もフォースリボンへと手を伸ばし、触れる。

 ''攻撃は最大の防御なり''

 誰もが知っているだろう甲斐の虎と呼ばれた戦国時代の大名、武田信玄の言葉だ。

 今までは防御の事を頭に置いて武器をイメージしていたけど、それはもうやめだ。 攻めて攻めて、相手に攻撃させる暇もないほど攻める。そしてそれができる武器は━━━━━━

 

「━━━━━━剣!!」

 

 脳裏に打ち込まれる言葉。

〈ブライニクルブレイド〉

 左手を起点に噴出する冷気。 ブライニクル━━━━━━全てを凍らせる氷柱のような、諸刃の剣が完成していた。

 私の身長の半分あるかないかくらいの大きさの剣は新雪のように白く輝き、刃の部分は氷のように透き通っている。

 武器の定番である剣、やっぱりカッコイイ。

 一通り新しい剣を堪能したところで私はブライニクルブレイドを構え、戦闘態勢をとる。

 砂浜の潮風に舞う私のポニーテールが最終激突の合図となった。

 

「たああああああああああ!!!!」

「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

 ブライニクルブレイドとスモールバスティラスが激しくぶつかり合い、あたりには突風が吹き荒れ、砂浜の中に竜巻を作り上げる。

 スモールバスティラスからの重い攻撃を攻撃の要、ブライニクルブレイドで全て弾き返しその隙にメガロドギルディに斬撃が決まった。

 

「なんということだ……!ツインテール属性でないのにこれだけの力……!?」

「私はツインテールが嫌いだからね。そう考えたらわかるって!」

「面白いぞテイルホワイト! だが俺はまだ終わらん!!」

 

 メガロドギルディはスモールバスティラスの柄の部分を砂浜に突き刺すと刃をもち中心から二挺の斧へと分裂させた。

 

「うおおおおおおおお!!!」

 

 メガロドギルディの両手を使い、斧を振るう攻撃は先程までとは桁違いだ。 槍のときは大振りなぶん、隙も多少あったが今は隙などなくすよう二挺の斧でどんどん攻撃してくる。

 普段なら焦っていただろうが、嘘みたいに私はメガロドギルディの全ての攻撃をブライニクルブレイドで受け止めることができていた。

 壮絶な斧の攻撃の中、ブライニクルブレイドで受け止めながら私は重心を下げ、メガロドギルディの足にローキックをくらわせた。

 

「攻撃手段は武器だけじゃないよ!」

「ふっははは!タイムを認めたのは間違いだったかもしれんな!」

 

 二挺の斧を再び構え、高速で後ろに回り込むメガロドギルディ。

 斧が振り下ろされる前に私はメガロドギルディを回し蹴りで迎撃した。

 

(ん……?)

 

 今のメガロドギルディの動きに多少違和感を覚えたが、その違和感かま何かを模索している場合では無い。

 斧を再び槍のスモールバスティラスへと戻し怯まずメガロドギルディは槍を突き出す。 ブライニクルブレイドとスモールバスティラスが再び交錯し、火花を散らす。

 拮抗した力で弾き合い、同時に砂浜に着地した。

 私は多少息を乱しているが体力的にはまだ充分だ。しかし、そんな私と対象的にメガロドギルディはスモールバスティラスを砂浜に突き刺し、杖代わりに使う事で立っているのがやっとのようだった。

 今のメガロドギルディの様子を見て、先程の違和感がなんだったのかすぐわかった。

 

「もう一度言う、メガロドギルディ。 この世界から属性力を奪うのやめて、さっさと自分の世界に帰りなさい!」

「なに!?」

「私は守るために闘っているだけで追い討ちするつもりはないから」

 

 闘いの中で気づいたが、メガロドギルディは変身した直後よりもパワーもスピードもどんどん落ちていっている。

 

『メガロドギルディは強大な力を自身でコントロールする事ができずにいるようですね。 あまりにもエネルギーの消費が激しいです』

 

 フレーヌがそう言うという事はどうやら私の推測は間違っていなかったのだろう。

 

「俺は今までお前に倒されてきた部下の無念を、お前の属性力を奪うことで晴らす! そして異世界へと渡り、ツインテイルズを倒す! それまで負けるわけにはいかんのだ!!」

 

 スモールバスティラスを砂浜から抜き取り再び構える。

 敵ながらすごい執念には天晴れだ。

 それと、ときどき出てくる他の世界のツインテール戦士だというツインテイルズというのも気になる。

 

「さあ、剣を構えよテイルホワイト!」

 

 メガロドギルディに言われ、私は再びブライニクルブレイドを構えた。

 再び同時に砂浜を蹴り、互い目掛けて疾走しブライニクルブレイドとスモールバスティラスが交錯する。ひるむ事なく、さらに続けてブライニクルブレイドを何度も振るう。

 

「ぐおおおおおおおお!!!!」

 

 私の斬撃をスモールバスティラスで全て受け止めた後、一瞬の隙を突かれて反撃されると、私は遠くへと弾き飛ばされてしまった。

 

「ぐう……!」

 

 片手と両足を使い、砂浜を抉りながらなんとか止まる事ができた。

 

『メガロドギルディの戦闘力がまた増しているようです! 先程よりもフォトンアブソーバーにダメージが入っています!』

「これが俺の執念、俺の力だ!!」

 

 目にも止まらぬ速度で私に近づき再びメガロドギルディはスモールバスティラスを振り下ろしてくる。

 

「く……!!」

 

 咄嗟にブレイドで受け止めるが先程までとは違う想像以上の膂力に即座に左手を刃に添え、なんとか弾き飛ばされるのを防ぐ。だが状況はかなり悪い。上から抑えつけられ、蹴りをいれる事さえできない。

 しばらくスモールバスティラスを受け止めているとメガロドギルディの力に負けているのか、ブレイドが放電し始める。

 

「俺の……勝ちだ……!!」

 

 勝ちを確信したか、メガロドギルディはより一層力を込めるとそう呟いた。

 

 

 数十メートル離れた建物の陰で、志乃にフレーヌそして、孝喜がノートパソコンのようなものに移されている闘いを見守っていた。

 

「おい、説明してくれないか? 今までのことやテイルホワイトのこと」

「それはこの闘いが終わったら説明します」

 

 目を合わせずにフレーヌはキーボードカシャカシャと操作し、孝喜の質問に答えたが、それっきりはパソコンの操作に夢中で孝喜を無視し始めてしまった。

 

「なあ、君?」

 

 若干顔を引きつらせながらフレーヌに話しかけてもフレーヌから返事はなくかわりに志乃から返事が来る。

 

「相手の解析で忙しいんだから邪魔しちゃダメだよ」

「いや、そんなこと言われても俺何が何だか」

 

 孝喜が一人で顎に手を当て思案していると彼のすぐ横を白いローブを羽織った少女が通り過ぎていった。

 志乃とフレーヌはモニター映されている闘いに夢中でその女性に気づかず、孝喜だけがその少女に気づいた。

 

「なあ、なんか今めっちゃ怒ってるような人が向こうに歩いて行ったんだけど……」

「もうっ!静かにしてって言ったじゃん!」

「でも危ないだろ……あれ?」

 

 孝喜が顔を少女のほうに向けると少女はいなくなり誰もおらず、激しい闘いで荒れていった砂浜のみが目に映った。

 再び孝喜がモニターに目を移すとテイルホワイトがスモールバスティラスをブレイドでなんとか抑えているところだ。 しかし、じきに放電が始まりだした。

 

「伊志嶺!!」

 

 孝喜が咄嗟に叫ぶと志乃とフレーヌは驚き、孝喜の顔を見る。

 

「テイルホワイトの正体を知っているんですか!?」

「え? あ、ああ。 かな……伊志嶺だよな?」

「はい、そうですけど……まさかスーパーイマジンチャフを通り越すなんて…」

「は? スーパーイマジ?」

 

 自分が作った強化イマジンチャフがあっさりと破られフレーヌはショックのあまり肩を下ろした。

 

「私の……研究とは……」

 

 今度は体育座りし、フレーヌは暗い顔でボソボソと話し始めた。

 

「そ、そんなことより今は奏だよ!」

 

 志乃がモニターを指差しながら言い、三人はモニターに目を移した。

 

「奏……」

 

 モニターに映っているテイルホワイトを見ながら志乃は静かに呟いた。

 

 

 なんとか防いできたがブレイドは防御するための武器じゃない、そろそろブレイドも限界に近い。

 より一層ブレイドの放電が激しくなりだす。

 

「ぐお……!?」

 

 もう少しでブレイドが破壊されるというところでメガロドギルディが苦悶の声をあげ一瞬だけ抑えつける力が弱まったのを感じ、素早くブレイドを切り上げながらメガロドギルディを蹴り飛ばす。

 継続的にダメージを受けていたブレイドも攻撃が止んだことで放電が止まった。

 

「はあ、はあ……」

 

 さすがにずっと受け止めていただけに疲れてしまった。

 ブレイドを砂浜に突き刺し両手を広げる。

 

「スウ、ハア……よし!」

 

 深呼吸をし、ブレイドを再び手に持ち構え、メガロドギルディに向かい走り出す。

 これでもう何度目だろうか。

 私のブライニクルブレイドとメガロドギルディのスモールバスティラスがぶつかり合い、火花を散らす。

 これだけでは足りない。私の剣をもっと速く、もっと速く、強く!!

 ブレイドで斬りつけながら意識を昂らせ、私の攻撃はどんどん速く強くなっていく。

 

「俺は、隊長としてではなく一人の戦士としてお前に闘いを挑み、絶対に勝つと……だが!」

 

 スモールバスティラスの柄の部分にブレイドがあたり、柄が斬れ、浅いが一緒にメガロドギルディにダメージを与える。

 

「それは俺の慢心だった。 闘いの中で成長するお前が勝つのは必然……か……」

 

 哀しそうな声を出した時、幾多にも及ぶブレイドの攻撃により、スモールバスティラスは粉々に砕け散る。

 

「あんたがそうなら、私も全力ぶつかって勝ってみせる!」

 

 ポニーテールとなった事で必要がなくなり腰に装備されていたもう一つのフォースリボンが分離し、ブライニクルブレイドの柄へと合体した。

 

「ブレイクレリーズ!!!」

 

 ブライニクルブレイドの刀身部分が半分に割れ、先端はスライドし、不安定な刀身を補う為の光の刃が新たに生成された。

 腰の装甲から蒸気が噴射され、私は加速し、一瞬でメガロドギルディの眼前へと移動する。

 次に背中にある装甲がスライドし、渾身の一斬を叩き込むためのファイナルブーストが展開される。

 もはや己の身長と同じぐらいの刀身となったブライニクルブレイドを上段に構える。

 そして、咆哮とともにポニーテールとなった私の新たな必殺技が繰り出された。

 

「ブライニクルスラッシャ━━━━━━━━━━━━ッ!!」

 

 ブライニクルブレイドがメガロドギルディを上から一閃し、決着を告げる雪が激しい風に吹かれて乱れ飛び吹雪を生み出した。

 

「さすがだ……テイルホワイトよ」

 

 メガロドギルディの姿が、元のシャークギルディの姿へと戻っていく。

 

「すまない…オルカギルディ、我の部下たちそして、先生……今行きますぞ……!!」

 

 シャークギルディの姿へと戻ると、まもなく爆発した。

 

 強かった。

 奴が、メガロドギルディが自分の力を完全に使いこなすことができていたなら、私は負けていたかもしれない。

 

「大丈夫よ、私は」

 

 駆け寄ってきた志乃にフレーヌ、そして嵐にピースサインを出しながら戦果報告する。

 

「エレメリアンがあのように進化するとは思いませんでした。 私の力不足です……」

「結果的に勝てたんだし、最初じゃわからないことだらけじゃない。 平気だよ」

「ありがとうございます……」

 

 どうもフレーヌはネガティブ思考になりがちらしいし、ちゃんとフォローしといてあげないとね。

 みんなの前で変身を解こうとした時、聞き覚えのある声が私の耳に響いてくる。

 あたりが美しい夕陽に照らされた遠くの砂浜から私たちの方へと向かって歩いてくる影がある。

 

「まさか……ポニーテールでシャークギルディを倒すなんてね」

 

 白いローブを着た、漆黒のようなツインテールをもつ少女、速水黒羽が再び私の前に現れたのだ。

 

「だれ?」

 

 怪訝そうな顔で私とフレーヌに問いかけてくる志乃。そうか、まだ教えてなかったっけ。

 

「……前に私がエレメリアンを倒した時に現れたアルティメギルの人間みたい」

「ええ!! 人間が!?」

 

 志乃は大仰に驚き、嵐は何が何だかわからず立ち尽くしている。しかし、何かを思い出したように速水黒羽を指を差し口を開ける。

 

「ああ!! お前さっき俺らの横通り過ぎってた奴だな!」

「ええ!? なんで言ってくれなかったの!?」

「言っただろうが!!」

 

 志乃と嵐はまるで子供の喧嘩のような言い合いをしはじめた。 みっともないからやめてほしい。 ……ほら、速水黒羽もどんな反応していいか困ってるような感じだよ。

 

「それで、何の用なの? 幹部の仇を取りに来たの?」

 

 とりあえず軌道修正のために問いかける。

 速水黒羽は白いローブに手をかけ……一気に脱ぎ捨てた。

 

「仇? そんなものに興味はないわ。 私はただ許せないだけ……」

 

 速水黒羽が手を広げると黒い粒子のようなものが集まり次第に大きな剣のような物を形成していった。

 

「ツインテールを雑に扱うあなたが許せないのよ!!」

 

 瞬間、速水黒羽は剣を振るうとあたりに突風が巻き起こり私たちの前の砂浜を大きく抉り取った。

 

「あ、あぶねえ……」

 

 目の前の砂浜を見てフレーヌと嵐はその場でペタンと座り込む。

 

「あなたに期待した私がバカだった……。 ツインテールを捨てたらどうなるのかを教えてあげるわ!」

 

 冷徹に光る黒いツインテールは、怒りに溢れ、より一層速水黒羽という()()を引き立てていた。




皆さんどうも、阿部いりまさです。
感想や質問等、どんどんお寄せください!
それでは。
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