身長:189cm
体重:247kg
属性力:お嬢様属性(レディー)
速水黒羽を処刑するため、首領の間へと現れたアルティメギルの裏部隊、聖の五界の隊長。
女性型のエレメリアンでありおしとやかでお嬢様言葉で話し、同僚からは親しみやすい性格とされる。 その一方で首領の命令は忠実に実行し、アルティメギルに刃向かう戦士には容赦のない攻撃を浴びせる冷酷さもある。 以前アルティメギルの科学班最高責任者からBL(ボーイズラブ)を勧められたが断ったこともある。背中から生えた翼により飛翔能力もあり戦闘力はアルティメギルでも随一。普段は素手での戦闘を好むが、速やかに任務を遂行する事となると''聖のお嬢様弓(エンジェル・レディースピアーツ)''を用いて戦う。
アルティメギルの一員だった速水黒羽から衝撃的な告白を受けてから今日で四日目。
未だ、速水からの連絡は来ない。 しかし、その事以外にも気になる事はあった。
「やっぱり今日もエレメリアンは出ないみたいですね」
基地のメインモニターを眺めながらキーボードをカシャカシャするフレーヌが静かに呟く。
速水がゲートへと消えたその日から、エレメリアンがこの世界にパッタリと出現しなくなった。
エレメリアンが何日か現れなかった時は今までもあり、だいたい新しい作戦を考えている時と推測してきたけどこのタイミングで出て来なくなると言う事は……。
「速水がアルティメギルの首領とか言う奴を倒したんじゃ……」
パソコンを操作するフレーヌに対して、今の私の考えをツインテールぶつけてみた。 ……恐らくそんな事はないだろうと聞いた私自身も感じている。
「あの人から協力を申し込んできたんです。 首領とやらの討伐に成功していれば私達になんらかのコンタクトを取ってくると思っています」
「つまり、速水は……」
アルティメギルに歯向い、それが失敗するとどうなってしまうのだろう。 属性力を奪われるのか、それとも命まで奪うのか、あまり考えたくはなかった。
「そういえば、嵐は?」
微妙な空気を感じとったのか、志乃が話題を変えてくれた。
「嵐はサッカーの試合があるっていってバスでどっかいった」
「そ、そうなんだ……」
志乃が話題をくれたけど、一言で終わらせてしまい後悔する。
嵐も嵐だ、こんな時に試合?……いやいや、嵐に怒るのは筋違いだ。
嵐にはいつもエレメリンクで闘いの手伝いをしてもらってるし、私がプライベートを拘束するなんて許される事じゃない。……誰でも当然なんだけどね。
嵐の話題を最後に再び基地には沈黙が続く。
「……いつでも出られるようにしとくからさ」
基地で速水の情報を待つだけじゃない、私にも何かすることがあるはずだ。
そう言うと私は直ぐに基地から出て自宅へと向かい始めた。
なんか、嫌な予感がする。
これまでにない脅威が、私に……この世界に来るような、そんな予感。
アルティメギルの脅威は自分の身をもって知っているけど、それ以上の脅威があると言うのだろうか。
その脅威が来た時に、私は自分の力で世界を守れるのか。
そろそろツインテールについて、少しは考えるようにしないとね。
◇
人目につく事のない聖域、奏の世界を侵攻するために鎮座するアルティメギルの基地に、もう一つ大きな艦が近づいてくる。
やがて近くに停止すると、新たな艦は元の艦とドッキングしさらに大きな艦となった。
艦の船着場であった場所に通路が作られ古株のサンフィシュギルディをはじめ、ウォルラスギルディやシェルギルディなどシャークギルディ部隊の面々が新たな隊員を出迎える。
やがて通路の先から、何人かの隊員が渡ってきた。
「長旅お疲れ様です、エンジェルギル……おや?」
新たに合流した聖の五界。
率いているのはエンジェルギルディだと言うのは周知の事実故、こちらに歩いて来る先頭の隊員はエンジェルギルディだと誰もが思っていたが、そうじゃないことにサンフィシュギルディは気づく。
「隊長は首領様に呼ばれ、到着は遅れるそうだ」
三メートル以上の体躯。
頭から背中、そして尾へと生える棘。
両手両足の先に付く鋭い爪。
竦むように鋭い黄色の双眸。
そして赤く引き締まった体。
体の至る所にある炎を模した模様。
トカゲとは違い、その一つ一つに迫力がある。
「サラマンダギルディ様、これは失礼しました」
サンフィシュギルディはエンジェルギルディと間違えたことに詫びを入れ頭を下げた。
「問題はないさ。 それよりも、オルトロスギルディの姿が無いが?」
先に合流していると聞いていたオルトロスギルディの姿が見えずサラマンダギルディは尋ねる。
神の一剣の一員であり、この部隊では重要な役割を握っていた故に彼が姿を見せない事は無礼極まりない事だった。
「私達が来るって聞いて逃げちゃったのよ。 あの子、ヨワムシ君だからね」
サラマンダギルディの後ろから聖の五界の一員が顔を出し澄んだ女性の声をだす。
頭部から腰まで伸びる水色のパーツ。
他のエレメリアンよりも一回り小さい体躯。
頭部と同様、腰回りから足元まで伸びるドレスのようなパーツ。
そして体の前部分を覆っていてもわかる胸部を押し上げる豊かな双丘は彼女が女性型エレメリアンだと嫌でも伝える。
「ウンディーネギルディ、貴様は余計な口をたたくな」
「ごめんなさーい」
竦むような双眸で睨むサラマンダギルディに対し、ウンディーネギルディは小さな子供のように軽く手を顔の前で合わせ謝った。
舌打ちをするサラマンダギルディは再びサンフィシュギルディに向き直る。
「とりあえず俺をオルトロスギルディの部屋へと案内してくれ。 後の者はとりあえずホールにでも待機だ」
「わかりました、ウォルラスギルディよ」
「は、はい」
ウォルラスギルディがサラマンダギルディを連れ、通路から離れていく。
残りの聖の五界の面々もシェルギルディに大ホールへと案内されていった。
通路にはサンフィシュギルディと何故か残っているウンディーネギルディだけとなる。
「ねえねえ、サンフィシュギルディさん?」
「な、何か……?」
サラマンダギルディが離れていくのを確認した後、ウンディーネギルディがサンフィシュギルディの肩を叩く。
「私としてはやっぱエレメリアンでも男型と女型の共同生活ってのは違和感があるわけよ」
ウンディーネギルディが言うことをなんとなくサンフィシュギルディは察しはじめた。
「隊長のエンジェルギルディもその辺厳しくてねえ。 だからやっぱ私達の部屋は欲しくってさ、お願いできます?」
「は……はい」
先ほどよりも少し手の位置を下にして合わせ上目遣いでお願いするウンディーネギルディに、女性と接したことの無いサンフィシュギルディが逆らう事など出来ず、肩を落としながらお願いを了承した。
「やったあ♪ ありがとうございます♪」
ウンディーネギルディは素直に喜ぶと他の聖の五界の面々と同様、基地の大ホールに向かって駆けはじめた。
「アルティメギルの裏部隊……ですか」
小さく呟くと、面倒ごとが増えたと項垂れながら彼もまた皆が向かう大ホールへと歩を進めはじめた。
薄暗い廊下を二体のエレメリアンが歩いている。
言葉を交わすことはなく、聞こえてくるのは基地の機械音と二体のエレメリアンの息遣いだけだった。
空気に耐えられなくなりとうとうウォルラスギルディが言葉を発した。
「あの、一体オルトロスギルディ様の部屋にはどのような御用が?」
相手は自分では足元にも及ばない大幹部故、もしかしたら叱責を受けてしまうかもしれない、とウォルラスギルディは覚悟しての質問だった。
「いや、奴が部屋に篭っていたら教育してやろうと思ってな」
サラマンダギルディは怒る素振りを一切見せずにウォルラスギルディの質問に答え、さらに続けた。
「まあ、奴が居なかったらその時はある事を考えているが」
聞くのが本格的に怖くなり、ウォルラスギルディはそれ以上を聞こうとはせず、少し早足にオルトロスギルディの部屋へと案内しはじめた。
「こちらです」
ウォルラスギルディに案内されサラマンダギルディはオルトロスギルディが使っていた部屋の前へ到着した。
ついてすぐ、サラマンダギルディはなんとノックもせずにドアノブへと手をかける。
「ま、まさか……」
ウォルラスギルディがこれから起こるであろう恐怖震える中、サラマンダギルディはフッと静かに笑い勢いよく部屋のドアを開ける。
ズカズカと部屋の中へと入り、周りを見て回る。
黒い壁に立てかけられたツインテール少女のポスター、部屋の真ん中にあるツインテール少女が描かれたパソコンが置いてあるテーブル、そして誰もが目を惹く幾多の世界でオルトロスギルディに敗れていったツインテール戦士のフィギュアの数々。
全てを見回した後、なんとサラマンダギルディはパソコンを立ち上げはじめた。
「そ、それだけは……オルトロスギルディ様が……」
関係の無いウォルラスギルディでも震える苦行。
サラマンダギルディの手が止まった。
「パスワードだと?」
恐る恐るウォルラスギルディが画面を覗き込むと画面にはパスワードを入力するための空欄が映し出されている。
''オルトロスギルディは救われた''そう思いホッとしたのもつかの間、次の瞬間パソコンはホーム画面を映し出していた。
「2214、''ツインテールいいよ''か、なんと単純なパスワードだ」
「ぐおっ!!」
とうとうウォルラスギルディは空気に耐えられなくなり、重い足取りでオルトロスギルディの部屋を出ていった。
「ふん、青いな」
一言だけ発し、ウォルラスギルディがいなくなった後も変わらずサラマンダギルディはパソコンを操作し続ける。
「奴のお気に入りは大体わかったが、奴が居なくなる理由になりそうな物はないな……」
パソコンをシャットダウンし、座椅子から立ち上がろうとすると、サラマンダギルディは床に落ちているある物に目が止まった。
「毛、だと?」
床に落ちていた長い毛を摘みまじまじと眺める。
(オルトロスギルディにこのような長い毛は生えて……いなかったはずだ)
サラマンダギルディの中である考えが浮かび、納得すると毛を元の場所に戻す。
(エンジェルギルディ隊長が遅れる理由に……オルトロスギルディの失踪……そしてこの毛か)
その考えは確信に変わるとサラマンダギルディは部屋の出口に立ち、再び部屋に向き直る。そして静かに口を開いた。
「アルティメギル、聖の五界副隊長サラマンダギルディはお前と争う事となった時、手加減はせんぞ」
ドアを勢いよく閉め、彼もまた皆が待つ大ホールへと足を運びはじめた。
◇
人里から離れたとある県の、とある森。
登山客ですら立ち寄らない鬱蒼とした森の中を登山客にしてはあまりにも軽装な、登山客にしてはあまりにも華奢な少女がフラフラとおぼつかない足取りで歩いていた。
以前黒く輝いていたツインテールも長い間外にいた事で手入れが行き届いておらず、埃などで多少傷んでしまっている。
「せ、せめて人の居るところにゲート開いてほしかったわね……」
彼女は、速水黒羽はフェンリルギルディによって救われたが慌てて開いたゲートのせいか目当ての人物が居るところへは到着出来なかった。
ゲートから放り出され、何処かわからない場所を人里を目指し懸命に歩いている途中だ。
「人の体って、不便ね……」
ゲートからこの森へ来て、既に二日。
オルトロスギルディが倒れ完全に人間になった彼女は取るべき食事も取れずにただひたすら歩いていた。
着ていたセーラー服はボロボロに破け、寒さを凌ぐ手段も少ない。
途中、森の中にある岩に腰掛け休憩をはじめた。
「このまま力尽きたら……オルトロスとフェンリルギルディに申し訳ないわ」
十分ほど休憩すると再び黒羽は森の中を歩きだす。
黒羽も闇雲に歩いているわけではない。
この森に着て一日目の夜、確かに今歩いている方向に明るい光が見えていた。
人工の光があるなら、そこに人がいるはずと考えその方向を目指し、歩く。
努力の甲斐あり、二時間ほど歩くと森が開け大きな建物が見えてきた。
「や…………た……」
建物の近くまで歩いたところで体力が尽き、その場で倒れ込んでしまった。
薄れゆく意識の中で、黒羽は確かに人の声が近づいてくる事を感じている。
(誰か、くる……助かった……)
誰か人が自分の近くに駆け寄ってきた事を確認すると黒羽は意識を失っていった。
「お前……速水黒羽!!!」
意識を失った彼女に対して声をかけたのは、彼女もよく知っている人物だった。
黒羽の手にはツインテール属性の属性玉が握られたままとなっている。
ついに姿を見せた聖の五界、彼らの実力は如何に!?
そして速水黒羽はどうなるのか、次回までお待ちを。