身長:170cm
体重:254kg
属性力:???
エルフギルディ
身長:185cm
体重:246kg
属性力:???
私は今、飛行機に乗っている。
何回か乗った事はあるけれど、今回はオーストラリアのゴールドコースト空港までなんと九時間半弱の長フライトだ。
今から寝て、起きたらオーストラリアはすぐだけどこの状況ですぐに寝られる私たちではない。
私はもちろん、前後左右にいるクラスメイト達は皆自撮りや女子トークに花を咲かせている。
少しシュチュエーションは違うけれど、これぞ''修学旅行の夜!''って感じがしてとてもいい。
そんな中通路側に座っている志乃は既に寝息をたてていた。
女の子だけの空間だからまだ許せるけど志乃は寝てると無防備すぎる。 こんな寝顔男の子には見せたくないし、見せられないな!
気持ちよさそうに寝ている志乃に配慮して私は積極的に話には参加せずにスマホを弄っているというわけ。
たまに話しかけられると返事をしながらスマホを弄るのを続けていると、後ろに座るクラスメイトの会話が聞こえてきた。
「みてみてー、ハロウィーンと雪のコラボだって!」
「クリスマスじゃなくてハロウィーンと雪を合わせるなんて変わってるよね」
へー、本当に変わってる。
企画した人は何を思って二月にハロウィーンを絡ませようと思ったのか。 季節外れにも程があると思うけど……。
初めて聞いたイベントが気になり、スマホで検索をしてみると……お、出てきた。
どうやら東日本を中心に今日本で開催しているらしく、話題になりそうなイベントなのに耳に入ってこなかった理由は大きい宣伝などは全くしていないからとのこと。
最近のハロウィーンらしく仮装するのはもちろんだけど、その状態で雪祭りを楽しむものらしい。
少しだけ気になるけど、修学旅行には全然叶わないかなー。
それからもなかなか寝付けないままスマホをいじり続け、気がつくと時間表示は午前〇時になっていた。
隣の志乃が狭い席で寝返りをうつ。
「あか……ね……スゥ……」
「志乃……」
志乃の寝言を聞き、スマホの電源を落とす。
紅音が……総二が自分の世界に帰ってからもう一ヶ月以上経つけど、やっぱり志乃は寂しかったんだ。
目を瞑り、総二の事を考える。
元は私より一つ下の高校一年生の男の子なのに、変身したら小さな子供になって、初めて会った時はその小さな子供が成長した姿になってて……今思っても不思議な人だった。
総二は今、何してるんだろう。
当たり前だけど総二たちがどうしてるかなんて異世界の人間である私たちが知ることなんてできないし、かといってその世界に簡単に行けるわけでもない。……そうとはいえ私は二回、総二の世界に行ってるわけだけど。
ま、総二みたいな重度のツインテールバカがエレメリアンなんかに負けるわけないし、きっと闘い続けているんだろうな。
レッド、ブルー、イエロー、ブラックにシルバー、そして仮面ツインテールね。
仮面ツインテールのトゥアールさんがフレーヌの世界で闘ってたツインテールの戦士なら表立って闘わないのは何故だろう。
闘わない……もしかして、闘えない?
勝手な解釈だけど、もしトゥアールさんが罪滅ぼしの為にテイルギアを纏っていないなら……きっと悔しいだろうな。
きっと総二も……トゥアールさんと並んで闘える事を……望んで…………。
◇
「暇です! 暇です! 暇です━━━━ッ!!」
午前〇時過ぎ、奏がようやく寝息を立てはじめた頃、フレーヌは一人自分の基地にて絶叫していた。
頭を抱えるフレーヌを風呂から出てきた黒羽は一瞥し、テーブルに置いてあるファッション誌を手にとり読みはじめる。
風呂からあがったばかりという事もあり、流石の黒羽もツインテールを解いていた。
「黒羽さん……」
「いつのまに!?」
声をかけられたので視線を上げると、僅か数十センチの位置にフレーヌの顔があり少しだけビックリした様子の黒羽。
すぐにいつもと同じクールな表情へと戻った黒羽はフウッと息を吐き、再びファッション誌に視線を移して話しはじめる。
「そもそもフレーヌでしょう。奏たちの修学旅行をサポートするって言ったのは」
「それはそうですが……」
「警察じゃないけど、私たちが暇って事は修学旅行が順風満帆って事でしょ? 喜ぶべきことじゃない」
諭すような笑顔の黒羽をみて、フレーヌは頷く。
フレーヌが納得した様子を見せた事で、黒羽は再び髪を乾かすために部屋から出ていった。
ポツンと一人残されたフレーヌはメインモニターに向かうと、今まで倒したエレメリアンのデータを打ち込みはじめる。
(エンジェルギルディが前線に出始めているという事は
フレーヌは奏や黒羽と違ってテイルギアを扱う事はできず、志乃や孝喜と違ってエレメリンクする事もできない。
自分ができる事といえば、テイルギアのメンテナンスと戦闘の際の誘導やサポート。
この世界を守るため、自分の世界で闘ってくれた戦士に会うため、フレーヌはエレメリアンの分析を進めていく。
モニターに映し出されたテイルホワイトとテイルシャドウに倒されたエレメリアン達。
もはや何体か数えきれないほどのエレメリアンをホワイトとシャドウは倒してきたが、この中からエンジェルギルディと特徴が似た者がいないか細かくチェックしていく。
(エンジェルギルディに実力が一番近いのは、やはりセドナギルディだろうけど……)
モニターにセドナギルディが映し出され、細かい情報が羅列されると同時にエレメリアン出現のアラートが基地に響き渡った。
それを聞きつけた黒羽がツインテールにしながら部屋へと戻ってくる。
「まさか私が言った暇という言葉がアルティメギルに届いたんでしょうか……」
「そんなわけないでしょ……。 ほら、カタパルトよろしく」
テイルシャドウへの変身が完了すると、カタパルトへ入り、エレメリアンが出現した場所へと転送された━━━━
━━━━シャドウが降り立ったのは上空に星が輝く野原だった。
肌に当たる風は冷たいものだがこの地に雪は積もっておらず、辺り一面草花が広がっていた。
周りを見渡し、人が居ない事に疑問を持ちつつシャドウはエレメリアンへ向かって歩いていく。
「よう、オルトロスギルディ。 テイルホワイトは……いないのかよ」
草原に佇むエレメリアンはキジムナギルディだった。
「……何度言わせるのかしら。 私はテイルシャドウよ」
今まで散々口にしてきているのに
そして溜息を吐いた後、キジムナギルディしかこの場にいない事に疑問を持つ。
「見たところあなただけみたいだけど……それで私に勝てるのかしら?」
素早くアンリミテッドチェインとなり、いつでも攻撃できるようノクスアッシュトリリオンを左手に持つ。
キジムナギルディは軽く頭を掻いた後に大きなため息をついた。
「かてねーなぁ」
「……えらくあっさりと認めるのね」
「そりゃねえ。普通の形態すらいい勝負できるか怪しいのに、強化されちまったら勝算なんて全くねーって」
「調子狂うわ……」
『言う事は本当のようですが……』
多少戸惑いながらも、自らへと疾駆してきたキジムナギルディを斧で一閃。
武器として使っていた長槍を弾き飛ばすとその勢いのまま、ブレイクレリーズし必殺技を発動する態勢に入った。
しかし━━━━シャドウが勝利を確信し、斧を振るった瞬間、キジムナギルディは不敵な笑みを浮かべた。
「負けるとわかってんのに正々堂々と勝負するわけねーだろーがっ!」
ブレイクレリーズしたノクスアッシュが、キジムナギルディが手に持っていた''ある物''に当たり鈍い音を響かせる。
''ある物''を見たシャドウは目を見開く。
「
「違う!」
属性玉のような形を見て咄嗟に出て言葉は、すぐに否定された。
シャドウが一瞬力を緩めた隙にキジムナギルディは地面へと降りて、大きく距離をとった。同時に自信に満ちた声で叫んだ。
「
勢いよく胸へ
「
『ただ……セドナギルディに進化したのは特有の事みたいですね。 キジムナギルディにそのような変化は見られません』
「相手がどんな姿になろうと、
アンリミテッドブラを装備し、チェインエヴォルブ。
アンリミテッドチェインとなると、すぐさまシャドウは左の拳を突き出す。
対してキジムナギルディは右の拳を突き出すも、それが届く前にシャドウの拳が身体へ直撃━━━━大きく空中へ吹き飛ばされる,。
「悪いけど、ここから何日かはおとなしくしてもらわないと困るのよね!」
ノクスアッシュトリリオンを手に持ち、後を追うようにシャドウも高く飛び上がる。
既にブレイクレリーズされ、光の刃を輝かせる斧を上段に構えた。
「ルナティックウゥゥッ!クラアァァイシス━━━━━━━ッ!!」
振り下ろされた斧が一斬。
シャドウが地面に着地するよりも前に、キジムナギルディは地面へと叩きつけられると、じきに体中から放電しはじめる。
「つえー……」
うつ伏せの状態からなんとか転がり、仰向けになったキジムナギルディがポツリと呟く。
シャドウは変身を解除して速水黒羽へと戻り、空に浮かぶ星を眺めた。
時々見える流れ星を見ていると、同じく星を見ていたキジムナギルディに声をかけられ視線を地面の方へと移した。
「
「言われなくても」
最後に無垢な子供のような笑顔をしたキジムナギルディは大きな爆発を起こすと、属性玉が黒羽の手に収まる。
『
「いよいよって感じね」
もう一度だけ黒羽は夜空を見上げると、優しく微笑み、基地への帰路についた。
◇
陽の光が顔に当たると同時に、志乃の声が頭の中へと響いてきた。
そういえばアイマスクしないで寝ちゃったんだっけ。
ゆっくりと瞼をあげて周りの状況を確認すると、どうやら志乃以外にも起きてる人が多いらしい。
「おはよー奏」
「うん。 はよー……」
周りの雰囲気から察するに、そろそろ着陸でもするのだろう。
窓から見える景色も飛行機のはるか下に広大な大地が広がっており、他の国の上空にいるんだと実感する。
それから飛行機の中でできる朝の身支度を済ませて大人しく座っていると、機長さんからアナウンスが入る。
「着陸だって」
アナウンスとCAさんの呼びかけにより、皆がベルトを締め着陸に備えていく。
これからが修学旅行の本番だ!
無事に飛行機は着陸し、入国手続きやらなんやらめんどくさい事を終えると、私たちはようやく空港から出る事ができた。
季節が逆と聞いていたけど、意外とそこまで暑く感じず丁度いい気温という感じだ。 ……ま、まだ朝だしこんなもんなのかな。
大きな荷物は既にホテルへと運んでくれたし、私たちは早速この街の観光へ出発する事になる。
最初の日はクラス行動が基本で、三十人ほどの団体移動となるともちろんバスとなる。
現地の会社のバスへと乗り込み、ここからまた何十分かずっと席に座っているわけだけど……乗り心地は悪くないのでなんとかなりそうだ……隣を気にしなければ。
「おい、伊志嶺。どうやらエレメリアンが出たみたいだぞ」
出席番号順になると嵐、伊志嶺で何かと隣になる事は多いけどなにも修学旅行でそれを適用しなくても、と思う。
とはいえ嵐の言う事も気になるので、向けられたスマホを見てみると写真はないが『テイルシャドウ、エレメリアンを撃破!』とネットニュースになっていた。
全く連絡がないのを見るにどうやら本当に、私の修学旅行を守ってくれるらしく自然を頰が緩む。
「ははっ、写真がないのは使用料取られるからだろうな」
シャドウにお金を請求されないようメディアもだいぶ工夫してるなぁ。いずれは名前さえ伏せられて報道されるかもしれない。
その後は特に話す事もなくバスに揺られる事、約四十分後に最初の目的地へと到着した。
有名な観光地であるだけあって人は多い。
このエリアは海水浴は勿論のこと、サーフィンやバーベキューまでできるビーチに加えて、近くにはショッピング街が広がり一日目ながらここでお土産を買ってしまおうかと悩んでしまう。
一日目は主にこの辺りの散策や海水浴で終わってしまうだろう。
……とはいえまだ午前なんだけど、本当に一日をここで過ごすのだろうか?
「海に入ってりゃ時間なんてあっという間だろ」
「心読まないでよ」
嵐の言う事はもっともだと思うけど、スタイルのいい外国人の中で水着になる勇気は私にはない。
エレメリアンに中途半端と言われ続けたせいでなんだか自分に自信が持てなくなってきた。エレメリアン、許すまじ。
それにしても、先生がいるとはいえ外国でこんなにフリーダムに動き回っていいものなのだろうか。
今この状態は団体行動よりも自由行動に近いし。
海ではしゃぐ同級生達をボーッと眺めていると、ポニーテールの水着姿の女子がこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
「ねえねえ、嵐君に奏もせっかくだし海外の海で泳がない?」
自由行動で一緒に回る予定の彩だ。
志乃もそうだけどなかなかのスタイルを持つ彩にとってはどこの国の海であろうと躊躇わずに水着姿になれるらしい。
「私はいいや。早くも疲れちゃったし、今回はみんなを見守ってるよ」
せっかくのお誘いだがやはり私に水着になる勇気はなかった。
「えっと……俺も」
「行ってきなよ」
「え?……あ、ああ」
私が口を挟んだ事に多少困惑した様子を見せながら、嵐は彩とともに海へと向かっていった。
嵐が断ろうとした時に見せた彩の悲しそうな顔見たらフォローせずにはいられなかったけど……なんだろう、このモヤモヤ感は。
結局、嵐は彩や近くにいた男子とはしゃぎまくってるし……。
「……ストリートに行くか」
いっこうに胸のモヤモヤが晴れず、気分転換を考えて私はその場から離れた。
外国で一人になるのは少し心配ではあるけどまだ午前だし、そこら中に同級生がいるし大丈夫だろう。
「俺は入るぞ!」
……あ、長身の真部とメガネの武川が先生に捕まってる。
目の前にあるお店がクラブだという事を考えると、二人で入ろうとしたところを先生に抑えられた、てところか。
班員ではあるけど擁護のしようがないし、私は無視してストリートに連なるお店を物色しはじめた。
その後お店を適当に見て回ったり、再び海辺へと戻ったりしていると、あっという間に時間は経ち、バス移動を終えて今はホテルの部屋にいる。
ストリートには意外と目を惹くものが多くて早くも色々と買ってしまった……。 あまり買うと帰りが大変だしこれくらいにしとかなければ。
「よっと!……あ」
作りが豪華なソファに深々と腰を下ろして、何気なしにテレビをつけてみるとエレメリアンに関するニュースがやっていた。
「あ、外国じゃ黒羽の映像使ってるんだね」
はは、流石に黒羽も外国のメディア全てをチェックする暇なんてないだろうしね。
オーストラリアのテレビなのでもちろん英語だけど、英語に関してはまあまあ自信があるので何を言っているのかは大体わかる。
「''テイルシャドウがまたエレメリアンを倒した''って映像を使うかわりに最低限の事しか放送してないね……」
意外かもしれないけど英語の成績は私より高い志乃である。
この修学旅行、志乃がいるおかげで現地の人と話す際も困る事はないだろう。
そんな英語力を持つ志乃がニュースを見て苦笑いすると、私もそれにつられて顔をひきつらせた。
まさかとは思うけど……海外のテレビにまで黒羽は警戒されているのだろうか……。
「修学旅行中、もう二体も倒しちゃったんだね。さすが黒羽!」
「キジムナギルディにエルフギルディか……。なんかここにきてペースが早まってるような……」
「エレメリアンなりの奏への嫌がらせだったりして」
「正体バレはしてないから平気……だよね」
修学旅行中でもやはり、エレメリアンの話は入ってきてしまう。……正直、慣れているのでどうという事はないけど。
その後もテイルシャドウに関して極力触れないようキャスター達がエレメリアンのニュースを締めくくり、さっさと次のニュースへと移ってしまった。
「ハロウィーンと雪のフェスティバル……昨日見たやつだ……」
飛行機の中で見た日本ではおかしな、もっと言えば真夏であるオーストラリアではもっとおかしなイベントが紹介されはじめた。ていうか近くで開催しているらしい。
「へえー! 結構近くでやってるみたいだよ。自由行動の時行ってみない?」
「……マジ?」
「ガチマジ!」
まあ、確かに私たちの自由行動の範囲内でやっているみたいだし、時間は充分にあるし、少しくらいの寄り道は平気だろう。
それにしても、テレビで紹介されてるのを見ても雪の部分が全く見つからないのは如何なものか。
夏だししょうがないっちゃしょうがないけど、ならなんでオーストラリアで開催した……。
「そろそろ夕飯だし食堂行こっか」
「うん、行こっ!」
余程お腹が空いていたのか、志乃はスキップで部屋から出て行く。
テレビを消そうとリモコンを取ったところが私は思わず電源ボタン押すのを躊躇してしまう。
……先ほどの雪ハロウィーンのニュースの中、キャスターが会場の紹介をしている中で写っていた━━━━
「━━━━エ、エンジェルギルディ……!」
どうも、阿部いりまさです。
とうとう高校二年生の最大イベントである修学旅行がはじまりました。
この修学旅行を終えると、同じように高校二年生もすぐに終わって、本格的に受験シーズンへと突入していくものです。
この話が修学旅行を終えた時、はたしてどうなるのか……。
もうしばしお待ちいただけたら嬉しいです。
それでは!