〜ホワイト〜デーイベント当日〜
「えー、今日はみなさんお集まりいただきありがとうございます!学期末最後のイベント楽しみましょー!」
いろはがそう言うと1人を除いてやる気を出している。
「いやーまじやばいでしょぉー隼人くん!ホワイトデーとかぁ!やる気出るわぁ!」
「そうだな、今日はがんばるか」
戸部と葉山隼人。
この2人はサッカー部で教室でも一緒にいる仲間である。
「あれ、いろはすじゃん!ぱねー、俺が作ったの食わせてあげるべ!」
「いやいやいらないですから」
いろはは冷たい視線を送り、その場から離れ、八幡のところに走って行った。
「せんぱーい♪どうですかー?」
「あ?まあ作った事あるし、なんとかなるんじゃね」
手際よく作業をこなしていく八幡にみんな驚いている。
「比企谷君、あなた料理できたのね」
「ヒッキー!すごい!」
雪ノ下と由比ヶ浜の2人は八幡の手際の良さを見て感動している。
「八幡〜!すごーい!僕も頑張らないとね!
「おう、戸塚、俺頑張っちゃうからな」
(やばい戸塚は男だ。俺は何を理性を失いそうになってるんだ。「小町より、女っぽいかな?戸塚君」。あぁ、これは病気ですね俺)
「何考えてるんですかせんぱい、気持ち悪いんですけど」
「なんでもねーよ、お前は俺のところじゃなくて色んな奴のところ行ってこい」
「いやでーす!せんぱいのそばにいます♪」
色んな面々がいる中、いろは八幡の腕に軽く抱きついた。
「お前、あざとさに磨きがかかってきたな、作りにくいから離れろよ」(こいつのあざとい攻撃にも耐性がついてきたな俺)
あわわわ、と由比ヶ浜は口をパクパクさせている。雪ノ下は冷徹なその瞳でいろはを見ている。
「は、八幡…な、なんだその戯れは…お主は女子との縁がないんじゃないのか!比企谷八幡!」
「はいはい、五月蝿いから自分の所いけよ」
「ふっ、我に下々の食べ物が食べられるか!
だがしかし、貴様のは別だ!貴様のを美味しくいただきに参上した」
材木座義輝、とりあえず、俺の知り合いで厨二。ただそれだけ。
「へー、比企谷も料理できるのかすごいな」
「お前に褒められても皮肉にしか聞こえねーよ」
隼人が近くに寄ってきて八幡に話しかけた。
彼が動いたせいか彼の周りにいる女子までが八幡の近くに寄ってきた。
「へぇ〜、ひきお料理できるんだ、案外やるじゃん」
三浦優美子。クラスカースト上位にいる案外優しい所もある女の子。
「うわぁー比企谷君すごいね〜、え!?比企谷君の隣に葉山君!?これははやはちが!?ブッハ!」
「もー姫菜ってばー」
由比ヶ浜が優しく介護して上げてるのは
海老名姫菜。とりあえず変態。
(なんで俺の周りに集まってくるんだよ、何、一種のぼっちを虐める企画なの、ライフポイントじわじわと削るのやめようね)
「隼人くーん、ちょ、早く焼かなきゃ時間なくなるっしょ!」
「そうだな、仕上げにかかるか、じゃーな比企谷」
「おう、てか、お前は離れろよ、なんでみんな突っ込まねーんだよ」
「えへへへ、せんぱいの腕暖かったです♪」
(あ、本当にこいつかわいいな…)
「うるせえ、早くどっかいけ、俺も仕上げるから」
「はーい♪ではではー!」
いろはが何処かに行くと、雪ノ下と由比ヶ浜が寄ってきた。
「相変わらず一色さんには甘いのね」
「ヒッキー、ニヤけててきもい!」
「いやニヤけてねーだろ、そしてすぐきもいとか言うな」
そうこうしている内に時間が過ぎ、
八幡のクッキーも隼人のも戸部のも出来上がっている。
「せんぱい!これ私が最初食べてもいいですか?」
「ああ」
いろははそれを摘んで食べると
「ん〜!せんぱい、美味しいです!」
「そうかい、そりゃーよかった」
(なんでだろ、普通のクッキーなのにすごく美味しく感じる。せんぱいのだからかな?やっぱり…)
いろはは八幡の側に寄り、耳元で囁いた。
「せんぱいのクッキー美味しいですよ、やっぱり好きな人が作った物ってなんでも美味しんですね♪」
「それをよく恥ずかしがらずに言えるな…お前に羞恥心はねーのかよ、でもありがとな」
「べ、別にお礼が言われたくてこんなこと言ったんじゃないですもん!素直な気持ちを伝えただけです♪」
小悪魔めいた表情を見せるいろは。
八幡は少しずつだが変わってきている。
彼女も少しはそれを感じ取っていた。
「比企谷君、私たちも食べていいのかしら?」
「ヒッキーの食べたい〜!」
「ああ、お前らにはバレンタインの時貰ってるしな、ほれ」
雪ノ下も由比ヶ浜も八幡のクッキーを食べて美味しいと絶賛している。
八幡は周りを見て思っていた。
(雪ノ下や由比ヶ浜が見せる表情、一色の素直な気持ち、葉山達のグループの雰囲気。どれを見ていても本物の解はそこにはない。だが俺がもし葉山達のように互いに理解をし合い、あんな笑える関係を築けるとしたら…やはりあいつらしかいないのではないか。いや止めておこう。もし、の事を考えたらキリがないな。一色の事はちゃんと自分の気持ちを言おう)
八幡は小さな溜息を吐いた。だがしかし、何かを心に決めたような、そんな感じがする。
「よー、比企谷」
「平塚先生、何でここにいるんですか?」
「君が気にすることじゃない、お?これ君が作ったやつか?1個もらうぞ」
平塚先生は八幡のクッキーを食べて笑った。
「優しい味だ、君はこんなに優しい物を作れるのになんで性格がそんなに曲がってるんだ?」
笑いながら八幡に言う先生は優しく彼を見ている。
「余計なお世話ですよ」
「まあいい、楽しそうで何よりだよ」
「これが楽しそうに見えますか?よくわかんないイベントですよ」
「それでいいんだよ、よくわかんない輪に混ざって楽しくやれたらそれでいいんだ」
平塚先生と他愛ない会話をして楽しそうな八幡。少しでも彼が表情を和らげたことがあっただろうか。この表情を見せるのは平塚先生と小町ともう1人くらいだ。
「今日はこれで終わりですー!皆さんありがとうございました!」
いろはが前でみんなにそれを告げると
「いやー隼人君のクッキーまじ美味しいでしょぉ!やばいわぁ!」
戸部が騒いでいる隣であーしさん(優美子)がご立腹でいる。
「戸部ぇぇぇ、うるさい。隼人この後みんなでご飯でもいかない?」
「あはは、そうしよっか、ゆきのちゃ…雪ノ下さんと結衣もどうかな?」
戸部と優美子とのやり取りに引きつって笑っている隼人。
「私はいいよー!ゆきのんは?」
「行かないことはないのだけれど……あなたが行くなら行くわ」
やった!といい雪ノ下に抱きつく由比ヶ浜。彼女は由比ヶ浜には甘いのでちょっと嬉しそうにしながらあしらっている。
「僕と材木座君は帰るね!」
「ケプコンケプコン!我は帰還するとしよう!」
「わかった、いろはと比企谷はどうする?」
「俺は帰「私たち残って片付けするんで葉山先輩達は先に行っててください♪」
いろはが笑顔でそう言うと隼人が何かを悟ったような顔をしてみんなを連れて教室を出た。
「なんで俺を巻き込むんだよ、片付けは元々手伝うつもりだったが」
「いいじゃないですか!可愛い後輩1人で行かせるんですか?」
「自分で言ってる時点でどーなのよそれ」
「むー!う、うるさいですよ!早くやっちゃいましょ!」
2人は片付けを始めて、他愛のない会話をして時間が過ぎていった。
「せんぱい、これここでいいんですよね?」
「多分な、でもそれ上の段に入ってるやつだな。お前の背じゃ届かないし、危ないから置いておけ」
「大丈夫で…す!ほら!でき……きゃっ!」
「馬鹿!」
いろはが脚立に乗って器具をしまっていたら、バランスを崩して脚立から落ちて怪我をしそうになった。しそうになったというのは八幡が身を挺して庇ったからである。
「いった…せんぱい平気ですか!?」
「いてえ……ん?ああ平気… あ」
「え?」
八幡が変な声を出してしまったのも無理はない。どんな事が起こったのかいろはの胸を触ってしまっているのだ。
「せ、せんぱいの変態!!!!」
「ちょっと待て、これは事故だ、断じて故意的ではない」
「ちょっと先生呼んできますね」
「待って、一色さん、本当に待って…あ」
「なんですか!また!あ」
2人がそう言うと教室に平塚先生がいたのだ。
「そ、そうか、お前らそう言う関係だったのか。ひ、比企谷先生に報告ないなんてひどいぞー」
(なんでこの人この状況で落ち込んでるの!先生
!落ち込まないで!早く誰かもらってあげて!いやそれ以前になんでここにきてるんだよ)
「じゃ、じゃーな、邪魔したな、でも続きは家でやるんだぞ」
「せんぱいのバカーーーーー!!もう先に自転車置き場で待ってますから!!!!今日は葉山先輩達のところ行かないで言うことまた聞いてもらいますからね!!!!」
(ひゃーーーーせんぱいに触られちゃった……胸の鼓動聞こえてないよね…?でも恥ずかしすぎるーーーーーーーーーー)
そう言うと、いろはは恥ずかしがりながらか怒りながらか、教室から出て行った。
「はぁ……」
(こんな事あって良いわけがない…やっぱりラブコメの神様って俺を見放してるんだな、ったくやってくれる、ラブコメの神様)
夕日が教室を照らす中彼はそれを見て遠くを見つめていた。
更新遅れてすいません!
今回は登場人物が多めでちょっとややこしくなってると思うんですけど、すいません。
更新は2〜3日くらいでしますね!
感想とかよろしくです!