明日もハレの日、諏訪の夏 ~カミサマのあだなさけ   作:花市 匁

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この度はこの小説に少しでも興味を持って下さり、ありがとうございます。
この小説は東方project様の二次創作です。原作と異なる所が多々あります。


気に入らない点もあるとは思いますが、しばしのあいだお付き合いくださいm(­_)m

すこしでもお楽しみいただけたら幸いです。



第三話「ストレンジ・オンバシラ」 -encounter

――東風谷早苗

 

彼女はここ守矢神社の巫女と名乗った。

 

「え、み、巫女さん?ってことは…………」

 

巫女。

いきなり耳に入ってきた言葉に現実味が持てない。

聞いたことはあるものの、衛のなかでその言葉はあくまでゲームや本の世界のものだった。

 

答えを求め、後ろを向く。

だが、そこにはなぜかニヤニヤとした笑みをうかべる諏訪子。

 

そして、いつの間にかそのとなりには見知らぬ女性が立っていた。

 

「え!?」

 

あまりの出来事に思わず声をあげた。

 

早苗と話しているとき、物音も足音も全く聞こえはしなかった。

まるで、いままで姿を消して急に現れたかのように――

そこまで考えてはっとした。

 

背後で圧倒的な存在感を放つしめ縄、胸元のいかにも怪しげな鏡。

貫禄のある体に、整った顔。

少なくとも普通の人間ではないことは分かる。

 

「……………だれ、ですか?」

 

気持ちを落ち着かせ、冷静に質問する。

 

すると、それに答えのは諏訪子だった。

 

「にししっ。驚いた?」

 

「へ?」

 

予想外の回答に、すっとんきょうな声が出てしまった。

 

見ると、そのとなりにいる人もくすくすと笑っている。

 

その瞬間、

大地が揺れた。

ドゴォォン!!という音とともに、目の前に土けむりが舞う。

 

「ゴホッ、な、なにが………」

 

咳き込みながら、じょじょに開いていく視界のなかに影が見えた。

けむりが引き、見えた彼女をみて衛は目を疑った。

 

その背中に、四本の大きな丸太が備わっていた。

 

「やあ、驚いたかな?」

 

目の前で仁王立ちする彼女。

その並々ならぬ端厳に気おされるが、表面に出ないように踏みしめた足に力をこめる。

 

「別に驚きませんよ…………あなた誰ですか?」

 

その衛の態度に何を感じたのか、彼女の瞳が少し開かれた。

そして口を開く。

 

「あっはっはっは、男の子らしい対応をありがとう。諏訪子から話は聞いているよ、石櫃衛くんよね?」

 

その傲慢極まりない態度に衛はわずかながらも反感を覚えた。

 

さっきの巫女と言い、この人といい、どいつもこいつも普通じゃない。

もしかして、この神社は「近づいてはいけない」とかいう感じのクレイジースポットなのではないか。

ちらり、と諏訪子の方に目をやる。彼女は彼女で何を考えているのかわからない。

だとしても、こんな集団に諏訪子を関わらせたくない。

 

そう思うといきなりこの神社が遠のき、ひどくいかがわしいものに見えた。

そして嫌悪感がつのる。はやくこの場から逃げ出したい。

 

それでも彼女は言葉をやめない。

 

「私は八坂神奈子よ、この神社で一番えらい山の神様さ。いやなに、あの諏訪子がいいやつと会ったとか言ったから、そいつが神様と親しくなってもいいぐらいの奴なのか見たかったわけで悪くはおも………」

 

そのときだった、いきなり目の前を黒い影が横切った。

そして、その影は彼女に激突した。

 

叫ぶひまもなく、二メートルほど後ろに吹っ飛ぶ神奈子。

その影の正体、それは諏訪子だった。

 

「アンタはマジで馬鹿なの!?いきなりなに御柱だしてどぉーんだ!あれか!頭イカれているかしらぁ!?ほら、早苗も言ってやってよ!」

 

神社にそんな絹を裂くような声が響きわたった。

体勢を立て直し、神奈子の前に立つとかみつくように顔を近づけそう叫ぶ。

 

目の前で起きる訳の分からないことの数々で情報取捨がごちゃごちゃになるが、この状況についてひとつだけいえること。

 

――諏訪子が神奈子にドロップキックをきめた

 

馬鹿馬鹿しい答えに見えるが、衛は確かにその瞬間を目の当たりにした。

当の神奈子は頭に衝撃をうけ、文字通り目を回している。

この一連の動作に衛はさらにこの神社への不信感をつのらせた。

 

足と、心が今度こそこの神社から離れようとした。

しかし、

 

「だ、だってえ……久しぶりの客だし諏訪子の友達っていうから、カッコつけたかったのよ……」

 

神奈子がうめくように呟く。

その言葉が、遠のいた衛をくい止めた。

 

そして、諏訪子を爆発させた。

 

「はああ!?か、カッコつけたい!?」

 

「諏訪子も分かるでしょ!見知らぬ参拝客に神様っぽくででーんと怪しげに登場してさあ、驚かせたいって気持ち。ほら、『右手が~』ってやつと同じ!なんかさ~、こういうアニメみたいに自己紹介してからコマーシャルが入るの、すっごい憧れててさ、やってみたかったのよ~」

 

一人でうっとりと熱弁する神奈子。

それに怒りを通り越し呆然とする諏訪子。

 

そこでさらなる刺客が入る。

 

「そ、そうですよ!いくら見栄はりたいからといってお年を召されてもそうしたいのは悪いことではないと思います。私もそれには憧れますから!神奈子様かっこよかったですよ!………………多分」

 

早苗だった。

言葉の尻に余計な感想が入れたのは故意だろうか。

 

さっきまでの雰囲気とは違う。異常であってもにぎやかな感じ。

頑是無い討論をくりひろげ、ぎゃあぎゃあ騒ぐ三人。

 

今までのこの神社に対するもやもやとした感情。

それがなぜだか今は無い。

 

神様うんぬんは正直衛の頭のなかでは片隅に置かれている。

しかし、明らかに常人ではない彼ら、とくに二人。

今日会った彼らは第一印象こそ「変」の一言だった。

しかし、いま目の前で言い合う姿――よくみる学校の風景だった。

 

 

守矢神社って………

 

案外……

 

気さくで、

ルーズで、

人間くさい神様がいて、

それも美しい神様で、巫女で

面白くて、

 

いいひとたちなのかもしれない……

 

そう思うと急にこの神社に興味がわいてきた。

今日ここにきた目的、それを果たさなければ。

 

「ねえ」

 

空気と化していた衛を忘れていた三人がこちらをふり返る。

 

 

 

「諏訪子と、夏休みの宿題やってもいいかな?」

 

 

 

諏訪子はすこし驚いたようだった。

 

そして、笑顔でこう言った。

 

「……………衛、あのさ」

 

 

 

 

 

 

 

「神に学校の宿題があってたまるかあああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱこの神社ふつうじゃない。

 

 

『このひつまぶしの耳は飾りか!神様が学校いってるわけないでしょ!』

 

 

にぶい痛みとともに、地面の硬い感覚が広がる。

 

痛むほおをよそに妙なうれしさを抱え、どこまでも青い天井を衛は仰いだ。

 

 

 

 

 

 




この作品に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
お楽しみいただければ嬉しいです。

いつもならまた至極くだらないコトを書きたいところですがネタなるものが全く思い浮かばないため、今回は真面目に書きます。

そんなわけですが万が一を思い、一つだけお伝えしたいことがあります。
文中に「いかがわしい~」とありますが、あれは「怪しい」というほうの意味です。
あんな感じやそんな感じのヤらしい意味で受け取ると、守矢神社が風ぞ………(ゲフンゲフン)もとい風の如く信仰が途絶えてしまいますねw



それでは、改めて読んでくださった方に心より感謝申し上げます。

ご意見、ご評価、ご感想のほど、頂けたらうれしいです
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