私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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ノームギルディ
身長:314cm
体重:420kg
属性力:筋肉属性

聖の五界に所属する四幹部のうちの一体。 四幹部の中ではサラマンダギルディに迫る、もしくは同等の力を持つとされ、その筋肉で膨れ上がった右腕から放たれる拳は強烈なもの。幹部でありながら自らが敵地に赴き、ツインテール戦士の属性力奪取を率先して行う。 敵に同情してしまうサラマンダギルディに悪態をついていたが彼が敗れた事を聞くと驚く事から実力はかっていた様子。


FILE.50 奪われた属性力

 ノームギルディが光輪を操り、どんどん私へと迫ってくる。

 

(ここで……終われない……!)

「ほう……」

 

 光輪が私の体を通り抜ける寸前、最後の力でぐるりと回転しなんとか逃れる事ができた。 しかしそれも少しの気休めにすぎない。

 ノームギルディは再び光輪を操り、私に照準を合わせると一直線に発射する。

 

「ホワイト━━━━━━━!!」

 

 私に光輪が届く前に黒羽が自身の斧で叩き落とし、再び私は属性力を奪われずにすんだ。

 黒羽は私の前に立ち、斧を構える。

 

「シルフギルディは……?」

「アンリミテッドチェインになって倒してきたわ」

 

 まさか、この短い時間で倒してくるなんて本当に黒羽は強いんだと再認識する。

 斧を構え、今にも跳びかかりそうな黒羽だがノームギルディにそんな様子は一切なく腕組みをして棒立ちしている。

 

「テイルシャドウが戻ってきた上にシルフギルディがやられたとなれば……」

 

 突然ノームギルディは極彩色のゲートを生成し、なんと私と黒羽に背を向け歩を進め始めた。

 

「私が逃すと思うのかしら?」

 

 黒羽は少し顔を痙攣らせるとノームギルディの返答を待たずに斧を振りかぶり疾駆する。

 

「焦るな、テイルシャドウよ」

 

 斧を振り下ろした瞬間ノームギルディの前に五、六体のモケモケが現れ、壁となってノームギルディを守る。

 

「そのアルティロイドは聖の五界特別製だ。特別頑丈になっているぞ」

 

 確かに、特別製と言われたモケモケはアンリミテッドチェインとなったテイルシャドウの攻撃も何発か耐え、テイルシャドウに襲いかかっている。

 ノームギルディは体中に痛みが走り、まだ立ち上がる事のできない私に向かい話し始めた。

 

「やはりお前には信念が感じられぬな」

「な、なにを……!」

「お前が今まで我らの同胞を倒せたのはまぐれというやつだったのだ。 お前には闘う信念や目的がまるで感じられん、故に俺たち聖の五界、そしてアルティメギルには絶対に勝てぬ」

「わ、私だって!」

「お前が本当に闘う信念や目的があるのなら……テイルシャドウとの実力の差はどう見るのだ?」

 

 ノームギルディの言葉に、私はなにも言い返す事ができなかった。

 

「お前はもう闘えぬ。潔く身を引きこの世界の終末を目の当たりにするんだな」

 

 答えを聞けないままに、ノームギルディは極彩色のゲートへと消えて言ってしまった。

 ノームギルディが消えたのとほぼ同時にテイルシャドウが聖の五界のアルティロイドを全て倒したようで私の元へと駆け寄ってくる。

 

「何を吹き込まれたか知らないけど、ホワイトはホワイトの信念を貫きなさい」

「う、うん……」

 

 私の信念や闘う目的。

 初めはツインテールによるくだらない闘いを止めるために、嫌いなツインテールを受け入れて闘い始め、後から私が育てた属性力を守る為に闘うという目的が追加された。

 そう、私は信念も闘う目的もある。

 エレメリアンにどう言われようと、黒羽の言う通り私は私の信念を貫くだけだ。

 

 

 シャークギルディ部隊の艦についている聖の五界専用の艦にノームギルディが戻ってきた。

 薄暗い廊下の先にあるエンジェルギルディの部屋へと一歩、また一歩と巨体を揺らしながら近づいていく。

 そして部屋の前に立ち、ノックをするとドアを開けエンジェルギルディの部屋へと入る。

 中央のソファーにくつろぐエンジェルギルディはすぐに誰かわかったようで、手にしていた人気アニメのお嬢様キャラクターのフィギュアを前のテーブルへと優しく置く。

 

「あらノームギルディ、早いですわね。もちろん私の言った通りテイルホワイトの属性力、頂けたのでしょうか?」

 

 テーブルに置いたフィギュアのフォルムを再度確認するエンジェルギルディ。

 エンジェルギルディはノームギルディが属性力を奪ってきてはいない事を既に見抜いている。 もちろん、ノームギルディもそれはわかっていた。

 

「いや、今回は状況が不利になった為撤退してきた」

 

 フィギュアから目を離し、立ち上がるとノームギルディへと視線を移す。

 

「なるほど、風のシルフギルディにご一緒に出撃したスターフィシュギルディとオクトパギルディ、更にウンディーネギルディが手を加えた貴重なアルティロイドが散ってしまったのなら……不利にもなりますわね」

 

 不敵な笑みを浮かべるエンジェルギルディ。

 確かに貴重な戦力を意味もなく散らしてしまった自覚はあるだけにノームギルディは何も言い返す事ができず顔を上げられない。

 

「昇天された方々の分精一杯働く事ですわ、ノームギルディ」

 

 エンジェルギルディはノームギルディの肩を叩くとそれ以上何も言わずに部屋から出ていった。

 ふと、ノームギルディが先程までエンジェルギルディが触っていたフィギュア見ると、先程まであったはずの土台がなくなり支えを失ったフィギュアは倒れてしまっていた。

 

 

 聖の五界のエンジェルギルディとやらが世界へ向けて侵略放送をしてから今日で三日。

 初日こそ四体のエレメリアン、そのうち二体が幹部という今までに無い脅威的な作戦を仕掛けてきたけどそれからは何の音沙汰もない。

 いつものようにテイルギアのメンテナンスをフレーヌにお願いし、たった今終わったところだ。

 先日のノームギルディ戦で全くフレーヌの声が聞こえないと思ったら最初に攻撃された時に通信機が壊されていたらしい。

 ただの偶然ならいいけど、もし通信機を狙って攻撃してきたのなら私達の後ろにサポーターがいる事がバレている事になる。

 用心しなければいけないな。

 椅子に座りボーッとしているとフレーヌが飲み物を持って来てくれたようで私の前に置く。

 

「ねえ、フレーヌ」

「どうかしましたか?」

 

 フレーヌも椅子に座りオレンジジュース?を飲むとこちらに目を合わせる。

 

「私が今までエレメリアンを倒せて来たのって……まぐれだったのかな?」

「……ノームギルディに言われた事を気にしているようですが、決してまぐれなどではありません。全て、奏さんの実力です!」

 

 フレーヌは励ましてくれるけど、正直私自身が今までの闘いを振り返って見ると怪しく思えてくるところが幾つか出てくる。

 

「普通のエレメリアンはまあ私の実力かもしれないけど……幹部級のエレメリアンと闘った時って必ずエレメリンク使ってたから」

 

 思い返せば初めての幹部戦であるオルカギルディの時は相手の隙を突く形で志乃とのエレメリンクを発動し勝利した。 次のシャークギルディとの闘いじゃ、嵐とのエレメリンクを発動して倒すことができたけど、結局あれはシャークギルディの自滅に近いんじゃないだろうか。

 

「エレメリンクは属性力を上書きするだけであり、その後はテイルギアを纏っている者の実力が反映されます。 エレメリンクでの闘いも全て奏さんの実力によるものですよ。大なり小なりと属性力に影響されるとは思いますが」

「……そっか」

 

 フレーヌはそう言ってくれてるけど、今までの闘いがまぐれではなく実力だったなんて保証はないはずだ。

 それに今までの闘いが私の実力だとしたら、今度は聖の五界の幹部に実力を出しても一方的にやられたという事実がある。

 それはそれで問題だ。

 

「ねえ、私よりも黒羽のほうが━━━━」

「━━━━この世界を守れるんじゃないか、とか考えてるのかしら?」

 

 声の聞こえた方に目を向けるとバスタオルで髪の毛を拭きながら風呂上がりのラフな格好な黒羽が立っている。

 薄着でもやはり胸はあまりないな……。中学生くらいのフレーヌと同じかそれ以上かぐらい……。

 そういえばツインテールを解いているのは初めて見るかもしれない。

 いや、それよりも黒羽はエスパーか何かだろうか。

 

「フレーヌ、お風呂ありがとう」

「いえいえ」

 

 黒羽はそのまま私の隣にドッと腰を下ろす。

 脚は綺麗だ……って何考えてんだろ。

 

「一応言っておくけど、私はこの世界を守る為に闘ってるんじゃないわ。 アルティメギルを潰す為に闘っているの」

 

 これは初めて黒羽が共闘を申し込んで来た時からずっと言っている事だ。 オルトロスギルディの中に速水黒羽が生まれた時からそう思い、チャンスを伺っていたとも。

 

「今の私のターゲットはあくまでオルトロスとフェンリルギルディの仇、エンジェルギルディよ。 仮に聖の五界がこの世界に残り、エンジェルギルディだけが他の世界に行った場合、私は躊躇なく奴を追いかけるわ。 そんな私に、世界を任せる気なの?」

 

 タオルを頭から首に掛け、テーブルに置いてあるリボンでササッと鏡も見ずに左右のツインテールをバランスよく結んでみせる。

 

「それに言ったわよね最初に、''私と一緒にアルティメギルを潰して欲しい''ってね」

「私は……」

 

 それだけ言うと黒羽は部屋から出ていった。

 

「私は申し訳ない気持ちは今でも持っているんです」

「……フレーヌ?」

「ですが、私は奏さんのツインテール属性は確かだと思っています! 私が信じる奏さんを、奏さんも信じてください!」

 

 両手で私の右手を包み込み、フレーヌは少し涙目になって訴えてきた。

 また、フレーヌを泣かせちゃったな。

 

「わ、私は泣いてませんよ!?」

 

 心でも読んだかのようなタイミングで袖で目を拭き笑顔になるフレーヌ。

 

「うん、がんばってみる」

 

 できる限りの笑顔で答えたけど、目の前のフレーヌの顔を見た感じだと無理して作った笑顔だってのはバレバレなんだろうな。

 

 

 フレーヌから励ましの言葉を受けるも私は重い足取りで帰路へついていた。

 いつもより荷物も少ないはずなのに学生鞄がやたら重く感じる。 そして、その学生鞄よりも数倍重たいのが右腕に着けているテイルブレス。

 ブレスをしばらく眺めていると突然フレーヌの声が聞こえてきた。

 

『奏さん、エレメリアンの反応が出ました! ……黒羽さんを待ったほうがいいでしょうか……』

「いや、先に行く。頑張るって言ったからね!」

 

 胸の前にブレスを構え、変身を念じるとテイルホワイトへと変身した。

 そしてすぐさま、エレメリアンが現れたという場所へと転送される。

 

 

 光がだんだんはれていき、見えてきたのは工事現場のようだ。

 新しいビルでも建てるのか鉄骨がかなり高い位置まで組まれており、その周りも色々整備をしているようだ。

 そして赤い鉄骨に擬態するような格好でこちらを見るエレメリアン……全く擬態できていない。

 そんな事よりも、目の前にいるエレメリアンは見覚えがあった。

 

「あ、ヒトデギルディ!」

 

 ヒトデギルディは私に指さされようやく擬態の真似を止めるとこちらに歩を進め、私の前に立つ。

 

「ちがあああう!!スターフィシュギルディだ!!」

 

 そういえばこの前のノームギルディやタコギルディとのごちゃごちゃした闘いの中、ヒトデギルディだけ蹴飛ばしたきりだった。

 

「お前のせいでアルティメギルにも俺はもう昇天した扱いになって帰るに帰れなくなったのだ!!」

『自らの属性力を抑えてこの世界に潜んでいたのでしょうか……』

 

 ヒトデギルディが属性力を奪っていなかったのが奇跡だ。

 今度こそ、ここで倒しておかなければならない。

 

「私は、テイルホワイトよ!!」

 

 フォースリボンに触れ、アバランチクローを装備するとヒトデギルディへ向かい疾駆する。

 眼前にまで迫るとアバランチクローを力の限り叩きつけた。

 

「えっ……!?」

「お?」

 

 いつもなら致命的なダメージを与えられていたはずなのに何故かヒトデギルディはケロッとしており、ヒトデギルディも効いてないのに驚いているようだ。

 

「効かない……どうかしたのかテイルホワイトよ」

「うるさい!」

 

 今度は一発だけでなく、自分の体力が尽きるまで何度も何度もアバランチクローでヒトデギルディを攻撃していく。しかし、その攻撃は全て避けられてしまっている。

 何故自分の攻撃が当たらないのか。

 今自分でもわかったことだが、明らかにいつもよりスピードが出ていない。 それに続き自分の体じゃないような動き辛さがありだんだんクローを強く振れなくなっていく。

 

「なるほど……シャークギルディ隊長、そしてオルカギルディ様、そして今まで散っていった同胞達の復讐は叶いそうだ!!」

 

 そう言うとヒトデギルディはクローを弾き飛ばし、私のお腹に重い掌底をくらわせると私は地面に強かに叩きつけられた。

 

「我らの念願、叶いたり!!」

 

 ヒトデギルディは例の光輪を出現させ、私に狙いを定める。

 光輪が自分に迫ってくる、しかしノームギルディの時のように避けるだけの力も残っていなかった。

 

『奏さん、今転送します!』

 

 しかし遅かった。

 そして、あっさりと……光輪が私の身体を通り抜ける。

 

「やったやった!! ついに属性力を………あれ?」

 

 そこに残ったのはこの世界の戦士から初めて属性力を奪ったスターフィシュギルディだけだった。

 

 

 ふと気がつくと、私はいつものフレーヌの基地にちょこんと座っていた。

 光輪が私目掛けて飛んできてその後どうなったのだろうか。 いや、確かに私は光輪の中へ通され━━━━ツインテール属性を失ったんだ。

 まさか……こんなにあっさりと?

 私は無我夢中でまず自分の手でツインテールを作ろうとする……しかしできない。

 

「奏さん……」

「奏…」

 

 横を見ると志乃とフレーヌが心配そうな顔をして覗き込んでいる。 フレーヌは少しだけ涙目になっているのはすぐにわかった。

 

「ごめん、私……」

 

 ふいに自分が情けなくなった。

 ツインテールなんか嫌いだったはずなのに奪われてこんなになるなんて……。 しかも、今はツインテールを''嫌い''だとも思えない。

 いつの間にか大粒の涙が溢れ出す。

 そんな私に気を使ってか、フレーヌは優しく話し出した。

 

「奏さんをこちらに転送したと同時に黒羽さんに向かってもらいました。 属性力は、ツインテール属性は概ね二十四時間以内であれば元に戻すことも可能です」

「ほ、ほんと?」

 

 優しく頷くフレーヌ。

 

「もうツインテール属性は戻ってるはずよ」

 

 突然黒羽の声が聞こえ、振り返るとテイルシャドウがカタパルトから出てきた。

 その手にはスターフィシュギルディのものと思われる属性玉が握られている。

 

「スターフィシュギルディは倒したし、勿論リングも壊しておいたわ」

 

 変身を解除し、速水黒羽に戻るとソファーに座り込んで足を組む。

 

「く、黒羽……ありがと」

「別に……フレーヌから頼まれたら断れないし、戦力が減るのもキツイから」

 

 そう言うと黒羽は別の方向へ顔をやる。

 

「あ、黒羽照れてんでしょー?」

「て、照れてないわよ! わかった風な口を聞くのはやめてちょうだい!」

 

 志乃の言葉が引き金になり、二人の追いかけっこが始まった。

 みんな笑顔になっているけど、私がどれだけ心配をさせたか。

 今回はたまたま黒羽が早めに倒してくれたから何とかなっただけだ。

 早く本来の自分に戻らないと………。




遂に大台の50話まで到達することが出来ました!(1年空いたけど……)
これも話を読んでくれる方々あってのものです。
本当にありがとうございました!
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