私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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デュラハンギルディ
身長:289cm
体重:482kg
属性力:???

聖の五界に所属するエレメリアン。 幹部ではないが戦闘力は高く、後述の理由で精神攻撃などが効かないといった特徴もある。 アルティメギルの中で首領とエンジェルギルディの命のみを聞き、忠実に遂行する。 エレメリアンの割に感情表現が少なく、本能のまま生きている。 しかし自らのビジュアルに不満を持っているとの情報もある。


FILE.45 真実と変身

 私とデュラハンギルディと呼ばれるエレメリアンとの闘いは土煙を起こしながら続いている。

 私は正直、初めて変身した時と比べると格段に強くなった。 ほとんどのエレメリアンを倒すことに苦労はしなくなってきていたけど、これが聖の五界と呼ばれる部隊。 全力を出しているけど中々自分を有利な場面へ持って行くことが出来ない。

 

『奏、エレメリンクしよ!!』

 

 場を動かすには絶好の判断かもしれない。志乃の言葉に頷き、エレメリンクしようと腕を高く上げたのだが……。

 

『ちょっと、ツインテール属性こそが最強なんだから余計なことしちゃダメよ!』

『だって奏だってエレメリンクしようとしてたもん!』

『ホワイトが力を解放すればトライブライドの比じゃないくらい、圧倒的な力を得るのよ』

『奏はツインテールが嫌いなの!』

『ツインテールの戦士としても闘える戦士なのに本心がそんな事あるわけないでしょ!』

『おめーらうるせえぞ!』

 

 耳が痛くなってきた……。

 

「本当にうるさいって……」

 

 とりあえずデュラハンギルディに向け、両腕のアバランチクローを射出する。 相手が一瞬怯んだのを確認する暇もなく、今度こそ私は腕を高く上げる。

 

『ちょっと、正気なの!?』

 

〈三つ編み(トライブライド)〉

 速水の想いも虚しく?私は志乃とエレメリンクし、テイルホワイト・トライブライドへと変身した。

 フロストバンカーを装備し、複数の光線をデュラハンギルディ目掛けて発射させる。

 

「ぐお……!!」

 

 どうやら光線は効いたようだがすぐにデュラハンギルディは立て直し、属性力奪取のための輪っかをいくつも投げつけてくる。

 

「くっ!!」

 

 いくつもの迫る輪っかを一つずつ撃ち落としていく。

 

「頂く……」

 

 私が輪っかを撃ち落としている間に、デュラハンギルディは眼前へと瞬間的に移動してきていた。

 フロストバンカーで叩きつけるには距離が足りない。

 それなら、

 

「フォースリボン……ええと、クラッシャー!!」

 

 不要となっていた二つのうちの一つのフォースリボンを空いている左手に持ち、力の限りデュラハンギルディを叩きつけた。 名前は浮かんでこなかった。

 

「ねえ、速水。 あんたはツインテールこそが最強とか言ってるけどさ、私は全ての髪型に同じことが言えると思ってる」

『な、なに……?』

 

 速水は今は人間でも元がツインテール属性を持っていたエレメリアンだったわけだし、ツインテール以外を受け入れられないという言い分もわかるしツインテール属性が最強だと言うんならそれで闘うのがベストだということもまあわかる。

 ただ、私は一つの髪型に執着する必要はないと思ってる。

 

「ツインテール以外でもきっちり闘えるところを見せてあげる」

 

 デュラハンギルディ目掛けてまた光線を放ち、怯んだ隙に再び私は腕を上げる。

〈ポニーテール〉

 小さな機械音声とともに閃光に包まれ、晴れていくとテイルホワイト・ポニーテールへの変身が完了した。

 

「はああああああ!」

「ぐおおお………!」

 

 デュラハンギルディ目掛けて疾駆し、ブライニクルブレイドで次々と斬りつけていく。 ブレイドが当たるたびに火花が散り、デュラハンギルディは苦悶の声を上げた。

 

「さあ、終わらせるよ!」

 

 再び素早くエレメリンクを発動し、トライブライドへと変身、同時にフロストバンカーを腕に装備する。

 

「ブレイクレリ━━━━ズ!!!」

 

 フロストバンカーから巨大な光線が放たれ、デュラハンギルディを貫通し、とどめの道を作る。

 腰の装甲から蒸気が噴き出し、私をデュラハンギルディの近くまで運ぶ。

〈ポニーテール〉

 眼前まできた瞬間、嵐とエレメリンクを発動し、ブライニクルブレイドを光線に乗せて先程のブレイクレリーズの勢いそのままデュラハンギルディに一閃。

 デュラハンギルディを斬りつけても勢いは止まらず最後はブレイドを地面に突き刺しターンしながら勢いを殺した。

 

「リンクドライブ……ってとこかな」

 

 直後、私の後ろでデュラハンギルディは爆発し属性玉がふわふわと私の手元へと飛んできた。

 

「こういう闘い方もあるんだよ、速水」

『……』

 

 ツインテール以外の髪型にも意味はあるし、愛している人もいる。

速水がそれを知ってくれれば私は嬉しい。

 

 

「見事だ、テイルホワイトよ」

 

 

「え!?」

 

 気配も無く、私の背後に立つエレメリアン。

 私は今までに数多くのエレメリアンと対峙してきた。 でも、まったく気配も無く私の後ろに立つエレメリアンは初めてだ。 こいつもおそらく聖の五界とかいう部隊の奴なんだろう。

 ゆっくりと振り返り、声をかけてきたエレメリアンを確認する。

 

「デュラハンギルディがここまで簡単に敗れるとはな」

 

 紅の身体に黄色い双眸、フォルムだけ見ると恐竜みたいだけど……。

 

『サラマンダギルディ……!』

 

 アルティメギル内でのライバルか、はたまた啀み合っていたのか、速水の悔しそうな声は通信を介して私に届いた。

 サラマンダギルディか、よくわかんないけど強そうな響きだ。

 

「今日はお前に忠告しにきてやったんだ」

「忠告?」

「ああ、俺たち聖の五界に楯突くとどうなるかを教えてやろう」

 

 そんなのどうせ、私を倒し属性力を奪うことだろう。 今まで私が闘ってきたエレメリアンとなんら変わりないじゃないか。

 

「まずは確認だ。 お前は俺らアルティメギルと闘い続ける気か?」

 

 わかりきった事を。

 私は、少なくとも自分の世界の属性力を守りたいんだ。 闘い続けるに決まっている。

 

「ええ、もちろんね。 あんた達聖の五界相手にしてもそれは揺るぎないことだよ」

「では、教えてやろうか。 俺たち聖の五界のアルティメギルでの役割を」

 

 アルティメギルでの役割……?

 ただ属性力を奪う事をではなく部隊ごとに役割が振られていたのか。

サラマンダギルディは腕を組み歩き出す。

 

「神の一剣と呼ばれる部隊がある。その部隊が出撃する理由、それは俺たちアルティメギルの故郷へと塗り替えるための征服だ」

「へえ、確かにそれは怖いね。 でもあんた達は神の一剣じゃないよね?」

「そうだ、俺たちは聖の五界。 アルティメギルの故郷とすることが俺たちの役目ではない」

 

 神の一剣が恐ろしい部隊なのはなんとなく想像ついていた。 そしてその恐ろしい部隊の裏に隠れていたこの聖の五界は………。

 

「この無数にある世界では俺らに合わない世界もある。 属性力も奪えず、征服するメリットもない世界……そんな世界があると俺たちにとっては邪魔でしかない」

「ま、まさか……」

 

 この世界の状況を物語っているのか、先程まで晴れていた空には黒雲が発生し雷鳴が轟き、やがて大粒の雨が降り出した。

 

「俺たち聖の五界の役割は首領様が神の一剣により征服する必要なしと判断した世界を、ツインテールの戦士もろとも消すことだ!!」

 

 衝撃の言葉を浴びせられ立ち尽くし、驚愕し、言葉を失った。

 属性力を奪う為に闘いにきたのではなく、世界を消す為に奴ら聖の五界はこの世界にきた。

 

「この世界を……」

『『消す!?』』

 

 基地にいる志乃と嵐も驚きを隠せずにいる。

 速水は、この事を知ってるからこそ''この世界に他に類をみない危機が訪れる''と言っていたんだ。

 

「ただ、この世界を守る術はある」

「……え」

 

 私が言葉を失っているとサラマンダギルディが近づき話しかけてきた。

 そんなの当たり前だ。

 消したくない。

 大好きな人が、大切な人がいるこの世界を消したくない筈がない。

 

「守りたいなら、貴様の属性力を俺たちアルティメギルに寄越す事だ」

「私の……属性力」

 

 突然足に力が入らなくなりその場に座り込んだ。

 この世界の人達の命や思い出と、私の属性力。天秤にかければ私の属性力なんて軽いものだ。もとより私はツインテールが嫌いなんだし、奪われたところで……。

 

「馬鹿なことを言わないでちょうだい」

 

 突然この場にいる筈のない人物の声が間近で聞こえ、サラマンダギルディとともにその方向に目をやる。

 

「速水……」

 

 速水はゆっくりと歩き、私とサラマンダギルディの間に立つ。

 

「こいつらはホワイトの属性力を奪ったところで引く気は全くないわよ」

「で、でも賭けるしかないじゃん! 世界消されたら全部終わりなんだよ!?」

 

 私の言葉を聞き、速水は振り返ると私の顔を両手で挟む。

 

「ひょえ!?」

『『『えええ!?』』』

 

 困惑しているのか、サラマンダギルディも威厳のある声ではなく思わず間抜けな奇声を上げた。 通信機からもいつの間にかいるフレーヌと他二人の声が聞こえてくる。

 

(え、これって……キス!?)

 

 こちらをジーッと見つめる速水の視線に耐えられなくなり目を瞑り、覚悟した。

 

「ツインテールに、暗い顔は似合わないわよ」

「……はぁ?」

 

 クールな笑みを浮かべて速水は言う。

 真剣な顔に戻ると再び速水は話し始めた。

 

「奴らは世界を消すとしてもツインテールの戦士の強大な属性力を奪わずに消すわけがないのよ。 自分らにとっては大好物を失うことになるわけだからね」

「……え」

「わかるでしょ、負けなければいいのよ。 今までと変わらず闘い続け勝利を収め続ければいいだけ」

 

 そう言うと速水は右腕を私の前へだす。

 

「そ、それは……」

 

 速水の腕には黒っぽいブレスが、リンクブレスとは違う紛れもなく本物のテイルブレスが装着されている。

 

『なんとか完成することが出来ました!』

 

 通信機越しにフレーヌのウキウキした声が聞こえてくる。

 なるほど、どうやら私は少しだけ休むことができるらしい。

 感謝しないとね。

 速水は自信に満ちた顔でサラマンダギルディの元へと歩いていく。

 

「久しぶりね、サラマンダギルディ」

「貴様、やはりオルトロスギルディの半分か。 だが残念だ、あの時のほとばしる力が今のお前には感じられんな」

 

 サラマンダギルディの言葉を聞いても速水は歩みを止めず、口を開く。

 

「私はもうオルトロスギルディじゃないわ。この世界を守り、アルティメギルを潰す、ツインテールの戦士よ!」

 

 歩みを止め、腕を胸の前へと掲げる。

 

「━━━━変身!」

 

 私とは違う、単純でオーソドックスで、最もメジャーな変身コードを叫んだ。

 刹那、眩い閃光が走り、速水の体を包んだ。

 彼女が着ていたボロボロの黒いセーラー服が消えていき、私が知っている装甲とは違う新たな装甲が装着されていった。

 あえてエレメリアンの前で変身したのはサラマンダギルディをこの場で倒す決意の現れか。

 

「私はまだ影でしかないけれど……オルトロス、私に力を貸してちょうだい」

 

 装甲が変わっているのはすぐ気づいたけれど、よく見ると色も黒から濃紺へと変わり所々に白い流星のようなラインが走っている。

 

「私はテイルシャドウ、アルティメギルを潰す者よ」

 

 サラマンダギルディは速水の言葉を笑顔で受け止める。

 そして彼女に負けじとばかり返言した。

 

「この世界にツインテールの戦士が二人現れてしまったか。 どうやらこの世界を消すのはまだ先になりそうだな、実に残念なことだ! ふっははははははは!!!」

 

 サラマンダギルディのやつ、すごい嬉しそうだ。 もしかしたら自分たちが世界を消してしまう事に抵抗があるのかもしれない。

 

「テイルシャドウのデビュー戦は派手に決めようかしらね」

 

 両手をプラプラと振り、速水ことテイルシャドウはサラマンダギルディへと近づいていく。しかし、サラマンダギルディは掌をテイルシャドウに向けて制止させた。

 

「生憎だが、俺は闘いに来たわけではない。先ほど言ったようにテイルホワイトに忠告しに来ただけだ」

『折角新しいテイルギアお披露目したのにそんなのありですか!?』

 

 フレーヌ達はあまり納得していないようだが、テイルシャドウは特に何も言わずに変身を解除すると速水黒羽へと戻る。

 

「また会おう、テイルホワイト。 そして新たな戦士、テイルシャドウよ」

 

 そう言うとサラマンダギルディは極彩色のゲートを生成し、その中へ消えていった。

 

 

 基地に戻り、私たちは椅子を一つ加えいつものテーブルで会議を始めた。

 

「なんで教えてくれなかったの? びっくりしたじゃん」

「ドッキリ的な事を考えてまして……」

 

 フレーヌにそう言われた後、志乃と嵐の方を見ると二人も複雑な笑みを浮かべている。 どうやらフレーヌに口止めされていたらしい。

 

「ま、速水が来なかったら私は属性力を奪われていたかもしれないし……感謝してるよ」

 

 私の向かいに座る速水は私の言葉を聞いても特に表情は変えずに目を瞑っている。 何か考え事でもしているのかな。

 

「でも、怖い事言ってたよね。この世界を消すだなんて」

 

 志乃も心配している。

 フレーヌが侵略された世界も、属性力は全てなくなってしまったみたいだけど世界自体を消されたとは言っていなかった。

 

「大丈夫、私負けないから」

 

 とりあえず今は速水の言っていた事を信じるしかない。 そしてその言葉を信じるなら私は、私たちは聖の五界を全て倒していかなければいけない。

 

「ま、彼らが強行策に出ない事を祈るしかないわね」

 

 目を開け、速水が会議に参加し始めた。

 

「強行策って……なんだよ」

「私が言ったのは聖の五界が今までやってきた事を言っただけ。 その気になれば彼らはいつでも世界を消すことが出来るのよ」

 

 速水の言葉に皆黙り込み沈黙が生まれる。

 

「まさに、神頼みですね……」

 

 フレーヌが目の前のパソコンをカシャカシャと操作しながら呟いた。 科学の結晶のような彼女でも、神様に頼らざるを得ない状況と言う訳か……。

 なら、

 

「毎日神様に祈りながら聖の五界を倒していく、それでいく!」

 

 椅子から立ち上がり、拳を握る。

 最初はツインテールによるくだらない闘いを終わらせる事が目的だった。 次に私の育てた属性力を奪わせないという目的が加わって闘いを続けてきた。 それがいつの間にか、この世界を守るために闘うという何ともスケールの大きい話になってしまったけど……上等だ!

 

「私は、私たちはこの世界を守るよー!!」

 

 私が叫んだ後に志乃と嵐も続けて腕を上げ、オーと一緒に叫ぶ。

 

 

 三人が立ち上がる中、フレーヌと速水は座ったままだ。

 

「本当に頼もしいわ。 フレーヌもいい人にテイルギアを渡してくれたわね」

 

 私たち三人が気合を入れ、盛り上がっている中フレーヌと速水は何かしら話をしているようだ。

 

「もしかしたら私は偶然この世界に来たのではなく、奏さんに導かれてこの世界にきたのかもしれません」

「なるほど、だったらここにいる全員は偶然ではなく必然的に集まっていったって事かもしれないわね」

 

 話が終わったのか二人とも椅子から立ち上がり私たちと一緒に盛り上がり始めた。

 そう、この仲間達が居ればこの世界を消そうとする聖の五界に負けるわけがない。

 私たち皆、不安に包まれておらず満面の笑みを浮かべていた。




二人目の戦士がようやく登場です。
どんな活躍をするのでしょうか……
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