私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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テイルレッド
奏とは別の世界でアルティメギルと闘っていた戦士。 真紅のツインテールに赤い装甲が示す通り炎をモチーフにし、操る能力を持つ。 外見は幼い少女だが、男勝りな話し方とズバ抜けたツインテール愛によるツインテール属性を持ちアルティメギルの幾多の幹部を倒してきた。ウンディーネギルディによると奏の世界に現れたその時、テイルレッドは自分の世界である隊と交戦していたらしいが……?

武器:ブレイザーブレイド
必殺技:グランドブレイザー


FILE.57 閉ざされた記憶

 真紅のツインテールの幼子は力強く、目の前の怪物に向けて言い放った。

 自分はテイルレッドであると……。

 偽物ではない。 あの身長に体の装備、そしてツインテール、紛れもなく私が異世界で見たテイルレッドそのものだ。

 でも、どうしてテイルレッドがここに……。

 

『テイルギア……』 

 

 驚いているのはフレーヌも同じようだ。

 異世界の戦士の登場に、今まで子供のような笑みを浮かべていたウンディーネギルディも動揺を隠せずにいる。

 

「何であんたがいるわけ!? あんたは今、あのトカゲちゃん達と闘っていたはず!」

 

 トカゲちゃん……というのは別のエレメリアンの事だろうか。

 

「俺が聞きたいくらいだ。 いきなり変な穴に吸い込まれて……中で彷徨っていたらツインテールが助けを求めてきて……ここに辿り着いたんだ」

 

 す、凄い……!!

 何を言っているのか全くわからない!

 

「それに、リザドギルディならこの前倒したぜ!」

「そうじゃなくて……もうっ!」

 

 なんか会話がうまく噛み合ってないみたいだ。

 事情はよくわからないけど、ウンディーネギルディ含めたエレメリアン三体とたくさんのモケモケを一人で相手するのは危険だ。

 

「ここは私の世界だしもちろん私も闘うわ、テイルレッド」

「サンキュー! 一緒にツインテールを守るんだ!」

 

 テイルレッドは剣を構え、私はクローを構え、シャドウは斧を構え、目の前のエレメリアンへと疾駆する。

 

「くそ、まずい!」

 

 ウンディーネギルディが指示を出したのか、モケモケ達が目の前で壁を作る。

 

「私がやる! 先に行ってなさい!!」

 

 シャドウは私達の前へ出ると必殺技を放つ構えをとり、ブレイクレリーズする。

 

「ノクス……クライシス!!」

 

 力強く振るった光の斧により目の前のモケモケ達を一気に薙ぎ払い消滅させた。

 力を使い切ってしまったのか、シャドウは変身が解けるとその場に座り込む。

 

「シャドウ!」

「行きなさい!! ウンディーネギルディを倒せるのは今しかないわ!!」

「……うん!」

 

 シャドウが開けてくれた道を私とテイルレッドで進むと今度は二体のエレメリアンが立ち塞がる。

 

「走りながらの……ブレイクレリーズ! からの……アイシクルドライブ!!」

 

 二体のエレメリアン続けて、アイシクルドライブで貫くとその場で爆発する。

 私が二体を倒している間に、テイルレッドはウンディーネギルディの眼前へと移動し、力の限り剣を振り下ろした。

 

「でやあ!!」

「くう!」

 

 ウンディーネギルディは咄嗟に取り出した槍のような物でテイルレッドの一撃を受け止める。

 だが、それだけでは終わらず、テイルレッドは稲妻の如く斬撃を繰り出しウンディーネギルディの槍を吹き飛ばした。

 凄い…!これがテイルレッドの力なんだ!……ツインテールバカになるだけでここまでの力が出せるようになるなんて。

 

「ブレイク!」

 

 よろめきながらもウンディーネギルディは攻撃から逃れようとバリアーのような物を自身の周りに展開する。

 

「レリ━━━━━━━━ズ!!」

 

 上空で大きく振り上げられたテイルレッドの剣は形を変え、炎を噴き上げる。

 

「グランドブレイザアアアアア!!!」

 

 袈裟懸けに振り下ろされる炎の剣。

 

「な、何!?」

 

 いとも簡単に展開されたバリアーを破り、ウンディーネギルディを終焉へ導こうとしたその時、横から延びた腕によって炎の必殺剣は防がれてしまっていた。

 テイルレッドは慌てて距離をとる。

 

「いけませんわ……ウンディーネギルディはまだ聖の五界に必要な科学者ですもの」

 

 防いだ腕をそのまま、テイルレッドの剣を握りしめると容易くバラバラになってしまった。

 白い体にその口調、間違いなく奴は聖の五界の隊長。

 

「エンジェルギルディ……!!」

 

 私はすぐにテイルレッドの横へと跳躍し、アバランチクローを構える。しかし、エンジェルギルディに闘う気は全くないのか武器を出す仕草もなければ気迫も感じられない。

 

「テイルレッドが生で見れて嬉しかったですわ。 いつかお手合わせをお願いしたいものですわね」

 

 話している内容から察するにどうやら本当に今は闘う気は無いらしい。

 ウンディーネギルディを守るために出てきたのだろうか……でも。

 

『前にノームギルディを平然と倒しておいてウンディーネギルディだけを助けるために出てくるとは考えにくいです。 気をつけてください!』

 

 普通そう考えるよね。

 そしてテイルレッドの必殺技を容易く止めてしまうほどの力……油断なんかしたくてもできない。

 

「ですが……しばらくさようならですわね''テイルレッド''さん」

 

 エンジェルギルディは自らの手のひらに光弾のような物を出現させると、その場で爆発させた。

 

「これは……!!」

 

 太陽を目の前へと持ってきたような猛烈な閃光が当たりを照らしすと、やがて何も見えなくなっていった。

 

 

 ようやく辺りの様子がわかる程度になり、周りを見渡すとエンジェルギルディとウンディーネギルディの姿はなかった。

 光弾を爆発させたのは光で目を眩ませて逃げるためだったのだろうか。

 

「ホワイト、レッドが!」

 

 私より先に動けるようになっていた黒羽が倒れているテイルレッドを見つけていた。

 急いで駆けよると、抱きかかえる。

 

「レッド! レッド! ………起きないね」

 

 息はあるし、体に傷もない。

 気絶しているだけのようだけど……。

 

「私たちより近くで光を浴びて、ショックで気を失っちゃったのかも知れないわ。 フレーヌ、とりあえず基地へ転送してくれる?」

『わかりました』

 

 テイルレッドを抱きかかえたまま、立ち上がると間も無く私達はフレーヌの基地へと転送された。

 

 

 私達がテイルレッドを連れ、基地へと戻るととりあえずメディカルルームの奥の部屋へと彼女を寝かせる。

 黒羽も寝ていたあの部屋だ。

 

「あの子がテイルレッドかー。 あんな小さな子がエレメリアンと闘ってるんだね」

「ああ、なんとなくあの子に夢中になる世界があるのもわかる気がしてくるぜ……」

「流石にテイルレッドじゃ、私のツインテールでも敵わないのかしら……」

 

 外で何人かがブツブツ言っているのが聞こえてくる。 なかにはロリコンに目覚めそうな男も……嵐もいたし、後で通報しとこうかな。

 眠っているテイルレッドを覗き込むと、何かにうなされているわけでもなく安らかな寝顔だ。

 

「先ほど黒羽さんが言っていた通り、テイルレッドちゃんはただ気を失っているだけのようですので、ご安心を」

 

 診断結果を報告され、安心した。

 横で医療機器のような物を操作していたフレーヌは立ち上がり、寝ているテイルレッドを凝視し始めた。

 えっと、これは止めた方がいいの……かな?

 さっきの嵐のせいでなんとなく普通の行動が全てロリコンに繋がるような気がしてたまらなくなってきた……。

 でもまあ、女の子同士だし、フレーヌだし、大丈夫だろう。

 

「やはり……同じです」

「え?」

「テイルギアです。 私が作ったものと……ほぼ同じなんです」

 

 椅子に腰掛け、テイルレッドが目を覚ますのを待っていると彼女を凝視していたフレーヌが口を開き始めた。

 なるほど、テイルレッドを見ていたわけじゃなくてテイルレッドの装備を確かめていたのか。

 

「テイルレッドの目が覚めたら聞いてみよ?」

「……はい」

 

 私に今言えるのはこれくらいだ。

 下手に考えを言ってそれが間違っていたならまたフレーヌが傷ついてしまうかも知れない。

 テイルレッド本人の口から、テイルギアの事を話してもらった方がいいだろう。

 

「くぅ……!」

「しっかり、テイルレッド!」

 

 安らかに眠っていたテイルレッドが突然苦しみ出すと、彼女の体が発光し始めた。

 やがて体が全てが光に包まれ、テイルレッドの姿は見えなくなってしまった。

 でもなんか、この光に害はないような気がする。

 

「これは……変身が解ける時の光です」

 

 どこか覚えがあるような感じだったのはそのせいなのか。

 少し長めの変身解除が終わり、光が収まる。

 

「あれ?」

「これは……一体」

 

 先ほどまでベッドで寝ていたテイルレッドに劇的な変化が起きている。

 なんと背丈が伸びており、小学校低学年ほどだった身長はフレーヌと同じか少し小さいくらいまでとなっている。

 変身前と変わらず、長く赤いツインテールは残っているけどテイルギアで身長まで変えられるもんなの!?

 気になる事は山ほどある、まず服装だ。

 

「な、なんで男物の制服っぽいの着てるんだろうね」

 

 しかも今は残暑もすぎ、肌寒い秋だというのにやけに薄着だ。……よく見るとブラもしてない。

 

「……本人に聞いて見ましょうか」

 

 流石にフレーヌも訳がわからないのかスマホを取り出し、めちゃめちゃ早く何かを入力している。

 もう一度チラリと眠っているテイルレッドに変身していた少女へ目を向ける。

 これが異世界の戦士か……流石異世界、半端ない。

 

 

 テイルレッドが私達の前に現れた昨日の夜、早速各局のテレビは新たな戦士の情報を流した。

 テイルホワイト、テイルシャドウに続く三人目の戦士としての注目はかなり高いようだ。

 映像は視聴者映像としてテレビで流されていただけであり、テイルレッドがどんな人物か把握しきっていないのもあるのかな。

 ま、テイルレッドの世界じゃかなりの人気だったし、テレビカメラで撮られれば人気爆発は必至だろうけど……。

 テイルレッドの情報がインターネットであることない事拡散されている今も、基地にいるテイルレッドは眠ったままだ。

 いやあ、テイルレッドの事が気になって数学が頭に入ってこないなー。

 

「……志乃」

「ん?」

「……テイルレッドが危険な状態かもしれないのに呑気に勉強なんてしてていいのかな」

 

 私と黒羽の危機を助けてくれたテイルレッドは勇猛果敢に聖の五界のウンディーネギルディに向かっていった。

 その結果、テイルレッド一人を傷つけてしまったんだ。

 テイルレッドは今、まさに眠りながらもエレメリアンと闘っているのかもしれない。

 

「そんな時に、私だけ呑気に勉強なんてできないよ……!」

 

 私の言葉に感銘を受けたのか、志乃は何も言わずに私を見つめている。いや、少し目が冷たいような気がする。

 

「……ごめんなさい」

 

 志乃の無言の圧力に耐えきれず、再び椅子に座り直しシャーペンを持ち目の前の敵と闘い始めた。

 志乃も私の様子を見てウンウンと頷くと自分の苦手分野の復習を始める。

 最近、志乃厳しい気がするなあ……。

 

 渋々、イヤイヤ、気が進まないながらも志乃の教えもありテスト範囲の対策はあらかた完了し、只今の時刻は午後六時。

 この時期になると六時でもだいぶ暗くなり、電気なくして勉強はできなほどだ。

 外の様子を伺いそろそろ帰ろうと準備をしていたところ、私と志乃の両方のスマホから着信音が鳴り始めた。

 

『あ、お二人共! テイルレッドちゃんの意識が戻りましたよ!!』

「ほんと!?」

「すぐに行くね!」

 

 私と志乃は自分の鞄を持ち、部室棟の下にあるフレーヌ基地へと走って向かった。

 

 

 神聖な輝きを放つシャークギルディ部隊の艦たが、いつも以上に騒々しい。

 

「テイルレッドが現れたというのは誠ですか!?」

「我々にも神の恵みが舞い降りたのだ!!」

「テイル……レッド……!」

 

 信じられないといったリアクションをとる者、喜び神に土下座をする者、感動して涙を流す者。

 テイルレッドが奏の世界に現れた事で、シャークギルディ部隊の残存兵をはじめとするエレメリアン達は活気に満ち溢れていた。

 ただ、歓喜をあげる隊員達とは対照的に酷く落ち込んでいるのは中央のテーブルの周りに座する幹部級の隊員達だ。

 

「だから……野郎の涙なんて見たくないって!!」

 

 その中で特に際立った不快感を全面に押し出しているのはアルティメギルの裏部隊である聖の五界の科学者ウンディーネギルディ。

 彼女はテーブルに突っ伏しながら声を張り上げた。

 だが、目の前のモニターに大きく映されたテイルレッドに夢中になるあまり中心のテーブルの周りに座する隊員達以外にはウンディーネギルディの声は届いていない。

 

「ど、どうかされたのですか?」

 

 ウンディーネギルディの様子を見ていたサンフィシュギルディが恐る恐る問いかける。

 すぐに頭を上げ、早口で話し始める。

 

「全部が失敗だよ!! テイル達を追い詰めて涙を見れると思ったら新しいテイルが現れて……」

「テイル達……」

「おまけに隊長にも叱られるしさあ。…………ああああああ!!」

 

 サンフィシュギルディはもちろん、テーブルの周りにいる他の隊員達全員が、今までのミステリアスな科学者からは想像もつかない駄々っぷりにどんな反応をしたらいいのかわからず、ただ俯き、ため息をついた。

 

「それにテイルレッドはトカゲちゃん達が相手をしてたはずだし! なんでこの世界に来るし! てか、トカゲちゃん達やられてるし!?」

 

 どこからかタブレットを取り出すと、ウンディーネギルディは確認をとり新しい情報を不満げに読み上げて行く。

 アルティメギル四頂軍の内三つの壁が瓦解した報に近くの隊員達はざわめき出す。

 最初こそ驚きはしたウンディーネギルディはそれ以上は語らずに何やらブツブツと独り言を発し始める。

 

「……こうなったらマーメイドギルディにも協力してもらって新しいゴッドブレスを作ってやるわ」

 

 椅子から立ち上がると、ウンディーネギルディは新しい作戦を考えながらテイルレッドコールの起こる大ホールから消えていった。

 

「聖の五界の四幹部は既に三人の隊員が散っていき、残りのウンディーネギルディ様も今回は敗れてしまいました。 我々はこの先どうなって行くのか……」

 

 もはや機械のようにテイルレッドと叫ぶ隊員達を見つめながら、サンフィシュギルディは深いため息をつく。

 

「シャークギルディ隊長……。あなたならこの現状をどうなさるのでしょうか……」

 

 今は亡き隊長の名前を呟いた。

 大ホールにいる隊員達のテイルレッドコールにより、サンフィシュギルディの呟きは誰にも聞かれる事なく消えていく。ただ、大ホールの外で聞き耳を立てていたエンジェルギルディには伝わる事となった。

 

「そんなに会いたいのなら……会わせてさしあげましょうか」

 

 暗い廊下に冷たい声が木霊した。

 

 

「テイルレッド?」

 

 メディカルルームの奥にあるドアを開けると、そこにはベッドに座るテイルレッド……もといテイルレッドに変身していた少女が居た。

 まるでテイルレッドがそのまま成長したかのような少女は部屋へ入ってきた私達へと目を向けるも誰だかわかっていないらしい。

 そういえば、イマジンチャフのせいでテイルホワイトが私の事だと思えないんだっけ。

 

「えっと、私がテイルホワイトとして闘ってる伊志嶺奏で隣の娘が」

「鍵崎志乃でーす!!」

 

 私に続いて部屋へと入ってきた志乃が元気よく、うるさいくらいの声を上げた後に手を挙げた。

 

「あっ、ここにはいないけどもう一人の娘はテイルシャドウっていって、途中から一緒に闘ってくれる事になった戦士なの」

 

 どうやら黒羽は基地にはいないようなのでとりあえずフォローしておく。

 なんの説明無しにテレビでテイルシャドウを見たら間違いなく誤解するからね……。いや、誤解でもないか。

 

「……」

 

 ところで、私がテイルホワイトだという事や、協力者達の事も教えたけどイマイチ反応が薄い。

 頭も私達が部屋に入ってきた時にあげたが、すぐにまた俯きそのままだ。

 私が少し疑問に思っている間、志乃はテイルレッドの少女の隣に座り何やら話し始めている。

 そんな二人を眺めていると後ろから肩をトントンと叩かれた。

 

「……いいですか?」

「う、うん」

 

 フレーヌに連れられメディカルルームへと移動すると、先にフレーヌが口を開く。

 

「奏さん達が来る前に、いろいろ質問して見たんです。 ですが、全てわからないの一点張りでした」

「わからないって……まさか記憶が!?」

「あの様子から、話したくないからわからないと言っていることはないでしょうしそれは間違いないんですけど……少し妙なところがありまして」

「妙って?」

 

 私が聞き返すと、フレーヌは服のポケットから端末を取り出すと操作し、ある画面を私に見せてきた。

 赤と青と緑の線が並行に走っているのが表示されており、なんのデータか全くわからない。

 

「これは私のいた世界で一部の科学者達が使っていた脳波を検知する機械……簡単にいうと少し違いますが嘘発見器のようなものです。 覚えがある物を見たり聞いたりするとこの三本の線が交差するようになっています」

 完全に理解するには程遠いが、フレーヌは続けて端末を操作しまた別の画面へと移る。

 

「先程テイルレッドちゃんの記憶が無いと知っていろいろ質問してみました。 そうしたら、自分の名前も覚えていなかったにも関わらず''ツインテールの戦士として闘っていた''という事だけは覚えていたんです」

「えっと……」

「エンジェルギルディによって意図的にその記憶だけ残された可能性があるわね」

「うわ!黒羽!?」

 

 背後から気配も無く忍び寄ってきた黒羽に驚き二、三歩思わず後ろに下がる。

 

「エンジェルギルディが何を企んでいるのか全く読めないし、テイルレッドはしばらくあの部屋にいてもらうのが無難かしらね」

 

 黒羽もテイルレッドの事を心配してくれているみたいだ。

 

「記憶喪失の治療法とかないの?」

「よくある方法としては頭部に強い衝撃を与える事ですけど」

「うん、やめとこ」

 

 流石にそれはできないし、しばらくは記憶が戻るのを待つことになりそうだ。

 

 部屋の外でフレーヌと黒羽とテイルレッドについて話し終わり中へ戻ると志乃とテイルレッドはすっかり意気投合していた。

 相手が誰でも分け隔てなく、明るく接する事が出来る志乃は立派……というか尊敬している。

 そういえば初めて志乃と会った時、今テイルレッドに話しているように明るく話しかけてきてくれたっけ。

 私と同じで、テイルレッドも志乃が話し相手だからこそ、ここまで意気投合する事が出来たに違いない。

 

「そうそう!私さ、テイルレッドちゃんの名前考えたの! 記憶戻るまでのだけどね」

 

 そう言うと志乃はベッドから立ち上がりいつの間にか用意したのか一枚の紙を制服のポケットから取り出す。

 

「テイルレッドの赤から思いついた''紅音(あかね)''ちゃんで決まり!!」

 

 私達の前へ出ると思いついた名前を発表するとともに紙を勢いよく広げた。 丁寧に漢字とフリガナもふられている。

 確かに変身していないのにいつまでもテイルレッドって呼ぶのはアレだし、志乃のアイデアはとても良いと思う。

 それにテイルレッド……紅音も嬉しそうだ。

 

「紅音って安直な名前ね……」

 

 そこへ水を差す黒羽。

 

「紅音が気に入ってるならいいんだもん!それに黒羽に言われたくないし!!」

「なによ、黒羽って名前ほど高貴で強そうな名前はないわ」

 

 これも仲がいいから出来るんだよね……?

 ガチで喧嘩しているわけではない事を察しているらしく、紅音も止めに入らず二人を見て笑っている。

 

「あ、紅音? よかったら今から出かけない?」

「え?」

 

 キョトンとした顔してこちらをみる紅音。

 

「ほら、紅音が今着てる服は見た所男物だしちゃんとした服買いに行こう。 そうそう! お金なら大丈夫、私が奢るから!」

「あ、うん」

 

 紅音が返事をすると同時に紅音の手を取りベッドから立ち上がらせると、そのまま外へ向かい歩き出す。

 

「あっ、ずるい! 私も行くよ!!」

「私も行きます!」

 

 フレーヌと志乃が後ろから駆け寄り、志乃は私と同じように紅音の手を握る。

 

「黒羽はどうするの?」

「私はパス、行かない」

 

 まあ、わかってはいた。

 返事をした黒羽が私達の横を通り過ぎようとした時、フレーヌが黒羽の手を掴んだため歩みを止める。

 

「黒羽さんも女の子なんですよ。 この機会にもっと女の子らしくならないといけません!」

「フレーヌがそう言うなら……」

 

 チョロかった。

 黒羽はフレーヌが相手になると何もかも負けてしまうらしい。

 妹みたいな感覚なのかもしれない。

 

「それじゃあ、ショッピングへGO!!」

 

 志乃が先陣を切り、紅音と駆け足で基地の出口へと向かって行く。

 二人につられて、後に残った私達もいつの間にか走り出していた




果たして彼女の記憶は戻るのか!?
感想等どんどんお待ちしています。
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