私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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〈ノクスクライシス〉
テイルシャドウがブレイクレリーズする事で発動させる必殺技。 斧を逆手に持ち投げつけると、ブーメランのように二回相手を斬りつけ最後は自らの手で切り上げる。

〈ノクスクライシス・ディミヌエンド〉
ノクスアッシュの刃を柄から分離させ脚の装甲へと合体させる事で発動させる必殺技。 刃のついた脚でかかと落としする他、回し蹴りするなどどんな蹴りでも発動できる。

〈ルナティッククライシス〉
テイルシャドウ・アンリミテッドチェインがブレイクレリーズする事で発動させる必殺技。 アンリミテッドブラをノクスアッシュトリリオンへと合体、地面を突き円柱型のオーラピラーで相手を空中でバインドすると自身も高く跳躍し落下の勢いのまま斬り裂く。


FILE.60 デビュー戦と真相

 白く靄がかかっている森林の中。 大木に乗り、こちらへと話しかける人物が居た。

 

『そして、けじめとして……私の持つツインテール属性を核に、もう一つのテイルギアを完成させました。 それが……テイルレッド、あなたのテイルギアなのです』

「んん……」

 

  フレーヌに用意してもらった寝室で、テイルレッドへと変身する少女、紅音は目を覚ました。

  壁と一体化しているデジタル時計を見ると午前四時、早起きにしてもこの時間ではと紅音はすぐに目を瞑る。

  紅音が奏の世界へと飛ばされてから二週間が経ったが元の世界へと帰る手がかりは全くない。紅音自身も記憶を無くしている為、元いた世界がどんなところで、どんな人達がいたかも分からない事が帰るのに難航している一番の要因だった。

  ただ、最近紅音は決まってある夢を見るようになっていた。

  黒く奇妙な仮面をつけ、テイルホワイトと同じような銀髪と白衣を翻しながら話す謎の少女。

  紅音は目を開けると、自分の腕を天井へと伸ばす。 強く念じると、間も無く赤い腕輪、テイルギアが可視化する。

 

「俺に残ってるのは……アルティメギルと闘っていた記憶と……ツインテール、そして……このテイルギアだけ」

 

  銀髪の少女は自らのツインテールを犠牲にし、自分へ譲ってくれたのに、その少女が誰だかわからず、どんな関係だったのかも思い出せない。 モヤモヤが広がっていくのと同時に、そんな自分への怒りが日を追うごとに大きくなっていく。

  テイルギアを再び透明化させ、天井へと伸ばした腕をそのまま布団の上へと落とすと、紅音は再び目を瞑る。

 

「ツイ……ン……テール……」

 

 再び襲ってくる睡魔で薄れゆく意識の中、紅音はある事を決断した。

 

 

 期末テストが終わってから何週間か経ち、とうとう十二月の半ばになり、緩み始めた中久しぶりにエレメリアンが現れた。

 幸いもう放課後だし、授業を気にすることもないのだけど……一つ気がかりな事が。

 

「俺に行かせて欲しいんだ!」

 

  綺麗な赤髪のツインテールを舞わせて話す少女、紅音。

  基地にてエレメリアン出現アラームを聞いて私が真っ先にカタパルトへ向かおうとしたところ、紅音に制止され今の状況だ。 いきなりエレメリアンと闘いたくなるなんて一体どうしたんだろう。

  勿論、私は説得を試みる。

 

「気持ちは嬉しいけど、ここは私の世界だし、紅音をあんまし危ない目に巻き込みたくないから。 ……それにわかってると思うけど、奴らかなりの変態だよ」

 

  テイルレッドを見た時から、何故か彼女があの変態共のツボにはまっているような気がしてならないし。

 

「たのむ! 俺も、ツインテールを守りたいんだ。 自分の世界だろうが、異世界だろうが、ツインテールがそこにあるなら俺は闘いたい!」

 

  私はフレーヌは目を合わせると、''フレーヌだけ''笑みを浮かべて力強く頷いた。……なんか心配だ。

 

「気をつけてね。 それと、私も一応ついてく」

「あ、ああ!」

 

  紅音も力強く頷き、腕を上げると、右手首に赤いテイルブレスを可視化させる。

  スゥーッと大きく息を吸い、紅音は私と共通のスタートアップワードで、変身を遂げる。

 

「テイルオンッ!!」

 

  光の繭から現れた紅音は身長が一回り小さくなり、無事に異世界のツインテール戦士、テイルレッドへの変身が完了していた。

  こうしてまじまじとテイルレッドを見るのは彼女がこの世界に来た時以来だけど、やっぱり私のテイルギアと似ている……。 というかフォースリボンや腰の装甲やアンダースーツ細かいところを除けばほぼ同じだ。

  紅音の世界じゃ殆どの人がテイルレッドへ対して好評価だったけど、近くで見ると納得するしかない。

 

「うわー、やっぱテイルレッドたん可愛いー!!」

 

  小さい体の愛らしさは勿論のこと、彼女を象徴する真紅のツインテールはなんと見事なことか。

  変身した途端、志乃は顔が緩みまくり、テイルレッドに胸を押し付けている。 ……これから出撃するわけだし、ちょっとだけ強引に引き剥がしておこう。

 

「気をつけてね!」

 

  テイルレッドから引き剥がされた志乃はサムズアップしながらウインクし、テイルレッドに言葉をかける。

 

「サンキュー、志乃。行こうぜ、ホワイト!」

「うん」

 

  紅音の時よりも声が高くなったテイルレッドに促され、私達二人はフレーヌと志乃に見送られながらカタパルトへ飛び込みエレメリアンが出現した場所へと転送された。

 

「おお、テイルレッドではないか!! めんこいのう……ぐへへ」

 

  市街地に現れたエレメリアンは私が前に闘ったシェルギルディのような外見をしている。 変わったところといえば全体の色や体の大きさ、貝の付いている位置と形くらいか……。

  それにしても、テイルレッドを見た最初の一言がそれか。 はやく倒してしまいたいけど、ここは我慢だ。

  私はレッドに危険が迫った時にすぐに対応できるよう、念のためトライブライドになり後方からフロストバンカーを構えて経緯を見守る。

 

「私は濡れ透け属性、クリアスウェットのオイスタギルディである」

『オイスター……つまり牡蠣ですね、貝です』

 

  濡れ透けとは……またマニアックなエレメリアンだ。

  今日は雨が降ってなくてよかったと思う。

  テイルレッドがブレイザーブレイドを抜き取り、構えを取るとオイスタギルディは掌を突き出し、待ったをかけた。

 

「まて、私のこだわりを聞いてくれると嬉しい」

 

 それを聞き、レッドは渋々剣を下ろす。 いや、おろしちゃっていいの?

  オイスタギルディは「感謝する」と呟き、頷くとそのこだわりを話し始める。 別に私は聞きたくないけど、レッドが許すならしょうがないかな。

 

「私は濡れ透けが好きだ。だが、ただの濡れ透けではない!女子高生のワイシャツが濡れて透けるその様がたまらなくてしょうがないのだ!! 」

 

  聞くんじゃなかった。

  後悔する私をよそに、オイスタギルディはどんどんヒートアップしていく。

 

「女子高生のワイシャツから透けて見える物に、年頃の男子はドキドキし直視できないながらも、チラチラと期待を込め確認していくものだ」

『ぐ、エレメリアンの割に鋭い事を……!』

 

  なんで女の子であるはずのフレーヌが共感しているのか。

 

「そして私は思うのだ! 男子の期待を背負い、その濡れ透けを浸透させるのが……使命だと……!」

 

 ちょっとダジャレ入ってない? 全っ然面白くないのは、オイスタギルディに報告した方がいいのかな。

 ていうか、そろそろ私は聞くのが辛くなってきた。

 

「だからこのワイシャツを着てほしいのだ。テイルレッドの装甲は透けても下着には見えない故テイルホワイトよ、着てくれ」

「嫌に……決まってんでしょうが━━━━━━━!!!」

 

 我慢の限界がきた。 気づいたら私はフロストバンカーから光線を放ち、オイスタギルディの持っていた真っ白なワイシャツを真っ黒な炭へとメタモルフォーゼさせていた。

 

『目が光ってる奏、久しぶりに見たなあ』

 

 志乃が昔の私を懐かしむ中、ワイシャツを持っていたオイスタギルディは哀しみにくれ四つん這いになってしまった。 頭にきたからやっちゃったけど、エレメリアン相手でもちょっと申し訳ない気がしてきた。

 

「ふふふ……拒否されようとも、私の意思を変えることなど不可能! 絶対に着せて、濡らせ、透けさせてやるぞ!!」

「目瞑って聞いてたらいろいろとやばそうな単語があるって」

 

 オイスタギルディは自分の貝鎧の中から再び新しく真っ白なワイシャツを取り出した。

 

「透けブラ━━━━!!!」

 

  オイスタギルディは咆哮しながらテイルレッドを飛び越え、私の眼前まで移動すると、ワイシャツを高々と掲げる。

 

「もう属性力変わってるでしょ!?」

 

  咄嗟に光線を放ち、今度はワイシャツではなくオイスタギルディに命中させると踵で地面を抉りながら交代していった。

 

「私は知っている。 下着属性を吹聴し、同胞たちから蔑まされながら戦果をあげてきた戦士を……!! 透けブラもまた、同じなのだ!」

 

 下着属性のエレメリアン、どこかで聞いたような覚えがあるけど。

 

「だから私は、透けブラと両立できる濡れ透けを極めようとした。しかし、それではダメだ。 やはり私は透けブラがいい!!」

「無理……もう無理。 ごめんレッド、お願い!」

 

 散々嫌な演説を聞いたせいだろうか。 光線を二回放っただけで、かなり体力を持っていかれてしまった。

 本望ではないけど、とりあえずここはレッドに任せるしかないか。

 私の様子を見て察してくれたのか、レッドはすぐに頷きブレイザーブレイドをオイスタギルディへと突きつけた。

 

「むうう……テイルレッドでは透けブラにはならないのだ。 めんこいが……惜しいが……どいてくれ!」

「いや、退かない。 今日は俺が相手になるぜ!」

 

  レッドの言葉を皮切りに、テイルレッドとオイスタギルディの闘いの火ぶたが切って落とされる。 正確には白いワイシャツが斬って落とされたわけだが。

 

「うおおおおお!」

「な、何という幼女だ……!」

 

 流石テイルレッドだ。 異世界で私が見た時と同じように、目の前の巨体へブレイドを振るい確実にダメージを与えていく。

 記憶がなくなってテイルギアの力が扱えないという心配は必要なかったらしい。

 何百もの斬撃を受け、オイスタギルディの強固な貝殻はところどころにヒビが入り始める。

 

「ブレイクレリーズ!!」

 

 ブレイザーブレイドの刃先に炎が弾け、バスケットボール大に膨れ上がった炎の球体をオイスタギルディへと投げつける。 目の前で爆発すると螺旋を描き、身体の周囲を取り巻く軌道が円柱のように変化した。

 

「これが、テイルレッドのオーラピラー!」

 

 テイルレッドがオイスタギルディへと近づくと、その手に持つブレイザーブレイドが火を噴き出した。

 

「グランドブレイザー!!!」

 

 オーラピラーを刃がすり抜け、そのまま真っ直ぐオイスタギルディの脳天から一気に斬りおろす。

 決着は、ついた。

 

「こんな事になるならば……正直に自分の属性力を向き合うべきだった……!」

 

 最後に今までの自分を悔やみながら、オイスタギルディは爆発した。

 エレメリアンにしては最後が変態的な言葉ではなかったのは意外な事かもしれない。 というか意外以外の何者でもない。 ……イガイガイガイ多すぎて訳わかんなくなってきた。

 やっぱエレメリアンにも色々あるんだね。

 

『紅音さんお見事です! テイルギアの力も引き出せているみたいですし、問題はありませんね』

 

 戦闘データを取っていたであろうフレーヌが嬉々として報告してきた。

 確かに、側で見ていた私もテイルレッドに異常は感じられなかったし、私達が心配しすぎていただけらしい。

 

「報道の人達来ちゃうし帰ろう、レッド」

「わ、わかった」

 

 市街地にエレメリアンが現れたせいで、一般の人たちにはテイルレッドの存在を知られてしまったけど、運良く報道関係者は来ていないみたいだ。

 さっさと帰ってしまうのが吉だろう。

 ただ、今の時代インターネットというものが、全世界に広まっていることを忘れてはならない。

 明日の朝のニュースは、視聴者提供のテイルレッドで盛りだくさんだろうなあ。

 

 

 何者にも決して侵されることのないアルティメギル基地。 その基地の再奥のあのフロアにはシャークギルディが散ってから誰一人として足を踏み入れた者はいなかった。

  一度主人を失ったこのフロアだが、主人であるシャークギルディが復活したことで、今一度、彼の修行のため使われている。

 

 自分が倒れてからのテイルホワイト及び新たな戦士、テイルシャドウの記録映像を見たシャークギルディは更に自分を追い込むため、このフロアへとやってきていた。

  フロアはシャークギルディが倒れた時から手がつけられておらず、当時の修行の名残がある。

 床に落ちている原稿用紙。 これこそ、シャークギルディが修羅の試練である''メロゲイマ・アニトュラー''に挑戦していた事の証。 そして、修行を終える前にシャークギルディは出撃し、テイルホワイトに敗北した。

  当時を思い出し、シャークギルディは身体を震わせる。

 

「ここが貴方の部屋ですの? 美しくない部屋ですわあ」

 

 フロアに響く聡明な声を聞き、シャークギルディは素早く振り向いた。

 

「エンジェルギルディ……!」

 

 敵意を露わにして、シャークギルディは苦々しく声の主の名前を呟く。

 

「ッ!?」

 

 エンジェルギルディと名前を言ったその瞬間、シャークギルディが全く反応できない速度で彼の頭の真横を黄金の矢が掠めていった。

 

「上官に対して、無礼ですわね」

 

  先ほどフロアに響いた聡明な声が、暗く冷たい声となって再度フロアに響く。

 エンジェルギルディは手に持った弓をしまい、口元へ手を当て微笑した。

 

「エンジェルギルディ……殿。ここは我のみが入る事を許されたフロア。 我が隊の者がここへ来ることはないでしょう」

 

 退屈そうに腕を組み、エンジェルギルディはシャークギルディの言葉を受け、頷いていく。

 

「……教えていただきたい。 なぜ我を……我を復活させたのかを。 なぜ、ヴァルキリアギルディ殿の力を借りてまで、一部隊の隊長でしかなかった我を復活させたのか!! そして何より、なぜ我以外の復活を拒むのか!?」

 

 シャークギルディは自分が復活してからずっと抱いていた疑問を全て、目の前の天使へとぶつけた。

 

「何回も言ったではありませんの。 首領様も期待していた貴方を失うのは、アルティメギルにとっても痛手と申しておりましたわ。 そこで、ヴァルキリアギルディさんに私からお願いしましたの」

 

 ノータイムで返された返事にシャークギルディは納得せず、頭を抱えた。

 実はこの疑問は何回か既に、エンジェルギルディにぶつけていた。しかし、帰ってくる答えはいつも同じだった。

 いつもはここでシャークギルディが折れていたが今回は違うと、一歩も引くことなくシャークギルディは続ける。

 

「我を首領様の意思で蘇らせたなどと……! 我は首領様の考えではなく、あなた自身の考えを聞いているのです!」

「私自身の、ねえ。うーん、そうですわねえ……」

 

 ここに来てエンジェルギルディは顎に手を当て深く考え込む。

 

「聖の五界もテイルホワイトらによって三人の幹部が敗れてしまいましたし……新しい力が欲しかったんですの」

「我はあなたの部下になる気など微塵もありませぬ!」

「今はそう思うのですわね。 まあ、時期に私の下に就きたいと思う日が来ることは必至ですが」

 

 意味深な笑みを浮かべると、エンジェルギルディはシャークギルディの持っている紙切れを注視する。

 

「今更ですけれど、そのヒロインが巨乳になってしまったことで自暴自棄になるストーリーは如何なものかと思いますわ」

「エンジェルギルディ殿、我は師であるクラーケギルディ様の意思を継ぎ、紡いでいくと決めております。 それは、修行の中で執筆した小説にも同じ事です」

「そ、そうですの。 素晴らしい事だと思いますわ……はい」

 

 適当に返事を返し、エンジェルギルディはそそくさと早足でフロアから出て行った。

 

「今こそ、クラーケギルディ先生が我に授けてくれた貧乳の極意を使う時だ」

 

 フロアに落ちていた紙切れを握りしめ、シャークギルディは呟き、歩を進めた。

 ━━━━自分の仇を討つために。

 

 

 私の予想通り、次の日からテイルレッドは爆発的な人気を集めていた。

 

『こちら、首相官邸前です! エレメリアンが出現しない事でテイルレッドたんが見る事ができないと民衆が大規模なデモを行なっております!!』

 

 いやいや、人気過ぎじゃない!?

 テイルレッドの初戦闘から三日間、エレメリアンは現れずに平穏な日々を過ごしている。 が、この国、ひいてはこの地球上の人々にとってそれはツインテールの戦士に会えないという事だ。 私は理解できないけど、世間的には我慢ならないんだろう。

 おっと、現場のアナウンサーがデモの男性に質問を始めたらしい。

 

『エレメリアンが出てこないからテイルレッドたんを見る事が出来ないだろうが!! 首相は何とかしろー!!』

 

 うわ、暴動みたいなのが起こり始めた。 収拾つかなくなりそう。

 

「新しい娘も可愛いけど、私はやっぱりホワイトちゃんのがいいわねえー」

 

 私と一緒に朝食を食べているお母さんがテレビを見て言う。

 お母さんには私がテイルホワイトだという事を伝えてはいないけど、どうやらあのパーティー会場で助けられた事が余程嬉しかったみたい。それからは新聞の記事を切り抜いてファイリングするほどのファンになってしまった……。

 私がテイルホワイトだよ、なんて言ったらどんな反応するのか凄く気になるけど我慢ね。

 

「奏、そろそろ時間じゃない?」

「え、やば。行ってくるね!」

 

 お母さんの言葉で気づき、私は急いで家を飛び出した。

 この前一度遅刻しちゃったし、これ以上は内申がヤバイから遅刻するわけにはいかない!

 

 放課後、学校下のフレーヌ基地へとやってきた。

 私と志乃とでメインルームに入ると、フレーヌが難しい顔でキーボードとタブレットを忙しなく操作している。

 タブレットに視線を落としていた二人は、私たちが来た事に気づくとチョイチョイと手招きをしてきたので、いつもの椅子にどっと座り込む。

 フレーヌはタブレットに繋がっていた電源コードのようなものを全て外し、テーブルに置く。

 

「紅音さんこと、テイルレッドがこの世界に来た原因がわかりました!!」

「ほんとお!?」

 

 瞬時に志乃は反応して椅子から立ち上がりテーブルを両手で叩く。 志乃の反応とは対照的に、紅音は静かに座ったままだ。

 

「はい! 私はエンジェルギルディあたりが仕組んでいるのかと思いましたが、そうではありません」

 

 フレーヌはタブレットをいじり、エレメリアンを表示させると、その周りにグラフのようなものを表示した。

 よく見るとタブレットに映っているのはシャークギルディだ。

 

「復活したシャークギルディの周りに空間を歪ませる物質が渦巻いています。これがテイルレッドと無関係とは思えません」

「復活したエレメリアンが空間を歪ませる……もしかして!?」

「この世界とは別の世界で、大量にエレメリアンが復活し、空間を裂けさせ偶然この世界と紅音さんの世界を繋げてしまったのかもしれません」

「シャークギルディの他にも、エレメリアンが……」

 

 沈黙が続く中、フレーヌは立ち上がり、再びタブレットをメインのモニターへと接続するとメガネをかけこちらへ向き直る。

 メガネにどんな意味があるのかはわからないけど、フレーヌの顔は真剣なものだ。

 

「続いて紅音さんについてです」

「紅音の!?」

 

 先程とほとんど同じ動作で志乃がまた声を出す。

 

「記憶を無くす原因となったのがエンジェルギルディに間違いはありません。ですが、記憶を無くす大部分の原因は紅音さんが生身で世界間を繋ぐトンネルを通った事にあります」

 

 モニターに映し出されるエレメリアンが移動などに使っている極彩色のトンネル。 その周りに、人間にとって有害な物質がズラッと並んでいる。

 でも、私だって通った事はある。

 

「私が黒羽に投げ込まれた時は、なんともなかったよ?」

「黒羽さんは奏さんをゲートに入れる直前、何重ものフォトンアブソーバーを奏さんへ覆い被させていたんです」

 

 へえ、黒羽自身から話さないから全然知らなかった。

 

「紅音さんはそのような加護はなかったものの、テイルギアのおかげで辛うじて意識を保ち心身を疲労させた状態でこの世界へ降り立ちました」

 

 あの時、突然ゲートが開いてその中からテイルレッドが現れたんだっけ。

 そして私たちと一緒に、ウンディーネギルディを倒そうとしたところにエンジェルギルディが現れたんだ。

 

「テイルレッドの属性力は強大なものですから、おそらくエンジェルギルディはテイルレッドを無力化しようとしたんでしょう。しかし、これまたフォトンアブソーバーによって技の威力は弱まり一部の記憶は残ったままになってしまった……と思われます」

 

 記憶が無くなったのはそういう事だったのか。下手したらテイルレッドは全く普通の女の子になってたって事だよね。

 

「てか、話聞いてるとそのエンジェルギルディってやつミスしてばっかだな」

 

 私の後ろで嵐が呆れた声を出す。 ……いつの間に居たんだ、嵐は。

 

「今回の件についてはあちら側のミスによるものですが、それ以外は奏さんと私たち自身で乗り越えてきました。 エンジェルギルディ……聖の五界を、アルティメギルは油断できない存在に変わりありません」

 

  実力的には私でも敵わない事は充分にわかっているつもりだし、フレーヌの言うことに意見はない。

 

 

 ミーティングがひと段落し、各々がくつろぎ始めたその時、無情にもエレメリアンの出現を知らせるアラートが基地に響いた。

 

「エレメリアンです……! 計三体の反応がありますが……」

「黒羽に連絡してフレーヌ。 あとは私と」

「勿論、俺も行く!」

 

  紅音と視線を合わせ、お互いに頷き合うと私達は変身する。

 志乃の「気をつけて」という声を最後に、私達はカタパルトへと入り込みエレメリアンが出現した場所へと向かった。




なかなか進みません…。
遅いですが年が明けました。
今年もツインテールよろしくお願いします。
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