ガリア海戦記(改訂版)   作:ウルティ

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 陸軍(原作で言う正規軍)・義勇軍視点のものは数多く存在しますが、海軍視点のものは存在しないので書いてみました。
 知識の不足故に見苦しい部分が多々あるかと思いますが、指摘されればその都度書き直しますので、どうかよろしくお願いいたします。


プロローグ

【Si vis pacem, para bellum(汝平和を欲さば、武器を取れ)】

 

 

 征歴1935年3月10日

 ランドグリーズ

 

 ヨーロッパ大陸の強大な帝国と連邦の狭間に設けられた緩衝国の一つとして、所謂“作られた繁栄”を享受してきたガリア公国に、【ヨーロッパの至宝】と讃えられる戦乙女の末裔が住まうとされる城塞都市が存在する。

 名を【ランドグリーズ】。ガリア公国に於ける政治・文化・軍事の中枢を司る首都であった。

 しかし今、春特有の柔らかな陽光が惜しげも無く注がれているにも関わらず、この白亜の城塞都市は雑然とした雰囲気を纏っていた。

 市街地中心部を貫く大路を、灰青色の物々しげな集団――【ガリア正規軍】が広範囲に渡って占有していたためである。

 ガリアの国防の一翼を担う軍事組織――所謂【陸軍】と呼称される存在が、何故首都である場所に集結していたのか? その理由は、数日前に帝国――【東ヨーロッパ帝国連合】より発せられた、ある布告にあった。

 

『本年3月15日より、我が神聖なる東ヨーロッパ帝国連合は貴国ガリアの手によって不当の後に占拠された旧ルーレン地方の奪還を開始する。 東ヨーロッパ帝国連合皇帝 ルフトヴァイス・デラアルタ・フォン・レギンレイヴ』

 

 宣戦を正当化させる理由として奪還と拡大解釈しているものの、この取り繕うまでもない実質的な侵略宣言は、ガリア公国全土に戦慄をもたらした。何しろ相手は数十万にも及ぶ兵員と、大陸最大級の機甲部隊を有する文句なしの最強国家。対して此方は、国民皆兵制度によって無理矢理に掻き集められるであろう義勇軍と、貧弱な常備軍のみの吹けば消し飛ぶような弱小国。彼我の戦力差など比べるまでもない。

 戦えば負ける。ガリアの地を暗雲が立ちこめた。

 しかし、それを是としない者達がいた。他でもない、ガリアに暮らす国民であった。嘗ては帝国に属国扱いされながらも、先人の血肉を代償に独立を勝ち取り、先の大戦に於いても押し寄せる敵を前に国土を守り抜いた事実は、未だ多くの人々の中で語り継がれていた。

 大国の気まぐれによって、否応がままに戦争へと踏み切られたガリア公国。しかし、それは同時に、ガリアに生きる人々の中に、抗う意志――【武装中立】の精神を呼び覚ました。

 征歴1935年3月8日。ガリア公国元首コーデリア・ギ・ランドグリーズによる非常事態宣言発令。これにより、ヨーロッパの小国ガリアは帝国との戦闘状態に突入した――。

 




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