恋姫†有双   作:生甘蕉

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感想、評価ありがとうございます。

評価に一言つけてくれた方、ありがとうございます。
やっと見方がわかりました。



二十二話  舌戦?

「またか」

「面目ない……」

 呉との戦いで道場送りにされた俺。

 死因はたぶん矢。

 やっぱフラグクラッシャー効果って必要だなー。

 それとも、今まで貯めてた死亡フラグが順調に発動してるのかな?

 

 俺の部下なはずの凪、沙和、真桜の三羽烏は輜重隊の護衛と補給路の確保。

 せっかく鍛えた新兵をいきなり主戦場に回さないで、実戦に慣れてもらうつもりなんだろうけど、俺もそっちについていけばよかった。

 完成しちゃった俺の牙門旗を披露しようって、前線に残ってたらこの様。

 蜀ルートだと、呉と同盟した蜀によって補給線が攻撃されてたのもあって行かなかったんだけど、よく考えたらその時攻撃してくるはずの愛紗はこっちにいたんだよね……迂闊。

「っと、引継ぎ確認しないと」

 

 

 引継ぎ確認後、道場に現れた三羽烏。

「ここは?」

「みんないるのー。あっ、しすたーずもいるー」

「けったいな場所やなあ」

 驚いた顔を見せるのは三羽烏だけではなかった。

 

「い、いきなり現れたです」

「びっくりしました」

 ねね、流琉の二人に季衣ちゃんが得意気に説明。

「兄ちゃんが引継ぎ確認したら出てくるんだよ」

「引継ぎできるってことは、この三人ともしたのね?」

 詠の指摘を聞いた愛紗がずんずん近づいてくる。

 

「皇一殿! 前回道場で増えないと言っておきながら、もう三人も追加とはあまりに無節操ではありませんかっ!」

 華琳ちゃんに言ったの聞いていたのね。ってか、増えないかと思うって言っただけど。

「無節操……い、いや、ちゃんと三人の気持ちとか確認したし……」

 もしかして嫉妬してます?

 嫉妬は愛紗の代名詞だったけど、まさか俺でも? 

 正座して説教される俺。愛されてる証と思って耐えることにする。

「皇一殿は誰でもよろしいのではないのですか!」

 処女か、俺が非処女にした娘じゃないと嫌なんだけどなあ。

 

 

 江陵での戦いには孫尚香ちゃんが出てきていた。

 まさか弓腰姫って異名の尚香ちゃんの攻撃で死んだんじゃあないとは思うけど。

 弓じゃなくてチャクラム使ってたはずだし。……けどあれってフラフープっぽいよね。

 

「呉をなめるからよ。諦めるまでに何度死ぬかしら?」

「何度死ぬかしらね? 呉に勝利するまでに」

 あ、今度はちゃんと孫策がいるな。華琳ちゃんと挑発しあってる。内容が俺の死亡回数予想ってのは悲しいけど。

 

 それを見て愛紗の説教がストップした。

「あの方は?」

「そういえば前回もいなかったっけ。あれは孫策」

「孫策? 江東の小覇王……たしかもう亡くなっているはずでは?」

「なん? 隊長、死人とやったん?」

「そんなわけないって」

 死姦とかマジ勘弁して下さい。

 

「孫策はこの道場の主らしい。詳しいことはよくわからない」

 うん。いまだに謎なんだよなあ。

 この道場も謎。外には出られないみたいだし、孫策はこの前どこに行ってたんだろ?

「味方、なのかな? 今のところは」

 呉の人間を道場に連れてきたら、どんな反応するんだろう。

 周瑜あたりなら孫策にここのことしっかり説明させてくれそうだけど、周瑜って非処女っぽいんだよね。無印スタートだから大小いるはずだし……。

 

 

 

 ロードしてやり直し。

 華琳ちゃんに呼び出された。なんか孫尚香ちゃんとの舌戦に同行しろってことらしい。

 

「この曹孟徳の相手にあなたは相応しいのかしら? 孫尚香」

 華琳ちゃんも俺も一周目でシャオちゃんから真名を貰っているけど、この二周目の尚香ちゃんからはまだ。

 一周目のシャオちゃんは俺と仲良くしてくれてただけにやり辛い。

 シャオちゃんのおかげで俺、華琳ちゃんたちと結婚できたようなもん。季衣ちゃんに次ぐ大恩人なんだよね。

 またあのシャオちゃんとお喋りしたいなあ……。

 

 

 華琳ちゃんの後ろに控えて、舌戦が進むのをただ傍観している俺。なんでこの場にいるんだろ?

 いつのまにか舌戦の内容が胸の話になってるし。

 尚香ちゃんより華琳ちゃんの方が小さいとか、挑発してくるし。

 華琳ちゃんがあまり動揺してないのは、さっきも同じ話になったんだろうな。

「へっへーん。シャオはこれからばいんばいんになるんだから!」

 できれば尚香ちゃんは、ばいんばいんにはならないでほしい。

 おっぱいの話で盛り上がる二人。やっぱり気にしてるんだよね。小さい方がいいのにさ。ビバ貧乳!

 

 

 華琳ちゃんは大きくなりません。なっちゃ駄目なの! そう叫びたいのをぐっと堪えて見守る。

「女の幸せが大きさに直結してるとでも?」

「当たり前じゃない。男は大きなおっぱいが好きなんだから!」

 いやいや、おっぱいは好きですが、人には好みがあるのですよ。

 

「……ふっ」

「な、なによ! いま、鼻で笑ったわね!」

「皇一」

 呼ばれたんで前に出る。やっと出番か。

 このために俺を控えさせとくなんて、相当胸のことを……なんで睨んでるかな華琳ちゃん。もしかして俺が胸見てたのばれた?

 

「なによ、こいつ?」

「俺の名は天井皇一」

「じゃあ、こいつが?」

 胡散臭げにじろじろと俺を観察する尚香ちゃん。シャオちゃんを思い出すなあ。

 

「ええ。私の夫。……私の女の幸せ、かしらね」

「なっ?」

 大きく目を見開く尚香ちゃん。華琳ちゃんに先手を打たれた感じなんだろう。

「私は胸など大きくなくても人生の十割を満喫している」

 ほ、本当に!?

 まあ、挑発のためなんだろうけど嬉しいなあ。

 

「皇一は大きな胸じゃないと満足しないのかしら?」

「ぶっちゃけた話、華琳ちゃんの胸なら大きさなんて関係ない! ……でも、どっちかといったら小さい方が好きだよ」

「ごめんなさいね、惚気てしまったわ」

 尚香ちゃんを哀れむような華琳ちゃんの表情。

「く、くーっ! ……小さい方が好きってただの変態じゃない! 星が言ってた幼女と修羅場っての本当だったのね! ふ、ふんっ! そんなブ男なおじさんなんて羨ましくなんかないもん。シャオは面食いなんだから!」

 動揺してるのか勢いよくまくしたててる。かかったとばかりに華琳ちゃんがニヤリ。

 というか星、どんな噂を呉でばら撒いてきたのさ。……いや、怖いから聞きたくはないですが。

「あら、皇一はただの変態ではないわ。顔のいい変態よ」

 そうだろうとは思ったけど変態は否定してくれないのね。

 むしろ肯定してるよね。

 

「皇一」

 名前を呼ばれただけだが、華琳ちゃんの要求はわかる。うん。通じ合ってるもん俺たち。

 要求の内容は嬉しくないけどさ。

「仕方ない、か」

 眼鏡を外す俺。尚香ちゃんが驚愕の表情を見せる。

「う、嘘……絶世の美男子ってあの噂も本当だったの?」

 いやだから、それは桂花たちの情報操作なんだけどなあ。絶世のとかって止めてくれないかなあ。

「か、カッコイイ変態よりも、まともなブ男の方がマシよ!」

「変態は直せるかもしれないけれど、ブ男は直せないわ」

 ごめん華琳ちゃん。変態はたぶん直らない。

 華佗なら整形ぐらいなんとかできそうだけど、変態の方は華佗にも無理そうだよな。貂蝉と卑弥呼放置してたし。

 

 

 頭に血を上らせて尚香ちゃんは舌戦を終えた。

 華琳ちゃんの方はかなり上機嫌。

「ふふっ。今度は死なないように皇一は私のそばにいなさい。総員、攻撃準備!」

「華琳ちゃん、変態でもいいんだね」

「……自覚はあったのね」

 そりゃもう。

 

 

 

 江陵戦は魏の勝利で終わる。いや、呉との戦争が始まったのか。

 さらに尚香ちゃんが逃げ遅れて捕獲された。陸遜を撤退させるために残ったらしい。

 ここにきて無印色が強い展開がちょっと不安。白装束がなにかしてる?

 ……こっちの武将多すぎるんで逃げられなかっただけかも知れないけど。

 ちなみに捕まえたのはたんぽぽちゃん。上手いことトラップにかけたのかな?

「この縛り方、星直伝?」

「ほお、わかりますか」

 だって亀甲縛りだもん。

「悪くないわね」

 むう、華琳ちゃんがこっちに目覚めないといいなあ。

 いや、俺も華琳ちゃんを縛ったことあったけどさ。縛られるのは嫌なんだよね。おっさん縛っても美しくないもん。

 

「むー……捕虜と話す時は眼鏡くらい外しなさいよー」

「君の縄と俺の眼鏡、どっちか片一方なら、どっちを外すのがいい?」

「むむむ……」

 なんで悩むのさ?

 

「確実に皇一の素顔が見たいのなら、閨にくる?」

 閨だと俺が眼鏡とるの、もはや確定なのね。

 辛いなあ。……なにが辛いって、慣れてきちゃった気がするのが怖いこと。

「捕虜にしたからってシャオを陵辱するつもりなのね! いくらシャオが可愛いからって」

「いや、あのね」

 とりあえず縄を解こうと尚香ちゃんに近づく。

「やめて! シャオに乱暴する気でしょう! 艶本みたいに! 艶本みたいに!!」

 ……誰がこの台詞教えたんだろ。やっぱり星?

 

「ふふふ。皇一は艶本どころじゃないわよ」

「そ、そうなんですかっ!?」

 食いつかないで雛里ちゃん。そんなことないんだから! 俺は初心で晩生なんだってば。

 雛里ちゃんやっぱり八百一本だけじゃなくて、艶本も勉強してるのかな。朱里ちゃんいないからどうなんだろ、って思ってたけど今の反応は怪しいな。

 

「試したい娘はいるかしら?」

「ここにいるぞーっ!」

「たんぽぽっ!?」

 手を挙げたたんぽぽちゃんに翠が慌ててる。

 俺もビックリなんだけど。いったいどうして?

 

「みんなに聞いたんだけど、たんぽぽたちが来る前に勉強会したって」

「勉強会? ……性教育の?」

「そう、それ! みんなで皇一さんの双頭竜を楽しんだんでしょ?」

 くっ。誰だ、俺の黒歴史を教えたのは。

 

「双頭竜?」

 興味深そうに目を光らせたのは尚香ちゃん。

「その噂はまだ呉には届いてないようね」

「いえいえ、内容的に孫尚香ちゃんには教えてないだけではないでしょうかねー」

 まあ、ナニが二本ってのを教えるのも教育的によろしくないか。……もしかして、呉にも双頭竜とか流してるの?

「たしかに子供に聞かせる話ではないでしょう」

 鼻をおさえて堪えながらの稟。双頭竜って異名だけなら耐えられるレベルなのか。それとも耐えなきゃ危険なレベルなのか。

「子供扱いしないでっ!」

 ぷぅと頬を膨らませる尚香ちゃん。

 

「子供扱いしたのは呉の連中でしょ。それよりも! 皇一さんの双頭竜、ホントに試せるの?」

 だから処女は大事にしろとあれほど……って、たんぽぽちゃんには説明してなかったっけ。それに珍獣扱いで見たいだけなのかもしれない。

「そうね。孫尚香を捕らえた褒美として、もう一度皇一に性教育の授業をさせましょう」

「やたっ♪ お姉様も参加しようねー」

「あ、あたしまで!?」

「孫尚香、あなたも参加しなさい」

 なんかもう俺が拒否できない流れになっている。それがご褒美でいいの?

 でも、捕虜の尚香ちゃんが参加ってことはさ。

 

「尚香ちゃんを教材にするのは駄目だよ!」

 いくらなんでもあれは可哀相だって。シャオちゃんとは違うとはいえ、同じ娘だ。あんな目にはあわせたくない。

「ああ、そっちは必要ないでしょう。今回の目的は皇一なのだから」

 やっぱり拒否できないのね。……泣いていい?

 

 

 俺が体育座りして泣いてる間に城も確保された。

 真桜とたんぽぽちゃんがチェックしたけれど、罠は見つからなかった。

 たんぽぽちゃん、真桜の工兵隊のとこでの訓練にも参加してるらしい。真桜のお墨付きもらったみたいだし、こないだ愛紗と翠が罠に引っ掛かったのもなるほど頷ける。

 城を前線基地として利用するため、輜重隊が荷を解いていく。

 その荷の中には多くの薬も用意されている。

 真・魏一刀君のように、ちゃんと沙和と稟に相談しておいた俺。

 ……俺用の胃薬、あるかなあ。

 

 この後の華琳ちゃんの胸に手を当てて「ドキドキしてるでしょ?」なイベントは俺が泣いてたせいか発生しなかった。胸の話はさっきの舌戦で満足しちゃったのかな。

 それとも孫策がいないからドキドキしてないの?

 ……触りたかったなあ。

 

 

 

 夜。宛がわれた部屋で性教育用の資料の準備。

 城の書庫を漁ってみたけど、なかなか使えそうなのがない。

 前回の記憶を頼りに自分で作成するしかないのか。

 戦に勝利して魏に帰れば資料もあるけど、なんかそうなると参加する人数が増えそうなので俺は焦っていた。

 

 コンコン。

 あれ? 誰だろう。

「どうぞー」

 扉まで行く時間も惜しかったので入室を促すと、入ってきたのは雛里ちゃんだ。

「お邪魔します」

「ゴメンね、こんな有様で」

 机のそばには散乱している本を片付けて椅子を出し雛里ちゃんに薦める。

「た、大変そうですね」

「ははは。……はあ」

 笑って誤魔化そうとしたけれど、結局ため息が出てしまう。

 

「お、お手伝いします!」

「……え?」

「そ、その資料の作成、お手伝いさせて下さい」

 真っ赤な顔を帽子で隠している雛里ちゃん。そりゃ、性教育の資料だから恥ずかしいのだろう。

「い、いいよ。雛里ちゃんだって軍師の仕事忙しいでしょ。ほら、今戦争中なんだし」

 雛里ちゃんに手伝ってもらえれば資料の作成は捗るかもしれない。でもさすがに本業が忙しい時期に頼めることではない。なにより、俺も恥ずかしい。

 

「そ、その……私に戦う力を下さい」

「戦う力?」

「は、はい。朱里ちゃんと戦う覚悟を……」

「朱里ちゃんと? 今戦っているのは呉だよ」

「……朱里ちゃんは、呉と同盟するしかないのがわかっているはずなんです」

 ああ。蜀と呉が同盟するってことね。

 つき合いが長いだけに朱里ちゃんの考えを読んでいるのね。

 

「でもさ、一刀君のとこはまだ動けるほどまとまってないんじゃない?」

「いえ、魏が本格的に戦いを始めた以上、各国は脅威に感じています。それを利用しない朱里ちゃんじゃありません」

 共通の敵を前に団結する、か。よく使われる手ではある。

「涼州の時は皇一さんの策で戦にはなりませんでした。そのおかげで各国の危機感は薄れたのですが、今回は違います」

 あんなので薄れる危機感っておかしいでしょ。……だから最後まで残らない勢力だったってこと?

「呉が敗れれば、もう魏と戦える勢力はありません」

「怖い魏が襲ってくるから、その前に自分のとこについていっしょに戦おうって、蜀をまとめるってことか」

「自分のところには呉もついている、と威を借りることもできます」

 むう。そう考えると多少無茶してもこのチャンスを利用しないわけがないか。

 

「けど、いいの? 朱里ちゃんと戦うなんて」

「……華琳さまの下へついた時から覚悟はしていました。……いえ、できていたつもりでした。でも、いざ確実にそうなるとわかると……」

「親友だもんね」

「……華琳さまのためだけではなく、皇一さんのためにも戦っていると私に思わせて下さい」

 やっと外した帽子を胸の前で握り締める雛里ちゃん、決意の篭った眼差しを俺に向けてる。ちょっと泣きそうにも見えるのは仕方ないよね。

 

「俺のため?」

「はい。華琳さまは時として激しすぎます。それを皇一さんが抑えてくれています。涼州の時のように」

 買い被りじゃないかなあ。

 涼州の時だって、戦争したんじゃ損だからああしただけなんだし。

 

 ……おや? 扉が僅かに開いている。

「もしかして……」

「?」

 雛里ちゃんに静かにするよう合図してから、そおっと扉に近づき一気に開ける。そこには泣きそうな顔でへたりこんでいる人物が。

「愛紗?」

「の、覗くつもりはなかったのです」

「う、うん。とにかく入って」

 

 この部屋にもう椅子はなかったので寝台に座ってもらう。

「聞いちゃったんだね」

「はい……」

 一刀君が敵になるってのは辛いだろうなあ。

 雛里ちゃんも泣きそうなまま、愛紗を見ている。

「雛里、まずは素直な気持ちを伝えた方がよいのではないか?」

 って愛紗、雛里にアドバイス?

 そんなことを言ってる場合なの?

 

「あの、一刀君と戦うことになりそうなんだけど?」

「ああ、それですか。それはもう覚悟しております」

「ええっ!?」

 覚悟って。

 華琳ちゃんが通行料として満足する武勲あげて、一刀君のとこに帰るつもりとか?

 一刀君を捕獲して華琳ちゃんに助命を願うとか?

 それとも……愛紗が一刀君たちと戦う覚悟?

 色々浮かんだけど、俺は愛紗に聞くことはできなくて。

 

「い、いいのですか愛紗さん?」

「……仕方あるまい。本気なのだろう、雛里」

「はい」

 なんか二人で話が済んでるし。

 元々も同じ陣営だし、萌将伝不遇の二人だから通じるものがあるのかな?

 

「こ、皇一さん、お慕い申し上げています」

「ありがとう。けど、本当にいいの?」

「は、はい。つ、艶本よりもすごいこと、して下さい」

 すごいことって、あのね。この娘、いったいどんなの読んでるんだろ?

 そりゃ一人で相手したら大変だろうけど。愛紗がいてくれてよかった。

 

「愛紗、あの、雛里ちゃんといっしょにお願いできないかな?」

「……たしかに雛里一人で皇一殿を受け止めるのは無理そうですが」

 眼鏡を外してもう一押し。

「愛紗も抱きたいんだ、俺」

 さっきの話のせいか、愛紗を繋ぎとめておきたいってのもあったしね。

 

 

 

「雛里ちゃん寝ちゃったか」

「疲れたのでしょう」

「愛紗は優しいから、初めての娘がいっしょでも助かるよ」

 準備とか、最中ずっと手を握ってあげて励ましたりとか。

「なっ、慣れただけです」

 うん。愛紗も三人目だもんね、初めての娘と同時って。華琳ちゃんが知ったら張り合うのかな。

 

「次もまた頼みたいな」

「次? まだ増やすおつもりですか?」

 もしかして地雷踏んだ?

 愛紗の目が怖い。

「やっぱり節操無しのようですね」

 やばい。お説教が始まる前に誤魔化そう。

「そ、そういえば、今の愛紗はまだ両方同時はしてなかったよね」

 愛紗の唇を奪い、なし崩しにプレイ再開に持ち込んだ。

 

 

 

「愛紗さん、凄いです」

 翌朝。愛紗に尊敬の眼差しを向けている雛里ちゃん。

「本当に艶本よりも……」

「見てたのか、雛里ちゃん」

「!」

 愛紗は即座に赤面するのだった。

 

 

 

 

 

 城内が騒がしい。

 なにやら侵入者らしい。

 誰が来たか予想がつくので見に行ってみる。

「あ、やっぱり」

 予想通りの褐色爆乳熟女がいた。戦っているのは華雄。

 

「ほう。腕を上げたのお」

「ははは。伊達に戦に敗れてから、血を吐くような鍛錬を重ねたわけではないからな」

 ああ、華雄は戦ったことがあったんだっけ?

 霞が悔しそうに見ているのは、軽くあしらわれたからなんだろう。

「華雄、相手わかってるなら説明してあげてよ。あ、俺は天井皇一ね」

 直接本人に聞かないのは、なんか聞いたら殺されそうだから。まだ俺の死亡フラグ残ってそうだし、手加減されたのくらってもきっと死ぬ。

「こいつは黄蓋。呉の宿将だ」

 

 

 黄蓋の投降。

 蜀、魏、呉の全てのルートで行われる苦肉の策。

 ……呉はまだ蜀と同盟してないのかな?

 一刀君なら止めそうな作戦。苦肉の策なんて俺だって知ってるって思ってさ。

 それとも同盟してても、そこまで一刀君には発言力無いとかか。

 

 直接乗り込んでくるってことは魏ルートか。一緒に来るはずの雛里ちゃんこっちにいるのに。

 魏ルートだと黄蓋死んじゃうんだよなあ……。

 

 


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