欲望にはチュウジツに!   作:猫毛布

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息抜き程度の気持ちで読んでいただけると幸いです。

あらすぎにも書いてある通り、喜劇調でやや変態染みた主人公です。
息抜きだから多少はね。


目を見て会話するよりも見る所がある

 人間、何が起こるかなんてさっぱり分からないモノだ。

 インフィニット・ストラトス。略称『IS』。女性しか操作できない筈のソレに初の男性操縦者が現れた。

 朝刊どころか号外で簡潔に書かれ、ネットではあれよあれよとウソと真が入り混じり、『俺だってISを操縦出来るんだぜッ』なんて言う人間も現れたり。

 ともかくとして、今しがたテレビに映り、なんとも困ったような引き攣った笑いを浮かべている男――織斑一夏が事の発端だった事は確かだ。

 

 お偉いさん方は日本初どころか世界初である彼の存在が明るみに出たお陰で変に可能性を求めてしまった。他の男でもISを動かせるのではないだろうか、という事だ。

 善良なる市民諸君は各地区の所定の場所に呼び出され、そしてISに触れた。当然、微動だにしない。当然である。ISは女性にしか反応しないのだ。

 男である織斑一夏に反応したのが間違い、奇跡なのだ。きっと彼がブリュンヒルデ、織斑千冬の血族であるのも奇跡の一因に違いない。

 

 何の取り得も無い、それこそ平凡極まりない小市民な俺も例に漏れる訳もなく、早々にISに触れておさらばした。いいや、したかった。

 俺はさっさと帰って、最近買ったばかりの『ドキッ!? 気付いたら異世界!?―命のポロリもあるよ!―(R15)』という何とも謎ゲーをしなくてはいけないのだ。パッケ買いはやはり地雷なのである。

 ともかくとして、整理番号を呼ばれ、なんて事なしに注意を聞き、指示に従い、ISに触れた。触れてしまった。もしも今ココでその時点に戻れるのならば俺は全力で俺を殴りたい。

 

――認証しました

 

 電子音が響き、マシンボイスが響いた。「へー、ISって喋るのかー、スゲー」なんて感想を思わず呟いてしまった。当然、現実逃避だ。

 どうしてだか分からないけれど、手錠をされ、拘束具で縛られ、口を塞がれ、俺は非常に丁重にオモテナシされた。きっと世界の要人だってこんな扱いを受けないだろう程、丁重なオモテナシです。

 黒服のお姉様方に連れられるのはちょっと変な趣味が目覚めそうでよかったけれど、そこからは実に言い難い行為の数々だった。

 あれよあれよと検査の嵐。血は抜かれるわ、身体能力の確認はされるわ、血族関係を改められるわ……お陰で父親だと思っていた人間と実は血の繋がってない事が判明したわで。なんというか身体にも心にもダイレクトアタックだッ、みたいな……。

 

 きっと件の織斑一夏もこんな思いをしたに違いない。いや両親関係は俺だけだと思うけどさ……。どういう顔で両親に会えばいいんだよ。

 ゲッソリした顔で待合室にいればソコに現れたどこかで見たことのある女性。鋭い瞳に長い黒髪、果たしてこんな美人と会った事があるならば忘れる訳も無いのだけれど……。

 その後ろにいたのはメガネで緑色の髪をした……。

 

「山田真耶?」

「はい? 私を知ってるんですか?」

「そりゃぁ、まあ」

 

 なんせ『元』が付属していても日本の代表候補の一人なのだ。なによりそのおっぱいの大きさは実に記憶に残りやすい。ありがとう。

 という事は、である。黒髪さんの方へと目を向ければ何やら思案顔。ついでに俺は睨まれている。視線で人が殺せるというネット評価は間違ってない(白目)。

 逃げ出そうにも両腕はベルトでギチギチに縛られ、足も縛られている。俺は受刑者じゃないんだぞ、と声を大にして言いたい。言ったけど「ウルサイ。(クズ)は喋る権利もないんだよッ」なんて言われて猿轡されたんだけっか……。あの女、次に会ったら覚えていろよ……お前のせいで新しい扉の目の前にいるんだからな!

 

「それで、元世界一位のブリュンヒルデさんがちっぽけな俺に何用で?」

「ほう。その状態でも粋がるか」

「いえいえ、内心逃げたい気持ちいっぱいですよー。拘束がなければの話ッスけど」

「……それに関しては申し訳ない、と言っておこう」

「ま、拘束以上に心がブルーになる情報も聞いちゃったんでー。それで、さっさと本題に入りましょー。不貞寝したいんですよー」

 

 不貞寝、というか現実逃避がしたい。切実に。きっと全ては夢なのだ。夢に決まっている。いや、現実である訳が無い。

 

「ではお望みの本題に入ろう。お前の身柄は一時政府が預かり、後にIS学園へと移る」

「あー、なるほどー。そういやISを反応させちゃったんでしたっけ。そりゃぁ国家も秘匿したいでしょーね」

「……ふむ。意外に頭は回るか」

「いえいえー。自棄になってるだけですってー。ついでに言うと美女さんにいい所見せたくて頑張ってるだけですよー。ISに反応されましたけど男ですからねー」

 

 本当に悲しい気持ちでいっぱいである。両親(仮)もそうだけれど、友人関係の性格を考えれば「お前IS操縦できるのかよ! すげー!!」よりも「おまwwwIS操縦できるとかwww女の子wwwワロスwww」と言われる方が想像に難くない。やばい頭が痛くなってきた。

 

「……まあいいだろう。一応、両親への伝言などはあるか?」

「あー、というか俺が政府預かりになるって事は両親には何かしらの恩賞というか、報酬というか、そういう金銭的な援助とかはあるんですかね? 一応、俺って国に買われる事になるんでしょ?」

「……事実だが、臆面もなくそういう事を言うモノではない」

「事実ならしゃーないでしょ。国家預かりになった時点で俺が売られてるのは確定してますしー。母さん達はどうなったんですッ!? なんてやる気でねーですって」

「そうか。君の身柄を国家のモノにするに至り、多額の報償金が政府から支払われたよ」

「あー、そうッスか……。それで、俺の身柄は国家のモノとして、替えの利く二人目として、実家に帰省とかって出来るんですかね?」

「……残念ながら」

「あー、そうッスか。うん……思ったよりヘビーな内容ッスねー。うん、きっと重い内容なんだろうなー」

 

 心が麻痺をしているのか、それとも両親に対しての何かが欠けてしまったのか。どちらにせよ、両親に会えないという事に関してそれほど何かを感じる事はなかった。きっとココから先で何かを感じる事はあるだろうけど、今はさっぱり感じなかった。

 

「じゃあ父さんには『末永く仲良くお過ごし下さい』と」

「母親には何もないのか?」

「あー、言いたい事はいっぱいあるんですけど。まあ言えないんで父さんと同じ言葉を送ってください」

「言いたい事があるなら言えばいいじゃないか」

「『若気のいたりか、火遊びか知りませんけど程ほどにね(はーと』なんて誰かに言わせたくないっすよー」

「何を言わせたがってるんだ……」

「ま、両親に関してはいいですよー。それで、他に俺がする事とかってあるんですかね?」

「いや、今日の検査は全て終わりだ。明日からは座学を頭に叩き込む事になるだろう」

「頭に叩き込むって、アレをですか?」

「アレをだな」

 

 視線の先にあったのは電話帳と見紛う何か。両腕が拘束されていて捲ることも出来なかったけれど、アレって教科書だったのか……。すげー。

 頭に叩き込むって事はアレを直接頭にプラグインするんですね! わかります!

 

「今日は疲れてるんで不貞寝します。不貞寝させてください」

「仕方ないな……。ああ、一つだけ忠告しておこう」

「はい?」

「人と話すときは胸部ではなくて目を見て話せ」

「今日は許してくださいよー。荒んだ心の癒しなんですよー」

 

 体を揺らしているとおっぱいさんが両腕でおっぱいを隠した。溢れんばかりのおっぱいが両腕に潰されて素敵おっぱいが、なんというか、凄い。素晴らしい。

 溜め息が織斑千冬様の口から出た所で彼女らは俺の部屋から出て行った。

 

「あー……もうマジ無理……不貞寝シヨ」

 

 何はともあれ、寝たい。寝て忘れたい。きっと夢なのだから、少しくらいおっぱいに触れてもよかったのではないだろうか……? うーん、おっぱい。




些事の説明

>>――認証しました
 確認用のISに簡易的に設定されたマシンボイス。決して『~~ドスエ』とは言わない。備えよう。

>>『ドキッ!? 気付いたら異世界!?―命のポロリもあるよ!―(R15)』
 ギャルゲー。目が覚めると異世界に飛んでしまった主人公の物語。命のやり取りもあり、一部のコアな層から熱狂的な何かを得ている。R15はエッチィ方面ではない。

>>新しい扉
 開くと世界が広がる素晴らしい扉。

>>山田真耶
 やまだまや。おっぱい。以上だ。

>>織斑千冬様
 鬼神の拠り代。睨みだけで人を殺せるとか言われてる。クールなお姉様。

>>主人公
 一話を書いている時点で名前すら思いつかなかった可哀想な奴。変態。語彙少なめ。
 頭が良さそうに見えるけれど、回転も緩やかで、イイとは言えない。

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