恋姫†有双   作:生甘蕉

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第三章    恋姫†有双
二十七話  御遣い有双?


「いざとなれば北郷を殺せばいいと思っていたのだけど、そうでもないようね」

「ちょっ! 華琳ちゃんそんなこと考えていたの?」

「銅鏡と北郷が終末をおこすのだもの、当然でしょう。けれど、終末の条件はそれだけではなかった」

 道場で悩む俺たち。

 

「私が触れても駄目。皇一が触れても駄目」

「そして、壊しても駄目。か」

 

 

 

 明命と亞莎が泰山から持ち帰った銅鏡。

 華琳ちゃんが触れた途端に発動し、俺たちは道場へ送られてしまった。

 引継ぎ確認して穏もメンバーに。

 道場を見回して目を輝かせる穏。そんな場合じゃないんだけどなあ。

 

 二周目で追加された引継ぎメンバーに状況を説明する。

 世界の終末。それをおこす白装束と道士。そのキーアイテムである銅鏡のことを。

「世界が終わったなどといきなり言われましても……」

 ほとんどが愛紗のような反応だった。

 いきなり目の前が真っ白になって、気がついたら道場へいた。って娘がほとんどで、事態の深刻さを受け止めるのも難しいらしい。

 

「孫策なら、なにか知ってるかもしれないかと思うんだけど……」

 道場を見回しても孫策の姿は見えず。

 またどこかへ行っているのか。

 いてもたぶん『ガンガンいこうぜ』とかしかアドバイスをくれないかもしれないけどさ。

 彼女の不在に残念そうな表情になった穏にも会わせてあげたいのに。

 

「いない孫策をあてにするより、できることを考えましょう」

「うん。まずはなんで華琳ちゃんに銅鏡が反応したか、なんだけど」

「亞莎、明命。あなたたちが触れた時は変化はなかったのね?」

「は、はい。私たちが触れてもなにも起きませんでした」

 亞莎と明命では反応なしだったのか。

 

「とすると、終末の時がきたんで反応したのか、それとも華琳ちゃんだから反応したか、かな?」

「私だから?」

「うん。華琳ちゃんには無印と真の二つのフォームがある。これは華琳ちゃんだけ」

 引継ぎの名簿を再度確認しながら説明する。ずいぶん???が埋まったなあ。

 ぴっ、ぴっ、ぴっ、と華琳ちゃんの名前を連打。姿を変えていく華琳ちゃん。

「わ。衣装が変わったり、消えたりしてる!」

「すご~い♪」

 驚いてるのか喜んでるのかわからないシャオちゃんとたんぽぽちゃん。

「舞台でできないかな?」

 シスターズの三人は別の意味で興味深そう。

 

「遊ぶな!」

 華琳ちゃんに怒られたので、真・フォームで止める。

「ごめん。……で、華琳ちゃんのフォームによって世界の方も影響を受けた」

「ふむ。私でも銅鏡が反応するのはおかしくない、と」

「……それに、二周目は華琳ちゃんの話だったのかもしれない」

 今思いついたんだけどさ。

 

「私の話?」

「そう。一刀君じゃなくて、華琳ちゃんが主役の話」

「なんだ、そんなことか。当然だろう、華琳さまはいついかなる時でも主役に決まっておられる!」

 うんうんと頷く春蘭。いや、俺が言いたいのはちょっと違うんだけど。

「二周目になって一番いい目にあったのは誰だと思う?」

「皇一でしょ。こんなに嫁を増やして」

 一瞬、穏を見たな華琳ちゃん。その爆乳を。

 でも、俺か。一刀君でさえ無理だった春蘭たちや二喬の初めてを貰えてたし、他のみんなとも……。たしかにいい目にあいすぎかも。

 

「い、言われて見ればたしかに……で、でも華琳ちゃんも結構すごいよね?」

「そうね。前回よりも多くの武将、軍師を手に入れ、大陸制覇目前。愛紗のはじめてをも奪った」

「そ、それは皇一殿に捧げたのだ!」

 大声で言ってしまってから、真っ赤になって縮こまる愛紗。うん、恥ずかしかったんだね。

 

「あの~、先程からおっしゃってる二周目や前回とは?」

「ああ、世界は、一度終末をむかえているんだ」

 穏の質問に答えたらみんなざわめき出した。

「それで、その時はどうしたのですか?」

「いろいろ試そうと、やり直したんだ。それが、二周目って言ってる今回」

「なんと……」

 冥琳までもが絶句しちゃった。

 

「だから、華琳ちゃんはもう終末をむかえないように、銅鏡を確保したんだけど」

「まさか、それが終末の切っ掛けなんてね」

「とにかく、いったん今朝から始めて銅鏡をよく調べてみよう」

 少しでも銅鏡の情報が必要だ。

 

 

 ロードして再開、今度はみんなで銅鏡を調査する。

 銅鏡の形状、大きさを計測。材質や構造を分析する真桜。

 真桜が触れても発動しないのか。

「そないおかしーとこないみたい、なんやけどなあ?」

「文献を調べてみるぐらいしか、もうできることはないか。困った代物だよ、まったく」

 太平要術の書に載ってればいいけど。そう思いながら銅鏡を小突いた。

 すると、俺が触れた途端に発動。やはり道場へ。

 

 俺でも発動しちゃうの?

 明命や亞莎、真桜たちが触れても反応しなかったのに。どういうことだろう?

 悩む俺を他所に、華琳ちゃんは銅鏡の破壊を決定。

 季衣ちゃんのハンマーが銅鏡を粉々に砕いた。かと思った瞬間、やっぱり発動。

 

 

「封印するしかないのでは?」

 雛里ちゃんの提案。

「封印言うても……ふっかーい穴掘って埋めてみるぐらいしかできへんやろ?」

 放射性廃棄物扱いか。まあ、危険度はそれ以上だけどさ。

 

 道場を見回してからため息をつく蓮華。

「姉様はまだどこかへ行ってるようね。姉様らしいと言えば姉様らしいのだけど、困るわ」

 本当に困るよ。冥琳にいろいろ聞いてもらおうと思ってるのに。

「やっぱり三周目しかないのかな?」

「三周目を始めたところで、解決策がなければ同じことでしょう?」

「いや、三周目はたぶん白装束は出てこない」

「どういうこと?」

「華琳ちゃんが真・フォームで初めから始めたなら、たぶん世界の終末はない」

 真・恋姫†無双の世界なら終末はなかったからね。

 

「どうしてそれをもっと早く言わないの!」

「ごめんなさい」

 だって、覇業の途中で初めからやり直すなんて、華琳ちゃん選ばないでしょ?

「ならば、三周目を始めましょう」

「いいの? 結構他の勢力も引継ぎしちゃってるんだけど」

 また敵となるかもしれない勢力が引継ぎ情報を持ってるのって、まずくないかな?

 

「かまわないわ。それに、引継がないというつもりはないのでしょう?」

「……うん」

 せっかく俺の嫁になってくれた娘たちが俺のことを忘れちゃうなんて、そんなのは絶対に嫌だ。

「ふふっ。愛紗はやはり長い髪の方が美しいし」

 短いのも可愛いけど、やっぱり美髪公だもんなあ。

 

「蓮華」

「はい」

「……いや、なんでもない」

「?」

 孫策が生きているスタートだって言おうとしたけど、もし上手くいかなかったらぬか喜びさせるだけだからって気づいて、言うのを止めた。

 

「皇一、二周目の特典を消しては駄目よ」

 華琳ちゃんが念をおす。

 やっぱり華琳ちゃんは、この身体を気に入ってくれてたのか。

「なに? あんたその接続器をなくすつもりだったの? そんなの許されるはずないでしょ!」

「なんだと! 貴様のもう一本はもはや華琳さまのおち●ちんなのだぞ!!」

 桂花と春蘭が追従。

 春蘭、そんなこと思ってたのか。でも、華琳ちゃんから生えてるみたいだから、その言い方は勘弁して下さい。

 見れば他数名もうんうん、って頷いている。

 三周目の俺、「双頭竜」から「双頭お菊ちゃん」って呼ばれるようにならなきゃいいなあ……。

 

「……うん。わかってるって」

 そりゃ、俺だって普通の身体に戻りたい。いろいろと不便だ。

 けどさ、俺が元に戻るってことは大喬ちゃんも戻るってこと。嫁になったロリが生えてるなんて……ないな、うん。

 だから俺は二周目のボーナスを維持するつもりではいる。

 

 さて、どうなるかな?

「三周目、と」

 銅鏡が発動してから選択肢に追加されていた『3しゅうめ』を選択。

 たぶん一度しか選択できないから、ここから先は慎重にいこう。

 

 ボーナスは?

 金×2

 経験×2

 男性器×3

 

 ボーナス解除はないのか。……まあいいさ。あったら俺、やっぱり悩むだろうしね。なくてよかったんだよ、きっと。

 で、肝心のボーナスの選択肢だけど。

 ???で隠す気はもうないのか、表示が変わってるな。けど『男性器』って、もうちょい書き方ないの?

 ×3ってやっぱり三本になるんだろう。どう考えても使い辛い。不便さがアップするだけだ。

 ゲゲゲの人の創作妖怪じゃないんだから三本はないでしょ。武器になったり、移動手段にもなるチート能力だとしてもそんなの使いたくない。

 

 ……三本目は誰のナニがくるんだろう?

 まさか一刀君?

 一刀君が女の子に……もしかして、萌将伝の台詞にだけしか出てきてない一刀君の妹と交代とか?

 やばい、ちょっと気になってきた。一刀君の妹なら可愛いだろうなあ。

 

 ほ、他のボーナスは前といっしょか。

 ……いや、違う!

 引っ掛からないぞ! 迂闊なのは二周目だけでたくさんだ。

 前回の選択肢はたしか平仮名だったはず。

 なのに漢字で『金』。怪しすぎる。まさか玉の方まで倍にするつもりか!

 

 これは『経験×2』を選ぶしかあるまい。

「でも、経験値ってあるの?」

 呟きながら経験を選択した。

 

 

 

「……また荒野を彷徨うのか。辛いんだよなあ……ってあれ?」

 目覚めると、目の前には三人の人影。

 俺、ロードしちゃったっけ?

 ちゃんと三周目で始めたよね?

 混乱しつつも見回すと現在地は荒野。

 うん。いつもと違うけどたぶんスタート地点……なのかな?

 

「皇一殿……」

 え?

「愛紗?」

 困ったような顔で俺を見ている愛紗。久しぶりに髪の長い愛紗を見たので、一瞬誰だかわからなかった。

 髪が戻っているということはやっぱり三周目なんだろう。じゃ、残りの二人は。

「おっちゃん、愛紗の知り合いなの?」

 鈴々ちゃん……いや、三周目だったらまだ真名をもらってないから張飛ちゃんか。

「え? そうなの愛紗ちゃん?」

 そして、桃色の髪とその大きなおっぱいは!

 

「劉備?」

 そう。彼女は劉備。真・恋姫†無双の追加登場ヒロイン。

 二周目まででは会えなかったけれど、華琳ちゃんが真・フォームでスタートしたから、愛紗たちといっしょにいるみたい。

「わ、わたしを知ってるの?」

 知ってます。真・恋姫†無双のメイン級ヒロインの一人です。

 

「え、ええと……愛紗が仕えている人、だよね」

「愛紗ちゃんを真名で呼ぶなんてどんな関係?」

 え? 言っていいのかな?

 チラリと愛紗を見る。赤くなってるけど、俺を止めようとはしてないからいいのかな?

 

「愛紗は俺のお嫁さん」

「にゃっ!」

「愛紗ちゃんの旦那様!?」

「は、はい」

 二人に見つめられ、こくりと頷く愛紗。その顔はもう真っ赤っか。

 

「い、いつのまに結婚したの愛紗ちゃん?」

「こーんなおっちゃんが愛紗のお婿さんなんておかしいのだ!」

 俺に蛇矛を向ける張飛ちゃん。何度見てもそのちっこい身体で振り回せる獲物じゃないよねえ。

 

「鈴々!」

 張飛ちゃんを止める愛紗。

「済みません、皇一殿」

「いいよ。愛紗が悪い男に騙されてるとでも思ったんだろう?」

 会ってすぐの流琉みたいに。

 

「そうなのだ。愛紗を騙すなんて悪いやつなのだ!」

「私は騙されてなどおらんから安心しろ」

「ねえ愛紗ちゃん、紹介してよ♪」

 劉備が目を輝かせている。こういう話題好きなんだろうな。

 

「俺は天井皇一。天の御遣いと同郷のただのおっさん……って、愛紗! 一刀君はどうしたの?」

 そうだよ。なんかおかしいと思ったら天の御遣いが、一刀君がいっしょじゃないじゃないか!

「それが……まだ会うことができておりません」

「一刀さん?」

「管輅の占いに出てくる天の御遣い君。急いで探そう!」

 こんな荒野に一人でいたら危険だ。チビデクアニキの汎用三人に殺されちゃうかもしれないし。

 一刀君が殺され……待てよ。

 

「ちょ、ちょっと、待っててね……」

 三人から離れて、自分の身体を確認する。主に下着の中身を。

「……変化なし、だよな」

 二周目の時と同じ状態。ツーボール&ツーバット。

「一安心、でいいのかな?」

 玉が増えてたりしたら、俺がいたとこの下に一刀君の死体が埋まってるんじゃないかって、ちょっと怖くなったんだ。

 

「もういいよ。一刀君を探そう」

「そうですね」

 一刀君を探す俺たち四人。

 しかし、一刀君は見つからなかった。

「前回は一刀君どこにいたの?」

「皇一殿と再会した場所で、賊に襲われているところを助けたのです」

 むう。無事だといいけど。

 

 どうしたものかと悩んでいると、鳴り響く大きな腹の音。

「えへへ……」

 お腹をおさえているのは張飛ちゃん。

「今日はこの辺で捜索を打ち切ろう。一刀君のことだからもう人里についているかもしれないし」

 そうだよ。一刀君なら主人公補正できっと死なないはずだ。街で情報収集した方が早いだろう。

 

 

 食事をとり、人心地ついた俺たち。のんびりと話をする。

 ……この後、所持金がないので皿洗いが待ってるんだろうけど気にしないことにしよう。

「それで、天の御遣いってどんな人なの?」

 キラキラした目で聞いてくる劉備。かっこいい男の子なんて言ったら目の色が変わるのかな、ピンク色に。

「いいやつだよ。まず死なないし、色んな知識も持ってる」

「知識なら、皇一殿も大したものでしょう」

 俺のは三国志じゃなくて、恋姫の知識なんだけどね。正確さは高いだろけど、応用が利かないと思う。

 

「ふーん。……じゃあ」

 ポンと両手を叩く劉備。

「天井さんにわたしたちの天の御遣いになってもらおう♪」

「はい?」

「だって、天の御遣いと同郷の人だったら、天井さんも天の人なんだよ。天の御遣いで間違ってないよ!」

 それはちょっと強引なんじゃ……。

 

「桃香さま?」

「愛紗ちゃんもそう思うよね。天井さんが力を貸してくだされば、きっともっともっと弱い人たちを守れるって!」

「……はい」

 納得しちゃうの愛紗? なにか劉備に弱みでも握られてるの?

 ……劉備のテンションとその瞳を見たら、逆らえそうにないか。俺もそんな感じだし。

 

「力を貸して下さい! 戦えない人を……力無き人たちを守るために。力があるからって好き放題暴れて、人のことを考えないケダモノみたいな奴らをこらしめるために!」

 俺の両手を強く握り締める劉備。走って逃げ出そうとかちょっとだけ考えたけど、これじゃ無理だよねえ。

 けど、俺が天の御遣い?

 おかしいよね。

 錦の御旗が必要で、それが誰でもいいってのはわかるけどさ。

 

「私からもお願いできないだろうか、皇一殿。私たちはご主人様を探している時間がないのだ」

 そうか。これから先を知っている愛紗だ。一刀君を探すよりも、先に名をあげないと劉備がのし上がれないか。

「いいの、愛紗?」

「……はい。今の私の主は桃香さまです!」

 強く言う愛紗。自分にも言い聞かせてるのかもしれない。

 

「そう……。ならさ、天の御遣い代理ってことなら引き受けるよ」

「代理?」

「うん。本物の天の御遣いが見つかったら、交代してもらうってことでどう?」

「皇一殿……ありがとうございます」

 目に涙を滲ませる愛紗。

 本当はすぐにでも陳留へ行きたかったんだけど、仕方ないよね。一刀君の居場所つくっておかないと、先の展開読めないだろうし。

 俺の大事な嫁である愛紗をこのままほっておけないし。

 いいよね。二周目でも戻るの遅れたけどなんとかなったんだし。

 後で商隊さん見つけて華琳ちゃんに手紙書かないと。……道場で説明の方が早いかな?

 

「泣かないでよ。劉備たちもそれでいい?」

「はい。ありがとうございます、ご主人様♪」

 ちょっ、なに言ってるのさ。

「ご主人様は勘弁してくれない?」

「えーっ。あ、そうか。愛紗ちゃんにしかそう呼ばれたくないんでしょ?」

「そういうのじゃないってば」

「ならいいよね、愛紗ちゃん?」

「は、はい……ご主人様」

 愛紗が俺をご主人様って呼ぶの? そんな無理しないで。

 やっぱり愛紗のご主人様は一刀君でしょ。俺を置いていくぐらいにさ。

 

「いいよ、愛紗。今まで通りで」

「……そんなわけには参りません! これからはご主人様とお呼びします」

 なんか意地になっちゃったみたい。

 

 やっぱりお金がなかったので皿洗いを済ませ、店のおばちゃんにお酒を貰って桃園の誓いイベント。

 劉備と張飛ちゃんの真名を貰う。

 ……俺、ここにいちゃっていいのかなあ?

 一刀君、早く見つかってほしい。

 

 そして次に白蓮に会いに行く。

 けど、真・蜀ルートにそって偽の兵隊を集めたりはしない。

 今の白蓮なら、愛紗や鈴々ちゃんの実力をよく知ってるからね。そんな無駄使いは必要ない。ボールペンは売らずにとっておく。

 ……ってあれ? ボールペン売ればそれで皿洗い回避できたのかなもしかして。

 

 城に向かった俺たちは、俺と桃香の名を告げ、門前でしばらく待たされた後、玉座の間へと案内された。

 白蓮と再会。

「なんで皇一が桃香といっしょにいるんだ?」

「天の御遣いにされた」

「なにやってるんだよ?」

「……成り行きでしかたなく」

 白蓮と二人で同時にため息。

 

「白蓮ちゃんもご主人様のこと知ってるの?」

「あ、ああ。その、な……」

 照れてるのか、頬をかいて言いにくそうにしてるので俺が発表。

「白蓮も俺のお嫁さん」

「ええーっ!」

 俺と白蓮、それに愛紗を交互に見る桃香と鈴々ちゃん。

 

「私もいるのもお忘れなく」

 姿を見せたのは常山の昇り竜。

「も、もしかして、その人も……」

 震える指で星を指す桃香。

「うん。俺のお嫁さん」

「ええーっ!!」

 そりゃ驚くよね。俺みたいなおっさんに、こんな美少女が三人も嫁になってるなんてさ。しかもその内二人が自分の知り合いときたらねえ。

「た、太守様とかそんなのよりも、もっとなにか大きな差をつけられてるー!」

 いや、泣かなくても。

 

「おっちゃん、モテるのだ」

「そんなことはないんだけどねえ」

「そんなことはあるではないか」

 桃香を宥める愛紗と白蓮を、鈴々と星と眺める俺なのだった。

 

 白蓮と星に聞いてみたけど、一刀君の情報は得られなかった。

 どこにいるんだろう?

 

 白蓮はすぐに俺たちの部隊として義勇兵を任せてくれた。

「いいの? 白蓮ちゃん」

「ああ。愛紗と鈴々なら間違いはない。皇一も兵を率いたことがあるし、心配なのは桃香ぐらいだ」

 いや、心配なのは俺の方。二周目で孫策に会うためというか、蓮華のために戦でもないのに殺されたように、俺の死亡フラグはまだまだ健在っぽいし。

「わたしだってがんばるよ!」

「その意気だ」

 

 

 公孫賛軍とともに盗賊たちとの戦いに出陣。

 けどさ、俺ってば魏の精兵の指揮に慣れちゃってたんだよね。

 指揮してるのが義勇兵だってことを忘れてはいなかったけど、思ってた以上に練度が低い。

 それにもまして、俺自身の練度が低い。心得はあっても身体ができていない。

 だってスタートしたばっかりで、訓練とか鍛錬が全然足りてないからねえ。

 

 ……やっぱり俺、死亡した。

 フラグクラッシャーなこと、なにか考えないと。

 

 

 

 三周目初めての道場。

 またもや道場主の姿がない。

 みんなの状況を確認しないと、そう思って話してたら衝撃の事実が判明した。

 

「やっぱり孫策が生きているのか。よかったじゃないか」

 大事な報告がある、ということでまず冥琳の話を聞いている。

 生きている今の孫策って、道場のこととか知っているのかな?

 

「あ、ああ。それはそうなのだが、問題がある」

「問題?」

「……簡潔に言おう。伯符が北郷一刀を拾ってきた」

 嘘!

 まさか一刀君、呉ルートなの?

 

 




三周目スタート時の引継ぎメンバー

華琳、春蘭、秋蘭、桂花、季衣、流琉、凪、真桜、沙和
愛紗、星、雛里、翠、蒲公英
蓮華、小蓮、冥琳、思春、穏、明命、亞莎、大喬、小喬
天和、地和、人和
月、詠、音々音
白蓮、斗詩

以上31名

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