「みんな!すまん!」
俺はみんなの前で頭を下げた。
「どうしたの!?急に!」
そう聞かれたのでさっき校長先生と話したことと部を存続させるための条件、あと2.3年生のことについて説明した。
「…というわけで甲子園に出なきゃ俺らの代が最後ってことになる。俺が誘っといてこうなるとは申し訳ない!」
今年、甲子園にいけなかったら、みんなの可能性を潰してしまうことになるかもしれないと考えていた。
だから俺はみんなの前で頭を下げ続けた。
「頭を上げろ。」
「でも、」
「でもじゃない。いいから上げろ。」
「友沢…」
「お前は一つ、勘違いしている。俺達はさっき教頭から話を聞いている。2.3年生のこともな…。だけどお前の誘いに乗ったことについては間違いだと思ってる奴はここにいない。」
「え!?な、なんでさ!」
「ここに集まったやつは、みんなお前の誘いに乗った野球バカの集まりだ。真剣に野球をやりにお前の誘いに乗ったんだ。
理由はそれぞれあるだろう。だけど想いは一緒だ。後悔なんてしない。するわけがない!」
そう友沢は俺に言ってくれた。その言葉でどれだけ肩の荷が下りただろう。
「そ、そうだよ!私も後悔はしてないよ!」
「まぁ、僕も後悔なんてしてないよ。それに今年甲子園に出ればなんの問題もないんだろう?なら今から練習するしかないじゃないか!」
「みんな…。ありがとう!感謝する!」
「ふ、世話のかかるやつだ。」
「ありがとう。友沢、お前は野球が出来てホーミング娘が大好きないい奴だ!」
「な、なぜ知ってる…じゃなくて!それは今関係ないだろう!素直に感謝しとけよ!」
「へー、亮くんホーミング娘好きなんだ笑。意外なこと聞いたなー。」
「掘りかえすな!田中山!」
和やかな雰囲気になってきたところで金原さんともう一人の人が話しかけてきた。
「君が木場くんかー。あんまりお兄さんとはにてないんだね。」
「初めまして!木場球一と言います。すみませんが名前は?」
「ああ、僕は3年の木村 銀(きむら ぎん)っていうんだ。よろしくね。」
「はい!こちらこそ。」
「どうやら2.3年生で残ったのは俺っちと銀だけっぽいねー。申し訳ない、不甲斐ない先輩で。」
「いえ!むしろ僕が余計なことしてしまったせいもあります!こちらこそ申し訳ないです!」
「ちゃはは、まあこれ以上は平行線だからやめとくよ。
ところでものは相談なんだけど。」
「はい!なんでしょう?」
「球一くん、今からキャプテンになってくれないかい?」
、、、は?金原さんは今なんて言った?
「えーっと、すみません。意味がわかりません!」
「言葉通りだよー。先輩二人の野球部なんてやりずらいだけでしょ?だから球一くんがキャプテンをやってくれればまとめやすいと思うし、俺っちより指示とかしやすそーだしねー。あ!もちろん俺っちが副キャプテンで支えるから負担は少なくするよ?」
「は、はぁ。でも他の奴と木村さんはいいんですか?」
「僕はむしろ賛成だからいいよ。」
「俺も問題ないな。」
「問題ないでやんす!」
「矢部くんいたの!?」
「ひどいでやんす!最初からいたでやんす!」
「ちゃはは、みんなも賛成みたいだしどうだい?」
「…わかりました。やります!」
「よし!じゃあ、よろしく頼むよ。今日はミーティングも兼ねてみんなの能力やポジションも知らないからもう少し話し合いをしよう!」
みんなの自己紹介も終わりこれからについて話し合うことにした。
「さて、みんなの自己紹介も終わったしこれからについて話をしよう!まず、なんといっても10人しかいないから厳しいね〜。」
「はい、僕から一つ提案があるんですけどいいですか?」
「うん、いいよ。なんだい球一くん。」
「やっぱり10人しかいないので怪我が一番怖いです。誰かが怪我したらそこで終わりですし、ですからダイビングキャッチとヘッドスライディングは全員しないというのが提案です。」
「あー、なるほどね!俺っちは賛成だけどみんなはどうだい?」
「おいらヘッドスライディングには自信があるでやんす!だから納得できないでやんす!」
「矢部くんはどうでもいいやから、他に意見ある人はいる?」
「ひどいでやんす!横暴でやんす!」
「あはは、矢部くん、じゃあ真面目な話、プロで3年連続盗塁王に輝いた人を知ってる?」
「知ってるでやんす。おいらその人のファンだったでやんす!」
「その人もヘッドスライディングで怪我をしてからヘッドスライディングをやめたんだ。それくらい危ない行為でもあるってことなんだよ。」
「そーなんでやんすか?うむむ、わかったでやんす。でも、一点を争うような時でもしないでやんすか?」
「そういう時の方が余計に危ないから禁止ってことにしたいんだ。」
矢部くんも納得できたみたいだし、話し合いもだんだんまとまってきた。
「よーし!話し合いはこれで終わり。あとはみんなの能力を知りたいから今日と明日に分けて能力テストをしようと思うんだがどうかな?」
「はい、自分は賛成です!」
「じゃあ、まずは着替えて集合しよう!部室に案内するねー。」
みんなの着替えも終わり俺は広巳の表情が少し曇っていたことが気にかかり話しかけてみた。
「なー、広巳。」
「どうしたの?球一くん。」
「いや、さっきの話し合いであんま喋ってなかったからさー。少し気になったんだけどどこか悪いのか?」
「い、いや?大丈夫だよ?」
なんか釈然としないけど本人は大丈夫って言ってたしあんまり追求しないほうがいいか。
「なら、いいけど。なんかあったら相談乗るからさ。あんま、無茶すんなよ?」
「うん、ありがとう。」
このとき球一は太刀川が少し肩を気にしてるのに気づかなかった。
この日の練習は終わり、それぞれ帰路に着いた。やっぱり身体能力でいくと友沢と3年生の二人がかなり高いことがわかった。
3年生の二人と別れた後一年生全員でファミレスに行くことになった。矢部くんが「新陸を深めるためでやんす!」
って言ってたけどただ楽しみたいだけな気もする笑
ちなみに友沢は帰ろうとしていたが、飯を奢ると言ったらちゃんと来た。
「へぇー、ここが歩先生のお勧めの場所かー。よく来るの?」
「うん、勉強するときとかも便利だからね。リーズナブルな割に量も多いしね。」
「おいらお腹すいたでやんす!早く入るでやんす!」
「よーし、矢部くん以外回れ右ー!」
「…おいら嫌われてるんでやんすか?」
最初は少し他人行儀なとこもあったけど、だんだん打ち解けてきて野球の話し合いになった。それにしても矢部くんはいいいじられキャラだな笑
「つばさのフォームって最近引退した人にそっくりだよなー。あの打ち方って打ちにくくないのか?」
つばさのバッティングフォームは肩にバットを乗せた状態からバットを垂直に立出るというフォームだ。そこから振られるバットは本人の力も相まってとても高1には見えないスイングになっている。
「うーん、あのフォームが一番しっくり来るんだよね。フルスイングしやすいって言うか。」
「へぇー。じゃあ、覇堂のガッツだな!」
「あはは、僕じゃまだ役不足だけどね。けどいずれそう言われるように頑張るさ。」
楽しい時間はすぐ過ぎてしまい、午後九時を回ったところでみんなそれぞれの家の帰路に着いた。
「そろそろいい時間だし、帰るか。」
「そうだね、これ以上は明日に響きそうだ。」
「ああ、明日からは野球漬けだな。」
夜、家に着いたら珍しく兄貴が家にいた。
「お、球一!遅い帰りだな!」
「おまわりさーん、知らない人がいまーす。」
「お前の兄貴だぞ!?」
少し、残念な気もする兄貴だが今は猪狩カイザースのエースとしてプロで活躍している。つばさの兄貴のスバルさんとは高校時代からのライバルでプロに入った今でも互いに意識しているらしい。
「ああ、兄貴か、びっくりさせんなよ。」
「…お前俺に冷たくねぇか?」
そんなことないよー、といい俺はふと思い出したことを聞いてみた。
「そういえば兄貴、金原さんって覚えてる?」
「金原?おぉ!覚えてるぞ。あのバットコントロールがすごかったやつか!」
「へぇー、一年生の頃からすごかったんだ。」
実際、今日金原さん相手に投げた時は一度も空振りを取れなかった。あの人は一度みたらほとんどの球に対処できるって言ってたし、すごい人だ。
「なんだ、金原に会ったのか?」
「うん、今俺の先輩だしね。」
「一年で唯一ベンチ入りしたしな。」
俺の高校の話から始まり、次第に兄貴のプロの話を聞いてみた。
「やっぱ、プロのバッターってすごい?」
「あぁ、すごいなんてもんじゃねぇぞ!初めてホームラン打たれた時が一番びっくりしたぜ。」
「へぇー、兄貴の球をスタンドまで運べるのって大輝さんくらいしかわかんないや。」
そんなこんなで兄貴と話してたら静姉からこらぁー!風呂に入ってさっさと寝なさいー!と怒られたので姉の機嫌を損なう前にすぐに風呂に入った。
明日からは野球漬けの毎日だ。
つばさくんのバッティングホームはガッツこと小笠原選手です。2015年はこれでオールスター組めるんじゃないか?っていう選手が大勢いなくなり少し寂しさがありますね。
ではまた次回!