私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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シルフギルディ
身長:202cm
体重:297kg
属性力:???

聖の五界の四幹部の一人、風を司る。 実力は他の幹部に劣るものの、エンジェルギルディに対しての忠誠心は突出している。 背中から生えた羽を武器として使う戦法を使っていたが、アンリミテッドチェインとなったテイルシャドウの前に為す術なく敗れる。


FILE.52 本当のツインテール

 力が高まってくる、身体中から溢れてくるようだ……!

 最初に変身した時、初めてエレメリンクした時、それ以上の力が体中を駆け巡り溢れ出てくる。

 これがテイルギアの……私の本当の力!

 

「見違えたな」

 

 目の前にいるノームギルディは私を見て一言。

 後ろにいるエレメリアン達も驚愕の表情を見せている。

 しばらくしてノイズしか聞こえなかった通信機からフレーヌ達の声が聞こえてきた。

 

『奏さん……!』

『か、変わってるよ!!』

 

 志乃の声で私も気づいた。

 大きく変わっているところはないが、微妙に足や腰の小さな装甲が今までと違う。

 その中でも一番目を惹くのがツインテールだ。

 今まで通り綺麗な銀髪だが左右の毛先あたりだけ銀ではなく淡い紫色のメッシュが入っている。

 

『すごい属性力です……。内側からイマジンチャフを突き破っています』

 

 私も感じる。

 自分の内側から属性力が溢れ出しているのを!

 

「ほんの一瞬の間にお前に何があった?」

 

 やはりノームギルディも私の変化に驚いているようだ。

 

「私の中で、私自身と話をつけてきたってとこ!」

 

 今の私を、私のツインテールとカエデは肯定し力を貸してくれるといった。

 だからこそ、今の私がある!

 

「今の私はツインテールがまあ……好き、だから強いよ!」

 

 もう迷いはない。

 ノームギルディを指差し高らかに宣言する。

 

「な、何を言っているのだ!?」

「今からノームギルディ……いえ、あんた達聖の五界を倒すって言ったの!」

「おもしろいな……!」

 

 ノームギルディもとうとう本気だ。

 私相手に素手で闘ってきていたが、黒い粒子を手元に集結させると巨大な鉤爪の武器が生成される。

 まるでそれは私のアバランチクロー……いや、まんまアバランチクローの色違いだ。

 

『パクんじゃねーぞ、妖精!』

 

 通信機から嵐の声が聞こえてくるが悲しいことにノームギルディに届いている様子はない。

 ノームギルディは出現した武器を右手に装着すると同じように左にも黒い粒子が集まり黒いアバランチクローを生成した。

 

「これが、俺の拳が最大に生かされる武器''マッスルクロー''だ!!」

「なぁ!?」

 

 ダッッサ!!

 なんて……なんて悲しいくらいにダサい名前なんだ!

 これまでも武器の名前や必殺技の名前を叫んでいたエレメリアンはいたけどここまで酷いのは初めてだ……。

 

「驚くだろうが、マッスルクローはお前の使う武器を参考にしたものだ……!」

 

 うん、知ってる。 そんなの一目見た時から明らかだし、使い手の私がわからないわけがない。

 わかってはいるけど、何故かその言葉が口から出てこない。

 

「これが俺の最初の武器にして最後の武器、そして最強の武器だ!!」

 

 名前とかはダサいけど、ノームギルディの言葉には何かくるものがある。

 この勝負にかけているんだ。

 

「受けて立つ、アバランチクロー!!」

 

 フォースリボンを弾き、両腕にアバランチクローを装備すると、マッスルクローを装備したノームギルディへ向かい疾駆。

 新しい私の闘いが始まった。

 

 

 テイルホワイトとノームギルディが闘い始めたその時、会場の外でも壮絶な闘いが繰り広げられていた。

 アンリミテッドチェインとなったテイルシャドウがゴッドブレスにより強制的に最終闘体となったエレメリアンを次々と倒していく。

 

「数が多いんじゃキリがないわね」

 

 斧を周りへ一閃し、エレメリアンとアルティロイドを倒してもその後ろから次々と敵は現れ、テイルシャドウの属性力を狙ってくる。

 テイルシャドウを取り囲むエレメリアンとアルティロイドを外から見ているウンディーネギルディは腕を腰に当て余裕の笑みを浮かべている。

 そんな最中、突然表情を崩し会場の方へ体を向けた。

 

「この属性力の高まり……! まさか、テイルホワイトが……!?」

 

 ウンディーネギルディは腰からタブレットのようなものを取り出すと激しく操作しはじめる。

 

「みんな、あとは任せたよ!」

 

 極彩色のゲートを生成するとウンディーネギルディはそそくさと中へ入り、その場から姿を消した。

 

「ちょっと、こいつらどうにかしなさいよ!」

 

 斧で斬りつけながら目一杯声を張り上げるが、当然ウンディーネギルディは聞かず、ゲートに消え、相変わらず意思を持たない人形のようなエレメリアン達が次々と押し寄せてくる。

 

『黒羽さん、奏さんの属性力が爆発的に上がりました! もしかしたら……!』

「だからウンディーネギルディは慌てた様子で逃げたのね。 なら、こっちもさっさと終わらせるわ」

 

 テイルシャドウがブレイクレリーズを発動すると斧が割れ光の刃が出現する。

 

「ルナティック! クライシーース!!」

 

 その場で回転し、周りにいたエレメリアンとアルティロイドに命中させると一体が爆発。

 それに巻き込まれる形でどんどんエレメリアンとアルティロイドは爆散していき全ての敵を倒した。しかし、力を使い切ったのか強制的にアンリミテッドチェインは解除され通常のテイルシャドウへと戻ってしまった。

 息もひどく荒れている。

 

「ハア、ハア……よし。 新しいツインテール、見に行こうかしら」

 

 そう言うと、テイルシャドウは会場のドアに向かって歩き出した。

 

 

 闘いはどちらも一歩も引かない。

 私がアバランチクローを繰り出せばノームギルディはうまくマッスルクローで防御し、すぐに反撃を仕掛けてくる。

 ノームギルディが初めての武器と言っていた割にはかなり扱いが上手く思える。

 この半年間、私は傘よりもこのクローを腕にエレメリアンを闘ってきた。 扱いはどう考えても私の方が上だと思っていた。 だけど、ノームギルディは私と同等かそれ以上にクローの扱いが上手い。

 

「くっ!」

 

 最上段から振り下ろされたクロー攻撃をこちらも同じようにクローで受け止める。

 金属質な音が鳴り、あたりに火花が散る。

 膨れ上がった筋肉は伊達ではなく、まさに豪の力を感じさせられた。

 

「俺は諦めん! お前が芽吹いたとて、俺たち聖の五界の勝利は……揺るがないのだ!!」

 

 同じ形の武器同士がぶつかり合い、青い火花が散る。

 

「諦めないのは私だって同じ! どんなに強いエレメリアンが現れようが私は……属性力を、ツインテールを守るために闘うの!!」

「それが……お前の信念か……!」

 

 そう、心の中で教えられた。

 だからこそ私は胸を張って言うことができる。

 今の私は……ツインテールが好き。

 

「ツインテール属性が最強なら、私はその力を使って聖の五界を倒してみせる! はあああああああああああああああ!!」

 

 腕に目一杯力を入れ、振り下ろされた大きな腕から解放されると渾身の蹴りを胴に浴びせる。

 防御が間に合わなかったノームギルディはその大きな巨体で会場の床を破壊しながら転がっていく。

 ノームギルディが起き上がるその時、突如会場の出口のドアが壊れ私の近くへ吹っ飛んできた。

 

「え!?」

「へえ、いいツインテールね」

 

 ドアを破壊した黒羽はとてもいい笑顔で私へ親指を立てながらウインクをしている。

 

「もう少し静かに入ってこれないの!?」

 

 近くにあるバラバラとなったドアを持ち黒羽に見せつける。

 

「フレーヌに言われて早く確認したいと思ったのよ」

 

 私と黒羽が話していると先程までノームギルディの後ろでただ見ているだけだった数体のエレメリアンが私と黒羽を取り囲む。

 

「いいわ、あなた達の相手はこのテイルシャドウがする。 ホワイト、あなたは決着をつけてきなさい」

「わかった。でもあんまし無茶は……あれ?」

 

 後ろにいると思っていた黒羽は私の言葉に聞く耳を持たず既に数体のエレメリアンとの激闘を繰り広げている。

 

「……フレーヌ、会場の人達の避難を」

『大丈夫です。既に志乃さんと嵐さんがもう一つの出口から避難誘導をしてくれました』

「さすが、仕事がはやいね」

 

 一人対たくさんでも闘えている黒羽は大丈夫だ。

 会場の中にいた人達ももういない、これで本気を出して闘える。

 起き上がりクローを構えるノームギルディに向かい疾駆し再びクロー同士が交錯し火花を散らす。

 

「なに!?」

 

 一度は受け止めたかに見えたが右のマッスルクローが砕け、勢いに耐えることができず再び床を抉りながら後退する。

 

「先程よりも力が上がっているのか!?」

 

 使い物にならない右のクローを捨てながら驚愕の表情をみせる。

 

「そうだろうね、本気だしたから!」

 

 新たなツインテールが舞い、再びノームギルディへと接近すると右のクローを突き出す。

 咄嗟にノームギルディは左のクローで受け止めるが私の攻撃に耐えきれずクローが破壊されるとそのままノームギルディへ攻撃がヒットした。

 クローが当たった場所は大きな傷ができ、ノームギルディは体中から放電し始める。

 

「ぐおおおっ!?」

 

 苦悶の声を上げノームギルディは片膝をついた。

 

「バカな……!? 俺は聖の五界の幹部の一人、地のノームギルディだぞ!? この俺が……こんな………!!」

 

 私が実力を出し、力の差を痛感したのか地面に拳を打ちつける。

 今この時、私とノームギルディの闘いは終わりを迎えたのだ。

 

「ホワイト!」

 

 周りにいたエレメリアンを全て倒したらしく、黒羽が私の元へ駆け寄ってきた。

 

「どうやら、ホワイトの勝ちのようね」

 

 目の前にいるノームギルディの姿を見て黒羽は確信したらしい。

 そう、誰が見てもわかるようにノームギルディは完全に戦意を喪失していた。

 

「……この状態じゃ、私はできない」

 

 闘う気がない相手に私はトドメがさせない。

 ただ、相手はエレメリアンだ、それも幹部クラス。 いつまた大勢のエレメリアンを引き連れてこの世界を属性力を奪いにくるかわかったものではない。

 この世界のツインテールを守ると決めた以上、仕方のない事だ。

 

「勘違いするなよ、テイルホワイト!」

 

 いつの間にかノームギルディは立ち上がりファイティングポーズをとっている。

 

「俺はまだ負けたわけではない! 俺は聖の五界のノームギルディだ!!」

「……あんたがその気なら、私だって!!」

 

 私はブレイクレリーズし、腰の装甲から蒸気が噴き出すと一直線、ノームギルディへと向かっていく。

 

「俺は武器を失ってはいない! この鍛え上げられた肉体こそ、俺の武器なのだ━━━━!!」

 

 ノームギルディもまた、拳を突き出し必殺技を受ける構えをとる。

 

「アイシクルドラ━━━━」

「━━━━ぐあああっ!!」

「な!?」

 

 私が必殺技を繰り出そうとしたその瞬間、ノームギルディの動きが止まると、苦痛な声を上げる。

 ノームギルディを貫通した金色の輝きが黒羽と私の横をすり抜ける。

 ノームギルディがその場に倒れこむと背後からトドメをさした第三者が現れた。

 背後から現れたのは黒を基調とした体色とは対象的な神秘的な白を基調とした女性型のエレメリアンだった。

 このエレメリアンは何処かで見た覚えがある。

 白いエレメリアンは手に持っていた弓のような武器を消滅させるとゆっくりとノームギルディへ近づき、しゃがみ込む。

 

「申し訳ありませんわね、ノームギルディ」

 

 ノームギルディを射抜いたと思われるエレメリアンは優しい声をかける。

 

「作戦を失敗し続け、アルティメギルに不利益な事をしたあなたを首領様は許してくれませんでしたの」

 

 間も無くノームギルディは属性玉となり拾い上げるが白いエレメリアンは尚も話し続けた。

 

「隊長も辛いものですわね。 部下の責任を庇うのもそうですけれど、時には冷酷な判断もしなければいけない……」

 

 属性玉をしまうとようやく白いエレメリアンは私達の方へ体を向ける。

 

「初めまして、テイルホワイト。 私が聖の五界の隊長、エンジェルギルディですわ」

 

 エンジェルギルディと名乗った白いエレメリアンは腰部から伸びる布を両手で持ち上げ挨拶をしてきた。

 まるでドラマやアニメで見るような……お嬢様がよくするあの動作だ。

 

「エンジェルギルディってあの放送してた……?」

 

 何処かで見た覚えがあったのはあの放送をしていたからだったんだ。

 そういえば、映像の中では女性型というのはわかったけどそれ以外は映像が粗くてよくわからなかった。

 

『おかしいです、エンジェルギルディからエレメリアン反応が感じられません。 意図的に消しているのでしょうか……。 なんにせよ聖の五界の隊長ということは相当な実力を持っているはず、油断はしないでください』

「私もこうやって向かい合ってるだけで冷や汗が止まらないし」

 

 武器も手にしていないし攻撃を仕掛けようとしているわけでもない。 でもこのプレッシャー……今までのエレメリアンと違うというのが嫌というほどわかる。

 だけど、今の私に湧き上がってくる怒りはプレッシャーで抑えられるものではない。

 

「あんた、自分の部下を……!! ノームギルディは最後まで私と闘おうとしてたのに! 自分が聖の五界のエレメリアンだという誇りを持って闘っていたのに!」

 

 私の言葉にエンジェルギルディは全く気にする素振りを見せず、淡々と答える。

 

「先程も言いましたが、私は聖の五界の隊長。 首領様の命令は勿論ですし、時には部下に厳しく指導しなくてはいけませんの」

「あんたは……!!」

 

 アバランチクローを構え、今すぐにでも攻撃しようとする私を気にすることなく、エンジェルギルディ少し体を反転させると今度は黒羽に向けて話し出した。

 

「そして、お久しぶりですわね。 オルトロスギルディさん」

「私は速水黒羽よ。 わざと間違えてないわよね」

「あらあら、随分と気が強くなりましたわね」

 

 黒羽の顔に焦りが見られるのは誰が見ても明らかだった。

 そしてそれは、目の前にいるエンジェルギルディもわかっているはず。

 

「それで、隊長自らお嬢様属性を取りに来たのかしら?」

 

 黒羽はブレイクレリーズしたままのノクスアッシュをエンジェルギルディへ向ける。

 ここで聖の五界と決着をつけようってわけね。

 大賛成よ!! 隊長とはいえ、自分の仲間を平気で粛清するような奴……ただただ気にくわないもの!

 

「いえ、私はノームギルディを処刑しに来ただけですわ。 それとテイルホワイトへちゃんとした挨拶もしておきたくて」

 

 エンジェルギルディはそう言って私の方へ向くがすぐに黒羽へ向き直った。

「あともう一つ、これをお返ししますわ」

 

 そう言ってエンジェルギルディは菱形の石、属性玉を出現させ黒羽へと放る。

 

「これは、下着属性の属性玉……!」

 

 アンダーウェア……もしかして下着属性?

 これに限ったことじゃないし、そういう闘いをしているけど、なんだろう……このとても重たい話をしているのに一瞬で崩れる感じ。

 

「勇敢に私に向かってきましたけど、三秒も持ちませんでしたわ」

「フェンリルギルディ……やっぱり……」

 

 膝から崩れ落ちる黒羽を見ると、エンジェルギルディは満足そうに笑う。

 そして後ろに極彩色のゲートを生成した。

 

「今回はノームギルディの失態ですが、次からはこうはなりませんわよ。 どうぞお楽しみにしていてくださいまし、テイルホワイト」

 

 そう言うとエンジェルギルディはゲートの中へ消えていき、やがてゲートも消滅した。

 エンジェルギルディがいなくなった後、黒羽は立ち上がり変身を解く。

 

「これが聖の五界隊長、エンジェルギルディのやり方よ」

 

 属性玉を私に渡すと、黒羽はそのまま会場の外へ歩いていく。

 

「自分の敵にはもちろんのこと……仲間にも容赦なく制裁を加える……」

 

 廊下へ出ると、そのまま黒羽は姿を消した。

 聖の五界の隊長エンジェルギルディ……か。

 

 




遅れました……。
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