ゼロの使い魔《怪人の主は純血の姫》 作:Gesamtsieg
書いてはいたんですよ。書いては。
まとまったんで投稿という形になりますね。
長らくお待たせして申し訳ありませんでした!(誰も待ってないかもしれないけども)
〈怪人〉
少年に問を掛けてから一週間が経った。
その間、ヴァリエール嬢とその使い魔が剣を買いに行って、何故かしゃべる剣を買ってきたり。そのヴァリエール嬢がサイトに何を言ったのよとか言って詰め寄ってきたり。褐色の素晴らしいスタイルの女の子が少年に言い寄っているのを見て嫉妬の炎を燃やしたり。気晴らしにと準備していた昼寝場所がヴァリエール嬢と褐色の女の子の喧嘩で破壊されたり。
本当にいろいろなことがあった。特に昼寝場所を失ったのは痛かった。日当りといい、人気のなさといい、完璧なスポットだったのに。
返事がしたい。そう言われて俺は今学園敷地内の塔の前にいる。
目の前には気まずそうな顔をしてこっちを見る少年。その顔を見る限り一応悩みはしたみたいだな。ちょっと過剰に盛って脅してしまったが、正解だったらしい。
「で、どうしたい?」
「え?」
「だから、どうするのか、どうしなければいけないのか、じゃなくてどうしたいか訊いてるんだよ。お前の気持ちだ。まずそれがないと話にならん」
まぁ断るだろう。
格好から察するに二十一世紀初頭の日本から召喚された様子だからな、少年は。殺し殺される世界なんて想像できやしないだろう。抽象的な恐怖くらいしか感じないはずだ。
「殺し、のやり方は知りたくないです」
消え入るような声で少年はそう言った。
予想通り、か。つまらんといえばつまらんが、正解だろうな。記憶喪失の、それも暗殺者のクラスに戦い方を習ったってろくなことにならん。
「でも・・・・・・」
「でも?」
「せめて生き残れるくらいにはなりたいです・・・・・・ッ!」
大した声量ではないが確かな意思が感じられる声が空気を揺らす。
誰かを守りたいだとか、最強になりたいだとか、そんな初心者が勘違いした理由がスタート地点じゃなくて、生き残りたい、か。
思わず少年の頭をグリグリと撫でる。
「え?」
「なかなか上等じゃねぇか。剣を取るには十分な理由だよなオイ」
何かを守るなんてのは余裕がある奴だけに許された特権だ。そんな特権階級はセイバーなりランサーなりご立派な三騎士にでも任せる。ところがどっこいこちとらアサシンだ。暗殺者だ。余裕なんてもんは犬にでも食わせるさ。
「もう一度聞くぜ。俺は飽くまで戦士じゃない。それでも俺になりたいか?」
「い、いえ。別にアサシンさんみたいにはなりたいわけじゃないんです。ーーー俺は、」
次に紡がれる言葉が俺の予想通りなら、俺が考えた通りなら、
「アサシンさんの技術だけが欲しいんです」
こいつは強くなる。
面倒事。これがとことん俺は嫌いだ。多分生前から。
その面倒事にも種類があるわけだが、特に面倒なのが女同士の諍いだと思う。後に引きずるし、見てて気分のいいものじゃあない。それが爽やかな殴り合いや殺し合いならまだしも、恋愛がらみや男の取り合いだと、そりゃあもう関わり合いになりたくないものだ。
何が言いたいかというと、サイト君ドンマイ、ということ。
俺の目の前には、気に吊るされたサイト少年とその目の前でギャーギャーと言い争う少女二人。傍から見ている俺やアルルは苦笑いしか浮かばん。
どうやらこの間街で買ってきた剣が、ルイズが買い与えたしゃべる剣と褐色少女キュルケ嬢の豪奢なだけの剣二振りあって、どっちをサイトが使うかということで争っているらしい。どっちでもよくない? もう好きにすればいい。モテ男は滅べばよいのだ。
「ああはならんでくれよ、ご主人」
「ちょっとああなるのは無理かなぁ」
ふむ。話がついたようだ。
ファイヤーボールという魔法で吊るされているサイトのロープを切った方が勝ちということになったらしい。んな無茶な。
ルイズはロクに魔法が使えんし、
「キュルケ嬢は魔法上手なのか?」
「うん。トライアングルクラスだからね。この学園でも才能はトップを争うんじゃないかな」
「なるほど。勝負が見えたな」
「ははは・・・・・・」
ハンデとしてルイズが先に撃つという。え? それサイト君死なない?
本人もわかっているのか、助けて下さいとでも言いたげな、というよりもはや必死過ぎて目も当てられない顔で俺を見てくる。腐っても俺は英霊だ。その声には答えようじゃないか。
「さようならサイト。君のことは忘れない」
「人でなし!」
そりゃあこちとら人間じゃありませんから。
審判の時は来た。
処刑人は一片の躊躇いもなくその断罪の鎌を振り上げ、罪人の首は天を舞う――――――。
今回も短いですねー。
ちょっとリハビリも兼ねた投稿なんであとがきの雑談コーナーはしばらくおやすみです。
気が向いたら復活します。