欲望にはチュウジツに!   作:猫毛布

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息抜き(5000字

遅れました(三日ぶり
申し訳ありません。色々と諸事情もあり、云々。
ふぇぇ、物語が進まないよぉ……


ウスイホン

 夏野穂次、つまる所セカンドである俺だからこそ言わせてもらうのだが、学年別トーナメントで俺とペアとなれる人間は専用機を持っていなくてはいけない。

 そこに俺の意思なんて物はない。決定事項と言ってもよく、再三と言ってイイほど政府の方々に念押しされたのだ。

 俺、或いは一夏、そしてシャルルの三人はこの学園でたった三人だけの男性だ。詳しく言えばシャルルにはおっぱいが付いていて、そしてアレが無いから男として区分するのはオカシナ事だろう。まあ、それは俺しか知らない事だから、置いとくとして。

 そんな三人。希少枠である三人とペアになるという事は誰もが望んでいる事だったりする。当然、俺なんかよりもシャルル、もしくは一夏とペアになりたいというのは分かっている。つーか、聞かされた。心がキツいッス……。

 ともあれ、希少枠の中での珍獣枠、もしくは『掛け算の後ろの方』である俺とペアになりたい女の子は少ない。少ないだけであって、それこそ少し気の強めなお姉様と言えそうな同い年の女の子やどこか怪しい笑みを浮かべる婦女子の方々が俺の元へとやって来た。当然、丁重にお断りの言葉を言ったのだが。

 生憎、婦女子の相手はシャルロットだけでお腹いっぱいです……。気の強い人は篠ノ之さんとか、セシリアさんとか、千冬様で頭がいっぱいなんだ……。千冬様? 織斑先生……うっ、頭が……!

 

 話を戻そう。

 

 俺とペアになる人間は専用機持ちでなくてはいけない。そもそもセカンドと一緒になる、という事はいくら珍獣枠で『掛け算の後ろの方』な俺が相手だろうが関係なく、方々から羨望とか嫉妬とかが結構ある。俺とよく一緒にいるセシリアさんも裏では結構言われていたりする。ソレが俺に聞こえてくる辺り、女の子は怖い。ホントに怖い。

 まあそんな『ドキッ! 女の子の秘密の事情』があり最低でも相手が専用機を持ってないとドウニカなりそうで怖い。俺はエッチな意味でドキッとしたいのにどうして怖さでドキドキせにゃぁならんのだ。ホラーじゃねぇんだぞ!!

 

 ともかく。俺と一緒になるのは同じ男である一夏かシャルル。もしくは専用機を持っている人になる。一夏とシャルルは俺が組ませたので何も問題は無いだろう。一夏を取り合って篠ノ之さんが勝ちあがったら……いや、篠ノ之さんはそもそも大丈夫なのか? まあ、ソレはどうでもいい。本当にどうでもいい。

 そんなシャルルに一夏を……、いや、一夏にシャルルを奪われてしまった俺は現在ペアがいない状態になっている。

 セシリアさんと鈴音さんはペアになったし、一年生で専用機を持っているもう一人を訪ねれば小さく悲鳴を上げられて出ない事を告げられた。後になったが、俺は彼女に対してまだ何もしていない。キュートな眼鏡をしていた水色の少女はおっぱいが小さかったのだ。無い訳じゃない、そう、小さかったのだ!!

 悲鳴を上げられてもちゃんと対応してくれた少女に感謝を述べて、どうすっかなぁ、と口ずさみながら廊下を歩いていた。

 

「セカンド」

「……うーん、ちょっと待って。頭痛が痛い」

「ん……? 頭痛が痛い、は間違いだ」

「うん、そうなんだけど。つーか、ボーデヴィッヒさんはどうして俺を待ち構える様に仁王立ち? 自分で言うのも変だけど、俺達って前の罵り合いで仲は悪くなったと思ったんだけど」

「ふんっ。別にお前に好意を抱いた事などない」

「新手のツンデレか何かか……ん? 罵り合い? 教官……千冬様、うっ頭が」

「何を遊んでいる?」

「いや、まあ……それで、大佐殿はこんな小市民に何か御用で?」

「……トーナメントのペアは決まったか?」

「残念ながら。俺と一緒になりたい奴なんていないそうッスねー」

「そうか!」

 

 なんでだろうか。この少女の顔が明るく見える。チョット前までは暗い、つーか、冷酷な表情しかなかったのに。同時に嫌な予感しかしないんですが……。

 

「私とペアになれ、セカンド」

「…………いやいやいや、え? どいうこと? ええっと、俺とペアって事は、え? そんな……俺には将来を誓った相手が――」

「何を勘違いしている? 学年別トーナメントのペアになれ、セカンド」

「あ、うん、そっちだよな。ビビッた……割りとマジでビビッた。新手のツンデレって怖い」

「? お前はさっきから何を言ってるんだ?」

「いやぁ、ツッコミのいないボケってのがどれぐらい無様で滑稽でツマラナイかの再確認をですね」

「? お前が無様で滑稽なのはいつもの事なのだろう?」

「……あー、うん。まあそうッスね」

 

 否定したいけど、否定したらしたで面倒なんだろうな……。つーか、否定材料が全然見つからない。カッコいい俺ってドコ? あ、売り切れ? いや、そっちのホモっぽい奴はイラナイッス。

 

「それで、えー、ボーデヴィッヒさんはどうして俺と? それこそ俺じゃあるまいし、ボーデヴィッヒさんのペアなんて選り取り見取りデショ」

「ふんっ。お前が一番荷物だったからな」

「……ん? えっと、俺って怒っていいの?」

「教官に薦められた」

「あーコレ怒れないヤツですわー。怒ったら織斑先生飛んでくるヤツですわー。もうマジ無理。何? あの人、俺に盗聴器でも付けてんの?」

「教官がお前など意に介する訳ないだろう」

「あ、ソウッスネ……。んで、荷物ってのはわかったけど、なんでその荷物を背負おうとしてるんですかね……」

「フッ……荷物を背負って尚勝つ事に意味があると、教官が教えてくれたのだ」

「……あ、コレ面倒を全部俺に押し付けてるヤツですわ」

「お前は何もしてくていい。ただ私の後ろに隠れていろ」

「わー、スッゲー愛の告白みてー。その前に色々なけりゃぁ俺だってハシャイでたよ!!」

「一応、荷物と言っても無断で出す事は出来ないからな。確認を取りに来た訳だ」

「あ、我が道を往く娘だったね……つーか、織斑先生が絡んでる時点で俺が断るって選択肢がないんですが……むしろ、断る選択=死(せんたくし)な訳ですが?」

「うむ、教官もそう言っていたが。確認は必要とも言っていたぞ」

「あー、うん。ソウッスネー。まあ俺からは何もナイデス。署名すっから書類を――」

「問題ない。既に記入済みだ」

「……いやいや、書いた覚えはないんですが」

「? お前、文字を書けたのか」

「流石に自分の名前ぐらいはかけるもん!」

「は?」

「ヒッ……マジ睨みはやめてくださいよ、大佐殿。結構怖いんですから」

「……ふん。私の階級は少佐だ。間違えるな」

「へいへい、了解いたしました、少佐殿」

 

 ふざける様に言ってやれば更に睨みが強くなった。馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前! 睨みになんて負けないんだからねッ! まだ織斑先生の方が怖いんだから仕方ない。

 そんな彼女の背中が遠のくのを見ながら溜め息を吐き出してしまう。俺としてはいい方向に転がった……んだろうか。 まあいいか。

 そんな事よりも、ボーデヴィッヒさんとペアになったという事実を広めておかなくてはいけない……。あの言い争いを聞いていた人も多いだろうし、更には広まっているだろうし、そこから俺とボーデヴィッヒさんがペア? ハッハッハッウケルー、チョーウケルー。

 少なくとも俺自身が納得出来てないんですがソレは……。いや、事実として受け入れは出来てるけど、どうすっかなぁ……。

 

「まあ、どうにでもなるか。うん、どうにでもしよう。そう、強いものには巻かれろってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂次! 聞いたぞ! アイツとペアなんて何を……」

「ヘルプ! 一夏いい所に来た!! 俺の部屋がちょっとしたサバトみたいになって――あー!! 待て待て! 扉を閉めるんじゃなぁい!!」

 

 閉じられた扉が恐る恐る開かれた。顔を覗かせた一夏は出来れば何も見たくなかったと表情に表している。俺だって、こんな体験を今したくはない。

 

「あら、一夏さんもします?」

「ストレス解消にはなるわよ?」

「いや、エンリョします」

「あっそ」

「というか、シャルルは?」

「アイツは逸早く危険を感知して逃げ出した。この戦いにはついてこれそうにもない」

「穂次は何と戦ってるんだ……」

「それで、穂次。いい加減に言う気になった?」

「だから何回も言ってんじゃないッスか!! 俺の座右の銘は『なるようになる』だから結果こうなっただけなんだって!! 俺は悪くねぇ!!」

「――穂次さん?」

「スイマセン! 俺が悪いかも知れないッス!!」

「穂次弱ェ……というか、なんかいつもよりも、その、あー、過激? になってるけど」

「ソレな!! 俺の部屋で、俺のベッドで、俺が縛られてるってどういう事だよ!! そういうプレイなら事前に教えとくのがマナーだろ!」

「まだそんな事が言える余裕がありますのね」

「ヒィッ!? 待って待って! 割りと真面目に待って!? そんな、俺の腹の上に座るだなんて!!」

 

 俺だって心の準備ぐらいさせてくれ!! 嫌がってる演技って言うのも疲れるんだぞ!! うひゃぁ!! もっとやってください!!

 

「あー……」

「どうしたの一夏?」

「いや、まあ、なんでもない」

「一夏ァ!! グッジョブ!!」

「穂次さん?」

「くっ! 止めてくれェ!! タダでさえ重いんだか――」

「何かいいまして?」

「スイマセン、失言でした!! スイマセン!!」

「…………ふん」

 

 あぁ、拗ねたセシリアさんが可愛すぎるぞぉ。っても、ホントに腹筋の限界が来てるんですが……。あと下半身が真面目にエレクトしそうです……!!

 いやいや、こういう時はアレだ、落ち着いて怖い事を思い浮かべればいいんだ。鬼が一匹、鬼が二匹、俺が死んだ……。

 

「まあ穂次の事はどうでも……よくは無かった。お前、なんでラウラ・ボーデヴィッヒとペアになってんだよ」

「……優勝する為に決まってんだろ……! 言わせんな恥ずかしい!」

「そうか……ん、どうした二人共、俺をそんな目で見て」

「……いや、なんでもないわ」

「知らなくてイイ事もありますわ」

「え? ナニソレコワイ」

「というか、穂次。アンタは男としてのプライドとか無いの?」

「俺のプライドはとある人から貰った『ウスイ=本』によってなくなりましたー!!」

「…………すいませんでした」

「え? セシリアさん、ココで真面目に謝られると俺は余計な悲壮感がですね」

「……? あー、うん?」

「どうしたの? 一夏」

「……イヤ、ウンナンデモネーデスヨ」

「一夏。一応言っておこう。お前の想像しているウス異本ではない。むしろ、俺はソレをココに持ち込んでない」

「だよな……びっくりした」

「お二人で何を言ってますの?」

 

 美少女には関係のない話だ。男以外、帰ってくれないか!! いや、嘘です。潤いはほしいデス。

 

「ま、ボーデヴィッヒさんと一緒になって戦うって決めたのは数時間前だし……つーか、一時間近くも縛られてんのか……もう解いてもエエんやで……?」

「あれだけの言い争いをして?」

「そんなに凄かったのか? 噂にもなってるんだけど?」

「フッ、遂に俺のカッコよさに世の美少女達が気付いてしまったか……!」

「いや、受けが攻めになったとか……? 誘い受けとか? よくわかんねーけど」

「…………」

「穂次、アンタはもう泣いていいのよ……」

「いやいや、泣くなら壁じゃなくてクッションがいいから我慢するよ!」

「………………」

「なあ穂次。すごい鈴が怒ってるんだけど?」

「ハッハッハッ、クッションに顔を埋めて泣きたいって言っただけなんだけ――」

「アンタら二人、ちょっと黙ってろ」

「あ、ハイ」

「なんで俺まで……」

「一夏だから仕方ないんだゼ☆」

 

 怒り狂った、というよりは静かに、フツフツと怒りを煮出していた鈴音さんを危険と判断したのかセシリアさんが連れ出す。

 結果的に残るのは一夏と俺だけになってしまった。

 

「はぁ……それで? なんでアイツとペアになったんだ?」

「あー、まあ、織斑先生の御達しでな」

「…………なんか、悪い」

「イイって事よ! つーか、あの言い争いはドッチモドッチだったからなぁ。むしろ俺が織斑先生を貶めた感じになったし」

「そうなのか? 俺が来た時にはもう……いや、なんでもない」

「なあ、一夏。たぶん、俺ってその部分を覚えてないんだ。いや、覚えてるかもしれない……うっ、頭が」

「思い出さない方がイイ事もある」

「そうだな……まあ俺が織斑先生に対して、って訳じゃないけど評価を下げたような事を言ったから、その償い、つーか、なんだろ? あの人の考えって俺だとわっかんねーんだよなぁ」

「俺にもわからねぇよ。というより、ソレを言うなら俺は穂次の考えもわかんねぇけど?」

「え? マジで? ふっ、貴様程度にはこの俺様の高尚で知的な考えなど理解出来んさッ!!」

「アーソウダナー」

「もう突っ込みなしはボーデヴィッヒさんだけで十分だから……。 まあ織斑先生の考えはわかんねーけど、何かと甘い、つーか面倒見はいい人だからなぁ」

「あー、確かに……」

「どうせアレだぜ。教え子だったボーデヴィッヒさんのペアが見つからない……夏野が居たな! とか考えてるんだぜ!」

「ん?」

「もっと言えば教え子が可愛くて可愛くて仕方ないけど変にツンデレ、つーか、クール系のツンデレ入って素直になれないんだゼ!! 鬼の顔にも萌えって諺あったっけな……」

「なあ、穂次。それ以上は言うんじゃない。俺はわかったぞ、今までの流れを思い出すと、千冬姉がこの部屋に来るんだ、間違いない」

「ハッハッハッ! そんな訳ねーだろwwww あの鬼がココにとかwwww

 

 一夏、逃げるぞ。俺の拘束を外してくれ!! 早く!!」

「おうっ!」

 

 一夏が俺の腕を縛っているタオルに手を掛けた所で扉の音がなる。俺と一夏は顔を見合わせ、停止した。

 

 フラグかよ。

 スマン、穂次……お前の犠牲は無駄にしないッ!

 なんでお前だけ逃げる気なんですかね……。

 

 アイコンタクトで会話を交わし、俺と一夏は静かに首を動かす。

 そして安堵した。そこに居たのは金髪だった。同室のシャルル・デュノアだ。どうやらセシリアさん達が出て行ったのを知って戻ってきたらしい。

 俺たちを見て、どうしてか驚いた様な顔をしたシャルルは数瞬して、持ち前の思考の早さからか表情をいつもよりも数倍爽やかな笑顔に変化させた。

 

「シャルル、千冬姉は廊下に――」

「ごゆっくり!」

「――は?」

 

 扉は閉じられた。

 俺と一夏はもう一度顔を見合わせ、お互いの状態を確認する。

 一夏、俺の腕を縛っているタオルに触れている。

 俺、ベッドに縛られている。

 

「アカン! 一夏ッ! 今すぐシャルルを止めるんだ!!」

「え? なんでだよ。お前の拘束を解いた方が」

「いいから! 急げ!! 俺の拘束は最悪最後でいい。むしろ俺の腕が壊死してもいい!! 急いであの馬鹿野郎を止めるんだ! お互い後悔しないようにッ!!」

「お、おう……」

 

 俺の語勢に当てられたのか、一夏は慌てた様にシャルルを追いかけた。きっと一夏ならばスグに追いついて連れ戻してくれるだろう。

 状況整理すると、一夏が俺を襲おうとしているように見えるなんて……流石に一夏には言えんよなぁ……。

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