「綺麗・・だな・・・」
地面に仰向けに倒れたまま、木々の葉が風で擦れる音で掻き消えるような小さな声で俺は呟いた
自分の視界には木漏れ日を遮るように俺を覗き込む少女の顔があり、その目は七色に輝いて見えた
俺の言葉が聞こえたのか少女は挙動不審に周りをキョロキョロと見回し、誰もいない事、何か特別な物がない事を認識すると小首を傾げて少女は自分の顔を指さす
この時、俺はどういう表情をしたかは覚えていないが多分微笑んでいたと思う、そして一度頷きそのまま意識を手放した
真っ黒な世界が俺の全てを支配してるような感覚、右を見ても左を見ても真っ黒で何も見えない
どうしてこうなった・・・・
そう自分に問いかけていく、もちろん返事などない
ただこの真っ黒な世界に来る直前に見た七色の瞳がだけが鮮明に思い出される
依然真っ黒な世界から抜け出せず、体には水の中を漂うような心地よい浮遊感があるのを感じると、背もたれのあるイスに腰掛けるようにその感覚に身を委ねた
どうしてこうなった・・・
俺は同じ問いかけをもう一度自分に問いかける・・・やはり返事などない
はぁ~っと深いため息を吐くと俺はゆっくりと目を閉じた
目を閉じてもさっきと同じ真っ暗な世界が広がるだけ、目を閉じていないのかと錯覚するようなその黒は次第に明るく自分の過去を映し出していった
貧しい幼少時代・・・境遇を変えようと剣技を磨くのに明け暮れた日々・・・笑いものにされて挫折した瞬間・・・・努力が実を結び初めて手にした栄光・・・そして・・・・死!!
最後の映像に強烈な嘔気を催し目を開けた
今、視界に広がるのはさっきまでの真っ黒な世界と違うしっかりとした光のある世界、俺は何故かベッドの上に寝ていた
見たことのない天井、体を動かそうとしても激しい痛みで全くと言っていいほど体が言うことをきいてくれない。上体を起こすのさえ不可能な状況だった
(あれ~、俺どうしてベッドで寝てるんだろうな・・・わからん・・・とりあえず痛みがあるということは生きているということなんだろうけど)
整理しきれない状況に頭を悩ましていると、自分の寝ている部屋の外から足音が聞こえてくる
「誰だ」
体の痛みで大声が出せない、なんとか声をふりしぼり足音の主に問いかける
するとピタっと足音が止まる
(・・・・?)
バタバタバタ!!
足音が急にダッシュに変わるとこの部屋の出入り口と思われる場所から笑顔の少女が現れる
「やあああああああっとおきたああああああああ」
満面の笑みで少女がダッシュで近寄りそのままダイビングボディプレスをかましてきた
「ぐおげおあがぐお」
言葉にならない激痛で俺はまた真っ暗な世界へと旅立った
(さようなら俺・・・・今度こそ死んだ)