私、ツインテール戦士になります。   作:阿部いりまさ

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ジャックオランタギルディ
身長:209cm
体重:288kg
属性力:仮装属性(ディスガイズ)

聖の五界(セイン・トノフ・イールド)に所属する紳士然としたエレメリアン。 属性力を広めるため、自ら祭りの主催者となり世界を旅してきた努力家でもある。 自らの属性力の力で人間を一瞬で仮装させる事ができ、その能力はテイルギアの装備の一部を無効化してしまうなど非常に強力なもの。

ジャックフロストギルディ
身長:88cm
体重:146kg
属性力:女子高生属性(ハイスクールガール)

聖の五界(セイン・トノフ・イールド)に所属するエレメリアンで元参謀。今時の若者を自称し、自撮り棒は常に持ち歩き、インスタ映え写真を撮り、難解な言葉を使う。通常は短い手足だが、任意で長さを変える事ができる。 相棒のジャックオランタギルディによく自撮り棒を叩きつけている。


FILE.74 佳境の修学旅行(兆候)

 フロストギルディは、雪だるまの癖にすばしっこく動きながら攻撃を仕掛けてくる。

 手脚のリーチが短い分なるべく距離をとればいいと最初は考えていたが、そこまで簡単な話ではなかった。

 

「逃がさないってねー!」

「ふぎゃ!?」

 

 フロストギルディの短い腕が、急に何メートルも伸びてくると、私の脚を掴んで地面へと叩きつけられた。

 まさか腕が伸びるなんて……。

 油断したけど、これくらいでは私に大したダメージは入ってはいないしまだ平気だ。

 ただ公園の地面を傷つけてしまったのは申し訳ない。

 

『奏さん、そこは危険です!』

 

 顔を上げると、いつのまにか目の前に仮装属性のジャックギルディの姿があった。

 シャドウと闘っていたはずだと思いながらも、クローユニバースを目の前のカボチャへと繰り出す。しかし、相手の胸に当たったのはクローユニバースではなく只の拳だった。

 

「あれ、まさか………あーっ!?」

 

 パンチを受けて吹っ飛んだジャックギルディが私の姿を見てニヤつく。

 私自身もすぐに自分の姿が、シャドウと同じようにテイルギアが変化し、''白いナース服''に変わっている事を理解した。

 しかも丈がかなり短く、膝上三十センチほどだろうか。

 こんなのミニスカナース服履く人なんてもはや見られたい人じゃないの!?

 痴女か私は!

 

「な、なな、なななな何てカッコさせんの!?」

「ふふふ、やはり余の目に間違いはなかった。 良く似合っているぞ」

 

 エレメリアンによく似合っていると言われても全く嬉しくないんですけど!

 吹っ飛ばしたジャックギルディの後ろに立っていたシャドウは目を丸くした後に、両の手の人差し指を合わせバツが悪そうに目を逸らす。

 

「ホワイト、あなたにそんな趣味があるなんてね……」

「それ言う!? シャドウがそれ言う!?」

「安心なさい。 これからも一緒に闘うのは変わりないから」

 

 あーもうっ、恥ずかしい……!

 普段のテイルギアでも露出はまあまああったけどそれとはまた全然違う恥ずかしさだ、これ。

 とにかく、こんな格好じゃ闘う事なんて絶対にできない。

 

「フレーヌ、この格好……どうにかできない?」

『えっと……私でどうにかできるのなら黒羽さんのを既に戻していますよ』

「ですよね……」

 

 なんとなく察しはついていたけど、ほんの少しの希望も打ち砕かれた。

 このミニスカ痴女ナースの格好が全世界に晒されたら私はどうしたらいいんだろう。 いっそのこと氷の中に籠るか。

 

「全然似合ってっから安心しろ! 安心して闘ってくれ!」

 

 遠くでフランケン嵐がなんか言ってるけど全然励ましの言葉にはなってない。

 てか嵐は馬鹿か!

 こんなんで闘ったら私もシャドウと同じ評価になるっての!

 

『流石にこの状態で奏さんは闘わせることはできませんね。 黒羽さん、お願いします!』

「しょうがないわね」

 

 フレーヌからの通信を聞いてシャドウが頭を抱えると、大きく跳躍して私の前へと降り立つ。

 私も闘う気満々で変身して、かっこよく登場したのに、結局黒羽に守られることになるなんて……。

 申し訳ない気持ちと恥ずかしさで顔が熱くなってきた。

 いや、こんなんじゃダメだ!

 私はテイルホワイト。

 ついさっき私は闘うと決めた。

 いくら痴女ナースの格好だろうと、自分に闘える力があるのなら、私は闘う……!

 スカートの裾を抑えながら立ち上がり、ジャックギルディへと飛びかかろうと脚に力を込めたその時━━━━

 

『あ、そちらの国のテレビでも中継をはじめましたね』

 

 フレーヌが言った何気ない一言を聞いて、再び私はその場に蹲ってしまった。

 やっぱり無理!

 こんな姿全国に晒すなんてやっぱ絶対に無理っ!

 

「まさかのホワイトちゃんの弱点発見とか、ジャッ君やるじゃん、最&高!」

「余は仮装属性を広めるためにした事よ。 テイルホワイトが仮装したとあれば、彼女に夢中な者たちは我先にと仮装属性を目覚めさせていく事だろう」

 

 自撮り棒で私をフレームに入れて自撮りしつつ喜ぶフロストギルディと、満足そうに頷くジャックギルディ。

 できる事なら今すぐにこの拳をぶち込んでやりたいところなのに……純情な私は、やはりこの格好では動けない。

 一度変身解除すればこの格好ではなくなるのではないかという考えが頭によぎるが、危険な賭けだ。

 元の格好に戻る保証はないし、そもそもこの近くには撮影をしてるモケモケや、同じ班の彩と真部と武川がいる。

 変身解除してしまうとみんなに正体が知られてしまう。

 

「まさか、恥を捨てるしかないの……!?」

 

 私がこうして悩んでいる間も、シャドウは一人下着を公開しながら闘ってくれている。

 いくらシャドウの実力は高いとはいえ、素手での闘いで、しかも二体のエレメリアン相手となると最初は優勢でも次第に状況は変わっていく。

 シャドウのように恥を捨て、思いっきり闘える事ができれば正直、二体のエレメリアンを倒すのにそこまで時間はかからないだろう。

 いや、しかし……!

 

『奏さん』

 

 未だに悩む私に、フレーヌが真面目な声音で通信してきた。

 

『相手の能力を調べた所、非常に高い仮装属性の力がテイルギアを覆っている事がわかりました。 これに対抗するにはこちらも属性力を目一杯上げてもらうほかないと思われます』

「え、まさかガルダギルディの時とは逆で今度はツインテール大好きー、とか叫びながら攻撃しろって事……」

 

 それだけは断固拒否……と言いたいところだけど、元の格好に戻れるのならそれは我慢するしかない。

 しかし、フレーヌと私の考えは違っていたようで。

 

『いいえ、それでは足りません。 奏さん、私の考えだと黒羽さんとのエレメリンクでツインテール属性を一時的に増幅させる事が可能かも知れません』

 

 黒羽と、エレメリンク!?

 三つ編み属性の強い志乃とエレメリンクしたらトライブライド形態になり、ポニーテール属性の強い嵐としたらポニーテール形態になった。

 なら、ツインテール属性の塊のような黒羽とエレメリンクしたら……確かにめちゃくちゃ強くなりそうだ!

 直ぐにでも始めたい、そう口に出そうとした時再びフレーヌから通信が入る。

 

『しかし、ツインテール属性を重ね掛けするのは非常に危険な行為です。 ''私''ではどうにかできません、''奏さん''自身の力で……ツインテールを制御しなければいけないんです』

 

 なるほど、外からフレーヌがツインテール属性を制御する事は出来ない。 だからさっき、私にその方法を教えなかったという事だろう。

 フレーヌが私を心配してくれてとても嬉しい。

 だから私はフレーヌに心配させないよう、しっかりと制御して、成功させるしかないっ!

 

「おっけー、フレーヌ」

 

 私は立ち上がり、テイルブレスが付いているであろう右手首に左手を添える。

 

「という事だからシャドウ、お願い!」

 

 二体を相手にしていたシャドウはチラリとこちらを見ると、浅く頷き大きく跳躍して距離をとる。

 そして志乃や嵐が良くやるように、テイルブレスを天高く掲げる。

 確認後、遠くで見ている志乃と嵐にも視線を向けた。二人は気づいてくれたようだ。

 それをモニター越しから見ていたであろうフレーヌも私の考えを読み取ったようで……。

 

『まさかお二人とも同時にエレメリンクする気ですか!? テイルギアにどんな反応が起こるか想像できませんよ!?』

 

 かなり焦った様子で言ってくるあたり、本当に何が起こるかわからないんだろう。

 フレーヌはいつも、闘っている私の心配を第一に考えてくれてきた。

 だから、安心させるために私は笑う。

 

「大丈夫! なんとなく……何故だかわかんないけど自信あるんだ、私!」

『かなり心配ですが……奏さんがそう言うなら仕方ありませんね』

 

 フレーヌも納得してくれたみたいだ。

 私もこの格好やめたいし、ジャックギルディとフロストギルディも律儀に待ってくれてるみたいだし、シャドウは腕がプルプルしはじめたし、そろそろ始めようか!

 

「お願い、みんな!」

 

 その瞬間、先程まで消えてしまっていたテイルブレスが右腕に現れるとコアの部分が眩く光りだした。

 ノーマルチェインの時はもちろん、トライブライドやポニーテールになった時でも変わらなかったコアの鮮やかな青色が初めて変化していった。

 変化した後のコアは、一言で表現するなら宇宙だった。

 小さなコアの中に、本物の宇宙のようにたくさんの輝きが見える。

 コアの変化が終わると、次にテイルギアに変化が起こった。

 一瞬でミニスカ痴女ナースの格好から元の姿へと戻ると、目の前に小型のフロストバンカーが二つ現れた。

 元々あった腰の装甲が消え、二つのフロストバンカーが両サイドに装着し新たな装甲へと変化。

 続けてそれと同じく、小型化したアバランチクローのような装甲が肩から二の腕にかけて装備された。

 髪型は変わらずツインテールであり、風圧で美しく舞い踊る。

 

「おおお……!」

「すっごいフォトジェニックじゃん、これ……!」

 

 二体のエレメリアンが驚嘆する中、私は両腕を前へ突き出す。

 すると右手にブライニクルブレイド、左手にはジャックエッジが逆手で握られた。

 これで完成、これこそが━━━━

 

「━━━━テイルホワイト・エレメーラフュージョン!!」

 

 真っ先に声を上げたのはフレーヌだった。

 

『姿が……変わった…!?』

 

 やはりフレーヌの思っていたのとは違った形にはなったらしいけど、ミニスカ痴女ナースじゃなくなっただけで結果オーライだ。

 すぐに私は、遠くにいるジャックギルディへと狙いを定め、左右に着いた小型のフロストバンカーを展開、何発もの光線を発射した。

 

「余が捉えきれないだと!?」

 

 発射した光線よりも早くジャックギルディへと接近し、ブライニクルブレイドは振り下ろし、ジャックエッジは斬りあげる。

 

「速い……」

 

 超スピードを見て、黒羽も感心したように声を漏らす。

 その後、何歩か後退りしたところで、最初に撃った光線が次々とジャックギルディへ命中していく。

 私が行った全ての攻撃をまともに受け、跪くジャックギルディ。

 

「ブレイク……レリーズッ!!」

 

 左右のフロストバンカーを使い、大きく跳び上がりるとブレイドとエッジをクロスさせる。

 今まさに、ジャックギルディを倒さんと必殺技を発動させようとしたその時━━━━

 

「━━━━あれ?」

 

 目の前でクロスさせた筈のブレイドとエッジが消えてしまった。

 それだけでなく腰のフロストバンカーも、肩のアバランチクローも、追加装備された装甲も全て消え去り私はノーマルチェインへと戻ってしまっていた。

 

「あー!」

 

 当然、ノーマルチェインに飛行能力はない。

 装甲も全て元に戻ったことで、空中で体勢をキープできなくなった私はそのまま自由落下のように落ち、地面へと激突、大きな穴を開けてしまった。

 

「あれ、終わっちゃった感じ?」

 

 穴から這い上がると同時にフロストギルディが若干つまらなさそうに声を低くして呟く。

 それは私が言いたいことなんだけど……。

 大きなダメージを与えたおかげか、元の格好に戻ったシャドウに手を借りて立ち上がるとフレーヌからの通信が入る。

 

『持続時間はおおよそ八秒ほどみたいですね……。 爆発的に属性力を強化する事はできましたが、そのせいでテイルギアのセーフティ機能が働いて強制的にエレメリンクが解除されたようです』

 

 マキシマムチェインを長く使用できないっていうのと同じ感じみたいだ。

 しかし惜しい。 必殺技を完全に発動できればジャックギルディは倒せたかもしれなかった。

 エレメーラフュージョンに変身して二つの剣を持つまで少し間があったから……あそこで変にカッコつけてなければ……!!

 いや待てよ。 いっそのこともう一度みんなでエレメリンクすればいいのではないか。

 

『……しかもその力の代償かテイルギアにかなりのダメージがありますね。これ以上使用するのは禁止ですよ! 禁止!』

 

 まるで心を呼んだかのようなタイミングだ。

 禁止されたらしょうがないと、マキシマムバイザーを起動させ、今度はマキシマムチェインとなる。

 

「じゃあ、ウチらも秒で強くなっからとりまふぁぼっといてよ」

 

 そう言ってフロストギルディは菱形の属性玉に似た物を取り出した。

 あれは、女神の吐息(ゴッデス・ブレス)!?

 

「ウンディーネギルディは結構な数の女神の吐息(ゴッデス・ブレス)を作っていたらしいわ。 キジムナギルディも、エルフギルディも使っていたからね」

 

 あんまり覚えない名前だと思ったけど、もしかして修学旅行中にシャドウが倒してくれたエレメリアンの事か。

 ただ、お世辞にもそこまで強くなかったウンディーネギルディが女神の吐息(ゴッデス・ブレス)を使ってとんでもない強さのセドナギルディになった訳だけど。

 そのウンディーネギルディよりかは強いこの二体のエレメリアンがそれを使ったらヤバイんじゃ……。

 

「ほらほら、ジャッ君もリアタイであげてくよー!」

 

 一つの女神の吐息(ゴッデス・ブレス)を自分に取り込んだフロストギルディは続けてジャックギルディにもう一つを投げつける。

 女神の吐息(ゴッデス・ブレス)を取り込んだ事で、二体とも体が赤く発光し最終闘体へと進化していった。

 

「アガるわマジ卍あざー!!」

 

 フロストギルディは体躯が一回り以上大きくなりほぼ私と同じくらいの大きさとなると、体の雪が溶け出す。

 

「ああぁぁアツモリイィィィッ!!」

 

 なんと雪だるまの中から白装束を纏ったような姿のエレメリアンが現れた。

 真白な体に、黒髪のようなパーツが頭部から腰まで伸びその周りには小さな吹雪が渦巻いている。

 これはまるで、雪女だ……!

 

「ぐううううおおおお悪戯お菓子属性力ああああああ!!」

 

 ジャックギルディは苦しそうな声を上げると、頭のカボチャが肥大化し、黒かった目や鼻口などが金色に光りだす。

 右手の形状が変化し小型のカボチャとなり、左手には大量の飴玉が入ったバスケットを手に持った。

 これが、この二体の最終闘体……!

 クローユニバースを構え、どんな攻撃にも対応できるよう準備している私とは反対に、シャドウはリラックスした様子で話す。

 

「確かにウンディーネギルディは女神の吐息(ゴッデス・ブレス)は超強化してたけど、それはあの黒エレメリアンありきよ。最終闘体にはなれてもセドナギルディ程の強化はしていないわ」

 

 断言できる、と控えめな胸を張るシャドウ。

 なるほど、最近シャドウが闘った他二体のエレメリアンも女神の吐息(ゴッデス・ブレス)を使っていたみたいだし、そこで効果をハッキリと知る事が出来た、という事だろう。

 そういえば、変化した目の前のエレメリアンはセドナギルディ程の禍々しい姿とはいえない。 どちらかというとコメディチックというか……。

 

「ウチおしゃかわー!こんないいもん残してくれてほんとウンディーネギルディにはあざまる水産!」

 

 ウンディーネギルディが作ったっていうならそれを使ったエレメリアンは大体理性を失っていたりしたみたいだけど……今見た感じだと二体にそんな様子は見られない。

 フロストギルディは何処からかまた自撮り棒を取り出しインスタ用の写真を撮りまくってるし、その後ろで「飴玉がたくさんあるぞ!」と子供のようにテンションが上がっているジャックギルディも同じだ。てか飴玉って……子供かっ!

 

「なんにせよ、ノクスアッシュやジャックエッジが使えるのならそこまで苦戦する事もないわ。 武器が使えるのなら必殺技も発動できるものね」

 

 なんだか闘い辛いな、と思っていたところでシャドウは殺る気満々で斧と剣を両手に持ち、二体へと突撃していった。

 慈悲はないのか……。

 

「……うん、よし。 私も早く修学旅行に復帰しなきゃ!」

 

 向こうの変なテンションに乗せられていたが、私は修学旅行中だ。

 さっさと倒して、班のみんなと合流して……コアラを抱っこしに行く!

 

 

 来た当初はたくさんの隊員達があふれていた基地。

 シャークギルディ部隊の隊員達の話し声が響いていた廊下や、大ホールにはその時の面影など全くなくなっていた。

 しかし、ポツンと大ホールに残る細身のシルエット。

  聖の五界(セイン・トノフ・イールド)の隊長を任されているエンジェルギルディだ。

 視線の先の大モニターには今まさに、ジャックオランタギルディとジャックフロストギルディがテイルホワイト、テイルシャドウの二人と闘っている映像が映し出されていた。

 そしてまもなく、エンジェルギルディを除いた聖の五界(セイン・トノフ・イールド)最後の二体はそれぞれの必殺技を受けて爆散した。

 テイルホワイトが撮影をしていた戦闘員に帰るように促すと、映像は途切れモニターはブラックアウトする。

 モニターに背を向け、大テーブルの椅子に腰掛けると上に乗っているフィギュアを眺めた。

 

「サラマンダギルディにシルフギルディ、ノームギルディ、そして……ウンディーネギルディ」

 

 フィギュアの周りに飾りとしてついていた火と風、土と水を、幹部達の名前を呟きながら外していく。

 残ったのは天使の格好をした美少女のみとなるが、土台を失っても倒れずに自立していた。

 

「ワタクシを高みへと誘ってくれた事には感謝すべき事かもしれませんわね」

 

 次に、この世界で最近販売されたクオリティの高いテイルホワイトのフィギュアを、向かい合わせる形で並べた。

 

「ウフフッ……」

 

 エンジェルギルディが軽くホワイトのフィギュアを小突くと、ユラユラした後テーブルに倒れてしまう。

 

「強大な力の前にしてテイルホワイトが勝つ事など、ありえませんわ。 最後に立っているのはこのワタクシ……!」

 

 不敵な笑みを浮かべると、エンジェルギルディは椅子から立ち上がり、手を二回パンパンと叩く。

 すると廊下から数体の戦闘員が現れた。

 

「全世界に向けてご挨拶といきますわ。 準備をしてくださいまし」

「モケ━━━━ッ!」

 

 数体の戦闘員がモケモケと生放送の準備を始める。

 

「モケッタ!」

 

 準備開始から五分と関わらず機材などを揃え、全世界への生放送の準備が整った。

 

「早いですわね。お疲れ様ですわ」

 

 戦闘員が微妙に話した事を気にする素振りも見せず、エンジェルギルディはフィギュアに背を向けて歩き出した。

 その際、後ろから物音が聞こえ咄嗟に振り返る。

 

「……」

 

 先程までテーブルの上で安定して立っていた天使のフィギュアが倒れ、床へと落ちてしまっていた。

 そして、テーブルの上に残っているのは笑顔のホワイトのフィギュアだ。

 

「モケケ?」

 

 既に生放送に向けてスタンバイしている戦闘員が、立ち止まったエンジェルギルディに声をかける。

 

「何でもありませんわ。すぐにご挨拶を始めますわよ」

 

 テーブルの下に落ちたフィギュアを直さずに、エンジェルギルディはカメラの前へと移動していく。

 駆け寄った戦闘員も準備にかかろうとしたところ、テーブルの上にホワイトのフィギュアが倒れている事に気づく。

 

「モケッ!」

 

 急いで駆け寄り、ホワイトのフィギュアを慎重に立たせると、戦闘員は急いでカメラの元へと走っていく。

 戦闘員が、床に落ちたフィギュアに気づく事はなかった。




皆さんどうも、阿部いりまさです。
今回はサービス回のつもりですが絵がないので、どうかイマジネーションでカバーをお願いします。
ちなみにぶっちゃけるとエレメーラフュージョンは元々別の強敵を相手に考えた形態でした。ですが、その敵を出すタイミングがなくなってしまったのでこの話で少しだけ登場させていただきました。
そして、相手がとうとうエンジェルギルディのみとなり、果たして……!
決戦は近いです。
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