第3話です。どうぞ!
「広巳ちゃん本当に久しぶりね〜!うちの弟と一緒の学校ってことで迷惑かけるけどこの先3年間大丈夫?」
「おい静姉、それってどーゆー意味だよ!」
「だってあんた頭はいいくせに忘れ物が多かったり意外とぬけてるじゃない!まったく、変なとこだけ兄ちゃんに似たんだから。」
「静姉ほどじゃねーよ!」
「あはは、大丈夫ですよ静火さん。むしろわたしの方が球一くんに迷惑かけると思いますので。」
「くぅ〜、広巳ちゃんはいいこね〜!あーあ、わたしもこんな妹が欲しかったな〜。」
「悪かったな!生意気な弟で!」
そんなくだらないことを話して19時を回ったとこくらいで静姉が広巳を連れて「今から女の子二人で話すから球一はわたしの部屋に立ち入り禁止!」と言って自分の部屋に広巳を連れて行ってしまった。俺は少し時間が空いてしまったので、毎日続けている自主練に出るとこにした。静姉はああなると長いしな。広巳と久しぶりに話したかったので少し残念だったけど。
<太刀川side>
静火さんの部屋に入り静火さんが飲み物を取ってきてくれている間に部屋を見渡してみた。すごい女の子らしい部屋だなぁっていうのが印象的だ。静火さん綺麗になってたけど昔のまんまだったからすごい嬉しかった。わたしもあれくらい可愛くできたらなあ。
「お待たせ〜。オレンジかミカンジュース、どっちがいい?」
「あ、じゃあオレンジで。」
「オッケー、はいどーぞ!」
「ありがとうございます。」
お互い少し飲み物を飲んでから静火さんにわたしの相談を聞いてもらうことにした。
「静火さん。」
「?どーしたの?」
「球一くんに聞いたんですけど静火さんって木場嵐士さんとバッテリーを組んでた小波大輝(こなみ だいき)さんとお付き合いされてるんですよね?」
「う、うんそーだけどなんか改めて言われると照れるね。」
静火さんはそういいながら少しかおを赤らめて笑っていた。
「あ、あの静火さんと小波さんがどーやって付き合い始めたかを聞きたいんですけどいいですか?」
「あー、あんまり面白くないかもしれないけどいい?」
「はい!もちろんです!」
「あー、じゃあまずは出会ったところからかな。わたしが野球部のマネージャーになったときに初めて先輩を見てね……」
静火さんは照れながらもどこか嬉しそうに話してくれた。あの時の先輩はこうだったとか、あんなにアピールしたのに全部スルーされた悔しかったとか。静火さんの小波さんについて話している姿をみると本当に小波さんのことが好きなんだなあって感じられる。
「で最後はわたしが告白して先輩がやっとわたしの気持ちに気づいてくれたんまよ。」
「静火さんすごい積極的ですね。」
「そりゃあ、あんな鈍感な人滅多にいないってくらい鈍感なんだもん!アピールをスルーされたら結構へこむのにさー。」
「あはは、静火さんくらいきれいな人にアピールされたら普通気づくと思います。小波さんは相当鈍感なんですね。」
「きれい?わたしが?まっさかー!わたしより広巳ちゃんの方がよっぽどきれいじゃない。」
「そんなことないですよ〜、静火さんは謙遜しすぎです。」
「謙遜じゃなくて事実だとおもうけどなぁ、まあいいや、で広巳ちゃんは?進展あった?」
「え!わ、わたしですか?いえ、正直どうアピールしていいのかわかんないんですよ。わたしみたいに可愛くない奴にアタックされても戸惑うだけだろうし。」
「…広巳ちゃんそれ本気で言ってるの?」
静火からみて太刀川は背も高くスタイルも良くどんなに贔屓目にみてもかわいい部類に入るだろう。野球をしている姿は凛としていて普段はどこかおどおどしていて守ってあげたくなるような感じだ。こんな子が妹だったらなぁって思ったのも一度や二度じゃない。だいたい広巳ちゃんが可愛くなかったらたいていの人が可愛くないってことになると静火は感じていた。
「広巳ちゃんが好きなのは球一でしょ?」
「は、はい。」
「少し意地悪なこというとあいつなかなかモテるよ?毎年バレンタインとか相当な数もらってくるし。広巳ちゃんもアピールしていかないと!」
「そ、それはわかってるんですけど自信がなくて…」
「よーし!じゃあお姉さんにまかしなさい!」
そういって静火さんはいたずらっぽい笑みを浮かべると何やらタンスの中の袋を取り出した。
「静火さん、それなんですか?」
「ふっふーん!これは広巳ちゃんが球一と同じ高校に行くって知った時に高校祝いってことで買った服だよ!」
「ええ!?そんなの悪いですよ!」
「だいじょーぶだいじょーぶ!これでもバイトしてるから。」
「でもぉ」
「球一にアピールできなくていいの?」
「うっ」
「頑張って球一をふりむかせたいんでしょ?」
「うう」
「このままだと他の子に取られちゃうかもねー?」
「わかりましたよぉ、でも似合いますかね?」
「とりあえず着てみよーよ!サイズは多分大丈夫だから安心して!」
「わかりました〜、ちょっと着替えてきます!」
「オッケー!」
<太刀川side out>
<静火side>
広巳ちゃんが着替えに行き、わたしは一つ息をはいた。
「むぅ、あんな可愛い子に思われてるなんて球一の子にくせに生意気だ。」
本当に広巳ちゃんは可愛いなぁとため息をつくように独り言を呟いていた。一応球一の為に言うが静火は球一が嫌いなのではない。むしろ可愛い弟と思っている。
「兄ちゃんのことを心配性だなって思ってたけど、人のこと言えないなー。」
静火は太刀川は言うまでもなく球一も太刀川のことが好きだと考えていた。おそらく球一は自分で気づいていないがこの前球一を呼びに球一の部屋に入った時、静火は球一の男の子が大好きな本を見つけてしまったのだ。少し興味が湧いた静火はその本をパラパラとみているとところどころページの端が折れているのに気がついた。その折れたページの女の子が球一のお気に入りなのかな?と推測した静火はそのページを重点的にみていったらある事に気がついた。
そのページの女の子達ははどこか太刀川に似ていたのだ。少し馬鹿らしいかもしれないけど別に不思議じゃないし、むしろあんな可愛い子に思われて嬉しくないやつなんていないだろうと納得した。野球以外にあまり興味がない球一はおそらく意識してないだろう。バレンタインの時に大量のチョコをもらってきてなんでチョコをもらったんだ?と首をかしげていた球一をみて盛大にため息をついたのは記憶に新しいことだ。だからこれを機に太刀川と付き合って欲しいっていうのが静火の本音だ。太刀川なら球一とつきあっても構わないどころか本当に姉妹になれるならすごい嬉しいなんて考えているくらいだ。
そんなことを考えていたときドアが開く音が聞こえた。
「き、着てみましたけど似合ってますか??」
静火は見た瞬間固まった。静火は太刀川に似合うように自分なりに考えていたつもりだった。でも、これは似合っているとかそういうレベルじゃない。しかし、広巳は勘違いしたのか
「あのぉ、やっぱりにあってませんかね…」
「ち、ちがうちがう!似合い過ぎてて少しびっくりしてただけだよ!」
「ほ、本当ですか?わたしにこんな女の子らしい服なんて似合うとおもえなくて…」
「ぜっんぜんそんなことないよ!すっごい可愛いよ!」
「ほ、本当ですか?ありがとうございます。」
「いやー、びっくりしたなぁ。似合うとは思ってたけどこんなに可愛くなるなんてね!こりゃ球一もいちころよ!」
「い、いきなり球一くんにみせるのは緊張しますよ!」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ!そろそろあいつも帰ってくるだろうしそのままいてよ、絶対きがえちゃだめだからね!」
「ちょ。しずー」
そのとき、ただいまーと球一の声がした。
それを聞いた太刀川は顔を赤くし
「や、やっぱり着替えます!」
「広巳ちゃん!!」
「は、はい?」
「アピールするって決めたんでしょ?だったらこんなとこで逃げちゃダメ。」
「うう、でもぉ。」
「大丈夫、本当に可愛いから。広巳ちゃんはわたしが嘘ついているようにみえる?」
「…見えません。」
「でしょ?だからだいじょーぶ。このあと球一は風呂にいくと思うからその間に気持ちをおちつかせといてね。」
「は、はい!」
「よし!いい返事よ!じゃあちょっと準備してくるね。」
そういって静火は部屋を出ていった。
<静火side out>
<球一side>
日課の自主練も終わって家についた。家に入りただいまーと言った時上で少し声が聞こえたけどどーしたんだろ?
「静姉ー、なんか聞こえたけどなんかあったのかー?」
「大丈夫よー、少しもりあがっちゃっただげよー。球一はとりあえず風呂にはいってきなさーい。着替えはだしてあげるからー。」
りょーかーいと返事を返し風呂場にむかった。少し静姉のテンションが高かったのが気になるけど広巳と話して盛り上がっちゃっただけかな?そう考えてるうちに風呂場につき服を脱いだ。そして体を洗い湯船に浸かった。やっぱり風呂は最高だなーなんて感じてのぼせる前に風呂から出た。着替えようとした時静姉が着替えに持ってきてくれたのは静姉が買ってくれた服だった。自分で言うのもなんだが俺はあまり服のセンスがない。小中と野球ばっかやってたから私服はあまりいらなかったというのもあるからそれを見かねた静姉が俺が高校に上がったと同時に買ってくれたものだ。この服は静姉が選んでくれたおかげでかっこいいと思う。でもなんでこの服だしたんだろ?広巳の前では少しはいいカッコしろってことかな?少し不思議に思いながら着替えたところで静姉からお呼びだしが来た。
「球一さーん、ちょっとわたしの部屋にいらっしゃーい。」
俺は嫌な予感しかしなかったが無視すると後が怖いので大人しく従うことにした。
「オッケー、今行く。」
静姉の部屋の扉をノックして
「静姉ー、はいっていいか?」
「いいわよー、あと心の準備しときなさいよ!」
心の準備?なんの?と疑問に抱きながら扉をあけた。
「なんだよ?心の準備って…」
俺は一瞬声を失った。静姉はいつも通りなのだが広巳が私服姿になっていたのだ。マウンドでの堂々としたピッチングをする広巳の姿はなく一人の女の子としての広巳がいた。
「おーい、球一ー!フリーズしてるぞー?笑」
「球一くん、やっぱり似合ってないかな…」
俺は慌ててその言葉を否定しようとした。
「いや!むちゃくちゃ似合っててビックリしただけだよ!一瞬言葉でなかったぐらいだぜ?すごい可愛いと思うぞ!」
球一に褒めてもらえてようやく太刀川も笑顔になった。
「ありがと、球一くんすっごい不安だったんだよ。」
「なんで不安に思う必要があるんだよー、今の広巳すっげー可愛いとおもうぞ。」
「ほらね?広巳ちゃん、球一も褒めてくれるって言ったでしょ?」
「はい、ありがとうございます。静火さん!」
「あー、やっぱ静姉か。」
「ふっふーん、今回は感謝してくれてもいいのよ?」
「ありがとな、広巳、静姉のわがままを聞いてくれて。」
「ちょっと!わ・た・し・に感謝しなさいよ!」
その後三人で話をして21時くらいを回った時に広巳を家に送っていった。広巳が帰るときに静姉がごねていたが広巳の家を知ったらすぐにご機嫌になった。23時も回り明日へと備えるべく俺は布団の中に入った。そして今日の太刀川が頭から離れず夢の中まで太刀川が出てきたのはある意味しょうがないことなのかもしれない。
第3話です。どうでしたか?太刀川の私服姿についてはみなさんの想像にお任せします!
次回は球一の誘った水鳥以外のメンバーも明らかになっていくのでお楽しみに!