評価に一言つけてくれた方、ありがとうございます。
二十六話の続きは二十七話です。
これは二十七話に繋がらないifエンドです。
ifエンド2&3
私はアメリカで生まれた。
重病を患う祖母の面倒を看るために両親は早くに結婚したと言うが、本当は違う。
できちゃった結婚である。
母が私を身篭ったことが原因なのだ。
国際結婚でもあった両親はずいぶんと大変だったらしい。
……どちらの国で結婚式をやるかという一点において。
それ以外はどちらの実家も理解があって、すぐにまとまったそうだ。
結局、祖母のためにアメリカで暮らすからと、結婚式は日本で行ったそうだ。
四歳の時に祖母が亡くなった。
それを機に日本の祖父母の元で暮らすことになった。
やっと会える。
再会したあいつは私のことがわからないらしい。いくら私が幼くてもそれぐらいは見抜いてほしい!
……そういえば、あいつも若く見える。
もしかしたら、私のことを知らないのかもしれない。
確かめてみよう。
「おじちゃんのおよめさんになるー」
この幼い身体は舌っ足らずになってしまうので困る。
その次の日、あいつはいきなり出て行ってしまった。
祖父母は出来のいい弟と比べられるのが嫌だったのだろうと言っているが、果たしてそうなのだろうか?
もう四年も経ってしまった。
まさか、ここまであいつが帰ってこないとは思わなかった。
こないのならこちらから行くまで。
やっと探し出したあいつのアパート。
呼び鈴を押すも、あいつは出てこない。
管理人に連絡をして鍵を開けてもらう。
あいつはいなかった。居留守ではなかったらしい。
タバコの臭いこそしなかったが、埃っぽいので窓を開けて換気する。
部屋にはポスターとフィギュアが多数飾られていた。……オタク、なのだろう。
後で教育の必要がありそうだ。
キッチンの隅で練炭コンロを見つけてしまった。
練炭? まさか?
いや、この練炭は新品だ。もしかしたらそういう目的で買ったのかも知れないが、あいつはまだ生きている。
さらに調査を続ける。
女の気配は感じられない。確認できてほっとする。
机の上にあったこれは……遺書?
まだ下書きのようだ。
内容を確認してみる。
姪っ子じゃなくてせめて従兄妹だったらよかったのに?
あいつ……。
あれから二年。
いまだにあいつは見つからない。
だが、あいつの死体も見つかっていない。
あの世界から帰ってきてないだけなのだろう。
アパートはいつ戻ってきてもいいように、私が掃除をし続けている。
……もう、ほこりを払うぐらいしかやることはないのだが。
「あれ? 開いてる?」
玄関から待ち焦がれた懐かしい声がした。
やっと還ってきた。
「え? あれ? え?」
私を見て混乱する男。
懐かしいその眼鏡、その声。
「遅いわよ、おじ様」
「え? ええええっ?」
「なに? 姪の顔も忘れてしまったの?」
私を指差して声も出さずにぱくぱくと口を動かす。
「もしかして名前も忘れてしまった?」
「み、
「そうよ。おじ様、こんにちは」
「こ、こんにちは」
「い、いやあ、操ちゃんが俺の知り合いにあんまりそっくりなもんで、びっくりしちゃった」
「ふうん。その人とおじ様、どんな関係だったの?」
お茶を淹れながら聞く。
いつ戻ってきてもいいように、アパートの電気ガス水道ともに止めてはいない。……今日戻ってくるとわかっていれば茶葉も新しいのを用意したのに。
「その人は……俺の」
「俺の?」
真っ赤になって言いよどむ伯父。
「俺の……大事な、大切な女の子」
そう言ってから照れ隠しのようにお茶を一気に飲もうとする。
「熱っ!」
「相変わらず猫舌のようね」
「えっ?」
驚いた表情になった。
「なんで俺が猫舌って知ってるの?」
「知ってて当然でしょう、皇一」
「え?」
「まだわからないの?」
皇一の眼鏡を奪って、ずっと待ち望んだ顔を楽しむ。
「この顔を見るの、何年振りかしら? 待ち遠しかったわ」
家にもアルバムはあった。だが、幼い皇一こそ眼鏡をしてなかったが、学校へ行くようになってすぐに眼鏡をしている写真しか残っていなかった。
「え?」
ベッドに腰掛ける。
たまに布団も干しているので、この部屋を見つけた当初のように埃っぽいということはない。
「ベッドがあるということはここは閨よね。眼鏡を外す場所でしょう」
私を指差すその手が震えている。
「……も、もしかして……華琳ちゃん?」
「おかえりなさい、皇一」
勢いよく抱きつかれてそのままベッドに倒れることを覚悟していたのに、驚きで硬直している皇一。
「え? ええ!? なんで華琳ちゃんが?」
何年も待たされた私と違って、皇一はあの私と別れてすぐなのもあるのだろう。喜びよりも混乱の方が大きいようだ。
納得がいくものではないが。
「気がついたら操ちゃんになっていたのか」
「なっていた、というよりは操として生まれたのよ」
「生まれ変わりか。けど華琳ちゃんが操ちゃんに転生しちゃうなんて……」
もっと喜んでもいいと思うのに、暗い顔を見せる皇一。
「なにか不満なの?」
「だって俺、操ちゃんと結婚できない」
「なにを言ってるの?」
「こっちじゃ三親等以内じゃ結婚できないんだよ」
ふむ。遺書にもそのようなことを書いていたし、私のことに気づかなくてもその気はあったのね。
大きくため息。
お茶を飲んで気を取り直す。……やはり茶葉を買ってくるべきだったわね。
「やはり知らなかったのね」
「え?」
「皇一と私の父は血が繋がっていないわ」
「え?」
驚愕の表情。本当に知らなかったみたいね。
私も気になって調べたのだ。
父側の祖父母がすぐに説明してくれたから手間はかからなかったが。
「祖父と祖母は再婚なの。あなたと父は連れ子どうし」
「知らなかった……いや、待てよ」
驚きから、思案へと表情が移る。
「この世界は、華琳ちゃんが銅鏡へ触れて発生した新たな外史。華琳ちゃんが望んだからそうなったんであって、俺の元の世界とは違うのかもしれない」
「私が望んだ世界?」
私が皇一の世界にくることを望んだというの?
皇一があまりに姪を自慢するから、その娘になることを望んだ?
この私が!?
「……まあいいわ。それは後で調べましょう。それよりも、今日はなんの日か知っている?」
「何日なの? 俺の携帯、電池切れちゃったままで日付わからなくて」
「今日は三月の十四日」
「コミケ、終わっちゃってるなあ」
残念そうに言うが、それよりももっと気にすることがあるはず。
「そうじゃないでしょう。ホワイトデーよ」
「……ああ。チョコなんてここ数年貰ってないからお返しのイベントなんて忘れてたよ。前に貰ったのだって義理ばっかだったしなあ」
「ここ数年? ずっと私は用意してたのよ」
冷蔵庫へむかい、その扉を開ける。
「ほら」
中から取り出す二つの箱。
それを皇一に渡す。
「あ、ありがとう!」
あいかわらず涙腺が緩いようね。
しかし、私に会えた時ではなく、チョコを貰った時に泣き出すなんて……。
「さっそくお返しをもらいましょう」
「ご、ゴメン。急いで用意するから!」
涙を拭い、財布の中身を確認して部屋を出て行こうとする皇一を引き止める。
「どこへ行くの?」
「ホワイトデーのお菓子を買いにいこうかと」
「なにを言っているの?」
「え?」
「私が欲しいのは菓子などではないわ。ホワイトデーなのだから白いモノをもらうの」
「白……って、ええ?」
「わかったようね。何年も待たせたのだからその分、楽しませて」
やっと会えたのだもの。妻を満足させなさい。
みんなに皇一が戻ってきたことを教えるのはその後。
「その分、って言われても……」
「ああ。ホワイトデーだから三倍返しだったわね」
私、もつかしら?
「そうじゃなくて! 操ちゃんは俺の姪でしょ!」
「それは問題ないとさっき説明したでしょう」
「で、でも、操ちゃんは今いくつだと……」
まだ抵抗する皇一の唇を奪う。
「ファーストキスも貴方にあげたのよ。覚えてる?」
「う、うん。俺も初めてだった」
ふふっ。やはりそうだったのね。たしかにこの世界は私が望んだものなのかもしれない。
「はじめてなの。やさしくしなさいね」
END2 転生エンド
――――――――――――――――――――
ここってもしかして俺が望んだ外史?
……巨大ロボットは男の浪漫だとは思うけどさ。
たぶん銅鏡の発動によって生まれた新たな外史なんだろうけど、この世界は恋姫†無双の世界以上に無茶苦茶だった。
一言で言えば、スパ□ボ。あ、一応伏字ね。
三国志って過去な時代から未来にきちゃったワケで、ギャップが凄い。
ガムがあるのは嬉しいけどさ。
でも、文明が発達しても物騒なのは変わらない。
宇宙人やら異星人やら悪の秘密結社やらに狙われてる地球。
……うん。恋姫†無双の世界の方がまだマシかもしれん。
俺はこの世界で気づいた時にはもう、みんなとはぐれてしまっていた。
かわりに一体の巨大ロボットが目の前にあった。
……銅鏡発動の外史構成時に俺が望んだみたい。なんとなくそれがわかってしまった。
「僕の考えた最強のスーパーロボット? うわぁーい!」
……恥ずかしさで死にそう。
いや、まだ死んでないけどね。
こっちの世界でもセーブ&ロード使えるか不明だし。
俺は仕方なく、その巨大ロボを使ってこの物騒極まりない世界を巡りみんなを探している。
みんな大丈夫かなあ。
機械の操作とか大変だろうな、とか心配してた。
その心配は無用だったけどさ。
最初に再会できたのは季衣ちゃん。
季衣ちゃんは傭兵になっていた。それもロボットのパイロットとして。
……季衣ちゃん、よく操縦覚えたよなあ。
「兄ちゃん! 会いたかったよぉ!」
抱きついてくるのはいいけどさ、危ないからロボで勢いよく抱きついてくるのは止めて。
「ボク、なんか知らない間に操縦とか覚えてたんだ」
なるほど。その辺は基礎知識扱いなのかな。スパ□ボの世界だし。俺もなんでか操縦知ってたし。
だとすると、他のみんなもロボとか操縦できるんだろうな。
……華琳ちゃん、世界征服とか目指さなきゃいいけど。
「それにしても、ヒュッケバインか……」
最近ディスられ気味の機体なんて。やっぱり季衣ちゃんは無印でエロがバニシングしてたから?
季衣ちゃんなら初代とかヒゲとかハンマーなGだろうに。
まさか胃袋がブラックホールだからそれ繋がり?
こんな凶鳥なんて……んん?
凶鳥――きょうちょう――きょーちょー――きょちょ――許緒
そういうことか!
俺は季衣ちゃんと共に傭兵をしながら、みんなの情報を集めたり、死んじゃう筈のロリたちを救助、保護したりしている。
けど、敵も多い。
グランゾンやらリベル・レギスやらに襲われるのは勘弁してほしい。君たちは本来のライバルがいるでしょーに!
干吉、左慈の中の人繋がりが影響してるんだろうなあ。
その関係か、こないだはテッカマンエビルに襲われてたとこをアルベルトに助けられた。
会ったことがないけど、卑弥呼の影響か。と思ったら違った。
「ビッグ・ファイアのために」
それだけ言い残して去っちゃう衝撃の人。格好いいなあ。
……ちょっと待って?
違うから! そっちの『こういち』さんじゃないから!
俺はこの世界にさらに不安になるのだった。
俺の願望って……。
いやいや、俺の望み通りなら同じ超能力でも、同じ『こういち』違いでも、幼女に囲まれてる方だと思うんだけどなあ……。
「マスター、未確認の艦艇が接近中です」
パートナーの声で回想をストップ。
現在、俺は商船の護衛中。この宙域は宇宙海賊多発地帯らしい。
「敵?」
相棒に聞く。
季衣ちゃんではない。
季衣ちゃんは、先日助けた十人の少女を保護するため、非合法コロニーで留守番中。
同じ顔の娘が十人もいるから最初は混乱してた季衣ちゃんだけど、すぐに仲良くなってくれたから安心だろう。
相棒はファティマちっくな娘。愛機の操縦をサポートしてくれてるから、俺でもなんとか戦えるのだ。
「すぐに発進してくれと船長が」
「了解。出ようピーちゃん!」
ピーちゃん。それが彼女の愛称。
発進後、すぐにピーちゃんが索敵。
「識別完了。アーガマ級です」
アーガマ? ロンド・ベル?
今度はサイバスターとかウイングに襲われちゃうの?
いや、アーガマは地球のはずだし改になっている。時期的に逆シャア前だとしても母艦はネェル・アーガマあたりなはず。
だとすると偽者? 海賊版? 海賊だけに?
俺たちのロボが近づいたのわかったのか、むこうも艦載機が出撃してくる。艦で砲撃してこないってことはやっぱり積荷目当ての海賊か。
「MSの発進を確認。……敵機に髑髏のマーキング! 海賊です」
クロスボーン・バンガードじゃなきゃいいなあ。
「敵MS、ZⅡです」
ピーちゃんの探査能力はミノフスキー粒子なんてものともしない。
「ZⅡか……」
たしかZの発展型。ZZの開発が優先されて廃案になったとかならないとかの試作機。
なんで海賊がそんなMS使ってるんだろう。たしかにスパ□ボでは使えたりしたけど。本来飛べないはずの空も飛んでたりしてさ。
……季衣ちゃんがヒュッケバイン使ってたりするから深く考えちゃ駄目か。
「撃ちます!」
「え? ちょっと待っ」
俺の制止も聞かないピーちゃんの操作で先制攻撃。
そりゃ護衛してる商船に近づかれる前に撃退した方がいいのはたしかだけどさ。
「外しました」
うん。ウェイブ・ライダー形態に変形したZⅡが凄いスピードで近づいてきてる。
慌てて回避運動。
直後かほぼ同時に敵機のメガビームライフルが火を噴く。
極太の火線が愛機のすぐ側を通り過ぎた。
「ふぅ」
安堵のため息。その理由は当たらなかったことと、ピーちゃんが『分身』を発動しなかったこと。
直撃しそうになると分身で回避してくれる。
撃墜されるよりはよっぽどいいのだが、あれっておっさんにはキツい。超高速機動の残像だけじゃなくて、空間だか次元だか歪めて分身してるらしいけど、凄い気持ち悪くなる。
「強いな」
Zより強かったりすることもある機体だ。ニュータイプ用でもないし使い勝手よかったはず。
メンテナンス性も向上してたはずだし……その理由でもあるメタスに近い変形を見せ、瞬時にMS形態となるZⅡ。
「ずいぶんヒールが高いな」
小さいのを誤魔化そうとがんばってる印象を受ける。まるで華琳ちゃんみたいだ。
……あれ?
「これってもしかし」
言いかけてる途中で分身発動。
……気持ち悪いぃ。
「もう一機きました」
ピーちゃんからの報告。
「な、なに? どっから?」
「インコム、です」
モニタの隅に敵武器の解説ウィンドウを開いてくれる。
準サイコミュといわれる、ニュータイプじゃなくてもオールレンジ攻撃ができる便利な武器。ただし有線。
「スペリオルガンダム? ……じゃあれってペガサスⅢか?」
センチネルに出てきたアーガマ級の二番艦。
俺も大好きなガンダムなのに。
「でも、インコムに太極図なんてペイントしてなかった!」
モニタに表示された敵武器には陰陽太極図が描かれている。
円盤状のインコムに陰陽太極図ってことはやっぱりさ。
「ピーちゃん、敵機に通信……いや、奥の手を使う!」
「気力が足りません」
「足りてるって! 気合い入ってるもん!」
俺の愛機にはオーバースキルといってもいいほどの奥の手がある。だが、スパ□ボらしく気力が溜まってないと使えない。
今の俺の状態なら問題なく使えるけどね。
「合体!」
俺の叫びと共に愛機がZⅡに急接近。体当たりをし、そのまま機体が融合を始める。
たぶん俺が求めた最強の能力、それがこの『合体』。ドリルで顔面なあのロボに近い特殊能力。
違うところといえば、戦隊のロボに近いところか。
腕だろうが脚だろうが、どこで合体してもある現象がおきる。
俺の操縦席の前にもう一つ、座席が出現。
座っているのは合体した機体のパイロット。
そう。操縦席が一つになってしまう。まさに戦隊ロボ。
このおかげで実はあんまり使えない奥の手だったりする。ほぼ味方機限定。
敵機とりこんでも、そのパイロットに殺されちゃったら意味ないよねえ。
ZⅡのパイロットはキョロキョロ見回して俺に気づくと、すぐに銃を向けてくる。
慌ててヘルメットのバイザーをオープンする俺。
「皇一?」
やっぱり。ノーマルスーツを着ててもわかるその小柄さ。
むこうもバイザーをオープンする。
「華琳ちゃん!」
俺は華琳ちゃんを抱きしめた。
ZⅡ――ゼッツー――ゼツ――ぜつ――絶
絶っていえば、華琳ちゃんの大鎌の名前。そして髑髏のマーキング。すぐに気づけばよかった。
「むこうと通信して」
「……了解」
なんかピーちゃん不機嫌?
「こちらインペラトル・ワン。そちらのパイロットを捕獲しました。攻撃を中止されたし」
捕獲って、人質扱い? やっぱり怒ってるよ。
「華琳さま、御無事ですか!?」
モニタに写るのは桂花の顔。ペガサスⅢのブリッジかな?
「無事だから安心なさい。流琉たちも攻撃中止。皇一よ」
「兄様?」
通信ウィンドウが追加で開く。
「やっぱり流琉か。インコムが流琉のヨーヨーだったからすぐにわかったよ」
そう。Sガンダムのパイロットは流琉だった。
「風もいるのですよ」
「え?」
「私もおります」
「稟も?」
通信ウィンドウがまた開いていく。
もしかして、Sガンダムに三人乗りしてたのか。
A、B、Cの各パーツにそれぞれコクピットがあるSガンダム。スパ□ボでは再現されてなかったけど、三人乗りしててもおかしくない。……三人乗りできてれば育成で便利だよなぁ。
「とにかく、合流しよう」
「そうね。……私のZⅡ、このままなの?」
あ、合体したままだった。
「ちょっと待ってね」
華琳ちゃんを俺の座席側、つまり俺の膝の上に乗せてから、合体解除。
こっちに華琳ちゃんが残り、無人となってしまったZⅡを牽引しながらペガサスⅢに着艦する。
「みんな元気そうで良かった」
やっと再会できた俺たち。
デッキには、桂花が待ち構えていた。
「……春蘭と秋蘭は?」
「いや、俺が合流してるのは季衣ちゃんだけなんだけど」
「そう」
まだ全員がそろったワケじゃなかったか。
「マスター、商船に報告すみました」
愛機の頭部から降りてくるピーちゃん。
ピーちゃんのが頭部で、俺のが胴体に操縦席がある。
うん。ドリルなアレだと死亡するのは俺な配置だよね。ガンタンクでいえばリュウさんなポジション。合体した時も頭部だけは別扱いで操縦席一つにならないし。
「なかなか可愛い娘ね」
嬉しそうな華琳ちゃん。
そして俺を盾にするように華琳ちゃんから隠れるピーちゃん。
「その方は?」
流琉の質問にピーちゃんが答える。
「マスターの真のパートナーです」
「真のパートナー?」
ピクリと華琳ちゃんの柳眉が持ち上がる。
「そう。ならばまずはこちらから名乗りましょうか。私は曹孟徳。皇一の妻よ」
「知っています」
やっぱり俺の影に隠れてるピーちゃん。
「この娘はね、華琳ちゃんたちのことは知ってるよ。華琳ちゃんもこの娘をよく知っている」
「私が?」
回りこんで、ピーちゃんの顔をよく見ようとする華琳ちゃん。ピーちゃんも逃げるんでうまくいかないけど。
「……覚えがないわ。私が可愛い娘を忘れるはずがないでしょう」
「ピーちゃん、自己紹介して」
「……はい。ワタシは魔導書『太平要術の書』の精霊」
「太平要術の書?」
「うん。
そう。俺が銅鏡を発動させてしまった時に持っていた本。
華琳ちゃんを怖がっているのは、魏ルートで燃やされちゃうことを知ってるのかもしれない。
「マスター、いつも言っていますがその訳は適当すぎます」
「そう? いいと思うけどなあ。俺のインペラトル・ワンより格好いいと思うよ」
「インペラトル・ワン?」
俺の愛機を指差す。
「あれ。俺のロボットの名前」
「インペラトルはラテン語、ワンは英語です」
稟のツッコミ。そう言われるための機体銘だよね、これ。さらに訳しても痛い名前だ。
……もう英語とかラテン語とかマスターしてるのか。軍師さんて凄い。
「本の精霊ね……少女ならば問題ないわ」
さすが華琳ちゃん、わかっているなあ。
「うん。俺は銅鏡発動後、気づいたらピーちゃんとインペラトル・ワンといたんだ」
「そう。私たちが気づいた時には月にいたわ」
「月か」
アナハイムの本社があるところだ。艦とMSはそこで入手したのかな?
「他のみんなは?」
華琳ちゃんたちがどうしてたかも聞きたいけど、みんなの安否も気になる。
でも、華琳ちゃんは首を横にふった。
「ここにいるだけよ。あなたは季衣と合流しているのね」
「うん。季衣ちゃんは無事だよ」
「よかったぁ」
親友の安否を知りほっとした表情を見せる流琉。
「それで、なぜ密輸船から出てきたの?」
「密輸船? ……ああ、そうなっちゃうのか」
俺が護衛してるのはただの商船だけどね。
「俺たちがやっかいになってるのは非合法コロニー。そこへ物資を運んでいるから密輸扱いになってるのかも」
「ふむ。連邦軍の指示でこの宙域にきたのだけれど、従うのもここまでかしらね」
華琳ちゃんの言葉に軍師たちも頷く。
「連邦軍は腐敗しています」
「みんなを探してくれているという話ですが、あてになりませんねー」
「華琳さまの思うがままになされるのがよろしいかと!」
みんな、苦労してきたみたい。早く見つけてあげられなくてゴメンね。
やっと華琳ちゃんたちと合流した俺は非合法コロニー、サイド666へと帰るのだった。
その後、いろんな勢力と戦いながらも、仲間と合流していく俺たち。
三羽烏はゲッターでインベーダーと戦っていた。
春蘭、秋蘭がダイナミック・ゼネラル・ガーディアンの1号機と2号機で参上。春蘭の操縦がかなり不安だっただけに、ダイレクト・モーション・リンクならば、と納得。
月ちゃんたち董卓勢が新マクロス級で現れたときはさすがに仰天した。
でもこれで、みんな揃ったら物騒な地球圏離れられるかな?
愛紗、雛里ちゃんたち、呉勢はいったい何に乗ってるんだろう?
楽しみだ。
……袁紹、猪々子、斗詩は金ピカな機体だろうな。
不安だ。
なお、合流した白蓮は自分以外に性格、普通がいて喜んでいた。
END3 スパ□ボエンド
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<オリキャラ設定>
恋姫†有双の主人公。
シリアス薄めなこの話に残酷な描写タグが必要なのは、間違いなくこいつのせい。
恋姫†無双の世界にくる前は失業中のおっさんで魔法使い。
処女厨で独占厨でロリコンを採り入れたオリ主。
特種能力はセーブ&ロード。
絶影
華琳の愛馬。
黒王号並にデカくて強い。その大きさゆえ、華琳の小ささが際立つので普段あまり乗らない。
あまりに強すぎるせいで出番がほとんど無いチート名馬。
END3の華琳のZⅡがA型とかかもしれない。
馬騰
翠の親。無印では男性。真では女性。どちらも名前だけ登場。
恋姫†有双ではロリBBAでオレっ娘。
華琳の生まれ変わり。
オリ主の姪だが、血は繋がっていない。
名前はもちろん曹操から。
ピーちゃん
魔導書『太平要術の書』の精霊。
ブック・オブ・ピースメーカーと適当な英訳をされ、そこからピーちゃんとオリ主が呼んでいる。
インペラトル・ワンのサブパイロットとしてオリ主をサポートする。
ホワイトデー&スパロボ新作記念