球一の朝は早い。いつも自主トレを夜と朝におこなう習慣がついているからだ。生活の中で慣れというのを作るのは体にもいいし逆にやらなかった日は違和感を覚えるほどだ。いつも通り自主トレに向かおうとした球一は玄関を開けランニングに向かおうとしたときにトレーニングウェアを着た太刀川を発見した。
「おはよ!球一くん!」
「ひ、広巳?朝早いんだな?」
「静火さんに球一くんは毎朝自主トレしてるって聞いてね、私もいつもこの時間は自主トレしてるから一緒にやろーかなって。」
えへへーと笑っている広巳
な、なんか嬉しいけど恥ずかしい?変な気持ちだ。悪い気はしないからいいけどなんなんだろう。
「そっか、いつもどうゆうトレーニングしてるんだ?」
「なるべく長くランニングしてストレッチかな。」
「オッケー、広巳はここの土地でのランニングコースはあるのか?
「だいたい決まってるよー。」
「今回はそれに合わせるからリードしてくれ。」
「うん!わかった!」
そういって走り出した二人。少し走っていたら広巳が質問してきた。
「そういえば球一くんが誘ったメンバーって水鳥くん以外にだれがいるの?」
「それはあってからのお楽しみってことで。まー誘った人数だけ教えると6人だな。で、この学校にきてくれたのはそのうち5人っぽい。」
「えー、教えてよー!」
「ハハ、まー面白いやつばっかだから楽しみにしとけって。」
「むー、けち!」
「怒んなって!痛い痛い!叩くなー!」
「意地悪な人には罰がひつようなんだよ!」
こんな会話をしながら走っているからいつもより疲れたのはいうまでもない。
学校につき、授業が始まったが2日目ということもありそんなに授業という感じはしなかった。授業も終わり俺は誘ったメンバーに集合をかけた。
「俺の誘いに乗ってくれてありがとな!正直断られる気しかしなかったから助かったぜー!」
「ピッチャーとしての道がなくなった俺としてはおまえの話はありがたかったからな。」
そういっているのは友沢亮(ともざわ りょう)、シニアでかなり名の知れたピッチャーだったやつだ。こいつが来てくれるとはラッキーだったぜ。
「ハハ、よくゆーよ亮くんは。野手として強豪校から推薦何個かあったじゃないか。」
こいつは田中山太郎(たなかやま たろう)、友沢とかが目立っていたためだれも注目しなかったがかなり優秀な選手だ。つーか影が薄すぎるんだよな。誘おうとして何回忘れたことか。
「田中山!それを言うな!」
「へー、友沢はツンデレなんだな(笑)」
「う、うるさい!それより残りのメンバーの紹介をしろ!」
「へいへい、こっちは水鳥忍でポジションはキャッチャーだ。んでこっちは太刀川広巳でポジションはピッチャーだ。あと残りの二人は…」
「自分から自己紹介するよ。僕は星井つばさ(ほしい つばさ)っていうからよろしくね。」
「つばさのポジションはファーストで俺らのチームの4番を打ってたからなー。優しそうな見た目してるけど中身はゴリラだぞー。」
「だれがゴリラだ!君の方が僕よりよっぽどゴリラだろう!」
「えーっと、残りの一人はー」
「むしするなぁ!」
「まあまあ、つばさくん落ち着いて。球一くんも言い過ぎだよ?」
こいつは初野歩(はつの あゆむ)、俺らのチームの不動のリードオフマンだった。守備はうまいわバッティングはいいわで何度も助けられたな。ポジションはセカンドだったけど高校では外野をやってもらうつもりだ。
「はーい、歩先生。」
「先生はやめてよ、、それにしてもすごいメンバーを集めたね。」
「んー、そうだな。友沢が来てくれたのが一番でかいな。んで俺から一つ提案があるんだか。」
「提案ってなんだ?」
「この高校の野球部の事情は知ってるか?」
「ああ、知っているがそれがどうかしたのか?」
「このまま3年間野球をやる上で甲子園に出るチャンスは5回しかないだろ?」
「ああ」
「そこで提案なんだが、今日野球の道具は全員もってきてる?」
全員頷いてそれを見た俺は
「今日練習に参加してそのあと質問するからその時は少し覚悟しといてね?」
球一はそういい少し悲しそうにわらった。
球一たちは学校で着替えてグラウンドにむかった。相変わらずすごいグラウンドだなーと何度目でも思ってしまうほど大きい。
「球一くん。」
「どーした?広巳。」
「質問ってなんなの?」
「あー、広巳だけならおしえてもいいか。昨日グラウンドに行った時金原さんしかいなかっただろ?」
「うん。」
「兄貴がいた時の頃おれは小学生だった。その時にここの練習をやっていた先輩たちをみてきたんだ。その時と比べてしまうとどうしても見劣りしちゃうんだよ、いまの先輩たちは。」
「あー、うん。それはそうかもしれないけど。」
「だから、今日の練習をみんなに見てもらったらおれはみんなにいまの練習で納得できたかっていう質問をしてみんなが納得できていなかったら、先輩たちと試合をする。」
「え!」
「先輩たちの方が正直レベルは高いと思う。でも俺たちと試合してもらって少しでもこの高校に入った時のことを思い出してもらえたら、この学校はもっと上にいけると思う。」
「…思い出してもらえなかったら?」
「なんども挑戦するだけさ。といってもあくまでみんな次第だ。」
「うん、、」
「およ?球一くんと太刀川ちゃんじゃないか。他のメンバーも入部希望者ってかんがえていいのかい?」
「あ、金原さんこんにちは!はい、みんな入部希望者です。今日は練習に参加させていただきありがとうごさいます!」
「あはは、いいっていいって。そろそろみんなくるからアップしてまっててくれる?」
「はい!わかりました!」
「そういって俺たちはアップを始めた。
先輩たちも集まってきてアップをはじめていた。キビキビ動いてるようにみえるのになぜかやる気がかんじられない。練習をベルトコンベアーのように淡々とこなしているようにみえてしまう。
「やっぱりか…」
おれは独り言を呟いた。今日は俺たちは入部前ということで先輩たちの練習の見学だ。先輩たちをみているとどこかやる気がないようにしか感じられない。キャプテンの金原さんが声をかけてもあまり意味がなく次第に金原さんからも声がでてこなくなってしまう。友沢にいたっては練習を見ていても意味がないといって素振りをしにいってしまった。
「球一の質問がわかったきがするよ。」
「うん、あの練習を見ているとね…」
「、、そっかじゃあ、いまからもう質問するけど、俺たちで野球部を変えないか?」
おれの質問にみんなは頷いた。
「監督、お久しぶりです!」
「む?おお、球一くんか!まさかこの学校にきてくれるとはな。」
「兄貴を超えることがおれの一番の目標なんで。これから3年間おねがいします!」
「ああ、それでうちの練習をみてどうだい?」
「…あまりいいたくないんですけど、、」
「そうだな。君が見てきたのは嵐士くんがいたときだからな。」
「そこで監督に提案なんですけど、」
「なんじゃ?言ってみてくれ。」
「俺たち1年と試合してくれませんか?」
「なぜじゃ?」
「先輩たちにこの学校に来たときの気持ちを少しでも思い出していただくきっかけになればとおもいまして。」
「ふむ、、いいだろう。あいつらも一年生と勝負することでなにか得て欲しいものじゃ。」
「それじゃあ」
「うむ、1週間後に試合ってことでどうじゃ?名目上は一年生の実力を測るということで私から話を通しておく。」
「はい!生意気言ってすいません。」
「かまわんかまわん、どうかこの老いぼれに嵐士くんがいた頃の強い覇道高校をもう一度みしてくれ。」
「…期待に添えるようにがんばります!ではよろしくおねがいします!」
はー、監督がいい人でよかったぜ。普通こんな生意気な1年の言うことなんてきいてくれないんだけどな。
「球一くん、どうだった?」
「おう、1週間後に上級生と勝負ってことになったぜ。」
「そっか、じゃあがんばんなきゃね!」
「そうだな!ちょっとみんなあつまってくれ!」
「どうしたんだ?」
「1週間後に上級生と試合ってことになった。そこでまだみんながどれくらいの実力かわからないとこわいだろう。だからこれから能力テストを行う!」
「能力テスト?どんなことをやるんだ?」
「うちに兄貴がオフのときのために作った室内練習場がある。そこで打撃、守備、走塁をみんなにやってもらう。俺と広巳は投球をみんなにみてもらう。」
「お、お前の家室内練習場があるのか?」
「ああ、兄貴が作ったから新しいし表向きにはジムってことになってる。」
「すごいな。」
「そういうことで着替えたらみんなむかうぞー!」
おー!!といってみんなは準備にとりかかった。
「で、でかい。」
友沢までもちょっと驚いた顔をしている。
「そっちは投球用でこっちはバッティング用だ。最初は打撃から行う。この結果次第で打順をきめるからなー。」
まあ、ある程度決まっているけどな。おれが考えているのは
1番 初野 右
2番 田中山 二
3番 俺 左
4番 友沢 遊
5番 星井 一
6番 水鳥 捕
7番 太刀川 投
って感じであと二人は明日矢部くんあたりに声をかける予定だ。まだ二人たりないことを差し引いてもなかなかの打線だと思う。入れ替わるとしたらクリーンナップの3.4.5はどう変わってもいいと思う。ただ、全体的にパワー不足感は否めないな。1年だからと言われたらそれまでなんだけど3年生を相手にするんだからそんなことはいってられない。
そんなことを考えていたら投球以外のテストは全部おわった。これをみると友沢がいかに優れているかわかるな、、
結果はこんな感じだ。
打撃能力 友沢→星井→俺→田中山→初野→水鳥→太刀川
走力 友沢→初野→俺→水鳥→田中山→太刀川→星井
守備能力 田中山→友沢→初野→水鳥→星井→俺→太刀川
どの能力も友沢がだいたいトップにくるんだよな。本当にこいつは元投手なのか疑うくらい全てこなす。
「じゃあ、残りは投球だから捕手は水鳥頼む。広巳ーアップするぞ。」
「うん!」
俺と広巳はアップをして自分の今の持ち球を3球ずつみんなに打席で見てもらうことにした。まずは広巳からだ。
「いくよー!」
最初はストレート、重そうなストレートだ。1打席で打てる人はそう多くないだろう。広巳はカーブ、シュートと投げ込んで行き全員みたところで友沢に感想をきいてみた。
「どうだった?友沢」
「いい球だ。変化球のレベルも高く特にストレートがいい。あれは上級生といえどそうそううてないだろう。」
友沢の評価も高いとわかったところで次は俺の番になった。
「持ち球は前とおなじでいいか?」
「ああ、それでいいぜ。」
俺は次々と投げ込んで行った。最後に回ってきた友沢にフォークをみせたところで友沢が俺に質問してきた。
「これだけ落差が大きいフォークだと握力は大丈夫なのか?」
「大丈夫、大丈夫、俺手首の柔らかさには自信あるんだよね。」
ほらといって手首を折り曲げてみせてやると
「…気持ち悪いな。」
「それはひどいぞ!?確かにはじめてみるやつにはよく言われるけど!」
手首が柔らかく強い方であるため抜く感覚で投げる球はかなり得意だと思う。俺は友沢に最後のフォークを投げ込み全員を集めた。
「どうだった?」
「フォークは今のままでも3年間通用すると思う。ま、納得しないだろうけど。太刀川もいい投手だしあとは俺たちが打てるかだな。」
「それこそ心配してねーよ。お前がいれば大丈夫だろ?」
「ふ、まあそうだな。」
だいたい全員の実力を把握したところで今日は解散とした。しかし、自分で集めといてなんだがその辺の強豪校より上のレベルじゃないか?こいつらは。広巳の能力は低くないのにこのメンバーの中だと野手能力が下の方になってる。これなら3年生と戦っても十分勝算ありそーだぜ!