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これで、『
暗部『アクセル』の構成員二名を殺した『レイ=テレストカ』を串刺しにする事ができた。
「どうせ音恋が死に際にでもこの場所喋ったんでしょお?でもごめんねぇ、こっちはいつでも迎え撃つ準備ができてるんだよねぇー」
ヒールを鳴らしながら、木っ端微塵に壊れた壁からセーラー服の少女が教室に入ってくる。
「こんな雑魚にあいつら殺されたのかよ。やっぱあいつら、その程度だったってことか」
「そんなこと言わないであげてよ。明島や音恋のおかげで彼の事を知れたんだから」
「けっ」
そう吐き捨てると、名織はダランと下がったレイの顔に手を当てる。
「にしても綺麗な顔してんな。やっぱ外人は顔が整ってて羨ましいぜ」
透き通った白い肌や、鼻や唇、耳を徐々に触っていく。その様子はどこか妖艶だった。
「……I'll kill you」
次の瞬間。
剣で突き刺され封じられていたレイの右腕が突如動き出し、名織の首を掴んだ。
「ぐぅえっ!!??」
「Go to the hell!!」
そしてそのまま、窓に向かって投げ捨てた。窓にガラスが無いため、抵抗なく名織の体が校舎の四階から放り出される。
「名織ちゃん!?」
赤傘は慌ててベランダに出ようとレイに背中を向けようとした。
だが、感じた。
とてつもない殺気を。
灰色の髪を持つ少年から。
『背を向けたら殺す』
そう、彼の目が刻みつけてくる。
「君は……一体!?といようりか、その身体……っ!!」
驚いた。
先程まで床から生えた剣で身体を串刺しにされ、足が浮いていたというのに今は地面にしっかりとついている。理由は、彼を見れば明白だった。
「身体の力だけで剣を折って脱出したのか……。なんて強引なことを……、身体がボロボロじゃないか」
赤傘の言うとおり、刺さった剣を無理矢理へし折り、身体の自由を取り戻していた。だが、そのせいで血がいたるところから吹き出している。その姿は、まるで刃という花弁が咲き乱れる花のようだった。
「君、剣山みたいになってるよ……怖い怖い」
一本一本、折れた剣を身体から抜いていくレイ。床や服に染み付いた血の量を見る限り、生死を心配してしまうレベルである。
しかし、彼は倒れていない。
赤い液体まみれになりながらも、真っ直ぐと己の敵を見据えている。
「……落ち着いてきた」
「落ち着いた……?その状態で……?」
「……ちょっと頭に血がのぼり過ぎてた。こんだけぶちまければ、それは冷静にもなるさ」
ブチッ、ブチッ、ブチッ、と。
エグい音を響かせ、ようやく最後の一本を抜き取った。
「……お前があいつらのリーダーだな?」
「そう。名前は
「……分かってるとは思うが、後はお前だけだ。お前を殺して終わりだ」
「そっか……もう、僕だけなのか。本当に寂しくなったものだね」
レイは手に握るブリューナクの穂先をゆっくりと赤傘へ向ける。
「……始めようぜ、能力者」
「……やめた方がいい。君じゃ僕は倒せない。わざわざ僕の
「……一体何を言ってるんだ、お前」
「もういいや。逃げてくれないかな、
なんだ。
なんだ、この余裕は。
何故こんなに余裕なんだ。
目の前の敵の能力は、俺を確実に倒せる程の力があるというのか……?
分からない。
だが、引き下がるわけにもいかない。
「……ふざけるな。俺はお前を殺すまでここを離れるつもりは無い」
「じゃあ……
レイがブリューナクを持つ腕を後ろへ引き、投げ放とうとした時だった。
「……ッ!?」
赤傘はもう、目の前にいなかった。
彼の気配は背中から感じられた。
「体験してくれ、僕の能力を」
ゆっくりと、赤傘の指がレイの身体に触れる。
そして。
「ーーーーーーアァーーーーーァーーーーあああーーーーーッ!!!!????」
声にならない叫び声が廃校舎内に伝わった。
首を抑えながら悶え苦しみ出す少年。
やがて、彼は弱っていき、プツンと動きを止めた。
2
「1分経ったからもう戻ったはずだけど……戻ったところで、だよね」
それが彼、赤傘の能力。
「はぁ。これがバンバン使えたらいいんだけどねぇ。この能力で存在を消した時間だけ僕の寿命を削ってるんだ。つーまーり、一応奥の手ってやつ。でもまぁ、今思うと君に使う価値はあったかもね」
完全敗北。
床につっ伏す彼に相応しい四文字だった。
いや、完全というのはまだ早い。
完全と決めつけるのは……まだだ。
……ドクン。
「……ッ!?」
……ドクン。
「嘘……でしょ……!?」
ドクン、ドクン、ドクン。
聴こえてくるはずの音が、聴こえてくる。
聴きたく……ない。
のっそり、と。
血まみれの少年は立ち上がる。
「化け物ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「俺は……死なねぇぞ……」
荒い息を吐きながらそう告げるが、さすがに無理があったのか、再び床にうつ伏せに倒れ込む。
血がどれだけ出ても、剣をたくさん突き刺されても、心臓や肺を一定時間奪われても、
彼は死ななかった。
彼は生きていた。
レイ=テレストカは生きている。
赤傘が最後に残した言葉は、正しいのかもしれない。
そう、まさしく彼は……
化け物だ。