私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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テイルホワイト・ポニーテール
テイルホワイトである奏と純粋にポニーテールを愛する嵐のポニーテール属性がエレメリンクした事で発生した新形態。 髪型はポニーテールになり装甲は通常の形態よりも少なくなるがその分スピード特化型に戦闘スタイルを変えることができた。 ツインテールに匹敵する属性力をエレメリンクした事で奏の変身の中では一番戦闘力が高い形態となった。 武器は自らのスピード特化に相性が良く尚且つ扱いやすい諸刃の剣ブライニクルブレイド。

武器:ブライニクルブレイド
必殺技:ブライニクルスラッシャー


FILE.30 オルトロスギルディの秘密

「ツインテールを捨てたらどうなるかを教えてあげるわ!」

 

 メガロドギルディとの激闘の余韻の残る夕暮れの砂浜に現れたアルティメギルの人間、速水黒羽。

 大きな剣……おそらく太刀を構え、私の前へと瞬間的に移動し振り下ろしてくる。

 金属がぶつかり合い、鈍い音があたりに響く。

 私はギリギリフォースリボンにふれ、ブライニクルブレイドでなんとか速水黒羽の剣を防ぐ事ができていた。

 

「ツインテールを捨てたとか、私は元々ツインテールが嫌いなんだけど……?」

「なんて嘘を……! ツインテール属性を持たない者が私達アルティメギルと闘えるわけがないわ!!」

「それ私が知りたいこと」

 

 力いっぱい押し返すと速水黒羽は大きくバックステップし私と距離をとる。

 とりあえず後ろの三人を避難させなければ。

 

「あんた達どっか………!」

 

 後ろの三人の方へ向くとフレーヌが私を見て頷き、すぐさま意図がわかった。

 私もフレーヌに頷き返す。

 再び速水黒羽に向き直り、ブレイドを構える。

 今の攻撃だけでわかった。速水黒羽は強い。 私が苦戦しながらなんとか倒せたメガロドギルディよりも遥かに強いだろう。

 今、私が無理して闘ってもボコボコにされるだけだ。 ならフレーヌに散々言われ続けてきた''アレ''をすればいいんだ。

 

「後悔しなさい!!」

 

 速水黒羽の太刀の中央が左右にスライドし、中央から漆黒の刃が出現する。

 まさかこれは、ブレイクレリーズ!? そんなことまでできるなんて……。

 速水黒羽が地面を蹴り、そのまま私に向かって疾走し始める。

 なんとかもっと……もっと直前まで、ブレイドを構えたまま速水黒羽を引きつける。

 速水黒羽との距離が五メートルをきったところでテイルブレスを自分の足元へと向ける。

 今だ!!

 

「オーラピラ━━━━━━!!!!」

「な!? 」

 

 足元への砂へ至近距離で発射されたオーラピラーはあたり一体の砂を巻き上げ、相手の視界を完全になくすことに成功した。

 

「……痛っ!」

 

 ……どうやら舞い上がった砂が速水黒羽の目に入ったらしい。 声に出して言えないけど心の中では言える、ごめんね。

 

「フレーヌ!!」

「はい!!」

 

 視界が全くない中でフレーヌの名前を叫ぶとかすかにフレーヌの声が聞こえ、視界が激しく舞う砂から白い光に包まれていった。

 

 

 白い光がだんだんと薄れていくと見えてきたのは夕暮れの砂浜ではなくいつも私達が来ている基地だった。

 

「あ、あれ? なんで屋内に!?」

「撤退したの。 速水黒羽には勝てないと思ってフレーヌがしてくれたの」

 

 状況を飲み込めてない志乃と嵐はまだ頭の上にクエスチョンマークを浮かばせている。 しかし、しばらくすると嵐の頭の上のクエスチョンマークはエクスクラメーションマークへと変わったようだ。

 

「まさかテレポートで!? しかもここって秘密基地ってやつじゃねえか、すげえ!!」

 

 実際に初めて見るSFのような基地に興奮したのか嵐はモニターがある機械の横の階段を駆け下りていった。

 男ってこういうのが好きなんだよね。……あと合体ロボとかも。

 

「ところでなんでギリギリまで引き寄せたの?」

「いや、単に私の近くの方が砂が多く巻き上がって目くらましにいいかなって……」

 

 もしかしたら……そんなことしなくて、さっさとフレーヌにテレポートさせてもらえばよかったかもしれない。

 フッと息を吐き、基地ならエレメリアンに見られる心配もないので私は変身を解く。

 

「とりあえずみんな……着替えたら?」

 

 海から離れようとしていた私は服を着ているが、メガロドギルディが出てくるまで海で遊んでいた三人は水着のままだった。

 今後のことは着替えてからかな。

 

 

 未だに砂が宙を舞っている砂浜に突如突風が吹き荒れ、周りに浮いていた砂を全て吹き飛ばした。

 

「痛い……」

 

 突風が吹き荒れた中心には速水黒羽が目を指でこすりながら立ち尽くしている。

 右手に持っていた太刀を煙のように消すと彼女は波打ち際まで歩き、ペタンと座り込んだ。

 

「すこしきついこと言っちゃったわね……。いや、あれくらい言わないと本人のためにならないわ……よね……」

 

 体育座りをして小さくなり、本人以外誰にも聞こえないような声を出す。

 

「テイルギアのツインテール属性、そして砂浜にいたあの少女。 うまくいってると言えるのかしら……」

 

 体育座りしたまま、海からくる潮風でツインテールをなびかせる。そのツインテールはどこか……哀しげだ。

 夕暮れの砂浜でスタンダードな黒髪の彼女が潮風でツインテールをなびかせている姿はとても絵になっていた。

 その綺麗な絵に突如極彩色が、極彩色のゲートが現れ、中から一体のエレメリアンがでてきた。

 

「見つけたぞ。 早く中に戻れ」

「遅かったわね」

 

 速水黒羽はゲートから出てきたエレメリアンとは対照的にリラックスしたように腕を伸ばす。

 

「お前が何を考えているのかは知らんが勝手な行動はするな。 所詮お前は俺の中に存在した虚構の存在にすぎぬ」

「私だって、やろうと思えばあなたを……オルトロスギルディを取り込むことぐらいできるわ。ま、そんなことする気は無いけどね」

「……」

「でも今のあなたはオルトロスギルディというよりドッグギルディね」

 

 からかうように笑いながら彼女は頭が一つしかないオルトロスギルディを見る。

 やがて彼女は立ち上がると体が激しく発光し、人間だった彼女は目の前にいるオルトロスギルディと瓜二つのエレメリアンとなった。

 オルトロスギルディが速水黒羽だったエレメリアンを吸い込むように吸収すると、彼は再び双頭となる。

 今度はオルトロスギルディの体が激しく発光し、先ほどまでそこにあった漆黒のツインテールが出現した。

 先ほどよりも禍々しいツインテールをした速水黒羽が砂浜に再び姿を現した。

 

「これは……俺の、力だ……!!」

 

 彼女は拳を強く握ると極彩色のゲートを再び出現させ、その中へと消えていった。

 

 

「やはり速水黒羽は誰の属性力も奪わずに帰っていったらしいですね」

 

 珍しくいつもの服の上から白衣を羽織ったフレーヌがテーブルの上に置いたパソコンのような機械をいじりながらそう言う。

 初めて速水黒羽が私の前に現れた時もそうだけど、彼女は属性力を奪わずに帰っていった。 彼女は属性力を奪う気はないのだろうか。……もしくは奪えない?

 

「おい、ちょっと待てよ」

「何か?」

「何か、じゃねーよ! なんで俺だけパイプ椅子なんだよ!?」

 

 基地の主のフレーヌはもちろん、元々よく基地に出入りしている私達はテーブルの周りに自分のふかふかの椅子が用意されていて勿論みんなそこに座っている。

 そんな中、今日初めて基地に来た嵐には当然マイ椅子が無く、フレーヌが上の学校から持って来たパイプ椅子に座らせていた。 嵐はこれが気に入らないらしい。

 

「嵐、その言い方はダメだよ。せっかくフレーヌが持って来てくれたのに!」

 

 志乃の言う通りだ。 むしろパイプ椅子すら豪華だと思う。 私だったら椅子なんか用意しないでそこらへんに立っててと言うだけだろう。

 

「そうですね。 では極上の椅子へご案内しましょう」

「え?」

 

 フレーヌが手元にあるボタンの一つを押すと嵐は上から降ってきたカプセルのようなものの中へと閉じ込められた。……ていうかこれは空間跳躍カタパルトだ。

 

「いやー、携帯型のカタパルトの実験をしてみたくて」

 

 必死に中からカタパルトを叩いて脱出を試みていたが、まもなく嵐はカタパルトの中の光に包まれどこかに転送されてしまった。

 

「え、嵐どこに転送したの?」

「こちらに向かってくる電車の中です。 成功してればですが」

「せ、成功してなかったら?」

「異空間を彷徨っているかと」

 

 ……よくもまあ平然と言えるもんだ。ま、フレーヌのことだから未完成のものを人で実験するなんてことはないだろうし、きっと嵐は大丈夫だろう。 ……ていうか成功してたとしても改札が出られないじゃん。

 

 

 嵐が抜け、フレーヌは今回のエレメリアンや、速水黒羽についてをあらかた志乃へと説明する。

 

「オホン、それでは本題に入りますか」

 

 今までの話は本題ではなかったのか、フレーヌは今度はどこからかホワイトボードと黒赤青の三色のペンを持って来た。 いつの間にかメガネもかけている。その姿はどことなく、学校の先生のようだ。

 

「それでは、奏さん。 あなたとあの男はどういう関係ですか!?」

「は?」

 

 全く予想していなかった私への質問に一瞬固まってしまった。

 あの男、というのはもちろん嵐のことだろう。

 

「奏、話せるの?」

 

 志乃は今私が通っている高校では数少ない中学からの友人だ。 もっといえば小学校からの幼馴染でもある。

 私と嵐が中学時代に何があったのかはわかっている。 だから今も今までも私を気にかけてくれているのだろう。

 大丈夫という意味を込めて私は志乃にニコリと笑いながら頷いておく。

 

「嵐は……私の元カレ」

「ええええええええええええ!?」

「な、なによ……」

 

 まさか驚かれるとは思っていなかったのに、ここまで驚かれるとは……。 やっぱ趣味悪いよねえ、嵐は。

 

「どこまでいったんですか!? キス!? ま、まままさかそれ以上!?」

 

 食いつき方がまるで中学生だ。 あ、フレーヌは確か十四歳だからこっちの世界だと中学生の年齢になるのか。

 

「手すら繋いでないよ。 元カレといっても二日で別れたぐらいだし」

「……なんかガッカリです」

 

 なぜ私がガッカリされなければいけないのだろうか。

 いったいフレーヌはどんな話を期待していたんだろう。

 

「でもなぜ二日で別れてしまったんです?」

「それは……別の機会に話すよ」

 

 さすがに今話すのは私的にはきつい。ただ、近いうちには必ず話すことになる。

 その時までに覚悟を決めておこう。

 

「ところで嵐遅くない?」

 

 志乃には言われて気づいたが嵐がカタパルトで何処かに飛んでからもう一時間くらいになる。

 まさか、実験が失敗したのか……。

 

「そういえば、基地の場所教えていませんでしたね。 しょうがないのでこちらに転送してあげますか」

 

 フレーヌはトテトテ階段を上がっていき、たくさんあるキーをカシャカシャ操作していく。

 嵐が帰ってきて説明するとなると二度手間になるかと思うけど、実験だとしてもそんなことする必要あったのかな……。

 

 

 異空間の狭間に浮かぶアルティメギルの神秘の基地。

 中央にある大ホールはいつもの騒がしさは感じられず、席に座している全ての隊員が静かに、テイルホワイトとメガロドギルディの闘いを見ていた。

 現地に戦闘員がいなかったので、映像はメガロドギルディの視点からのみとなっているが、テイルホワイトの強さを証明するのにはそれだけで充分だった。

 最大の注目はテイルホワイトがポニーテールへとなったこと。

 ツインテールと対をなすポニーテールへと進化したことでさらにテイルホワイトは強くなり、修行を終え、最終闘体のメガロドギルディさえも撃破した。

 絶望的な状況のはずだが、信頼していた隊長を倒された彼らもまた、シャークギルディと同じように復讐の炎を燃やしはじめる。

 

「辞退されても、隊長はいつまでも我らの隊長です」

 

 中央近くに座していた隊員が立ち上がり、モニターに映し出されたシャークギルディに敬礼をする。すると彼の周りにいた隊員も次々と立ち上がり、彼に続いて敬礼をはじめた。

 三メートル以上の体躯に顎から延びる二本の鋭い牙をもつ、ウォルラスギルディ。 オルトロスギルディの熱血指導により、メキメキと実力を伸ばしてきた若手の一人だ。

 めざましい成長を遂げている彼は実力でもこの隊ではトップクラスで、非常に優秀な戦士へと成長した。

 

「感傷に浸っている場合などないぞ」

 

 オルトロスギルディが中央のテーブルから立ち上がり、大ホールの隊員達を見渡す。

 

「早速特訓だ! 腕立てから!!」

 

 オオオオオオ………!!

 大ホールどころか、基地の外まで聞こえようかという雄叫びをあげ、ホール内の隊員がいっせいに伏せ腕立てを始めた。

 

「よし! 終わったらビートルギルディ式の特訓を始めるぞ! タブレットを用意しろ!!」

 

 オルトロスギルディの命令でサンフィシュギルディがせせっと動き手早くタブレットを各隊員に配っていくと続いてテイルホワイトのフィギュアも配られた。

 腕立てを終えたものから、フィギュアを見ながらタブレットでテイルホワイトを描き始める。

 

「できました!」

 

 一時間ほど経ったところで硬い殻を背負っているシェルギルディが一番に手を挙げ、オルトロスギルディが彼の絵をみる。

 

「ぬ! なぜ三つ編みなのだ!?」

「はい! 好きなように描けと申されましたので」

「ならん!!!」

 

 オルトロスギルディは彼のタブレットに触れ、なんと渾身の一作を簡単に削除してしまった。

 

「ああああああああ!保存してないのにいいいい!!!」

 

 シェルギルディが悲しみながら床を這いずり回るなか、オルトロスギルディは何事もなかったかのようにその場を離れ再び自分の席に着く。

 

「見せる前に保存しとくか……」

「恐ろしい……」

 

 大ホールのところどころから恐怖に怯える隊員の声が聞こえるが、オルトロスギルディは何も言わずただ隊員が絵を出来上がるのを待っている。

 鍛えられた筋骨隆々の怪物がせっせと十代の女の子の絵を描くさまほど、気持ち悪くシュールなものはない。

 いつも騒がしかったはずの大ホールは仲間がテイルホワイトに敗れていくうちにいつの間にか静かになるようになっていた。




どうも皆さん、阿部いりまさです。
感想、質問等どんどん募集しています!
それでは。
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