私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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アルティロイド(ウンディーネギルディ製)

奏の世界に着任してからウンディーネギルディが通常のアルティロイドを改造し生まれた。 オリジナルのアルティロイドに比べ非常にタフでありアンリミテッドチェインのテイルシャドウの攻撃も耐えることができる。反面、攻撃力はオリジナルと変わらず、改造できるのがウンディーネギルディのみの為オリジナルに比べて数は大きく劣る。


FILE.51 己との対話

 私が一時的に属性力を奪われてから四日経った。

 この四日間、私は黒羽の意見によりエレメリアン討伐に出撃せず、基地で戦況を見るだけにとどまっている。

 その間出てきたエレメリアンは四体だが、全てがシャークギルディ部隊のエレメリアンらしい。

 それともう一つ、出てくるエレメリアンには共通点がある。

 今、黒羽と対峙するエレメリアンも同じ事を言うだろう。

 

『テイルホワイトはどこだ!? 奴の属性力を奪うのは俺の役目だぜ!?』

 

 今まで以上に私から属性力を奪うことに固執している気がしてならなかった。

 

『テイルホワイトはお休み中よ』

『ほう、なら寝顔属性を持つこのスィアターギルディにとっちゃ余計逃しはできない相手だ!!』

『お休みってその意味じゃないわよ、ラッコさん』

 

 黒羽はラッコギルディの返答を待たずノクスアッシュで一閃すると、爆散していった。

 そして間も無く、黒羽はフレーヌの装置によってこちらの基地へと戻ってきた。

 

「それにしても、宣戦布告してきた割に中々総攻撃仕掛けてこないんだな」

 

 いつの間にか基地に来ていた嵐がポツリと呟く。

 確かに最初はいきなり四体が現れたけど、その後は前と変わらず毎日一体、もしくは二日に一体が現れるようになっている。

 

「何かの作戦かな?」

「もしくは……何かを待っているかね。 何か大きいイベントとか近くにあったりしない?」

 

 黒羽に問われ、フレーヌはキーボードを操作し何かないかを調べ始める。しかし、これといってエレメリアンがターゲットにしそうなイベントは見当たらない。

 

「イベントかぁ。…………あ!」

 

 声をあげた志乃にその場にいる皆が注目する。

 何か思い当たるようなイベントでもあったのだろうか。

 

「そういえば奏のお母さんが毎年行ってるパーティーがあったよね!?」

「そーいえば……」

「じゃあきっとそれを待ってるんじゃない?」

「でもよ、エレメリアンがそのパーティーを待つ理由なんてあんのか?」

 

 確かに嵐の言う通りではある。

 人が集まる場ではあるけどエレメリアンが狙いそうな属性力なんてあるのかな。 いやでも、エレメリアンだしな……。どんな属性力を狙っててもおかしくはないけど。

 

「いえ、そのパーティーを待っているのに間違いはないわ」

 

 黒羽がソファから立ち上がると歩き出し、私たちの前に立つ。

 

「前にも言った通り、聖の五界の隊長はエンジェルギルディ。 そのエンジェルギルディはレディー……つまりお嬢様属性なの」

 

 お嬢様属性……言われただけじゃあまりピンとはこないけど単純にお嬢様が好きってことかな。

 黒羽は続けて話す。

 

「これは何処の世界でも共通する事だけど、昔と違って今となっては稀少になってしまったお嬢様属性を集めるにはとても大変、だからお嬢様が一度に集まる場で一気に奪うつもりよ」

「その一度に集まる場というのが奏さんのお母さんが出席するパーティーということですね……」

 

 黒羽はフレーヌの言葉に頷く。

 確かにあのパーティーは企業の重役とかが出席するとは聞いてはいたけど、お嬢様と呼べる人が行くような場所でもないような……。

それに確か、そのパーティーって。

 

「そのパーティー……もう始まってるよ?」

 

 今日の日付を確認して、私は話す。

 一瞬の静寂の後、フレーヌが激しくキーボードを操作しはじめたところでまた黒羽が話しはじめた。

 

「さっきのエレメリアンは囮だったのね……。 まずいわ、パーティーは何処でやってるの!?」

「えっと……私が小学生の時から会場が変わってないならたぶん東京の公国ホテルだと思う」

 

 確証はないし、もし当たっていたとしてもパーティー会場が変わってしまっている可能性もある。

 フレーヌはすぐに公国ホテルの中にあるパーティー会場らしき映像をメインモニターに映す。 どうやら会場は昔から変わっていなかったみたいだ。

 ただ映像を見る限りエレメリアンは見当たらないし、パーティーに参加してる人たちも慌てている様子はない。

 どうやら聖の五界はまだ来ていないらしい。

 

「一応向かいますか?」

「ええ、とりあえず私が行くわ」

 

 黒羽は変身すると再びカタパルトへと入り、フレーヌによってパーティー会場へと転送される。

 

「こ、これは!?」

 

 黒羽が転送された直後、基地全体にエレメリアン出現のアラームが鳴り響く。

 

「エ、エレメリアン……十体以上の反応です!」

 

 私と志乃、嵐はフレーヌの言葉を受け反射的にメインモニターに目を移す。

 そこにまだエレメリアンは映ってはいないし、会場の人々がパニックになっている様子はない……。

 お母さん……黒羽……!

 

 

 黒羽が会場近くへと転送され、すぐに彼女はその足で会場へと向かって歩いた。

 そこでフレーヌから通信が入る。

 

『黒羽さん、その会場に十体以上のエレメリアンの反応が出ました!! 』

「やっぱりね。 まずエンジェルギルディのためにこの世界のお嬢様属性を根こそぎ奪おうとしてるみたいね」

 

 会場へと続く公国ホテルの通路を走り抜け、入り口がみえてきた。

 

「ダメですよー?」

「!?」

 

 突如扉の前に一体のエレメリアンが現れ、黒羽は思わず足をとめた。

 

「四幹部、四大精霊のウンディーネギルディ……だったかしら?」

「せいかいせいかーい」

 

 パチパチと拍手をするウンディーネギルディ。

 それと同時に七体のエレメリアンがウンディーネギルディの横に現れ黒羽を取り囲んだ。

 

「隊長の命令でさ、任務の邪魔をする者は排除しろってね」

「こんな下っ端達で私の足止めができるとでも思ってるのかしら?」

 

 フォースリボンに触れ、ノクスアッシュを左手に持つ黒羽。

 その顔はまだ余裕の表情が見てとれる。

 

「思ってないわ……だから、これ♪」

 

 ウンディーネギルディは右手に黒い属性玉を持ちご機嫌に黒羽に見せつける。

 

「ゴッドブレス……やっぱりサラマンダギルディに渡したのはあなただったのね」

「提案したのは隊長だけどね。 さあみんな、始めよっか!」

 

 ウンディーネギルディの合図と共に黒羽の周りにいた七体のエレメリアン全ての手にゴッドブレスが現れ、自らの胸へと埋め込む。 しばらくすると周りのエレメリアンはそれぞれが赤く発光しだす。

 

「最終闘体ね……受けてたつ」

 

 同時にウンディーネギルディを除く七体全てが黒羽に襲い掛かる。

 素早くアンリミテッドブラを装着しアンリミテッドチェインとなった黒羽は次々と襲い掛かるエレメリアンを斬っていく。

 

「まだまだいくよ!」

 

 ウンディーネギルディが右手を上げると黒い渦が出現し、中からモケモケとアルティロイドが出現する。

 

「モケモケ━━━━」

 

 なかには中継用のカメラやマイクを持ったアルティロイドもいた。

 

「私が弄ったアルティロイドは頑丈だよ?」

 

 ふたたびウンディーネギルディが手を上げるとエレメリアンに続き、頑丈なアルティロイド全てが黒羽に飛びかかった。

 

 

 会場に十体以上のエレメリアン反応がでたすぐ後に黒羽と連絡がとれなくなってしまった。

 防犯カメラの映像を見るとパーティーは今の所平和に進んではいるみたいだけど、いつエレメリアンが乗り込んで来てもおかしくない状態のはずだ。

 

「黒羽さん、黒羽さん!!」

「黒羽!!」

 

 フレーヌと志乃が通信機に向かい大声を出しているがそれが彼女に届いているかわからない。

 皆が黒羽の心配をしているその時、突如会場の防犯カメラにエレメリアンが映り込む。

 

「おいやばいぞ、エレメリアンだ!」

 

 防犯カメラには何体かのエレメリアンがパーティーの参加者達を部屋の隅に追いやるように誘導している様子が映されている。

 

「く、黒羽はなんでカメラに映らないの!?」

 

 志乃はエレメリアンが会場に現れたにも関わらず姿を現さない黒羽を心配しているようだ。

 もちろん私だってそう……志乃と同じ。

 

「もしかしたら会場の外で足止めされているのかもしれません……!」

 

 黒羽は恐らく必死で闘っている。

 それなのに、私はこんなところで何をしているんだろう……。

 やっぱり自分にも闘う力があるのなら、私は闘いたい!

 胸の前に、テイルギアを構える。

 

「テイルオン!!」

 

 テイルホワイトへの変身が完了すると、私はカタパルトへ走りその中へと入る。

 

「フレーヌ、転送して!」

「いけません! 今の奏さんの状態ではまた……!」

 

 正直私だって怖い。

 今はいつになく状態が悪いし、今だってここに十メートル弱走ってくるだけで足に違和感があるほどだ。

 ただ、そんなことで私が掲げた信念を守りきれるわけがない。

 

「行かせてやれよ。奏が……そう言ってんだ 」

 

 一向に転送のスイッチを押そうとしないフレーヌの肩に手を優しく置き、嵐は静かに話しかけた。

 普段の嵐からは想像できないような表情を浮かべている。あと奏って呼ぶな。

 

「……わかりました。 お願いします、テイルホワイト!!」

「うん……!」

 

 フレーヌはその後躊躇せずにスイッチを押すと私は光に包まれ、パーティー会場へと転送される。

 

 

 思った以上に、会場は静かだった。

 会場の隅に追いやられた参加者達は皆静かに待ち、自分たちが助かるのを祈っている。

 後ろの方にお母さんがいるのも見えた。 待っててよ、必ず助けるから……!

 

「来たな、テイルホワイト」

 

 何体ものエレメリアンの中から出て来たのは私の属性力を奪う一歩手前までいったあのノームギルディだ。

 アルティメギルのジョーカーと呼ばれる部隊の戦士は私に力の差を嫌というほど痛感させた。 仮に私が絶好調だったとしても叶わない相手……だと思いたくない。

 

「お嬢様属性を奪いに来たみたいだけど……そんな事させない!」

「ふ、未だ精神を乱しているお前が俺たちを止められるのか?」

 

 また、精神的な攻撃をしてくる気らしい。

 でも今はこんなのに惑わされるわけにはいかない。

 

「だからここに来たの!」

 

 フォースリボンに触れ、アバランチクローを両手に装備し爪先をノームギルディへと向ける。

 ノームギルディは腕組みをしながらまだ、余裕の笑みを浮かべていた。

 

「そうか……。 お前達、そこで俺がテイルホワイトの属性力を頂くのを黙って見ていろ!!」

 

 後ろを振り向き、何体ものエレメリアンに指示を出すと再びこちらを向き歩み寄ってくる。

 

「見せてもらおうか、テイルホワイト!」

 

 私はノームギルディへとクローで斬りかかるが、膨れ上がる筋肉で軽々と受け止められてしまった。

 

「くっ!!」

 

 間髪容れずに胴へ斬りかかるが、なんと片手で受け止められてしまう。

 

「ふざけるなよテイルホワイト。 所詮はハッタリだったか!?」

 

 ノームギルディの右のストレートを紙一重で躱す。が、腰のパーツに拳があたると半分から先がバラバラに砕け散散ってしまう。

 

「テイルギアが……!」

 

 いつの間に私は、ここまで弱くなってしまっていたの!?

 初めて闘った時にフレーヌは''テイルギアは私の意思が生んでいる''と言った。

 私がツインテールが嫌いでも、今までテイルギアは力を貸してくれていたはずなのに……どうして!?

 私の中にツインテール属性があるなら、闘えるはずなんだ!

 

「私は……そんな……」

 

 脱力すると同時に両腕のアバランチクローも消えてしまった。

 駄目だ、気をしっかり持たないと。だが、心でそう思っていても体は言うことを聞いてくれず、立っていることもできなくなりその場にヘタリ込む。

 

「やはりな。 先程の勢いをみてもしやと思ったが、ただのハッタリだったようだ」

 

 呆れたような、失望したような声が私にかけられる。

 チラリと横目で参加者達を見る。

 静かだった参加者達が私に向かい何かを言っているのがわかる。 しかし、全然耳に入ってこなかった。

 お母さんも何かを言っている。

 ごめんねお母さん、私勝てなかったよ……。

 

「さて、本当に最後だ。 エンジェルギルディに言われた通り、芽の出る前にお前の属性力を今度こそ頂こうか」

 

 ノームギルディが腕を天にかざすと、大きな輪が空間から溶け出して来た。

 一度私から属性力を奪ったあの光輪だ。

 また、同じことの繰り返しになってしまった。

 

「頂くぞ!!」

 

 ノームギルディの声で、光輪は私に向かって迫ってくる。

 私は、他人事のようにその光輪を最後まで見つめていた━━━━

 

 

 空も地もないような見渡す限り真っ白な世界。

 重力さえもないようなその世界で私は一人立ち尽くしていた。

 

「━━━━ここは……」

 

 私は、ツインテール属性を奪われようとしてたはずだけど……。 もしかしたら最後の夢を見ているのかもしれない。

 この場所はあの不思議な夢で出てきたところとよく似ているし。

 

 

 激しい閃光に見舞われ、私は咄嗟に腕をかざして遮る。

 光が収まり、腕を下ろすとそこには大きな木のようなものが生えてきていた。

 そして、あの夢のように黒羽の元となった少女、カエデが大きな鎖で縛られ身動きがとれなくなっている。

 私は意を決して、カエデに近づき話しかけた。

 

「ねえ、カエデ起きてよ! 私知ってるんだから! それが寝たふりだって! 気を失ってるふりだってことを!!」

 

 するとようやくカエデは俯いた顔を上げ、目を開く。

 こう見るとやはり、まんま黒羽だ。

 気だるそうなカエデは大きくため息をつくと、ようやく口を開いた。

 

「何か用?」

「何か用じゃないって! あなた、今まで私に力を貸してくれてたはずなのに……なんで……」

 

 カエデは表情を変えないまま、自らを締める鎖を見る。

 

「こんなものが巻き付いていたら貸せる力も貸せないわよ」

 

 よく見ると最後に夢を見た時よりも鎖が大きくなり量も増えている気がする。

 

「これは、あなたのツインテール属性を嫌う心が具現化したものよ」

 

 心が具現化……?

 もしカエデの言っていることが本当だとすれば、私は心の中にいるのかな。

 言葉にするとおかしなことだと思うけど、このとんでもない状況を私は受け入れてしまっていた。

 

「ちょっと、力を貸して欲しいならこの鎖外してよ」

 

 少し上から目線なところも黒羽にそっくりだ。むしろ黒羽がカエデに似ているのが正しいみたいだけど。

 鎖を持ち、精一杯引くがビクともしない。

 

「ふっ……外れるわけないわ。 あなた自身が、奥底でツインテールを拒否してるんだから」

「えっ……」

「ツインテール嫌いを公言し続けながらツインテールの力を使おうだなんて、贅沢だと思わない?」

 

 正論だ、何も言い返せない。

 

「あなたは、逃げてるだけよ。 エレメリアンからも自分からも、ね」

 

 鎖から手を離し、私はその場に立ち尽くす。

 世界を守るテイルギアを与えられ、最初は戸惑ったし嫌だった。

 それは今も同じだ、もちろんツインテールが……嫌いだということも。

 カエデは呆れたような笑いをする。

 嫌だ、私は逃げたくない!

 

「いいよ……だったら好きになる」

「……え?」

 カエデのミステリアスな笑みが消え、何処か可愛げのある表情へと変わった。

 

「テイルギアで闘っている間は、ツインテールを好きになってツインテールのために闘う! だから………」

 

 少しだけカエデを締め付ける鎖が緩くなったのを感じ、そこで一気に引いた。

 

「力を、貸して!!」

 

 カエデを拘束していた鎖は簡単に千切れて床へと落ちた。

 カエデは驚いた表情のまま私を見つめた後、笑い始めた。

 

「やっぱり贅沢ね、あなたは」

 

 そう言うと手を前へ差し出す。

 

「そういう無茶苦茶な感じ……嫌いじゃないわ」

 

 カエデは立ち上がり、静かに口を開く。

 

「私の世界を襲ったエレメリアンと……私は闘い、負けたの。 本当にツインテールが好きで、絶対に守りたかったわ」

「カエデ……」

「でも、力及ばずに私と私の世界のツインテール属性は狩り尽くされてしまった。 ……多分私自身はその狩り尽くされた世界でツインテール属性を失ったまま生活してるんでしょうね」

 

 手のひらに砂を乗せ、少しずつ砂をまた地面へと落としていく。

 ツインテールだけにとどまらず、全ての属性力を奪われてしまった楓はその時何を思い、感じたのか。 或いは、属性力を奪われても何も思えなくなってしまったのか。

 経験のある私は、なんとなく想像がつく。

 

「でも、アルティメギルにリベンジするチャンスが……ここにあるのよね」

 

 砂を落としきったカエデは、少しだけ表情が明るくなりこちらへと向き直った。 

 私の前へと移動し、ゆっくりと手を差し出してくる。

 

「闘いましょ、本当に力を合わせて」

 

 私は力強く頷き、カエデと固い握手を交わす。

 

「次は、自分自身と向き合ってみなさい」

 

 そう言うと手を離し、カエデは宙に浮く光を指差すと光の粉となって消えていった。

 すごい、神々しい光だ。

 雲ひとつない空に浮かぶ太陽を見ているようだが、まるで眩しさを感じさせない不思議な光。

 とても温かく心地いい光……。

 ここが私の心の中だということや楓との会話からこの光の正体がなんなのかハッキリとわかった。

 光へ向かい一歩前へ出る。

 

「あなた、私のツインテール属性なんでしょ?」

 

 初めは神々しいただの光だったが目を凝らすと光には形があり、それはツインテールそのものだった。

 私の問いに答えるよう、私のツインテール属性の声が響く。

 

「伊志嶺奏よ、私が力を抑えていた理由はわかるか」

 

 男とも女ともとれるような不思議な声音だった。

 多くの声が重なっているのに、神秘的に調和しており、暖かさを感じる。

 そしてもちろん、楓との会話でツインテールからの問いもすぐにわかった。

 

「私があなたを包み込んでしまっていたから、でしょ?」

「お前は、無意識のうちに自分のツインテールに制限をかけていった」

 

 自分の手をみる。

 私はツインテール嫌いを公言しながらツインテールの力に頼り、力が出なくなるとそれに怒りを覚えてしまった。

 カエデの言う通り、贅沢すぎるというかムシが良すぎる。

 

「そして信念を問われたことでお前は私に蓋をしてしまったのだ」

 

 ノームギルディに言われた事を思い出す。

 

「だがそれを受け入れ、乗り越えた先にこそ本当の強さと愛を手に入れることができる」

 

 うん、その通りだ。

 ノームギルディにバカにされたからなんだ。

 私は、私の信念を持って闘っている。

 なんでこんな事に気づけなかったんだろう、そう思うと心の底から笑いが込み上げてくる。

 

「覚悟は決まったか」

 

 意を決してまた私はツインテールへと近付く。

 ツインテールが嫌いでも、私にはツインテールで闘う力がある。 なら、それに全力を尽くすまでなんだ!

 

「わかった。もう、決して恐れない。 私はツインテールを、あなたを信じる!」

「ああ、共に闘おう!」

 

 光のツインテールは右の房を持ち上げ、私に差し出してきた。

 

「「ツインテールを守るために━━━━!!」」

 

 私の手とツインテールの房が触れ合い、がっちりと結び合った瞬間━━━━世界が白く染まりはじめた。

 

 

「何だと!?」

 

 最初に耳朶を叩いたのは予想外の光景に漏れたノームギルディの叫びだった。

 

 慈悲なき輪がツインテールを捉えようとしたその瞬間。

 私はアバランチクローを装備し、瞬きをも先置いて両断していた。

 慣性のままに舞い飛び、私の後ろに反弧を描いて別れた後程なく宙で爆発する。

 

「まさか……この状況で……!?」

 

 力が漲ってくる。

 これは初めて変身した時の……いや、それ以上だ!!

 まさに私のツインテールは……。

 

 私のツインテールは、新たな進化を遂げた━━━━!

 

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