1
---in a dream---
かつて、トリュシュと呼ばれる少年がいた。
彼はとても明るく、いつもニコニコしていて、みんなにも慕われる、いわゆる『人気者』だった。
そんな彼から、笑顔が消えたのは、きっと『あの出来事』が原因だ。そう、あれから彼は変わった。変わってしまった。何もかもを失った彼は、嘆いた。そして、自らも失いかけた。
失いかけ、己の内に秘める『最後の希望』すら失いかけた時だった。
「おい。何してんだよ。立てよ。諦めんな」
優しくて、心強くて、美しい。
そんな右腕が、彼に差し伸べられた。
「悲劇の主人公気取ってんじゃねぇよ」
彼はこの言葉を、忘れることは無かった。
炎の海に飲まれた街の中で、彼は救われた。
一人の戦士に。
これからの人生を大きく左右するであろう人間に。
彼は出会った。
2
赤傘が消えてから数時間後。
場所は廃校舎。
「……ぁ」
レイに窓から吹き飛ばされた名織は、グラウンドの地面にゾンビのように倒れていた。それもそうだ。学校の四階から落とされれば身体への負荷は相当なものである。
四肢はボロボロ。身体の様々な骨が折れ、地を這いつくばることしか今の彼女には出来なかった。
ジャリ、ジャリ。
そんな彼女のもとへと近づく影が一つ。かろうじて意識のある名織は音の方へ視線を向けた。
ジャリ。
そしてその影は彼女の目の前で歩みを止める。
「おやおや。これはこれは、女の子がこんな時間にこんな所で倒れているだなんて。全く。やはりこの国は物騒ですねぇ」
いかにも『魔法使い』といった真っ黒なローブを見に纏う男。そのローブは所々に赤い刺繍や模様が入っており、黒一色ではない。顔はフードで隠れて見えなかった。
「……ぉ……ま……ぇ……は?」
今にも消えそうな声で尋ねる名織。
「おっと。この国では確か相手の自己紹介を聞く時はまず自分から名乗るのが礼儀と聞いたのですが……。そのご様子だと、無理そうですね」
ゴホン、ローブの男は一度咳払いをする。
「
自身の纏うローブを広げその場で一回転するエンギルス。その姿は、薄れかけた名織の視界にはほとんど映っていなかった。だが、そんな彼女にも一つだけ確かに目に焼きついた物 モノがあった。
「しかし私、もう一つだけ名前があるんです。結構こっちの方が気に入ってたりするので、一応教えておきますね」
フードをゆっくりと外す。すると、そこには黒黒とした髪と、褐色の肌が見えた。だが、それよりも印象づくのはその眼。獣血よりも酷い真っ赤で真っ赤な眼。黒い瞳の周りは赤という赤色で染まっていた。
「『
察しの通り、この少年も
そんな赤眼の少年は微笑む。
夜中の廃校舎のグラウンドで。
心から楽しそうに。
ここで、名織の意識は途絶えた。
3
同時間帯。
場所……、
学園都市の、光の射さないどこか暗い所。
「……もしもし。……よぉ」
Tシャツの上からでも分かるくらいのとても筋肉の発達した男が誰かと電話をしていた。
「俺が聞きたいことは分かるよな……?……あぁ、その事だ。それで、どうなってる?」
低い声を響かせながら、彼は通話相手に問う。
「……そうか。やはりか……。『死を呼ぶ血眼』が学園都市に……。まぁ、予想はしていた事だ。こっちで対処する。情報ありがとう。また電話する」
そう言って男は電話を切った。
「これで、俺を含め学園都市にいる『裏世界の七人』は三人か……。いや、
はぁ、と深いため息を零す男。
「上手くやらないと、学園都市が戦場になる。それだけは避けなければ……」
そう言って、長身でゴリゴリの身体を持った男は歩き始める。
そんな彼もまた、『裏世界の七人』の一人。
『新世紀の大剣使い』
その二つ名で呼ばれる男であった。
4
---Reversible seven whom there is here now---
---Zero Lancer---
---Schwert---
---Dead Eye---
---???---
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data……change……和名
『虚無の槍使い』
『新世紀の大剣使い』
『死を呼ぶ血眼』
『???』
『』
『』
『』
「楽しくなってきたね……!」
そう言って、白衣の科学者は笑った。