ゼロの使い魔《怪人の主は純血の姫》   作:Gesamtsieg

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どーも。更新が不定期かつ遅いことで(自称)有名なGesamtsiegです。
今回新たなシリーズを連載していくにあたってワタクシ、新たな目標を立てました。

★継★続★力★

これにつきます! というわけで本編。どうか最後まで読んでいただけると幸いです。


夢歩き、そして出会い

夢・・・・・・そう、これは夢だ。

 

明晰夢というものだろうか。しかし、なんとなく夢だとわかるというよりは、きちんと理由があって僕はこの光景を夢だと理解している。

 

こんな風景見たことがないからだ。

 

見慣れた石造りとは似ても似つかない木材でできた建築物の数々。所々で見られる草木も知っている種類とは大きく違っている。建物の数からしてここはどこかの村だろう。鎧のようなものを着た人も少ないし辺境なのかな。

 

そもそも、なんとなくだけど、ここは異様なほど魔力が薄い気がする。当然大気中に溢れているはずの精霊の力はほとんど感じられない。

 

まるで異世界にでも来てしまった気分だ。

 

夢ならば心配する必要はない。憂いがないなら素直に楽しもう。ちょっとした観光じゃないか。

 

そんな、少しだけワクワクした気持ちで数十分も僕は辺りをうろついた。

 

 

 

 

 

「AAAAAAッ!」

 

ところが、観光気分もそこそこに夜の異国の情緒を、甲高い『雄叫び』が木端微塵に破壊してくれた。

 

若い女の子が獣の鳴き声を真似したような、しかし確かな戦意と殺意が混じった咆哮。

 

夢とはいえ尋常ならざる大声に僕は足を止めるしかなかった。気を抜けば蹲ってしまいそうなほどの迫力。そうならなかっただけ勲章ものだろう。

 

数秒後立ち直った僕は、声の方向に走り出した。どうせ夢だから安全と高を括っていたこともあるし、恐怖よりも好奇心が勝ったからだ。

 

これでも身体能力には自信がある。クラスメイトに僕ほど速く走れる生徒はいない。そう長く数える間もなく僕は声が発せられたであろう場所にたどり着いた。

 

そこにいたのは目元が涼やかな、異国風の衣装を着た美青年で、女の子らしき姿はない。他にあるのは原形を留めないほど壊された建物の数々と兵士らしき人々の骸。思わず吐き気が込み上げる。

 

青年が見つめている先には夜闇しかなく、それでもそこから目を離すことはない。

 

やがて我に返ったような顔でこう言った。

 

「あれは、あの鬼は――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          〈虚無〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は私にとって、いやこのトリステイン魔法学院の生徒にとって大事な日だ。

 

貴族たるメイジの生涯の相棒である使い魔。暖かい春のこの日にメイジの雛鳥たちは初めて彼らを呼び出すのだ。

 

常日頃から『ゼロ』なんて言われている私―――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールもその例に漏れず使い魔召喚の儀を行った。

 

結果、成功した。

 

そう。成功したのだ。今まで一度たりとも魔法に成功してこなかった私が、生まれて初めてちゃんと魔法を使うことができたのだ。

 

本当に嬉しかった。ちい姉様に誕生日プレゼントを頂いた時よりも、難しい問題を解いてお父様に褒めていただいた時よりも、初めて杖を握った時よりも、ずっとずっと嬉しかった。

 

召喚された使い魔がドラゴンとかグリフォンなどの高位の獣やネズミや犬などの可愛い動物じゃなくても、ましてや人間の平民という異例の事態であっても、私は嬉しかった。・・・・・・まぁ、召喚した瞬間だけはプライドが邪魔してやり直しを要求しちゃったりしたけど。

 

この喜びを分かち合いたい。

 

そう思える相手は少ないが、いる。家族と、そしてたった一人の友人だ。私と同じように魔法が使えず『ゼロ2』と蔑まれ、私と同じ痛みを知っている親友。

 

だけど今すぐはそれはできなかった。

 

彼女は先ほどの自分と同じく、召喚の儀を今まさに行おうとしているからだ。

 

わずかに緊張が浮き出た表情を見れば、さっきから隣で「トウキョウだよね?」とか「なにこれコスプレ会場?」なんてわけのわからないことをしゃべっている平民も意識から追い出されてしまう。

 

がんばれ。

 

胸の中でそう応援するが、声には出さない。彼女はすでに頑張っているから。私と同じようにいつも努力しているから。

 

意を決したのか、彼女は前に進み出る。

 

皆が彼女に注目した。彼女が最後だからだ。

 

杖を構え、その薄く小さな唇からまるで歌のように呪文が奏でられる。優雅なバラードではなくどこか必死なクラシック。

 

やがて歌は終わる。

 

メロディの消えたその先には何があるのか。

 

爆発だった。いつものような爆発。魔法の失敗を表す爆発。絶望の証である、爆発。

 

一瞬悲しくなった。

 

自分でも成功できたのに、彼女はできないのか。そう考えてしまうだけで胸に重りが付いたような気持ちになる。

 

だけど、それは早計というものだった。

 

煙が薄れ始めると比例して中の影が浮かび上がってくる。

 

現れたのは二つの影だった。

 

どちらも自分と同じかほんのわずかに小さいくらいの影。

 

片方は召喚者である友人だろう。うなじで三つ編みに括られた長い銀髪はシルエットとしても特徴的だ。

 

片方は・・・・・・私が召喚したのと同じ人間!?

 

シルエットだけでわかるのは私とそう変わらない身長と、背中に届くか届かいないかくらいに伸ばされた髪くらい。後体格からして女の子だということ。

煙が徐々に消えていくにつれて、少しずつその全貌も明らかになっていった。

 

 

髪の毛は黒に近い灰色。綺麗だけど整え方が少し雑。

 

肌の色は白。まるで吸血鬼や病人の様。

 

目は血のように紅い。大きく宝石みたいに鮮やか。

 

顔立ちは幼くも美しく、眠そうな表情が気安い。

 

 

どこからともなく喉を鳴らす音が耳に届く。男子たちだろう。あの妖気さえ感じる美貌に、魅せられたのだ。

 

証拠に、

 

「すげぇ・・・・・・」

 

と傍にいる平民も呟いている。緩んだ口元、呆けた目。魂を抜かれたような表情とはこのことに違いない。

 

だけど、あの子・・・・・・なんかすごく人工的。

 

直感的にそう感じた。そう感じてしまうほどに、彼女の顔も、スタイルも、肌も、完璧に整い過ぎている。

 

兎に角、何にしても私の友人は見事召喚魔法サモン・サーヴァントを成功させた。

 

自分のことじゃないのに、ここまで安心するなんて。この変化はきっと悪いものではないはず、よね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          〈怪人〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはどこだ?

 

俺は誰だ?

 

 

 

自分が何なのかはわかる。英霊だ。

 

生前に何らかの大きな功績や伝説を生んだ超人が世界によって高位の存在に昇華された、人間霊よりも精霊や神霊に近い幻想。それが英霊。

 

世界のシステムや自分の状態はわかる。

 

だが、自分の名前は何なのか、そもそもどういった英霊なのかといったことが、まるきり記憶から欠如してしまっている。通常の戦闘に支障はないが、この状態じゃ宝具は使えない。英霊としては格落ちもいいところだ。

 

周囲の風景も覚えがない。

 

通常なら現界と同時に世界からその時代や場所の情報が与えられるはずだというのに、その様子が全くない。それに、どういうわけか受肉しているとはいえ、この身は『座』にいる本体から別れた分身のようなもの。その本体とのリンクが感じられない。

 

中世の・・・・・・フランスだろうか。だがどことなく違う。さほど建築に詳しくはないが、素人目に見てもレンガや漆喰などの材質が当時のフランスとはわずかに異なっていることがわかる。木々も記憶にあるヨーロッパのそれらよりも少々背が高く見えた。

 

周囲にいる人々もまばらで、褐色肌の者もいればゲルマン系民族のような顔立ちの者もいる。桃色の髪や青の髪を見た時は流石に驚いた。そして、皆に共通して言えることは、数人を除き十代後半程度の若者しかいないということ。彼らは一様に服装とマントを同じくしている。

 

察するに、ここは教育施設か何かだろう。

 

これだけ集まっているということは実習か何かの途中。その最中に俺が召喚されたということか?

 

「――――――――――――」

 

声のした方に振り向く。

 

銀色の髪が美しい少女が、そこにはいた。

 

 

白ではなく銀。金にも勝るプラチナ。

 

透き通るように白い肌。絹のように精緻。

 

眼は金。黄金のトパーズ。

 

精巧ながら朗らかな造り。人形ではなく化生の位。

 

 

瞬間魅せられる。

 

人間の域を超えている。そう思わせるほどに圧倒的な美貌は、抗いがたい魔力を放つ。その魔力が自分へと向けられているならなおさらのこと。

 

しかし呆けている場合でもない。

 

こちらを見ているということは、俺に用があるのかもしれない。少なくとも意識を向けられていることは確かだ。

 

いや、魔術的にリンクが繫がっている以上彼女が俺の召喚者―――マスターである可能性が高いだろう。ならば、第一声はこう言うべきだ。

 

 

 

 

「サーヴァント・アサシン。召喚に応じ参上した。・・・・・・問おう。貴女が俺のマスターか?」

 

 

 

 




アサシン(以下暗)「こんにちわー。アサシンさんの解説コーナー始まるよー」

わーわー(自分の声)ぱちぱち(自分で拍手)

暗「さて今回がこのコーナー初回なわけだが、とりあえず毎回出演(強制)決定の生徒を紹介しておこう。―――我が主アルルカーナ・ボナパルドこと僕っ娘様だ」

僕っ娘様(以下僕)「どうもどうもー。このコーナーでは僕っ子様と呼んでくれていいよ。ていうか是非ともお願いするよ」

暗「お、ノリが良いな僕っ子様。てっきり嫌がると思ったのだが」

僕「こういうのは楽しんだ者勝ちだからね。その為ならニックネームくらいお安い御用さ」

暗「ふむ、ポジティブ思考は素晴らしいな」

僕「そこはかとなく馬鹿にしてない?」

暗「さて、何のことやら。・・・・・・ところで本題に入ろう。今回は『受肉』についてだ」

僕「あ、誤魔化した。後で追及するからね」



暗「『受肉』というのは英霊や人間霊などの霊体が何らかの要因で肉体を得ることだ。通常はまず不可能なことだが、裏技も存在はする」

僕「肉体を得るとどうなるの?」

暗「これはサーヴァントの例だが。マスターからの魔力供給が必要なくなる。肉体があれば自分で生成できるからな。真の意味で『もう一度人生を歩む』ことができるわけだ。もちろん、宝具や身体能力はそのままに」

僕「へえ、良いことばかりだね。ところで、さっき言ってた裏技って?」

暗「適合可能な肉体を一から精製したり、とある聖遺物を使う、などといった方法だな。前者はそんなことができる術者がまずいないし、後者は犠牲が大きすぎる」

僕「でも、アサシンは受肉しているんだよね?」

暗「うむ。理由は俺にもわからん。異世界に召喚されるのは多分初めてのことだからな」

僕「ふぅん。・・・・・・話は変わるけどさっきからちょっとずつ出口の扉に手をかけてるのは何故?」

ギクッ

暗「い、いや、次の回が少々危険な予感がしてな。準備を、と」

僕「へぇ。じゃあ僕も準備しなきゃ。次回に向けて」

暗「そ、そうか。んじゃ〆は任せた」

バタン

僕「返事する前に行っちゃった。まぁいいか」

僕「それじゃあ、今日の解説コーナーはこれで終わりです! 次回もまた気が向けば読んでください!・・・・・・うん。来週の為に包丁をいくつか買っとかないと」



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