憧れが二人いるのは間違っているだろうか   作:パッカ5210

2 / 2
二話

(遅い…いくらなんでも遅すぎる……!)

 

ベルのファミリアの神、ヘスティアはホームである教会の隠し部屋で、同じ場所を行ったり来たり繰り返していた。

ちょっとしたいざこざから家を出てバイトの飲み会で焼け酒をしてから帰ってくるとベルはおらず彼女を迎えたのはがらんとしたホームだけだった。

その事に不機嫌になってふて寝しようとしたのが十時頃、しかしその後一時間、二時間たって十二時を過ぎてもベルは帰って来なかったのだ。

 

「何処へ行ったんだ君は…!」

 

毛布から飛び出て外を探してみるも収穫は無し、最後の望みとまたホームに帰ってきたがそこに探している少年の姿は無かった。

最後に別れる時に捨てられた子兎のような目をしていたベルの姿を思い出して罪悪感をつのらせるヘスティアであったが今はその事は一旦置いておく。

 

(彼のことだから普段どうりなら僕に平謝りにきてもおかしくないものだけど…違うとなるとベル君が帰ってこないのはやっぱりっ…!)

 

彼女の頭に浮かんだのは一匹の子兎が肉食動物に囲まれて涙目で震えている姿。

居ても立っても居られなくなったヘスティアは再びベルを捜索しようと扉に駆け寄った。

 

「ーーふぎゅ!?」

 

「あ、ヤバ」

 

ヘスティアがドアノブに手をかけようとしたその時、見計らったかのように扉は彼女の顔面を強打した。

 

「か、神様…ご、ごめんなさい…」

 

「あのぉ…俺もスミマセン、まさか扉の前にいるとは…」

 

まさかの襲撃に悶えていたヘスティアだったが頭上から降ってくる二つの声の内一つが求めていた声だったので勢いよく立ち上がる。

 

「ベル君!?」

 

彼女の胸に広がる安堵。ベルを見上げるヘスティアは思わず涙み抱きつこうとしだがそのすぐ近く…というかベルに肩を貸している青年がいたのでその衝動を抑えた。

よく見ると傷こそ無いもののベルが着ていたはずの服は数多くの傷がついておりベル自身も酷く疲れきっている様子が見て取れたのですぐさまヘスティアは彼を青年に頼んでベッドまで案内してもらう。

その後ヘスティアは彼からベルがろくに装備もせずにダンジョンに向かったことを聞いて一旦は怒りたくなったが彼の憔悴しきった顔を見て怒りは何処かに飛んでいく。

 

「ふう…これで大丈夫だと思いますよ。傷の方は手持ちのポーションで何とかなりましたから後はゆっくり休ませて体力を回復させてあげてください」

 

「本当にありがとう…ポーションの代金や君を含めて君のところの神にお礼がしたいから名前を教えてくれないかい?」

 

「か、神様?この人を知らないんですか!?」

 

ヘスティアが青年の名前を聞くとベルは酷く驚いたような顔をする。

その後に聞いたベルの説明からするとどうやら青年はこのオラリオではとても有名な冒険者らしかったが今までベル意外の子供に特に興味のなかったヘスティアは有名な冒険者の名前や姿などにはとても無知であった。

 

「す、スミマセンキリトさん…神様はまだこの街に来てあんまり経ってないみたいで…」

 

「構わないよ、それとポーションの代金とかは本当に気にしないでいいですよ?困っていたときはお互い様でしから」

 

「おお!君は何て優しい冒険者なんだろう。

ボクの、ボクの!ベル君を救ってくれて本当に感謝してるんだ。

やっぱり挨拶とお礼はしっかりとしておきたいから君達の神様とファミリアの場所を教えてくれないかな?」

 

「ま、まあそういうことならいいですよ」

 

そういってキリトは自分のホームと神の名前をヘスティアに告げてから帰っていく。

二人きりになったのでヘスティアは今回のどんな風に言おうが愚行としか思えない行為の真相を聞き出す。

 

「ベル君、君はどうしてこんな無茶をしたんだい?いつもの君ならこんな自暴自棄になるような真似はしなかっただろう?」

 

「………」

 

しかしベルは口を開くことは無かった。前髪で瞳を覆ってヘスティアの質問に拒絶の意を言外に告げてくる。

 

「…はあ、わかった、もうなにも聞かないよ。君は意外と頑固ものだからね、ボクが無理矢理聞き出そうとしても無駄だろうし」

 

「ごめんなさい…」

 

「なに、いいさ。じゃあ、今日はもう動けなさそうだしこのまま寝ようか、今日はベッドで寝ること。いいね?」

 

「いいんですか…?」

 

「当然だろう?ここで君をソファーに放り出すほど、ボクは性根を腐らせてなんかないぜ?」

 

いくら体の傷はポーションで消えていても疲れまではとれはしない。

今ベルに必要なのはあの青年が言ったとうり休息なのだろうとヘスティアは自分の寝床を譲ることにした。

しかし、その言葉を言い終えた後で、彼女はある悪戯を思いついた。

 

「その代わり、ボクも同じベッドで寝させてもらおうかな?

君を探すために散々駆け回ったんだ、もうヘトヘトだよ。

…フフ、まさかぁ断ってくれないよねぇ?」

 

この時ヘスティアは一日中心配して走り回ったのだから最後にベルの赤面する姿でも見ていい気分で寝ようと軽い気持ちで発言した。

しかし予想以上に疲れていたベルの頭では深く考えることができずにいつもなら絶対に言わないようなセリフを言わせてしまったのだ。

「あぁ、そうですね。神様も疲れてますよね。じゃあ、すぐに一緒に寝ましょう」

 

「…なぬっ!?」

 

冗談のつもりが華麗なスルーと共に強烈なカウンターを叩き込まれたヘスティアは絶句する。

くそ、ベル君の癖に…!抱きつく。絶対に抱きついてやる!

そう思いながらベルの胸の中でぐりぐりと顔を押し付けて少年の体を思う存分堪能する。言質はとった。もうベルは逃げられない。じゅるり。

 

「神様…」

 

「…!にゃ、にゃんだいっ?」

 

ぽつりと呟かれた声に裏返った返事をする。

まさか見透かされたのかと一抹の危惧を抱きながら、ヘスティアは次の言葉を待った。

 

「…僕、強くなりたいです」

 

「!」

 

はっと少年の顔を見る。

彼の眼差しはここにはない何か大きな者たちを羨望し、追いかけるように真っ直ぐな目だった。

 

 

 

 

次の日、ベルはヘスティアが一緒にねていることに気付いた瞬間絶叫した。

早い時間帯に起きた二人は現在とりあえずということでステイタスの更新をおこなっている。

 

(ああ、わかっていたさ、子供達は本当に変わりやすい…それにベル君は昨夜何か大変な思いをしてきたこともわかっていたさ。

ただ、余りにも変わりすぎだろう!ベル君の浮気者!)

 

ベル・クラネル

 

Lv.1

 

力 H120→G221 耐久 I 42→H 101 器用 H139→F305敏捷 G225→E402 魔力 I 0

 

《魔法》【 】

 

《スキル》

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)

・早熟する。

・懸想が続く限り効果持続。

・懸想の丈により効果向上。

 

英雄模倣(ヒーロー・イミテイション)

・対象の模倣時に補正

・対象がいる限りアビリティの部分効果向上

・対象がいる限り効果持続

 

 




ステイタスを書いて欲しい人がいた場合感想に書いてくれると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。