私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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フレーヌ
性別:女
年齢:14歳
誕生日:12月21日
身長:144cm
体重:40kg

アルティメギルを倒せるツインテール属性を持つ者を求めてやってきた異世界の少女。
自らの世界を救うため闘ってくれた戦士に憧れる一方で、突然闘いに現れなくなったことに対して疑問に思い、憎んでいる。
テイルギアのデータをみてコピーし実際に作り出す、秘密基地を短時間で作り上げる、など高い技術力を持つ。


FILE.4 ツインテールと属性力とエレメリアンと

 世界と世界の間に存在する神秘と科学の結晶。

 基地であり、移動母艦でもある。

 人目を忍んでいるのではない、人間には目視することさえできない聖域。

 アルティメギルの基地はまさにそういう場所に停泊していた。

 基地の中には大ホールの大きい丸テーブルを中心として360度あのウーチンギルディのような屈強な戦士たちが各々の席に座していた。

 しばしの沈黙の後、どこからか誰かが呟く。

 

「まさか…ウーチンギルディがこうもあっさりと……」

 

 突如として現れたツインテールの戦士に同胞が敗れる。 その報は大きな衝撃となり、波紋を広げた。

 この場にいる全てのエレメリアンがこの事態を飲み込みずにいた。

後、丸テーブルから離れた位置に座している一体のエレメリアンから怒号が上がる。

 

「どういうことだ!文明力が低いがためにこの世界での属性力奪取はいとも容易いと!そう結論が出たはずでは無いのか!」

 

 その言葉を皮切りに数々のエレメリアンが丸テーブルの近くに座っているエレメリアンに向かい抗議していた。

 だが、一つの空席がある。

 それは最もこの大ホールがよく見渡せる位置にあり、過度な装飾品が付けられている、玉座というにはいささか装飾が派手すぎる気もするが高い位のものが座る席だというのは人目でわかる。

 やがて怒号が先ほどよりも飛び交うようになり収拾がつかなくなっていく。

 

「静まれ!」

 

 大ホールから発せられた声では無い。 大ホールの隅にある通路から聞こえてきたものだ。

 やがて声の主の足音が聞こえてくると水を打ったように静かになる大ホール。

 やがて通路の影から一体のエレメリアンが現れた。

 二メートル以上の体躯。

 背に生えている鋭く、強靭な背ビレ。

 自身の顔の前にはえる鋭利な牙の数々。

 それはさながら海のギャング、鮫を思わせる姿だ。

 それと同時に、全世界に向けて侵略をする、と宣言したそのエレメリアンでもあった。

 

「シャークギルディ隊長…」

 

 一際異彩なオーラを放っているそのエレメリアン━━━シャークギルディは丸テーブルの前のあの装飾が派手な玉座へと座った。

 シャークギルディはただ座っているだけで明らかに他のエレメリアンとは格が違う存在だった。

 

「ウーチンギルディの報は聞いた。奴を打ち負かす戦士が密かに存在していた……それだけの事であろう」

 

 そう言いながらシャークギルディは目の前の機械を操作し、大ホールの天井に幾つもあるモニターに映像を映し出した。 すると大ホールにいたエレメリアンが次々とおおおお……、という感嘆の声を上げる。

 

「戦闘員が記録していた映像だ」

 

 モニターには奏が変身したテイルホワイトが映っている。

 

「素晴らしいツインテールだ…」

「ウーチンギルディはこの者に倒された……。羨ま…いや、嘆かわしい」

「美しい!」

 

 次々とエレメリアンがテイルホワイトのツインテールの虜となっていく。

 先ほどまでウーチンギルディを悼んでいたはずが、テイルホワイトのツインテールを前に完全に忘れられてしまっていた。

 さらにシャークギルディは機械を操作し今度は動画を再生する。

 

『怪我をしても知らぬぞ!』

『自分の心配をしなさいっ!』

 

 それはテイルホワイト雪を味方としウーチンギルディを破った瞬間の動画だった。

 本来なら同胞が散るところは痛々しくて見ていられない…はずなのだが。

 

「我らの心配をしてくれるとは女神か!?」

「羨ましい奴よ。ウーチンギルディ!」

 

 もはやウーチンギルディは悼まれるのではなく羨ましがられているだけとなった。

 しばらくその動画を再生、巻き戻し、再生を繰り返しているとシャークギルディが口を開いた。

 

「この世界で属性力を頂く……異論はないな!!」

 

 オオオオオ……!!

 最高のツインテールを目の前にしたエレメリアンにとって迷いなど1ミリもなく大ホールに居るエレメリアン全員が大きく、力強く雄叫びをあげた。

 暑苦しいほどに潔く、変態的な存在だった。

 

 

 目を覚まし、まずここが何処かを確かめる。

 見慣れた天井、見慣れた壁、窓から見える見慣れた景色。 どうやら自分の部屋のようだ。

 もしやと思い右手を確かめる。 右手にはキッチリとあの白いテイルギアが装着されていた。

 夢ではない。 ということは気絶してる間に私を運んでくれたんだろうな…。

 状態を起こしぼーっとしているとガチャリ、と部屋のドアが開いた。

 

「あ!目が覚めたんだね、よかったー……」

 

 志乃が私の部屋に入ってきた。

 どうやら志乃だけフレーヌさんはいないらしい。

 志乃の様子を見るに本当に私のこと心配してくれてたんだろうな。

 

「うん、もう平気。心配かけてごめんね」

 

 私がそう言うと志乃はわざとらしくふひぃ〜と疲れたように声を出した。

 

「ところでフレーヌさんは?」

「ああ、外のあの車に乗ってるよ」

 

 志乃が窓の外を指しながらそう言うので窓から見てみると白いミニバンのような車が私の家の前に止まっていた。

 あの娘、車を運転できるんだ。見た目からして中学生くらいかと思ったけど、もしかして二十歳超えてるのかな……でも流石にそれは無いかな…。

 やがてそのミニバンからフレーヌさんがおりてきて私たちに向かい手を振り始めた。

 

「あの車でフレーヌさんの世界からこっちの世界に来たのかな…」

「そうですよぉ」

「へえ……っうわ!」

 

 少し目を離した一瞬の間にフレーヌさんが部屋に入ってきていた。

 よく見ると手にはペンとノートのようなものが持たれている。 どうやらこれで中にテレポート的なことをしてきたんだろう。 そうか、最初に私たちをビクトリースクエアに転送させた時も手に持ってる機械を使ったんだろうな。

 流石テイルギアを作り上げただけのことはある。 することが一々近未来的で見てて面白いなあ。

 

「これからのことを説明したいので準備が出来たら下に止めてある車に乗ってくれますか?」

「え?それならこの部屋でもいいんじゃ…」

 

 私の質問に答えてくれたのはフレーヌさんではなく志乃だった。

 

「車ん中にメインのコンピューターがあるんだって。見せてもらったけど凄かったよ!」

 

 どうやら私が寝てる間に志乃はあの車ん中に入れてもらったらしい。

 私がフレーヌさんに「わかりました」というと彼女はニコッと笑い今度はテレポート的なことはせず部屋から出て行った。 志乃もフレーヌさんに続いて部屋を出て行く。

 その後、志乃の「テレポート♪テレポート♪」という声が聞こえると廊下は一際強い光がはしり、家の中が静まりかえった。

 

 

 準備が出来たらと言われても、私は元々学校に行ってたんだし特に何かするわけでもなく五分も経たずに家の前に止まっているフレーヌさんの車の前に来ている。

 やはり近くから見てもこの世界にある車とはなんら変わったところもないし、これで本当に世界を超えられるのかな。

 しばらく車をジーっと眺めていると後ろのトランクにあたる部分からフレーヌさんが出てきた。

 

「ではどうぞ!」

 

 そう言いながら彼女はトランクの扉を指差す。 ……私をトランクに入れて誘拐する気?

 

「あ、誘拐とかはしませんよ。このトランクの中から近くの秘密基地までテレポートすることができます!」

 

 その言葉を聞きおそるおそるトランクに近づき中を覗いてみると何やら中の壁がメカメカしい。

 

「ささっ!」

 

 急かされたので足から入ってみる。するとなんと、一瞬で視界が切り替わりSF映画に出てくるような部屋に私の居場所は変わっていた。

 

「ええええ!?」

「そんなに驚かれなくても、先ほどもテレポートされたでしょ?」

 

 私がテレポートに驚いている間にフレーヌさんもテレポートしてきていた。

 確かにフレーヌさんに言われた通り、二、三時間くらい前だろうか。その時も私たちはビクトリースクエアにテレポートしていた。 でも、このテレポートは視界が一瞬見えなくなるとかじゃなく本当にスパッと場所が切り替わる。 まるでTVのチャンネルを変えたように。

 

「階段の下に椅子があるのでどうぞお掛けになっててください」

「は、はあ…」

 

 ややこしそうな機械の両隣りに下への階段があり、降りるとたくさんのモニターに囲まれて…これもやはり近未来的なテーブルと椅子があった。

 志乃もそこにおり私を見つける大きく手を振ってくれた。

 椅子に腰掛け1分ほど待つとフレーヌさんがやってきて話し始めた。

 

「それでは、テイルギアのことについてです」

 

 テイルギアとは一体何なのか。

 属性力とは何なのか。

 エレメリアンは何なのか。

 知りたいことはたくさんある。

 フレーヌさんが謎の間をとった後、話し始めた。

 

「テイルギアを開発したのは私ではありません。開発者は別にいます」

 

 …いや、うん。

 少しだけ沈黙が続いた。

 

「あら!?もっと驚いてくれるのかと思ってたのに反応薄くないですか!?」

 

 流石に驚かないよ…。

 テイルギアといい、いろいろな近未来的な道具といい、この基地といい、少女1人でどうにかできるもんでもない。 必ずフレーヌさんをバックアップしている人物がいるはず。 こう想像するのは普通のことだろう。

 

「えーっと、オホン。 次にこれをお読みください」

 

 キリッとした表情でフレーヌさんは何枚か紙を私と志乃に渡してきた。その紙にはテイルギアの各部概要が図付きで書かれている。

 フォトンサークルだのスピリティカフィンガーなど女の私でも見ていてワクワクするような文字がたくさん並んでいる。 綺麗で丁寧に纏められているが、フォースリボンだけ文字を直したような跡が残っていた。

 

「あれ?なんでここ塗り潰されてるんですか?」

「ああ、それは開発者が誤字っていたので修正しました」

 

 まさかの誤字。 どんな風に誤字っていたのかちょっと気になるじゃん。

 

「テイルギアについて大体理解することが出来たら1ページめくってください。属性力についてのことが書かれていますので」

 

 言われた通りページをめくるとデカデカと紙の上に属性力(エレメーラ)と書かれておりその下にはまた図と長い説明文が書いてある。

 

「属性力って何かを愛する気持ちだったっけ?」

 

 志乃が顎に手をあて考える人のポーズをしながらフレーヌさんに質問する。

 そういえば、さっき倒したウーチンギルディってやつことあるごとに掌、掌言ってたっけ。

 

「その通りです。人により趣向は様々なので属性力もその分たくさんあるんですよ。そしてテイルギアにツインテール属性が使われている理由、それは数ある属性力の中でも最強の属性力だからなのです!」

「ツインテール属性が!?」

 

 やっぱりおかしい。

 ツインテールなんてくだらないものが属性力の中で最強だなんて絶対おかしい。

 

「愛情とかいうけどだったらもっと…こう家族愛とかの方が強いんじゃ?」

「家族愛や、例えば友情などはある程度の生物は持ち合わせているんです。 それとは別に何かに夢中になる愛、それこそが属性力の礎となります」

 

 なるほど、納得しちゃいそうなほど筋が通っている。 ツインテール属性が最強だってことには納得しないけど。

 

「次にエレメリアンについてですけど、説明することも特にないですかねえ…」

 

 フレーヌさんがそう言うので残り1枚の紙を見てみるとデカデカとエレメリアンと書かれた下に属性力を狙う怪物、と書かれているだけだった。

 ツインテールを好きな怪物━━━━やっぱり変態なんじゃないかな…。

 その後もフレーヌなりの説明で属性力のことを教えてもらった。

 

「じゃあそろそろフレーヌさんについて教えてよ」

 

 志乃がフレーヌさんに言う。

 私も気になってた。 フレーヌさんだけでなく彼女をバックアップしているであろう人も。

 

「では、お話しましょう」

 

 深刻そうな顔をしてフレーヌさんは重々しく口を開いた。

 

「まず、私の世界はエレメリアンに滅ぼされてしまいました」

 

 私も志乃もさすがにその言葉には驚き、言葉を失ってしまった。

 だってあんな変態の怪物なんかが世界を滅ぼすことなんて全く想像していなかったから。

 

「エレメリアンによる襲撃の最中、エレメリアンに立ち向かう戦士が現れたのです。 名前はわかりませんけど、それはもう素敵な方でした。しかしある時を境にその戦士はまったくエレメリアンの前に現れなくなってしまいました」

「え、じゃあその戦士はエレメリアンに負けちゃったわけ?」

 

 志乃がフレーヌさんに質問する。

 

「それは…わかりません…」

 

 フレーヌさんの世界にもエレメリアンを相手に戦う戦士がいた。 フレーヌさんの話が本当ならなんでその戦士はなんで現れなかったんだろう。

 フレーヌさんはさらに続ける。

 

「戦士も現れなくなり世界はどんどんアルティメギルによって属性力を奪われていきました。私の周りも、当然私自身にもアルティメギルの脅威が近づいてきました」

 

 フレーヌさんもエレメリアンに襲われそうになったってことかな。

 

「しかし、エレメリアンに属性力を奪われそうになり絶望しかけた私のところにまたあの戦士が現れたんです」

「戦士が!?」

「はい。その戦士は私を追い詰めたエレメリアンを倒し…たはずです」

 

 なんか妙に後ろの言葉に自信がなかったけど。

 

「実は戦士とエレメリアンの激しい闘いのせいか途中で意識を失ってしまい、戦士のその後はわからないのです。私が気がついた時はある部屋にいて、そこにテイルギアの資料や、エレメリアンに関しての知識を得ました」

「そっか!フレーヌさんがいた場所はその戦士が基地として使っていた場所だってことだね!」

 

 その戦士がエレメリアンを倒した後にフレーヌさんをその部屋に運んでくれたんだろうな。 戦士の基地ということは相手に気がつかれないためにイマジンなんとかを張っている可能性もある。 そのおかげでフレーヌさんは世界から属性力が奪われ尽くした時も奪われずに入れたんだ。

 ん?でもこれじゃフレーヌさんのバックアップしている人が出てこないな…。

 

「ねえ、フレーヌさんをバックアップしてる人が出てきてないけど」

「私にそんな人はいませんよ。この秘密基地を作ったのもあなたにお渡ししたテイルギアなども私が作りました。元々あるものなら大抵は作れるんですよ」

 

 なんかものすごいことをさらっと言われた気がした。

 何もんだこの子……。

 フレーヌさんに驚きつつも、もう一度手元にある資料のテイルギアのページを開いてみる。

 あの変態達と闘うために、私はこれを着ることになるわけね…。 まあもう一回着ちゃったわけだしそれはいいんだけど、女の子が変身して闘うならもっと魔法少女系の衣装じゃダメだったのかな。

 

「…別にそんな趣味ないからね!」

「どしたの、奏?」

「え、いや……なんでもない」

 

 声に出てしまっていたらしい。 気をつけよう……。




こんにちは、こんばんは、阿部いりまさです。
今回は主に説明会のようになってしまいました。 文字数が多くなってしまうのでテイルギアの各部装備などの説明は省かせて頂きました。誠に申し訳ありません。
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