性別:女
年齢:38歳
誕生日:4月19日
身長:163cm
体重:49kg
奏の母親にして元人気女優。奏を妊娠したと同時に芸能界を引退しており、それからは専業主婦として家の仕事をしている。夫との仲は良好。 奏のことは特に不安もなければ不満もなく自慢の娘と思っている。 しかし、世界一かわいい娘に彼氏が居ないのが唯一納得がいかない様子。
今、私の目の前には新たなエレメリアンが立っている。
「ぐ、ぐおっ……」
放電しながら。
説明すると、学校に行く準備をしていたところ、フレーヌさんからエレメリアン出現の通信が入ったのでテイルホワイトに変身して旋毛旋毛言っているエレメリアンに必殺技を食らわした。 そして今ここ。
放電し、膝をつきながら苦悶の声を上げる旋毛エレメリアン。
「もっと…もっと旋毛を見ていたかった━━━━━━ッ!!」
いつものようにくだらない断末魔を叫びながらそのエレメリアンは爆散していった……。呆れつつも、爆散したところにある菱形の石をひょいっと拾い上げる。
初めて私がテイルホワイトになってから今日で一週間。
アルティメギルは律儀に毎日毎日一体ずつ出現していた。
しかも朝の七時から夜十時まで出現する時間がバラバラでいつも神経を使わないといけない。
もしこれがアルティメギルの作戦だとしたら効果てきめんだ。ものすっごい効く。
今も時間は朝の八時、今から急いで学校に向かわなくては遅刻してしまう。
『大丈夫ですか?』
フレーヌさんから通信が入る。
「大丈夫…って言いたいけど大丈夫じゃないね…」
わざわざ言わなくてもフレーヌさんならわかるだろう、私を心配してくれてるからこそ聞いてくれている。
私はテイルホワイトに変身したまま人の家の屋根の上をピョンピョンと飛び跳ね学校の近くの人通りの少ない通りで変身を解除した。
路地から大通りに移り、少しだけ私は考え事をする。
もし本当にこれがアルティメギルの作戦なら奴ら私が思ってたよりずっと脅威的な存在になってしまう。
もしかしてフレーヌさんの世界の戦士は私のように度重なる闘いに耐えられなくなり、現れなくなってしまったのではないだろうか。
もしそうなら少しだけ、本当に少しだけ、今ならその戦士の気持ちがわかる気がしてきた。
…いけないいけない!もっとポジティブに考えないと本当に体がもたないよ!
両手で自分の頬をパチンと叩き自分に気合を入れ直す。…少しだけ強く叩いてしまったようで頬が痛い。
何気なしに、周りの声や音を聞いてみるとやはりテイルホワイトの話題が多い。
一週間前からのテイルホワイトフィーバーは今現在も続いている。
私が変身するたびにTVで特集され、エレメリアンに関しては本当に一分くらいしか報道されてない気がする。
いつまでこの祭りは続くんだろう。
それと、言い方はきついけどエレメリアンの撃破が完全にただの流れ作業と化してきている。
あまりにも敵が弱すぎる気がする。
あんな奴らに本当に世界から属性力が奪われることなんてあるのだろうか。
そんなことを考えながら歩いていると誰かに鞄をぶつけられた。
「おはよ!」
「志乃…痛いよ」
「なんか元気ないなって。……毎日毎日来るからね」
志乃も私の心配をしてくれている。
「変態達が昼夜問わずに出てくるんだもんね。私も何かしたいよ…」
でも、私も志乃に甘えてばかりいるようじゃダメだよね。
「志乃は充分私の助けになってるよ。だから、私は平気」
『志乃さんだけじゃありませんよ』
突然フレーヌさんから通信が入る。
「私だって出来る限りあなたのサポートをさせていただきますよ!…ご飯を食べさせるのはもちろん、洋服のコーディネートやお風呂に入れてあげるまで!」
フレーヌさんがいつの間にかテレポートして私たちの側にきていた。
流石に最初の方はビックリしたけどほぼ毎日こんなんじゃなれる。
それよりいろんな世話をしてくれるのはありがたいんだけど、お風呂くらいは自分で入りますからね。
「それといい話が」
フレーヌさんがオホンと言った後にそう続けた。
「あの菱形の石に関するデータを見つけました。 どうやらあの石はエレメリアンの核であり、属性玉(エレメーラオーブ)と戦士は読んでいたようですね!」
「つまりエレメリアンの心?」
フレーヌさんからの説明の後に志乃が質問する。
「そんな感じです。そしてこの属性玉を使ってテイルギアをパワーアップさせようとしてたみたいですが…残念ながら設計図らしきものは残っていませんでした」
「え!?じゃあ、奏はパワーアップできないの?」
志乃が心配そうにフレーヌさんに問いかける。
「安心して志乃、今のままでも充分なほど相手弱いし。私が疲れてるのは連戦続きなだけだから」
「う、うん…」
「なんとか属性玉を利用できないか調べます。それでは!」
そう言うとフレーヌさんは敬礼し、目の前からピシュンと消えた。
そういえば登校中の道でなんて話をしてたんだろう…。
ふと私は空を見上げながら考える。
エレメリアンの心……属性玉、ね。
◇
世界の狭間にある神秘の基地の大ホールではまたもや会議が行われている。
それもそのはず、ここ一週間でアルティメギルの隊員が八体、戦闘員に関しては五十体以上がテイルホワイトの手によって撃退されているのだ。
「以上、ここ一週間のテイルホワイトの戦闘データです」
大ホールの中央寄りのテーブルに座っているエレメリアンがそう話し、画面を変えると戦闘データ……ではなくテイルホワイトの人気の画像が表示されていた。
しかし、アルティメギルの隊員の中にはそれを疑問に思うものなど誰もおらず、会議はそのまま進められる。
珍しく、装飾されすぎた椅子にも部隊の隊長シャークギルディが座している。
「おい、早く次のデータを見せんか!」
シャークギルディがそう言うと、またもや画面に映し出されたのはテイルホワイトの人気画像。
しかも今度は大ホールにいるそれぞれのエレメリアンが次々とおおおお……、という声を上げた。
どうやらテイルホワイト打倒作戦=テイルホワイト鑑賞会、ということらしい。
「やはり強く、美しく、そして恐ろしいツインテール……」
シャークギルディが一通りの画像を見終わると満足そうに言う。
「あなたはどう思いますか。このツインテールを」
シャークギルディがいつも自分が出てくる大ホールの隅に向かって話しかけた。
やがて奥から一体のエレメリアンがでてくる。
大ホールがまたもざわざわしはじめる。
細身で、精悍な顔つき、肩から垂れ下がるものを中心に全身に細い触手を無数に備えるエレメリアン。
「確かに、見事なツインテールを持っている。しかし━━━」
「しかし、なんでございますか」
大きく間をとるエレメリアンに向かってサンフィシュギルディが問いかける。
「残念ながら、とても貧乳と呼べるほどの乳ではないな。 ただ巨乳ではない。 そこはよしとするか」
貧乳属性(スモールバスト)の雄であり、同じく貧乳属性であるシャークギルディの師匠、クラーケギルディ。
クラーケギルディに続き、シャークギルディも口を開く。
「誠、その通りです。ですが、その貧乳ではない乳を包み隠してしまうほど、テイルホワイトのツインテールは輝いております」
クラーケギルディはそのシャークギルディの言葉を聞くとしばらく無言になりフッと笑った。
クラーケギルディは単身で三日前にシャークギルディ部隊に合流していた。
弟子である、シャークギルディがどんな作戦を考え、将として部隊をまとめられているのかを陰ながら監視していたのだ。
その結果、シャークギルディは師匠であるクラーケギルディに意見するまでに逞しく、将として成長していた。
クラーケギルディはそれが嬉しかったのであろう。
「シャークギルディがそこまで惚れ込むツインテールか。ではこの私が直接、そのツインテールを見に行くとしよう」
クラーケギルディの言葉にまたもや大ホールがざわつく。
ざわついているエレメリアンとは反対に、シャークギルディ、オルカギルディは口を閉じている。
「安心しろ。シャークギルディ部隊の諸君よ。手柄を横取りしようとなどは考えていない、ただの偵察だ」
そう言い残すと、クラーケギルディは自分が出てきた大ホールの隅の通路へと消えていった。
「先生…」
ざわついてる大ホール内で、静かに誰にも聞こえることのないような声でシャークギルディは呟いた。
◇
最後にエレメリアンが現れてから今日で三日目。 それまで毎日出てきていたのにパッタリとエレメリアンは出てこなくなっていた。
正直それまで連戦続きだったので私としては助かるのだけど、こうも全く出てこないと何か大きなことでもやらかすんじゃないかと心配になってくる。
TVではエレメリアンが出現しないことからいつもより警戒するよう呼びかけている……わけもなく出現しないことでテイルホワイトが見られないために早く出てこいという報道がなされていた。 お願いだから危機感を持ってちょうだい。
インターネットのコメント欄にも『テイルホワイトはまだか』『テイルホワイト見たいからアルティメギルでてこい』『アルティメギル使えねー』などのアルティメギルに対して失望したというコメントが多数だ。 …危機感を持ってください。
私たち三人は三日間全くエレメリアンが現れないとのことで現在フレーヌさんの基地で緊急会議が行われていた。
「流石に三日間全く音沙汰ないのはおかしくない?」
志乃が疑問を私とフレーヌさんにぶつける。
私もそれは同意見だけど…。
「ええ、何かの準備をしている。という風に考えるのが妥当でしょう。それが何かはわかりかねますが…」
フレーヌさんが発言したところで私も意見を出す。 僅かな、本当に僅かな望みだけどある一つの可能性をフレーヌさんに確認するために。
「テイルホワイトが居るせいでこの世界から属性力は奪えないって判断してどっか行っちゃった、とか」
「その可能性は限りなくゼロに近いですね。 私の世界では一ヶ月以上はアルティメギルは戦士に対して闘いを挑んでいたので」
やっぱりそんなことはないよね。
だとするとやはり、先ほどフレーヌさんがいった何かの準備をこの3日間でしているのだろうか。
「平和なのはいいことなはずなのにねー」
「平和なのが不安になってくるなんてね…」
全く志乃のいう通りだ。
ここ最近、毎日闘っていたせいで平和なのが不安になるというなんとも軍人みたいな考えになってきている気がする。
「奏さんには申し訳ありませんがいつでも闘える準備をしといてもらえると助かります」
「今まで通りね、わかってる」
今までもいつエレメリアンが出現するかわからなかった。 今回はそれがちょっと長いだけ、そう考えれば多少不安もなくなってくるような気がする。
「では次は明るいニュースを。前々から計画していた基地の拡張工事と空間跳躍カタパルトの設置が完了しました! これで国外の何処に現れたとしても一瞬で駆けつけることができます!」
おお、それって超朗報じゃない。
今までは基地で、もしくは人通りの少ない路地などで変身してから自分の足でエレメリアンが出現した現場で向かっていたのだが、それは私の体力を大きく奪う一因だった。
その後のフレーヌさんの説明によると転送された後もテイルギアからフレーヌさんに通信すればすぐにここの基地に戻ってこられるらしくこれまたハイテクだ。
空間跳躍カタパルトについての説明をフレーヌさんがしていると突如ブーブーという音が基地のスピーカーから鳴り出した。
フレーヌさんはその音を聞いてすぐに階段を上がり席に着きパソコンのようなものを操作し始める。
「エレメリアン出現です!」
とうとう来た!!
「変身して空間跳躍カタパルトへお願いします! 変身コードはテイルオンですよ!!」
最近ずっと言われている変身コードというもの。
通信で言われていたため無視し続けていたのだが…直接そう言われると無視はしにくい。
わかったわよ、の意味も込めてフレーヌさんを見た。
「…テイルオン」
その言葉と同時に私の体が光に包まれ見えるようになってくると私は銀髪のツインテールに白い装備が輝くテイルホワイトへと変身していた。
「気をつけてね!」
空間跳躍カタパルトに入った直後に志乃から声をかけられる。
返事をしようと思ったのだが、する間もなく私はエレメリアンが出現したという場所へ転送された━━
「この古城を颯爽と闊歩する貧乳のツインテールはおらぬのか!?」
光を抜け、出口にたどり着くとやたらと汚らわしい言葉が乱舞していた。
あまりの間抜けな発言に私は転送されたと同時に蹴躓きそうになる。
貧乳、貧乳言うエレメリアンの姿を確認するとやや尖っている頭に、その頭からのたくさんの触手、イカのようなエレメリアンだ。
「三日間何も音沙汰ないと思ったら、貧乳のイカギルディが出てくるとか…」
呆れて顔を手で隠しながら首を横に振る。
そうした動作をしているとイカギルディは私に気づいたようでこちらに歩み寄ってきた。
「会いたかったぞテイルホワイトよ。 だがイカギルディではなく私はクラーケギルディ、そして貧乳を心から愛する者!」
クラーケギルディ?
クラーケ、クラーケ、何処かで聞いたことあるような、私その方面の知識薄いんだよね…。
うーん、と考えているとフレーヌさんから通信が入る。
『おそらく、中世から近世にかけノルウェー近海やアイスランド沖に現れていたとされている伝説の海の怪物、クラーケンのことです』
「そんないるかいないかわからない生物をモチーフにしたやつもいるんだ」
『はい。しかも今までの相手とは比べものにならない属性力を持っています。おそらくアルティメギルの幹部、気をつけてください!』
そりゃ私には好都合だ。 最近弱い敵ばかりでただの流れ作業って感じだったし。
「それでは始めさせてもらうぞ、テイルホワイトよ。 その属性力、私に全てをぶつけよ!」
「望むところよ!」
頭のリボンを触ると同時にアバランチクローが両腕に装備されると同時に腰の装備から蒸気と炎が一斉に噴射される。
三日ぶりの闘いが、そして初めて幹部との戦いが始まった。
どうも皆さん、阿部いりまさです。
ついに原作からキャラが登場! なんとそのキャラはクラーケギルディさんでした。 (なんとなく察していた方はいるでしょうが)
クラーケギルディについてはあまりキャラが崩壊しないように書いているつもりですがもし、気になりましたらご指摘をいただけるとありがたいです。
それでは。