私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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シャークギルディ
身長:257cm
体重:302kg
属性:貧乳属性(スモールバスト) 

奏達の世界にやってきたエレメリアンの部隊を束ねるアルティメギルの幹部。
アルティメギル首領から認められ、若くして部隊の隊長となった期待の新星。
若さゆえの無知な行動や若干中二病くさいなどまだまだ成長の途中だがその実力は師匠のもとで鍛えられ確かなものとなっている。


FILE.5 アイドル戦士?テイルホワイト

 白いツインテールの戦士が怪物を倒した━━━翌朝にはそんなニュースや記事が大量に出回っていた。

 新聞の一面はテイルホワイト、朝のニュースでテイルホワイト、人々の話題はテイルホワイト……どこもかしこもテイルホワイト一色であり真っ白な状態だ。ここまでくると変身してる私は恥ずかしいな…。

 

「あら、またテイルホワイト?のニュースね」

 

 隣で物珍しそうにTVを見ているのが私のお母さん━━━伊志嶺 京華(いしみね きょうか)。

 昔は女優だったけど、私を妊娠したのをきっかけに芸能界を引退し、専業主婦として生活している。

 ちなみに私が変身してエレメリアンと闘ったということはお母さんには黙っている……他の人に話すこともないだろうけど。

 ちなみに髪型と髪の色や瞳の色が変わったぐらいで顔はもろ私なのだがイマジンチャフのおかげでテイルホワイトが私だと気づくことはないとフレーヌさんが言ってた。……ご都合主義とか言ってはいけない。

 正直身内にはわかってしまうのではないかと危惧していたけど、しっかりと身内にもイマジンチャフの効果はあるようだ。

 

「そういえばお父さんは?」

「あの人は奏が起きる前に出発しちゃったわよ。 最後まで奏に見送ってもらう!って言ってて家出るの渋ってたけど」

 

 親バカがすぎるとうざいわ…。

 父親の親バカぶりに呆れているとTVにニュース速報と文字が出てきた。

 

「テ、テイルホワイトの確かな情報を提供してくれた方には感謝状? 何これ!!」

 

 本来敵であり平和を脅かす怪物であるエレメリアンとテイルホワイトは報道されても大体8:2くらいがいいとこのはずなのに今はどこのTVも全くの逆となっている。

 その上テイルホワイトに関してこんなふざけたことまで……。

 

「テイルホワイトが怪物を倒したのってこの辺の近くだし私もいつか会えるかしらねえ…」

 

 毎朝あってるんですけどね。

 今の政府に呆れながら朝食をとる。

 朝食をとり終わり、十分ほどTVを見ているとそろそろ学校に行く時間だ。

 

「じゃ、行ってきます」

「うん。気をつけてね」

 

 私に笑顔で手を振る母。

 母親が大女優だったことが自慢か、と聞かれたりするけどそうじゃない、いつもこうやってしっかり母親してくれることが私の自慢。

 

「テイルホワイトに会ったらサインもらってねー!」

 

 玄関から外に出る直前そんな言葉が耳に響いてきた。

 実の母親までもがテイルホワイトに染まってきている……。

 

 

 ある程度予想はしてたけど、町中どころか私の学校でもテイルホワイトは話題を独占していた。

 教室に入るなり聞こえてきたのは「テイルホワイトの画像くれ!」やら「テイルホワイトの生写真だよ!」など自慢している人もいる。

 そうだ、この男子達を写真に収めていつかあの時の君はこんなだったよとか見せると面白いことになりそう。 写真撮ろうと思いスマホをポケットから出すと一緒に石が出てきて床に転がった。

 

(あ、石のこと聞くの忘れてた)

 

 綺麗な菱形で石の中になんかグニャグニャしたマークが入っている。ウーチンギルディが爆発したところにあったし普通の石ではないんだろうな。

 ヒョイッと拾い上げるとまたポケットの中にしまう。

 

「おっはよ」

 

 石を拾い上げたタイミングで後ろから志乃にポンと肩を叩かれた。

 私が「おはよう」と返すと志乃はニタニタしながら小声で私に言う。

 

「人気ですねえ、テイルホワイトちゃん♪」

「恥ずかしいから止めて…」

 

 本当に恥ずかしい。

 自分が正義のヒロインに祭り上げられているのはもちろんだが、この私がツインテールにしているところを見られるのがすごい恥ずかしい。

 …これでも前まではしてはずなのにな。

 しばらくツインテールにしてなかったらこんななんだ。

 それに━━━━正義のヒロインと期待されてしまうと闘い辛い。

 いつか私が負けたら? その時の世間の反応は? おそらくテイルホワイトに失望し、今とは真逆の反応をするんだろう。 今この教室にいる人たちも。

 そんなことを考えながら教室を見回していると、みんながテイルホワイトのことでワイワイ盛り上がる中、あまりその話題に乗っていない人物を見つけた。

 

「おいおい!嵐!お前はどうなんだよ、テイルホワイト!」

「俺は別になあ…」

 

 クラスメイトの男子からテイルホワイトの話題を振られても受け流しているこの男子、名前は嵐 孝喜(あらし たかよし)。

 嵐君はまあ当然かな。

 嵐君もツインテールを嫌ってはいないけどあまり好きじゃなさそうだったし、いつもポニーテール、ポニーテール言ってるし。

 今の立場からなら嵐君のような人が増えてくれたら、と思える。 …そりゃ昔はイラッとしたけど、私を正気に戻してくれたようなもんだし全然気にしてない。

 やがて朝のHRを告げるチャイムが鳴ったが、テイルホワイトの話題は先生が入ってくるまで続けられることとなった。

 

 

 ウーチンギルディが出現したのが昨日なのに…。

 今の時間は授業中なのに…。

 

「登板間隔が短いって!」

 

 今考えられる精一杯の文句を目の前のエレメリアンにぶつける。

 昼休みの終わり頃、フレーヌさんからテイルギアにエレメリアン出現の通信が入り、泣く泣く学校を早退しエレメリアン討伐のために出撃した。

 今日はたまたまだと願いたい。

 もし毎日、授業中や学校が終わった直後などに来られたんじゃ体が持たなそうだ…。

 

「会いたかったぞ、テイルホワイトさん!」

 

 この礼儀がいいんだか悪いんだかわからないエレメリアンが次の相手ってわけね。

 見た感じはウニのように棘がたくさんあるわけでもないし、ウニのようには見えないな。

 特徴としては本来口のあるような位置に下顎から身がすくむような牙をはやし、頭の上にはちょろんと釣竿のような物が付いており、先には小さい提灯のような物が付いている。

 ここまでわかりやすい外見、おそらくこいつは━━━━

 私の考えを読み取ったかのように目の前のエレメリアンは自己紹介を始める。

 

「俺はアングラフィギルディ。この世の女性を美しく引き立てるために必要なアホ毛属性(フリイズ)を極し者!」

 

 やっぱり…アングラーフィッシュ、つまりチョウチンアンコウのことだ。

 でもふりいずってなんのことだろ?

 

『最近の二次元キャラクターには必ずと言っていいほど付いているアホ毛のことですね。なんか触角みたいな髪です』

 

 フレーヌさんから通信が入り、アホ毛についての説明が入る。

そういえば見たことあるな。

 でも残念ながら私にはアホ毛が変身前も変身後もない。

 

「しかし哀しきテイルホワイトさん。 そなたにはアホ毛属性が存在しない!アホ毛があればそなたは今以上に女神として称えられるだろうに!!」

「それは好都合。私別に目立ちたいとか女神になりたいとか思ってないし」

 

 そう言いながらフォースリボンを触りアバランチクローを両手に装備し、攻撃を仕掛ける。

 

「我を甘く見るでないぞ!テイルホワイトさん!」

 

 構わず攻撃を仕掛ける。

 しかし、アングラフィギルディは見た目とは裏腹に華麗な身のこなしでアバランチクローの攻撃をかわした。

 続けて攻撃を繰り出すも全てかわされてしまう。

 二メートルもあろうかというデカイ怪物がフィギュアスケートの選手のように華麗な身のこなしで私の攻撃を次々とかわしていく、その様は側から見てる人にとってはとても奇妙なものに見えるだろう。

 必死になって奴に攻撃を当てようとするもそうクルクルと回られると…。

 

「目…目が回る…」

 

 耐えきれずその場にチョコンと座り込んでしまった。

 まさかアングラフィギルディはこれを狙ってたのか!?

 警戒しながら自分の呼吸を落ち着かせる。

 少し落ち着いてきたところで周りを見渡すが……アングラフィギルディがいなくなっている。

 

「逃げられた!?」

『いいえ、反応は消えていません!注意してください!』

 

 アンコウには保護色とか使える種類はいなかったはず…少なくとも私の知っている中では。

 警戒しながら周囲を見る。

 すると砂場の影あたりから小さな光る提灯のようなものが飛び出しているのを見つけた。

 

「あれってまさか……」

『チョウチンアンコウが獲物をおびき寄せるために使う手ですね』

 

 チョウチンアンコウは深海魚。

 提灯のようなものを光らせ、それにつられてきた魚などを捕食する。 ということは、おそらくあれに近づくとアングラフィギルディに捕まってしまうだろう。 捕まった後はおそらく、無理やり頭の毛を立てられてアホ毛を演出するんだろうな……だって変態だしなあ…。

 近づかないで攻撃するには……これを投げるしかないかな。

 アバランチクローを肩にスライドさせ、左肩に付いているクローを外して右手にもち、提灯のあたりに狙いを定める。

 

「ほいっ」

 

 投げたアバランチクローはとても綺麗な軌道で提灯の下めがけて飛んでいき、地面を突き、その地面にいたであろうアングラフィギルディにヒットした。

 

「ぬああっ!?」

 

 屈強な男とは思えない叫びで地面からアングラフィギルディが出てくると、今度は渾身の力を込めて右肩に付いていたクローを奴に目掛けて放つ。

 必殺技ほどでないにしろアバランチクローとスピリティカフィンガーによる腕の強化のおかげで充分エレメリアンを撃退できる強さとなる。

 見事にアバランチクローはアンゴラギルディの体を傷つけ、放電させた。

 

「あ、アホ毛を……。テイルホワイトのアホ毛を━━━━━ッ!!」

 

 そう最後に言い残すとアングラフィギルディは砂場の上で爆散した。

 断末魔がそれで良かったのだろうか…。

 そういえば、ウーチンギルディを倒した時のようにあの石があるかもしれない。 しかし爆散した時に大量に砂が周囲にばらまかれてしまったのでなかなか見つからない。

 

『どうかしましたか?』

「ちょっと探し物」

 

 しばらく探し続けると、見つけた!

 綺麗な菱形の石。

 ウーチンギルディの時といい、アングラフィギルディの時、偶然そんな特徴的な石があったなんてことは無いはず。

 今フレーヌさんに確認してもらったほうがいいかもしれないな。

 

「フレーヌさん、この二つの石の事なんだけど」

 

 そう言い自分の目の前に二つの石を掲げる。 おそらくこれでフレーヌさんにもこの石が見えているはずだ。

 

「ウーチンギルディを倒した時に一つ、今アングラギルディを倒して一つ見つけたんだけどこれ何かわかる?」

『二体が倒れたところにたまたまその石があった……とは考えにくいですね。今の時点では私にもわからないので後で秘密基地に持ってきてもらっていいですか?もしかしたらエレメリアンの生態や、弱点などがわかってくるかもしれません!』

「わかったわ」

 

 通信が終わると私は周りに誰もいない事を確認して変身を解除し、2つの石を制服のポケットに入れた。

 それにしても、今回の敵は前回の敵に比べてなんか弱かったような……。

 まあ、私がテイルギアで闘う事に慣れてきたおかげでそう思ってるだけかもしれないしあまり気にしなくてもいいかな。

 少しだけ疑問に思いながら私は家への帰路についた。

 

 

「アングラフィギルディまで倒されたのか!?」

 

 例の大ホールではまたもや同胞が敗れ、散っていった事に衝撃が走っている。

 今回も装飾されすぎた椅子にはシャークギルディは座っておらず、会議は装飾されすぎた椅子の右隣に座っているエレメリアンが取り仕切っていた。

 ウーチンギルディやアングラフィギルディ、また360度全ての席に座っているエレメリアンとは雰囲気が違う。

 平たい頭部に、弱々しく今にも倒れてしまいそうな体をしたサンフィシュギルディはアルティメギルで長らく活躍している古株であり、シャークギルディ部隊の頭脳となっている。

 しかし、彼の頭脳をもってしてもテイルホワイトへの対抗策はまだ浮かんでこずにいた。

 

「ウーチンギルディにアングラフィギルディ。 2人ともテイルホワイトにいとも簡単にやられてしまいました。あまり犠牲は出したくない物です…」

 

 サンフィシュギルディは項垂れながらそう言う。

 サンフィシュギルディの苦悩ぶりを見て彼を頼りにしていた部隊の者たちも「テイルホワイトにやられたい!」などとは口に出せなくなってしまっていた。

 

「しかしまだ絶望的な状況というわけではないであろうサンフィシュギルディ殿」

 

 サンフィシュギルディとは逆に、装飾されすぎた椅子の左隣に座っているエレメリアンがそう言う。

 他のエレメリアンよりも黒く、他のエレメリアンとは違い丸く、他のエレメリアンとは違い何処と無くカワイイマスコットのようなエレメリアン━━━オルカギルディ。

 エレメリアンの中では比較的若くして隊長となったシャークギルディを補佐している彼もまた、優秀な戦士である。

 

「それに、ここまではあくまで作戦の内であろう」

「やはり、その作戦を使うのですか…」

 

 近くに座っている二人にしか聞こえないような声で、部下には聞こえないような声で話す。

 オルカギルディと言葉を交わし、さらに落ち込むサンフィシュギルディ。

 しばらく大ホール内は沈黙が続いたが突然隅から声が聞こえてくる。

 

「安心しろ、サンフィシュギルディにオルカギルディ、それに部下達よ」

 

 お約束なのか、それとも遅刻しているだけなのか定かではないが、またもや大ホールの隅からシャークギルディの声が響いて聞こえてきた。

 シャークギルディはゆっくりと歩き装飾されすぎた椅子に座ると口を開き始めた。

 

「情けない話だが、テイルホワイトの出現を首領様に報告したところ我の師匠がこの隊に合流する事となった」

 

 その発言に大ホール内はざわざわと騒がしくなる。

 ざわざわした中一体のエレメリアンがシャークギルディに問いかける。

 

「それは本当によろしいのでしょうか。結成して間もない我が隊においてテイルホワイトの属性力を奪うことは首領様の信頼を勝ち取る好機!みすみす他の隊に取られてしまうのは…」

「案ずるな。来るのは我が師匠だけで隊を動かすつもりはないとのことだ」

 

 先程から続いていたざわつきはサンフィシュギルディが口を開くと同時に静かになっていく。

 

「もしや、そのお師匠様とは…」

「ああそうだ。お前もよく知っているだろう。アルティメギルでも名高い貧乳属性を極め、愛してやまない戦士だ」

 

 シャークギルディの次の言葉を聞き逃すまいと大ホールにいるエレメリアン達は息をも止め、その師匠の名が出るのを待つ。

 

「我の師匠、クラーケギルディ様がこの部隊に合流する!!」




こんにちは、こんばんは、阿部いりまさです。
もしかしたら前書きでなんとなく察した方もいらっしゃると思います。
なんと!原作から初めてちゃんと登場する人物はエレメリアンのあの方です。
どうぞご期待ください!
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