私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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ヘラクレスギルディ
身長:15m
体重:推定3900t
属性力:恋愛(ラブ)

美の四心隊長のビートルギルディとスタッグギルディが合体した姿。
大地を砕く四つの豪腕といかなる物体をも挟み切る巨大な角が最大の武器。
またこの巨体と体重でありながら飛翔能力も非常に優秀。
富士の樹海にてツインテイルズと戦闘、後から駆けつけた奏に恐怖を与える。


FILE.37 異世界な闘い(vsクラーケギルディ部隊)

 テイルホワイトが異世界での闘いに巻き込まれている中、奏の世界に侵攻してきている元シャークギルディ部隊は何も知らず特訓に励んでいる。

 不安を述べる者もいるものの、皆が現隊長のオルトロスギルディの命令を守り、属性力奪取へと向かうものは誰一人としていなかった。

 そんな平和な部隊を一変させる報が届く。

 

「サンフィシュギルディ様!! これを!!」

「なんでしょうか。……こ、これは!?」

 

 慌てて大ホールに走り込んできたエレメリアンは手紙のような紙と一緒に一枚の写真を手渡す。

 まずその写真は見て、サンフィシュギルディは大きな声を上げる。

 イラスト特訓の静かな間に大きな声を上げたサンフィシュギルディに大ホールにいる者全てが注目する。

 サンフィシュギルディは次に素早く手紙を黙読するとすぐに席を立ち、報を伝えに来たエレメリアンを連れ大ホールから走り去っていった。

 サンフィシュギルディの行動に疑問を持った隊員達が隣の席の隊員と目を合わせ、やがて大ホールはざわざわと騒がしくなっていく。

 

「これでは特訓に支障が出る、俺が何事か聞いてこよう」

 

 ウォルラスギルディが痺れを切らし席から立ち上がると、大ホールから出て行った。

 

 

「オルトロスギルディ様、これを」

 

 大ホールから走り去ってサンフィシュギルディが向かったのはオルトロスギルディの部屋だ。

 部屋へと入り、サンフィシュギルディは早速先ほど自分が見た写真をオルトロスギルディに手渡す。

 

「む、ただのテイルホワイトだが……!!」

 

 テイルホワイトが大きく中央に写されているため、一瞬では気づきにくいがオルトロスギルディはある事に気付き大きく目を見開いた。

 

「テイルホワイトで見えにくいが、奴の後ろに三本の腕が小さく見える。 これは……美の四心が侵攻している世界か!」

「はい、美の四心の結束力は凄まじく決して部隊を離れるものはおりません」

「つまり、テイルホワイトは今別の世界にいるという事か……それもツインテイルズの世界に」

 

 次にオルトロスギルディは手紙を受け取り、同じように黙読する。

 手紙の差出人はゼブラギルディからで、テイルホワイトを見つけたので残ったクラーケギルディ部隊全員でテイルホワイトを優先させていただきたい、要約するとそう書かれている。

 

「しかし、なぜテイルホワイトが……!」

 

 オルトロスギルディは一瞬考え込む仕草をしたがすぐに誰のせいかわかったようだ。

 

(貴様か、テイルホワイトを別の世界へ飛ばしたのは……!)

 

 心の中でオルトロスギルディは問いかけるとすぐに返事が返ってくる。

 

『へえ、ツインテイルズの世界に行ったのね。いい勉強になりそうでなによりね』

(勉強だと?)

『ええ、彼女のツインテール属性はまだ輝く。 そのために見本として別世界のツインテール戦士に合わせたかったのよ、ツインテイルズの世界に行くとは思わなかったけどね。 嬉しい誤算だわ、ふふっ』

 

 速水黒羽は淡々と自らがした事を隠す事なくオルトロスギルディに教えた。

 

「オルトロスギルディ様、テイルホワイトがこの世界にいないのなら、今こそ属性力奪取のチャンスでございます」

 

 サンフィシュギルディの言う通り、世界を守るツインテール戦士がいない今なら容易くこの世界ツインテール属性や、他の属性力も奪う事もできる。

 オルトロスギルディはもちろんサンフィシュギルディに賛成する、しかし彼の中にいる速水黒羽はそれを良しとしなかった。 

 

『ダメよ、やめてちょうだい』

 

 サンフィシュギルディと自分の考えを一蹴され、オルトロスギルディは仕方無しにサンフィシュギルディの提案を拒否する。

 

「今は侵攻中止、隊長命令だ……」

「…………隊長の命令とあってはそれに従います。 しかしなぜ侵攻しないのですか、理由もなく侵攻中止するのは部隊の士気が落ち、反発するものも現れるかとおもいます」

「すまない……言えんのだ」

「……わかりました」

 

 サンフィシュギルディはソファから立ち上がり、オルトロスギルディの部屋から出て行った。

 戦闘力が半分以上、速水黒羽に流れてしまっているオルトロスギルディには彼女に逆らう事など出来なかった。

 

 話を偶然聞いてしまったウォルラスギルディはすぐさま大ホールに戻り、現在テイルホワイトがこの世界にいない事を隊の者に知らせた。

 

「隊長は好機をみすみす逃すつもりなのか!?」

 

 侵攻には絶好の好機に侵攻中止令を全く撤回する気配のないオルトロスギルディに、反発するものが現れ始める。

 もちろん、中には隊長の肩を持つものいる。

 

「しかし、戦士のいない間に侵攻するなど卑劣極まりない行為だ!」

「この部隊はテイルホワイトによって隊員が既に六十名以上倒され大損害だ! そんな事を気にしてる暇などない!」

 

 何処からか聞こえてくる侵攻中止を守ろうとする声に何処からか聞こえてくる今すぐにでも侵攻しようとする者の声が入り混じり、大ホールはイラスト特訓どころではなくなってきた。

 

「な、何の騒ぎです!?」

 

 大ホールに戻ってきたサンフィシュギルディは異常に気付き、ウォルラスギルディに問いかけた。

 

「す、すみません……俺がテイルホワイトの件を皆に伝えたらこうなってしまい」

「いや、いいのです。 隊長が侵攻中止の理由を明かさない以上、こうなるのは止むを得ません、隊長もこの部隊を見れば考えを変えてくれるかもしれませんね」

 

 首を振りサンフィシュギルディはまた大ホールから今度は歩いて去っていった。

 

「これ以上部隊を……シャークギルディ様の部隊をバラバラにはでん…………!!」

 

 拳を強く握り、歯をくいしばるウォルラスギルディ。

 ある一体のエレメリアンがウォルラスギルディに近づき、声をかけた。

 

「ウォルラスギルディよ、お前の考えはよくわかるぞ」

「シェルギルディ……」

 

 貝殻を全身に鎧のようにしてきているシェルギルディだ。

 

「俺も渾身のイラストをいとも簡単に削除されてしまった。……オルトロスギルディ様には色々と思うところがあるのだ」

「お前、何を考えているのだ。 まさか命令を無視して出撃する気ではないだろうな」

 

 シェルギルディは答えずうつむき、大ホールの出口を目指して歩を進め始めた。

 ウォルラスギルディはシェルギルディが何をしようとしているのかわかる。 が、止めには入らずただ遠ざかっていく寂しい背中を見つめていた。

 

 

 あたりの木や土砂を巻き上げながら、私VS五体のエレメリアンの闘いは続いている。

 さすがエレメリアンとの乱戦はモケモケの時やラクーンドギルディの時とは全然違う。

 計画もなくただ突進してくるだけのモケモケやあの幻だが、五体のエレメリアンは私の動きを読み、恐るべき連携で攻撃を仕掛けてくる。

 なにより、一番厄介なのがゼブラギルディ。 以前に海で闘った時よりも格段に強くなっている。

 

「「はあああああああ!!」」

 

 左右からエレメリアンが同時に襲いかかってくる。

 アバランチクローで間一髪防ぐが、防いでいる間に三体目のエレメリアンが私の前に高速で移動してきた。

 

「オラァ!!」

「ぐっ……!!」

 

 左右のクローが塞がっていて防御ができない無防備な私に、重い蹴りを食らわせてきた。

 蹴られた勢いそのままにかかとで地面を削りながら後退する。だが、休む間もなく一体、また一体とどんどんエレメリアンが攻撃を仕掛けてくる。

 そしてまた、左右からエレメリアンが攻撃を仕掛けてくる。

 これもクローで間一髪防ぐも先ほどと同様無防備な私の前に今度はゼブラギルディが高速で移動する。

 

「同じ手にかかるわけないで、しょ!!」

 

 ゼブラギルディよりも早くに私が両足でドロップキックを繰り出し、お腹あたりに命中すると富士の樹海の木々をなぎ倒しながら吹き飛ばされていった。

 瞬間、私は上半身を下げ左右のエレメリアンが前へバランスが崩れさせる。 その隙を突き、左右のクローで同時にエレメリアンを地面へと叩きつけた。

 四体目のエレメリアンが向かってくると今度は右のクローを素早く腕から外し、向かってくるエレメリアン目掛けて投擲、見事命中した。

 

「一体目!!」

 

 投擲したクローが命中したエレメリアンはすぐに体が放電しはじめると、間もなくその場で爆発する。

 

「調子に乗るな━━━━━━ッ!!」

 

 地面へと叩きつけた一体のエレメリアンが起き上がり、大剣を目の前で振り下ろしてくる。

 左手に残っているクローでそれを防ぐ。防いでいる間、余っている右手をクローの下へと忍ばせた。

 

「なに!?」

 

 忍ばせていた手につけていたテイルブレスから目の前のエレメリアンに向かってオーラピラーを照射、拘束することに成功すると左手のクローで一閃、直後に爆発する。

 これで二体倒した、あと三体!

 森の中へと消えた一番厄介なゼブラギルディはまだ戻ってきていない、今この瞬間がチャンスだ。

 残った二体のエレメリアンがそれぞれ攻撃を仕掛けてくる。

 私に向かい突進してきたエレメリアンは近接格闘に秀でているのかボクサーのような動きでストレートやフック、アッパーなどを次々と繰り出してくる。

 ボクサーエレメリアンから少しでも距離をとると後方にいる援護に秀でたエレメリアンがロビンフッドのように正確に次々と私目掛けて弓で攻撃してきた。

 どちらの攻撃も避けながら闘っていると私の視界で援護に秀でたエレメリアンがボクサーエレメリアンと完全に被り見えなくなる。

 

(ここだ!)

 

 咄嗟に私はある考えを脳内でシミュレーションし、その通りになるようすぐに行動に移した。

 

「オーラピラー!!」

 

 ボクサーエレメリアンの拘束に成功するとすぐさま残った左のクローを投擲、拘束されたエレメリアンに留まらずすぐ後ろにいた援護エレメリアンをもクローは貫通し、両者とも爆発した。

 私と二体のエレメリアン、三人が完全に一直線になったからこそできたことだ。

 四体倒したところで私は地面に膝をつき、荒れる息を整える。

 

「はあ、はあ、はあ…………」

 

 さすがに体力が限界を迎えている。

 ゼブラギルディがここに戻ってくるまで、僅かな時間だろうが今は休みたかった。

 

「ぬううおおおおおお!!」

 

 一際大きい、苦悶の声が遠くから聞こえた。

 声の方向を見るとヘラクレスギルディが角で地面を抉っているのだろうか、たくさんの土砂が宙を舞っている。しかし、ヘラクレスギルディの様子がおかしい。

 先ほどまで輝いていた黄金の身体にはヒビが入っており、中から赤胴色の熱気が漏れ出始めていた。

 

「ヘラクレスギルディ様は急激な進化をするために自らを犠牲にしようとしているのだ……!!」

 

 先ほど私が蹴飛ばしたせいでできた森のトンネルの中からゼブラギルディが私の前へと戻ってきた。

 先ほどの蹴りが相当効いたのか、ゼブラギルディは多少足がおぼつかない。

 

「俺の隊長のクラーケギルディ様もそうだ、部下を守るために自分を犠牲にした。 隊長の役割はそんなことではないというのに……!!」

 

 ゼブラギルディはグッと拳を握り、悔しさか、悲しさか、あるいは虚しさを前面に出してくる。

 人間でも、ここまで上司と部下が心を通わせているところは見たことがない。 こういう部分、エレメリアンには感心させられる。

 ようやく少し体力が回復し、私は立ち上がりゼブラギルディと対峙した。

 私自身の体力が戻っても、どうやらテイルギアは限界が近づいているようだ。

 常に全力で休まず闘い続けたためか、肩や、腰、脚にいたるまでのほとんどの装甲にヒビが入り放電し始めているところもある。

 お互い既にボロボロだ、この闘いはもう間もなく終わるだろう。

 

「クラーケギルディ部隊最後の隊員、ゼブラギルディはテイルホワイトを倒す!!」

「望むところ……!!」 

 

 二つとも投擲し、樹海の中に消えてしまったアバランチクローはもう使えない。

 今は自分のこの拳が、足が、身体全てが私の武器。

 ゼブラギルディも私と同じだ。

 私はこういうのは嫌いだし、やったこともないけど、一対一の、タイマンだ!




皆さんどうも、阿部いりまさです。
異世界編も終わりへと近づき、壮絶なバトルが繰り広げられています。
果たして奏はどうなるのか、シェルギルディは何をするのか、ご期待ください。
感想をお寄せいただきとても嬉しいです!
それでは。
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