春休みも終わりそれぞれの高校で入学式が行われていた。校長先生などのありがた〜い長い話を聞きそれぞれのクラス分けが書いてある掲示板をみるとおれはどうやらA組のようだった。それを確認してクラスに向かおうとした時、とんとん、と肩を叩かれた。叩かれた方向を振り返ると
「久しぶりだね、球一くん!」
おれの幼馴染の太刀川広巳(たちかわ ひろみ)がいた。
「おー!ひさしぶりだな、広巳!てか、また背のびたんじゃないか?」
「へっへ〜ん、もう少しでおいつくね!」
広巳はおれが誘ったメンバーというより元から一緒の高校にいくって決めてた感じだ。でも、幼馴染だからとかではなく広巳の野球の実力は折り紙つきだ。中学野球の全国大会の予選の決勝で猪狩率いるあかつき相手に最終回まで一人で投げ抜いたが2-0で惜しくも敗れている。その大会で猪狩たちは全国優勝を果たしているといえば凄さがわかるだろうか。
「男として女子に身長で負けたくねーな…ところで広巳はどのクラスだった?」
「えーと、私はA組だよ!」
「お!一緒のクラスじゃん、まーこれから嫌というほど部活で顔合わせるんだけどな。」
「む、なんか私と顔合わせるのが嫌みたいな言い方じゃん、。ふーんだ、そんな酷いこと言う人とはバッテリーくまないよーーだ。」
「悪かったって機嫌なおしてくれよ、おれも高校を広巳と一緒に過ごせると考えて浮かれてたんだからさ。」
ぽんぽんと広巳の頭を叩いてやると
「う、うん、ありがと。」と顔を赤くして背けてしまった
「おーい、広巳大丈夫か〜?」
「な、なんでもないよっ!は、早く教室にいこっ!」
「おー、そうだな。」
A組の教室について用具を整えていると今時瓶底メガネをかけた、少しオタクっぽい人が話しかけてきた。
「はじめまして、矢部明雄(やべ あきお)でやんす。きみはなんて名前でやんすか?」
少し、というかかなり変な語尾だが悪いやつではなさそーだ。つーか、やんすってつけるやつゲームの世界だけだと思ってたけど現実にもいるんだな笑。
「はじめまして、おれは木場球一っていうからよろしくね、やんすくん。」
「やんすじゃなくて矢部でやんす!しっかり覚えてほしいでやんす!」
「わりいわりい、わざとだよオタク眼鏡くん(笑)」
「むっきー!や・べでやんす!」
「ハハ、面白いやつだね、ところで矢部くんはなんのスポーツやってるの?このクラスにいるってことは何かしらスポーツやってたんでしょ?」
そう、おれが聞くと、矢部くんは得意げに
「ふっふーでやんす、おいらは野球部にはいるでやんす。この赤とんぼ中の韋駄天と呼ばれたおいらがいれば野球部は鬼に金棒でやんす!」
「お、矢部くんも野球部なのか〜!、これから3年間よろしくな!ポジションはどこなんだ?」
「おいらはセンター希望でやんす!」
本人の話によれば俊足のセンターか、バッティングはわからないけど期待してもいいのかな?
キーンコーンカーンコーン
「おーい、そろそろはじめるぞー。まあ最初だし自己紹介からだな。」
授業も終わり、それぞれ帰る準備をしだした頃、おれは野球部に行く準備をしていた。
「おーい、広巳ー、野球部みにいかねー?」
「うん!いいよ!私もちょうど見学したいとおもってたんだー!」
そう言いながらえへへと笑う広巳
「それじゃいくか!」
「うん!」
野球のグラウンドに到着して辺りを見渡していると一人の先輩と思わしき人が話しかけてきた。
「およ?初日から来るとはやる気あるねー、俺は一応キャプテンの金原いずる(かねはら いずる)ってゆうんだー、よろしくね!」
「「はい!よろしくお願いします!」」
「んー、来てもらえて嬉しいけど今日は自主練の日だからあんまり来ないと思うよ?そうだ!せっかくだし、少しやっていかない?二人ともポジションはどこ希望?」
「俺は、木場球一っていいます!希望ポジションはピッチャーです。外野も守れます!」
「わ、私は太刀川広巳です!希望ポジションは同じくピッチャーです。一応サードもできます。」
「二人ともピッチャーが本職なのか、そうだなー、俺っちと勝負しない?
「勝負、、ですか?」
「うん、そーだなー、お互い1打席づつ投げてもらって2打席ともヒットならおいらの勝ち!1打席でも凡退したら二人の勝ち!ってことでどうだい?」
「はい!よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いします。」
「よし、じゃあ体あっためて準備できたら、こえかけてねー。」
そんなこんなで金原さんと1打席勝負することになった俺たちは、キャッチボールを開始した。
「広巳今、変化球なになげれるの?」
「今は高速シュートとカーブと高速シンカーだよ。」
「オッケー、それじゃサインだけ決めよう。」
まず、広巳から投げることになり体もあったまったため金原さんを呼び1打席勝負をすることにした。
「およ?きみがキャッチャーやるのかい?」
金原さんが左打席に入りながらそう聞いてきた。
「はい、といっても取るだけのキャッチャーですよ。」
「そっか、じゃあ、はじめていいかい?」
「はい!広巳!なげこんでいいぞ!」
「うん!」
広巳が振りかぶり左腕から勢いよく腕を振って投げ込んできたのはストレート、アウトローに入ってきたのを金原さんは流し打った。鋭い打球がファールゾーンに飛ぶ。
「オッケー、オッケーナイスボールだ!」
「ちゃはー、重くていい球だね。女の子が投げたとはおもえないよ。」
「広巳を普通の女の子と見てると打ち取られちゃいますよ?」
2球目は緩急をつけたカーブ、金原さんは手を出さずにアウトローに外れる。
「ボールですね。」
そして3球目はストレートをインコースに投げ込む。これを金原さんは引っ張り一塁線を鋭く切れるファールとなる。
「ちゃはー、引っ張りすぎたか。」
「3球目にしてもう対応するとか早すぎですよ。」
そして4球目に再びインコースに投げ込む。金原さんが手を出してきた!けど、これはここから食い込んでくるシュートだ!打ち取った!
カキーン!
金属バットの高い音が響く。打球は鋭く一塁線上を切れることなくフェアゾーンにライナーで飛んで行った。だれがみてもヒットというあたりだ。
「うん、すごいいい球だったよ!もう少しインコースにきてたらうちとられてたよー。」
「あ、ありがとうございます。」
広巳は少しショックをうけているようだった。確かに今の球は俺も打ち取ったと思ったんだけどな、、さすが3年生ということか。
「それじゃー、球一くんも勝負するかー、審判は太刀川ちゃんが横から見て判断してくれない?」
「キャッチャーなら僕がやります。」
そういいながら現れたのは水色の髪の毛で眼鏡をかけており、どこか知的な雰囲気があるやつだ。
「水鳥じゃねーか!お前覇堂にきてくれたのか!」
こいつの名前は水鳥忍(みずどり しのぶ)俺がスカウトしたうちの一人だ。
「きみみたいな珍獣と過ごす3年間もおもしろそうだとおもってね。」
「だれが珍獣だ、だれが!ったく、すいません、先輩こいつにキャッチャーやらしてもいいですか?」
「うんうん!かまわないよー、それじゃ水鳥くん、よろしく頼むよ!」
「はい、ありがとうございます。では、サインの確認だけさしていただきます。」
「マジで久しぶりだな、お前がきてくれるとはおもわなかったぜ。」
「ああ、僕もお前と組むとは思わなかったよ。それできみの変化球はなにがあるんだい?」
「今は、フォークとチェンジアップだけだな。覚え途中のが一個あるんだけど、結構な確率で抜けちゃうんだよな…」
「オーケー、じゃあ、チェンジアップがこれでフォークがこのサインだな。」
そういって水鳥はホームの方に戻っていった。
(初球、ストレートインロー)
水鳥のサインに頷き振りかぶって思いっきり腕を振る!
サイン通りのコースにストレートがいき金原さんは見逃した。
「ストライクです。」
「ちゃはー、1年生のストレートじゃないね。140くらいでてるんじゃない?」
金原さんと広巳が少し驚いた顔をしている。いまのは指にかかってきもちよかったな。2球目は、、チェンジアップをさっきと同じコースか。水鳥の要求に応えるべくチェンジアップを全力で腕を振りながら、投げ込む!
途中で減速するような俺のチェンジアップは中学時代の俺の決め球のひとつだった。それを金原さんは体勢を崩しながらなんとかバットに当ててファールにした。
「ストレートとの見分けがつかないねー。すごいチェンジアップだね。」
「最後はあいつの決め球のフォークを投げさせます。」
「…それは教えちゃダメじゃないかな?さすがに球種がわかったら俺っちはうてるよ?」
「ご心配なく、だってこいつのフォークは」
球一が投げ込んだフォークは途中までベルトのラインだったのがホームベース手前で唐突に落ち、金原のバットに当たらず水鳥のミットに入っていった。
「中学時代ヒットにできたのは片手の指でかぞえれるくらいですから。」
「ちゃはー、すごいね!君たち。これでも打撃には自信あったんだけどなー。」
勝負が終わり、広巳と俺と金原さんは家の方向が一緒だったので一緒に帰っている途中だ。(ちなみに水鳥は用が済んだら速攻で帰って行った。、シャイなやつだ)そしてその途中で金原さんはそういいながら話しかけてきた。今日の印象的には金原さんはキャプテンというより、仲良くしてくれるお兄さんみたいな人だ。すごい親しみやすい。
「いえ、たまたまですよ。今日は指にボールがかかってくれたのでおさえられただけですよ!」
「いやー、あのフォークは1打席じゃうてそうにない感じだねー。太刀川ちゃんもいいストレート持ってるし、投手が潤うってきて俺っちはうれしいよー。」
金原さんはそういいながら俺の顔を見て少し考えこむような表情をしていた。
「?金原さんどうかしましたか?」
俺がそう聞くと金原さんは少し間を空けて
「うーん、違ったらごめんね?もしかしてだけど球一くんのお兄さんって木場嵐士さんかい?」
「はい、金原さんは兄貴のことをしっているんですか?」
「俺っちが一年の時に3年生だった人だからねー、ていうかこの学校を選んだのも木場嵐士さんに憧れたっていうのもあるんだー。」
そう金原さんはどこか懐かしむような表情でそう話していた。兄貴の人を惹きつける力は身内贔屓抜きですごいと思う。
「じゃあ、俺っちの家はこっちだからこの辺で失礼するねー。明日から練習始まるけど君たちも参加ってことでいいのかな?」
「はい!ぜひ参加させてください!」
「は、はい、私もお願いします。」
「オッケー!じゃあまた明日ね〜。」
「おつかれさまです。」
金原さんと別れ広巳と俺と二人になった。広巳はなぜか二人きりで歩き始めたら楽しそうな顔をしているけどなにかあったのかな?
「球一くんはすごいね!」
「おれが?金原さんとの勝負は1打席勝負で球種も知らない状態だとこっちが有利すぎただけだよ。」
「ううん、それでも3年生の金原さんを抑えるのはすごいよ!」
「そ、そうか?ありがとな。」
おれは少し照れくさくなり話題を変えようとした。
「そういえば広巳の家ってどの辺なんだ?実家からかよってんのか?」
「ううん、アパートをかりて一人暮らしだよ。こもう少しでみえるんじゃないかな…あ、あのアパートだよ!」
「え、」
「どうしたの?」
「いや、あのアパートのとなりの家あるじゃん。あの屋根が紺色っぽいやつ。」
「うん。」
「あれおれの家なんだけど…」
「うん、知ってたよー。」
「え!なんで知ってんだ?」
「あはは、うちのお母さんがね、女性の一人暮らしは危ないから頼れる人とら一緒に住むか球一くんの家の近くにしなさいって言ってたんだよ。」
「なんだ、それなら教えてくれても良かったのに。」
「ゴメンね!驚かせたくってさ!」
そ いたずらっぽい笑みを浮かべながら広巳はそう言った。くそう、かわいいから許そう。
「こんなに近いんだなー。せっかくだしうちで食べていくか?うちの家族も喜ぶだろうし。」
「あー、迷惑じゃない?」
「全然、ていうか大歓迎だよ。静火姉ちゃんとかおれと広巳が同じ学校ってわかってから呼べってうるさいんだよ。」
「あはは、静火さんとは私も会いたいな。じゃあ、少し失礼してもいい?」
「もっちろん!」
そういいながら家へと向かって行った。
家へと着き広巳を中に入れる前に自分の部屋の片付けを速攻で行ってから広巳を家へ招いた。あぶねーあぶねー、男子高校生の他人には見せられない雑誌は広巳にはみせられないぜ。
「広巳ー、入っていいぞー。」
「お邪魔します。」
広巳が玄関を空けて靴をぬいでいると廊下をどたどたと走る音が聞こえてきた。俺は嫌な予感を感知してそれを広巳へと伝えようとした。
「ひろー「広巳ちゃ〜ん!!ちょー久しぶりじゃん!!元気にしてた?」」
そういいながら、広巳に抱きついてきたのは、木場静火(きば しずか)、俺の姉ちゃんだ。
「静姉、広巳も困ってるからとりあえず移動しようよ。」
「はぁ〜?あんたねえ、広巳ちゃんが来るならちゃんと事前にいいなさいよ!たまにしか会えない私の妹みたいなもんなのよ!私だって広巳ちゃんに会いたくてしょーがなかったんだから!」
「わかったから、とりあえずいこーぜ。玄関でその妹と話すってわけにはいかないでだろ?」
そう言うと、静姉はそれもそっかっと言ってリビングに歩いて行った。
「悪いな広巳、静姉は全然かわんねーから逆にビックリするだろーけど悪い人じゃないから許してくれ。」
「うん、ビックリしたけど最後に会った時のまんまでいてくれてむしろ嬉しかったよ。」
そんな話をしてるとリビングからこらー!球一早く来なさーい!と声がしたので俺たちはリビングへと向かっていった。
ちょっと中途半端なところですがいったん切ります。