身長:257cm
体重:302kg
属性:貧乳属性(スモールバスト)
神の一剣のエレメリアンであるヴァルキリアギルディの''死して尚変態(ヴァルハラ)''によって蘇ったシャークギルディそのもの。 テイルホワイトと最後に闘った時よりも遥かに強くなっており、実力は聖の五界の幹部エレメリアンにも匹敵する。 過去にメガロドギルディとなった事を恥じており、別の方向で更なる強さを得る事に成功した。 それと同時に過去に敗れた経験から性格も以前のような厨二病のような言動はなりを潜め落ち着いた性格となっている。
転送ゲートを抜け、見えてきたのは……海だ。
日本の浜辺みたいで、近くに日本語の看板が見える。 十二月のこの時期には少し早いが砂浜に雪が多少積もっており幻想的な風景となっていた。
私の地元じゃ見られない光景だけに、やけに物珍しく感じてしまった。
周りをざっと見回したところエレメリアンは見当たらないし……奪うべき属性力を持っている人もいない。 いるのは私とテイルレッドだけだ。
「フレーヌ、ここであってるの?」
『間違いありません。 その近辺にエレメリアン反応が確認できます』
「でも、周りに人がいないぞ……ん?」
エレメリアンを探していたレッドが急に俯き、何かを考え出したようだ。
「どかした?」
「いや、なんかデジャヴを感じるっていうか、この状況は……そうか!」
「ちょっ!?」
突如レッドは何かに気づき、私を突き飛ばす。 思いの外強く押された私は何メートルか先の砂浜へ尻餅をつく。
痛いお尻を気にしつつ、テイルレッドの方へ視線を向けると、砂が飛び散りその辺りがよく見えなくなっている。
「ええ!?」
埃が大分収まると、先に見えてきたのはブレイザーブレイドを抜いたテイルレッド。 そして、次に見えたのがレッドを上から抑えつけるシャークギルディだった。
どうやらテイルレッドはシャークギルディの不意打ちから私を守ってくれたみたいだ。
「さすが究極のツインテール……見事だ!」
「不意打ちで相手の力量を測るってことか! なんか覚えがあったんだよ!!」
レッドはブレイドを力一杯押して、シャークギルディから自信を解放すると跳躍し私の前へ着地した。
私は立ち上がると素早くアバランチクローを装備する。 もちろんそれは、私の後ろにいるエレメリアンに攻撃するためだ。
「そんなに警戒しないでよ。 別に私は手出すつもりないからさ」
透き通るような女性の声をしたエレメリアン、ウンディーネギルディが後ろで答えた。
振り返るとウンディーネギルディの他にもう一体、聖の五界と思わしきエレメリアンも一緒だ。
そういえば出撃する前、フレーヌはエレメリアンの反応が三体あるって言っていた。 シャークギルディとこの二体の反応って事だろう。
「何の用だ、ウンディーネギルディ殿。 我の邪魔をするのは許さんぞ!」
私とテイルレッドを挟んでシャークギルディとウンディーネギルディは対峙している。 反応を見る限りじゃそこまで仲良くないみたいだけど、部隊が違うとそんなもんなんだろうか。
「サポートしてあげてって隊長が言うから仕方なしにきてあげたんだから感謝してちょーよ」
「我自身の手で、過去を斬るために赴いたのだ!」
「まあまあ、私らだってあんたがテイルホワイトと闘いたいのはわかってるって。 だから私らがテイルレッドの足止めをしといてあげるからさ」
ウンディーネギルディが言い終わるのと同時に、横にいたエレメリアンがレッドに向かい突進しはじめる。
いつものレッドなら難なく迎撃できるだろうが今の今までシャークギルディに注意を注いでいたせいで若干反応が遅れてしまった。
「くっ!」
無理な体勢でレッドが攻撃を受けようとしたその時、
「卑怯な真似をするのね」
空から聞き馴染みのある声が聞こえると次の瞬間、突進してきたエレメリアンは砂浜をゴロンゴロンと転がっていく。
「助かったぜ、シャドウ!」
遅れて現れたシャドウは少しだけレッドに微笑むと、すぐに私と一緒にウンディーネギルディを睨みつける。
「手出すつもりないとか言っときながらすぐに矛盾してるじゃん!」
「よく聞きなよ。 ''私は''手出してないって」
なんて性格の悪いエレメリアンだ……。
私が警戒の姿勢を崩さないのを見てシャドウは振り返り、今度はシャークギルディと対峙した。
「お久しぶりです。 いや、其方は我を導いてくれたオルトロスギルディ殿ではないようですな」
「ええ、その通り。 私は速水黒羽でありテイルシャドウ。貴方の知っているオルトロスギルディじゃない。あいつの影ってところね」
どうやら何か因縁めいたものでもあるのだろうか。
こう着状態が続く中、私は一つ決心し、二人に小さな声で話しかける。
「悪いけど二人とも、私もう一度シャークギルディと闘いたい。一応シャークギルディに聞いときたいこともあるしね」
私の話を聞いてもちろん二人は目を丸くする。 しかし、レッドはすぐに凛々しい笑みを浮かべると力強く頷いてくれた。 一方の黒羽も無表情ながら納得はしてくれたようでウンディーネギルディへ狙いを定めた。
二人からお許しが出たところで私はアバランチクローを一旦手放してシャークギルディに向かい歩き出す。 そして、シャークギルディと初めて対峙した距離で歩みを止め、話しかける。
「この前はゆっくり話せなかったからね。少しだけ話がしたかったの」
「話だと? ふ、既に亡者である我にする話とは、気になるな」
シャークギルディが腕組みをしたままで攻撃をしてこないことを確認でき、私はテイルギアから一つの属性玉を取り出し胸の前へ掲げる。
「それは……我の物か。 それを我に見せつけてどうするつもりだ」
貧乳属性の紋章が入っているその属性玉はシャークギルディの言う通り、私が彼に勝った時に拾いあげたものだ。
それと見せつけているわけじゃない、これは確認だ。
エレメリアンの核である属性玉はここにある。だけど目の前にシャークギルディは存在している。 そんな矛盾が本当に起こるのか確認したかった。
「属性玉を必要としないで生き返れるなら……もしかしたらあんたは人の属性力を盗らなくても生きていけるんじゃないの?」
「……何が言いたい」
シャークギルディは変わらず腕組みをしたままだが聞こえてきた声は先程よりも低い。
「前にも言ったはず。 私はアルティメギルを潰す為に闘っているんじゃない、この世界を守る為に闘っているって」
前に闘った時に私は言った。
フレーヌや黒羽には気の毒かもしれないけどエレメリアン達がこの世界から居なくなるなら追い討ちをするつもりがないのは今も一緒だ。
「これからは今までの事を悔いてあんたとあんたの部隊がこの世界から撤退するなら私は━━━」
「━━━時間の無駄だな」
気づいた時にはシャークギルディの手にはスモールバスティラスが握られていた。
「我等は生きる為に属性力を喰らい続けてきたのだ。生きるための行いを悔いるつもりも無ければ、大人しく撤退するつもりもない! お前を倒すために散っていった我が部下達のため、基地で吉報を待つ部下達のため、我を鍛えてくれた師匠達のため、我は闘うのみだ」
シャークギルディがスモールバスティラスを振るうと辺りに突風が巻き起こり、地面に積もった雪を舞い上がらせていく。
「そうだよね……。エレメリアンがそういう事に熱いのはわかってたはずなのにね」
少しだけ期待していたの事実だし、その方法を望んでいたのも事実。 だけど結果はなんとなくわかっていたんだ。
今の私のツインテールはどんな風に舞っているのか。 それがシャークギルディからどう見えるか、少しだけ考えてしまった。
気づけば舞い上がった雪が再び地面へと落ちてきて、今まさに雪が降っているような状態となっている。
意を決してフォースリボンを触れると、左右の手に再びアバランチクローが装着された。
そして私は、いやらしくシャークギルディへと問いかける。
「メガロドギルディにならなくていいの?」
「以前は剛の力を頼るあまり情けない姿を晒してしまった。 我にとってこの姿こそが真、このシャークギルディこそが最終闘体そのものだったのだ。 そして━━━━」
シャークギルディは握っていたスモールバスティラスを投げ捨てると新たな武器を握り締めた。
「━━━これこそ我の行き着いた先、最強の武装
新たに握りしめられた武器はスモールバスティラスと同じ槍。同じ槍ではあるが、穂先が大きく槍というより斧に近かったスモールバスティラスに比べると至ってシンプルな三叉の槍だ。
シャークギルディが最終的に行き着いたのは元々高い自分の能力を最大限に活かせる武器だってことか。
「今度こそ決着をつける、シャークギルディ!」
「応とも。我の勝ちで終わらせるぞ、テイルホワイト!」
私とシャークギルディ、同時に地面を蹴ると互いに向かっていく。
自分のツインテールと会話して高めた私と、自らを変えずに自分の力を引き出すシャークギルディ、どっちが強いか勝負だ!
◇
テイルホワイトを見送った後、二人はホワイトと同じように直ぐには戦闘を開始していなかった。
二人の顔を見た後、ウンディーネギルディが指を鳴らすと背後に極彩色のゲートを生成した。
「このゲートの向こうはテイルレッド、君の世界だよ」
「なんだって!?」
テイルレッドが二、散歩前へ進んだその時横にいたシャドウがノクスアッシュをウンディーネギルディへ投げつける。
「安易に飛び込むのは危険よ。 本当の事かどうか怪しいもの」
命中はせず、ノクスアッシュは再びシャドウの手元へと戻ってきた。
「信用されてないねえ」
ウンディーネギルディはガッカリしたようにわざとらしく大きくため息をつくとゲートを消滅させ、菱形の黒い石を取り出す。
「ゴッドブレス……!」
ゴッドブレスを味方のエレメリアンへと放るとそのエレメリアンはためらいなく自らの身体に其れを埋め込む。
やがてゴッドブレスを埋め込んだエレメリアンは身体が紅く発行し始めた。
その事を確認したウンディーネギルディは鞭を取り出し、テイルレッド向けて振るい始める。
「いつまでものんびりしてたら、その属性力研究材料にしちゃうよ!」
間一髪のところで鞭を避けると、レッドはすぐにブレイドで鞭を叩き斬る。
「ふざけんな! ツインテールを守るために闘ってる俺が、そんな事させない!」
ブレイドを構え、レッドはそのままウンディーネギルディに近づき上段から振り下ろす。 が、ウンディーネギルディは鞭の持ち手でブレイドを防御し、鍔迫り合いの状態となった。
「あなたはまだ知らないでしょうけど、自分のせいで世界がツインテールになっていく様をみてそんな事言えるのかな?」
「なんだって!?」
僅かに聞こえたウンディーネギルディの声を聞いて、黒羽は即刻目の前のエレメリアンを吹き飛ばし疾駆する。
「アンリミテッドチェイン!!」
進化装備を胸にかぶせ、アンリミテッドチェインとなり、進化した斧でウンディーネギルディを狙う。
「はああっ!」
斧を振り下ろすと同時にウンディーネギルディは大きく跳躍し、攻撃を避け距離を取った。
「邪魔してくれちゃって」
「悪いけど、今の話については私がじっくりと聞いてあげるわ」
「用があるのはレッドだけ。 オルトロスギルディは大人しく他の子を相手にしててよ」
ウンディーネギルディの言葉同時に、先程吹き飛ばしたエレメリアンが瞬間的にシャドウの前へと移動し、今度は鎌のような武器を振るい始めた。
「邪魔ね……!」
エレメリアンが黒羽を自分から遠ざけたのを確認したウンディーネギルディは不敵な笑みを浮かべテイルレッドへと近づいていく。
威圧感をその身に受けながらもテイルレッドは後退りする事なくブレイドを構え、再びウンディーネギルディへと斬りかかった。
「究極のツインテール、テイルレッド。一つここでネタバレしてあげる」
「何っ!?」
「あなたはこの先、今よりももっともっとツインテール属性を高めていくけれど……そのせいで全世界を滅ぼす事になっちゃうんだよねえ」
「俺が、世界を滅ぼす!?」
「そそ。皮肉ねえ、ツインテール属性が強すぎるあまり……究極のツインテールであるせいで世界を無にしてしまう。 研究したくてしょうがないわ!」
ウンディーネギルディはテイルレッド目掛けて鞭を振るうと、レッドの身体に巻きつけそのまま自身の方へと引っ張る。
「首領様が目を掛けているあなたの全部を解明して私こそが科学班の、いえ……神の一剣のトップへと登りたいの!」
「うああああああ!!」
眼前までテイルレッドを引き寄せると強力な蹴りを繰り出しレッドは飛ばされていく。
「あっはははははははは!! 何処にも行かせないからねっ!!」
鞭を操りウンディーネギルディはレッドを砂浜へ、海へ、岩へ次々と何回も打ちつけていく。
「こんのぉー!!」
レッドはなんとか空中で体勢を立て直すと両足で着地、そのままウンディーネギルディへ向かい両足で蹴りかえす。
蹴られた勢いでウンディーネギルディは鞭を手放し、レッドはようやく解放され素早くブレイザーブレイドを抜き取った。
「痛うう……!」
砂浜を転がり海へと落ちたウンディーネギルディが立ち上がると、既に眼前にブレイクレリーズされ、中央から炎が吹き出るブレイドが接近していた。
「グランドブレイザアアアアア━━━━ッ!!」
袈裟懸けに振り下ろされた炎の剣により周囲に積もっていた雪は一瞬にして溶けていく。
「いやあああああああああああ!!?」
炎に包まれながらウンディーネギルディはその場に両膝を地につけると倒れこみすぐに爆発し、爆煙を巻き上げた。
「はあ、はあ……ぐっ!」
反撃出来たとはいえ、幹部エレメリアンの攻撃を受け続けたレッドはダメージが大きくその場に膝をつき、呼吸を整える。
『紅音さん、その状態で闘うのは危険すぎます。 ここは一度こちらへ戻ってきてください!』
「悪いけど……そうさせてもらおうかな……」
爆煙を背にしてテイルレッドは転送され、フレーヌ基地へと戻っていった。
◇
砂浜から離れ、雪の深い森の中でシャドウは枝から枝へと飛び移りながら反撃の隙を狙っていた。
「いくらゴッドブレスとはいえ、エレメリアンをここまで強化させる事なんて不可能のはず……ウンディーネギルディが弄ったのね」
身体を赤く発光させ、木々を薙ぎ倒しながらエレメリアンはシャドウを追い掛ける。
シャドウは飛び移るのをやめ枝の上に立つと地上にいるエレメリアンへ視線を向ける。
「これ以上は自然破壊よ。 目を覚ましたらどうなの、ゴブリンギルディ」
ゴブリンギルディと呼ばれたエレメリアンはシャドウの立つ大木へ拳を叩き込むと、その大木も根元から折れ大きな音をたてながら倒れていく。
倒れる途中に大木から飛び降りたシャドウはそのまま真下にいるゴブリンギルディへ膝打ちするとすぐにもう一発蹴りを入れ、ゴブリンギルディを倒れる大木の下敷きにした。
「ウンディーネギルディも随分めちゃくちゃするのね。マーメイドギルディといい勝負……いえ、アイツはもっとやばいわね」
顎に手を当て考え事をしていると、後ろの大木が空高くへと舞い上がりシャドウ目掛けて落下してきた。
「はあ!」
ノクスアッシュトリリオンを目にも止まらぬ速さで振り抜くと、宙に浮いていた大木は粉々になり地面へと落ちていく。
「どうやらウンディーネギルディはゴッドブレスそのものをさらに改造してるみたいね」
ゴブリンギルディはゴリラのように自分の胸を叩くと両の手に棍棒のような武器を作り上げる。
「ぐおおおおおお!! 三……白眼ンンンン!!?!」
二つの棍棒を打ち合わせると深い雪の中かから太く逞しい根がせり出し、周囲を薙ぎ払っていく。
「エレメリアンがここまでの破壊行動なんて、随分と落ちたものね」
迫りくる根を避けながら悪態を吐くシャドウ。しかし、ゴッドブレスを使っているゴブリンギルディは気にも止めずに次々と巨大な根を地面から出し辺り一面に打ちつけていく。
周りの木々が薙ぎ倒され森がボロボロになっていく様を見ていたシャドウは舌打ちすると、ノクスアッシュトリリオンを自然へと襲いかかる根へ投げつけ切り刻んでいく。
「タリ……ナイ……!! サンッ………パクガ━━━━ンッ!!!!」
注意を引きつけた事でシャドウへ何本もの巨大な根が向かってくる。
「出なさい、ジャックエッジ!!」
巨大な根がシャドウへと届く直前に手元に出現させた武器で目の前の根全てを切り裂いた。
シャドウの手に握られているのはかつてアルティメギルに居た頃、オルトロスギルディの力でテイルギアに近い装甲を纏っていた頃に愛用していた漆黒の太刀を小型化したものだった。
元へ戻ってきたノクスアッシュトリリオンを左手に、ジャックエッジを右手に持ち替えシャドウはゴブリンギルディ目掛けて疾駆した。
「サンパクガン……ワルク、ナ━━━━イ!!!」
向かってくるシャドウへゴブリンギルディは先程よりも太く、大きな根を地面から出現させ向かわせた。
「言ってる意味がわからないわね!」
向かってくる巨大な根へと、今度はブレイクレリーズさせたノクスアッシュトリリオンを水平にして投げつけると巨大な根を真っ二つへと斬り裂き、その先にいたゴブリンギルディへ真一文字の傷をつける。
巨大な根の上下に裂けた中央の僅かな隙間をスライディングするかのようにして避けたシャドウはジャックエッジを両手で握りしめた。
「次生まれる時は、上司を間違えない事ね」
真一文字の傷の下、下段からジャックエッジを渾身の力で斜めに振り上げる。
「グゥアアアアアアア……!!」
ゴブリンギルディは身体中から放電しながら吹き飛んでいき、空中で大爆発を起こし散っていった。
落ちてきたゴブリンギルディの属性玉を回収すると、右手に握られていたジャックエッジが黒い粒子となって消えていく。
同時にシャドウのアンリミテッドチェインも解除され、地面に刺さったノクスアッシュを回収した。
シャドウが、自分のいた浜辺の方角を見ると大きな爆煙が上がるのが見える。
「レッドの炎の後にあれね……。ウンディーネギルディを倒したのね」
『黒羽さん、すみませんが一つお願いしてもよろしいですか?』
フレーヌから通信が入り、煙の方角へ歩きながらシャドウは答える。
「ええ、何かしら?」
『実はですね━━━━』
フレーヌからのお願いにシャドウは歩みを止め、頷くと再び煙の上がる方角へ歩みを進めはじめた。
◇
予想以上、そんな言葉では足りないくらいにシャークギルディは強くなっていた。
力任せに拳を振るっていたメガロドギルディの時とはまるで違う。 攻撃の一つ一つが自分が有利になるように計算尽くされている。
私も自分のツインテールと会話して、テイルギアのツインテール属性の楓と会話して以前とは比べられない強さになっている筈なのに……シャークギルディは武器を変えただけでなんでこんなに強くなっているのか、まるで意味わかんない……!
「何が、あんたを……ここまで強くしたわけ?」
短い期間の中にここまで強くなる方法、聖の五界がここに来てから何回も使ってきた道具が私の頭の中によぎる。
「その方法はお前と同じだ!」
「え?」
シャークギルディから一旦離れ、今度は私の攻撃の番だ。
シャークギルディの懐に入り、左右のクローを叩きつけていく。
手応えはある……しかしよく見ると、シャークギルディは左右のクローの攻撃全てを
「私と同じってどういう意味なの!?」
武器と武器が交錯して金属音を鳴らし、火花を散らしながら雪を巻き上げ激しさを増していく。
「我らアルティメギルの猛者達を相手してきたであろう。クラーケギルディ様をはじめ、我が右腕のオルカギルディ……そして聖の五界!」
言い終えたところでシャークギルディは
空中でなんとか体制を立て直すと両足で波打ち際に着地する。
「我は強者を相手にする事で自らの力を高めたのだ。 どうだ、お前と同じ事だろう?」
確かにそうかもしれない。
私だって最初は今よりも弱かった。 だけど、色々な闘いを経て力を高め、今は自分のツインテールを好きになる事が出来たんだ。
エレメリアンもそこら辺は同じなわけね。
「なるほどね。ならその相手は聖の五界のエレメリアンってわけ。少年漫画にありがちな仲間との修行ってやつね」
聖の五界のエレメリアンは並みのエレメリアンの強さじゃない。 修行相手にはうってつけってわけだ。
「違うな」
納得する私をよそにシャークギルディは首を横に振った。
「我が相手にした強者とは、オルトロスギルディ様との修行で鍛え上げたメガロドギルディを破った者だ」
メ、メガロドギルディを破った?
それって、まさか……。
「わかったか。 我が死する直前まで闘っていたお前こそ、我をここまで強くしてくれた相手だ」
「私が……?」
「そうだ。 テイルホワイトという生涯最強の敵を前にして、我は強くなっていたのだ!」
これは、喜ぶべきなのかな……。 それともシャークギルディを強くしてしまった事への反省をしなければいけないのかな。
ただ、好敵手として見られるのは悪くない気分ではあるかな。
「お前のように中途半端な胸を誇りに思っているものはそうはいないぞ。 貧乳を愛する我にとって見方によれば巨乳好き以上に厄介かつ強大な敵といえる」
「いい話っぽかったのにどうしてそうなるわけ!? 余計な一言が多いのよ、あんたは!!」
忘れかけてけどエレメリアンて変態なんだよね。……うん、変態なんだよ。
「あー、もうっ! しらけた!」
私が大声を上げたところで、遥か後方の砂浜で大きな爆煙が上がった。
シャドウかレッドか、どちらかがウンディーネギルディか一緒にいたエレメリアンを倒してくれたみたいだ。
「煙が上がる前に炎が見えた。 おそらくテイルレッドがウンディーネギルディ殿相手に勝利したのだろうな」
なんだろう……仲間が倒されてもこの淡々とした感じ。
オルカギルディやシャークギルディ部隊のエレメリアン達とは反応が明らかに違う。
やっぱりシャークギルディは聖の五界とはうまくいってないって事なのかな。
『奏さん。 ウンディーネギルディとの闘いで紅音さん自身にもダメージを受けてしまったので一旦基地へと転送します』
「よろしくね」
私の返答後まもなくして、フレーヌの後ろから機械越しに志乃と紅音が話しているのが聞こえてきた。
無事で何よりだけど、ウンディーネギルディを倒せたのは大きいはずだ。
聖の五界は四体の幹部がいると言っていた。
サラマンダギルディとシルフギルディはシャドウに。 ノームギルディはエンジェルギルディが粛清。 そして最後に残ったウンディーネギルディも倒せたとなるといよいよゴールは近いってわけね。
後は目の前の壁をどう超えていくかだけど……。
「……シャークギルディ。 私から提案……いや、お願いがあるの」
「まさかまた撤退しろと言うつもりではあるまいな」
まさか、そんな事言うわけない。 シャークギルディの覚悟はさっき痛いほどわかったからね。
わかったからこそ、このお願いは聞いて欲しいんだ。
「今月の二十五日。そこで私とあんた、本当に最後の決着をつけよう」
「ほう……。今ここで終わらせる事は拒むのか」
「誰かさんがしらける事言ったせいでね。 こっちにも心の準備とか、そういうのが欲しいの」
それに、今の私じゃシャークギルディに勝てるか怪しい。 可能ならこの期間で強くなれればとも思う。
「……いいだろう。 その''お願い''とやら、聞いてやる」
そう言うとシャークギルディは背後にゲートを出現させる。
「だが、次はない。二十五日、お前が負けるか闘いに挑まなければ必ずこの世界の属性力を頂く。覚悟しておけ」
「ありがとね。 それと、覚悟しとくのはそっちもだよ」
シャークギルディは最後にフッと笑うとゲートの中へと姿を消していった。
『何か狙いでもあるんですか?』
「いやまあ、ベストコンディションで挑みたいってのがあるけど。 さっきの貧乳トークでしらけたのが大部分」
『は、はあ……』
流石にこの理由じゃフレーヌが困惑しているのが通信機越しからでもよくわかる。 でもまあ、これが本音だしなあ。
「ホワイト、ちょっと」
「あ、シャドウも無事で良かった」
いつのまにか後ろに来ていたシャドウに肩を叩かれ、私は案内されるがままテイルレッドとウンディーネギルディが闘った場所に来ていた。
流石にレッド、あたり一面の雪が全く無くなってるし、砂浜も焦げているようだ。
でもシャドウがここに案内してきた理由は何だろう。
辺りを見回した後、シャドウは話しはじめる。
「ウンディーネギルディの属性玉が見当たらないわ」
「え?」
エレメリアンが爆発してから属性玉がなかった事は一度もない。 今までは爆発した場所に浮いているか、私の方へ勝手に飛んできたりしたけど……。
『まさか、ウンディーネギルディは……』
エレメリアンの核である属性玉が現れない現象を意味する事、それはつまり━━━━
『━━━━まさか、倒せていなかったのか!?』
一番驚愕の声を上げたのは、ウンディーネギルディに必殺技を放ち爆発させた張本人であるテイルレッドだった。
◇
アルティメギルの鑑の薄暗い廊下をおぼつかない足取りで歩く一体のエレメリアン。
壁に手を当て、休んでいると背後から声をかけられた。
「やはり無事であったか、ウンディーネギルディ殿」
先程この艦へ戻ってきたシャークギルディだ。
声をかけられたウンディーネギルディは、特徴的だった腰回りから足元へ伸びるドレスのようだったパーツは焼け焦げ、黒くなっているた。それ以外にも傷が増え、それはテイルレッドとの激しい戦闘を物語っている。
「いくらテイルレッドとはいえ、ここまで私が追い詰められるとは思わなかったわ……」
ウンディーネギルディは胸の辺りにできた傷を撫でながらシャークギルディと向かい合う。
「しかし、そのテイルレッドの必殺技を受けてもその傷。 さすが聖の五界の幹部……と言ったところか」
ウンディーネギルディはグランドブレイザーを受ける直前に、自身の武器である鞭を使い体の周りに水の膜を形成しダメージを抑えていた。 そして技を喰らった直後に、爆発したかのように見せかけ素早くゲートに入り込み基地へと戻ってきていたのだ。
「シャークギルディも決着はつけなかったみたいだけど、いいわけ? 下手したらあなた、明日も生きられるかわからないでしょ」
ウンディーネギルディの言葉には答えず、彼女を通り越してシャークギルディは大ホールへ歩き出す。
「ま、いざとなればゴッドブレス貸してあげるよ。 私特製の最高品質のやつをね」
ゴッドブレスをちらつかせながら大ホールとは逆方向へ歩き出すウンディーネギルディ。
「我はそんな物には頼らん。 ウンディーネギルディ殿よ、仲間に其れを使うのはやめておけ」
立ち止まると拳を握り、怒りを隠さないシャークギルディは鋭い声音で呟くと再び歩き出す。
聞こえないフリをして、その場をしのいだウンディーネギルディは自らの部屋に向かう途中新たな作戦を立てていた。
(あの科学者が言っていた研究……。 戦女神がツインテイルズの世界にいるのなら実現する可能性は高い。 その作戦を私は利用する……!)
ドアを開け、部屋に入ると早速研究のためのスペースへと立ち入った。
「まずはソレを可能にする物がないと、ね」
ウンディーネギルディが密かに始めた作戦のため、研究をはじめる中、部屋の外に立っていたエンジェルギルディは冷たい笑みを浮かべていた。
久しぶりの更新になります。