息抜き(5000字
セシリーの出身地訂正。
食事がおいしい所から紅茶とスコーンはおいしい国に
「これは、夢か……!?」
晴れて拘束から解かれ、IS学園へと身柄が移った俺はそう呟いてしまった。
見渡す限り女性、女性、女性。女の子、女の子、女の子。素晴らしい。きっとここは地獄によく似た現実世界ではないのだ。理想郷、天国、言い方は様々だが、世界はこんなにも素晴らしいのだ。
「ああ、こんな所に居たんですね」
「おっぱいさん。お久しぶりです」
「は?」
「いえ、山田真耶さん。お久しぶりです。いやー、相変わらずお綺麗で、一瞬誰だか分かりませんでしたよ。アッハッハッハ」
「次は無いですからね?」
「アッ、ハイ」
次は言えばいったいどうなるというのだろうか……。目がマジだったけど、チョークスリーパーとかされるのだろうか……もしくはおっぱいで窒息させられるとか……。楽しみでしかないな。
「それにしても、どうして校門前なんかに居たんですか? アチラの方から直接職員室に来るように言われていた筈ですけど」
「いやはや、やっぱりシャバっていいッスねぇ……」
「そんな囚人みたいな発言をして」
「似たようなもんッスよ。それで、おっぱ――山田さんは俺を迎えに?」
睨まれてしまったので乾いた笑いを浮かべながら言葉を変える。どうしておっぱいさんと呼んではいけないのだろうか? その胸部は誇るべきモノだろう。
……いや、確かにそれほど仲良くも無い異性に勝手に愛称で言われるのは問題かも知れない。なればこそ、俺にも似たような愛称を付け、そして呼んでもらえば問題はない筈だ。
そう、是非とも俺のことは『巨チ――
「そうですよ。迎えに来たんです。まだ校門にいるとは思ってなかったので、申請書類などは後で書いてもらいますからね!」
「へいへい。判りましたよー。つーか、申請書類は向こうで書いた筈なんですけど?」
「ふぇ?」
「あ、ボイスレコーダー準備するんで、もう一回お願いします。ほら、さんはい」
「や、ヤですよ!?」
なら本当に残念なことをしたのかも知れない。きっとココから先、おっぱいさんの驚いた声は何度も聞くタイミングはあるだろう。むしろ作る。ならば最初の一度ぐらいはいいじゃないか。
まあ、政府側と学園側の情報伝達が微妙にチグハグなのがわかった。わかったからといってどうこうする訳でもないけれど、――いや出来るならばおっぱいに触れたいけれど――国の奴隷君としては面倒かつ厄介極まりない。
国からは校門で待てと言われ、学園側からは職員室に来るように指示していたらしいし。申請書類も送られてきていない。訴えれば勝てるぞ! その訴えるのも、裁判するのも国だから負ける事しかないだろうけど。
「ま、いいッスよ。申請書類は後で書きます。今は山田さんの指示に従った方が良さそうですしおすし」
「おすし? なら入学式が行なわれますので、会場の方へ」
「へいへい」
「返事は一回。ハイで答えなさい」
「わぁ、まるで先生みたいだー」
「コレでも先生なんですからね!」
胸を張られて言われても、もう胸部の布の寿命は限界ですよ! とは口が裂けても言えない。言うと隠すのだから言って堪るか。
「なるほど、美人(巨乳)教師ですね! スゲー!」
「えへへ……煽てたって何も出ませんよ?」
「あ、そうなんですか。じゃあ会場に行くんで」
「ふぇ!? お世辞でももう少し取り繕ってくださいよ!」
「取り繕ったら調子に乗りそうじゃないですか。おっぱいが触れるならまだしも、何も無さそうですし」
「むぅ! さっきから人の、お、おっぱいの事ばかり!」
「はぁ……いいですか。おっぱいって言うのは青少年にとって憧れの部位なんです。そしてソレはつまる所母性の塊なんです。男は自然とソコに目が行きますし、甘えたくもなります。ある種の凶器みたいなモンです。
俺だって美人な山田さんの事をおっぱいだなんて言いたくないですよ? けれど、美人な上にまるで聖母の様なおっぱいがソコにはあるんです。だからこそ俺はそのおっぱいを敬った上で山田さんの事を『おっぱいさん』と呼んでいるんです。
つまりです。俺がそのおっぱいを触れようとするのは一種の信仰であって、決してやましい事はありません」
「ふーん……」
「ジト目は止めてくださいよー」
変な扉が開きかかってるんですから本当に止めてください。
真面目な顔を崩してヘラヘラと笑みを浮かべて会話を流していく。溜め息を思いっきり吐かれたけれど気にしない。
「まあ美人教師云々のくだりは世辞でも何でもない本心なんで。これからよろしくお願いします、山田先生」
「! はい、よろしくお願いしますね!」
「ちょれー」
「は?」
「いえ、なんでもないですよー。アッハハハハ」
ちょろすぎぃ。
悪い男に騙されないか不安になるぞ……織斑千冬が簡易的な抑止力にでもなってるのか。 つーか、この人、元代表候補だったな。単純にそこらの男より強いじゃないか! 悪い男に騙されるチョロインなんて居なかったんですね!
入学式も粛々と終わった。
周りを見渡しても女の子ばっかりでびっくり。ホント、ギャルゲーみたいな状態ってあるんだなぁ。
コッチを見る瞳が恋する乙女な瞳じゃなくて珍しい動物を見る視線じゃなけりゃぁ良かったけれど、まあ無理があるよね! 珍しい動物みたいな物だし! 検査凄いされたしね!
美人な会長さんの祝辞を見惚れながら聞いてたら意味深な視線をコチラに向けてきたけれど、生憎あんな美人に会った事も無いし、自慢じゃないけれど一目惚れされるような容姿でもない事は確かである。
生き別れの姉とかも考えたけれど、それはそれで俺の精神に大ダメージになるからスグに消した。元母の火遊びなんてなかった。イイネ?
それにしても、慣れない。好奇の視線というのは大して心地よくも無い。確かに容姿レベルの平均がかなり高いクラスなのだけれどその上位に男であるお前が食い込んでるのはどういう事だ、織斑一夏。そしてお前もどうして俺に好奇な視線を送ってくる。
貴様、ホモか!
いやきっと違う。違うんだろう。違うと言ってくれ。
ともあれ、二人目である俺は政府によって秘匿されていた、というかココに来るまで発表が無かったらしい。そりゃあ、表に出すとあの検査の内、幾つかは出来なかっただろうからな! 非人道的とか当たり前ですよね! 俺知ってるよ!
「おい、馬鹿者。何を止まっている」
「あ、アイエエエエ!? ブリュンヒルデ!? ブリュンヒルデナンデ!?」
「ア゛?」
「はい。すいませんでした。自己紹介ッスね。わかってますよー、やだなぁ。アッハハハ」
すごんだブリュンヒルデは挙動も無しに人を殺せる。絶対に殺せる。蚤の様な俺の心臓がバクバクと脈打ってるのだから確実だ。決して興奮しているからではない。決してだ。
「あー、あー。ドウモ、クラスメイト=サン。世間体で言うフタリメって奴です。もう名前も似たようなアタリメでいいんじゃないかとか政府に言われて戸籍ごとさっぱり綺麗にさよならバイバイされたらしいけど俺は元気です。元気じゃなきゃヤッテケネーデス。
と、冗談かましてるとブリュンヒルデ様がお怒りなので、
ヘラリと笑って自己紹介にも至らない言葉を締め括る。全部事実だよ、畜生め!
別にウソとして扱うのは構わないし、ウソの方がいいだろう。世間体的に消されるのは嫌だし。
冗談の言う明るい人として認定されるなら御の字だ。なにより、いつか冗談でおっぱいに触れても許されるかもしれない。おっぱいに触りたい。触りたくない? 俺は触りたい。
つーか、皮肉に満ちた名前なのに誰からも突っ込みが無かったでござる。ワロタwwwワロタ……。
「やあ、一人目。自己紹介でも言ったけど、俺は二人目だ。お互い色々と気苦労があるだろうけど、頑張ろう」
「おう。俺は織斑一夏。よろしく……。というか二人目が居たなんて知らなかったよ」
「織斑がISを動かした後に政府が色々と可能性を見出して、それで幸運にもISを動かしたのが俺って訳。政府としては発表するよりも有用にデータ採集したかったんだろ。つーか、お前もデータ採集されてないの?」
「血は抜かれたりしたけど……」
「あー……だよなー」
俺みたいに明らかに頭狂ってんだろってヤツは無いのか……。羨ましい。つーか、いくら補欠だからって人権ぐらいあるんだゾ! と思ったけど無かったわ……。
「それで、さっきポニテさんに連れられてどっか行ってたけど……?」
「ああ、箒は幼馴染なんだ」
「へぇ。つーか、篠ノ之と織斑って昔なじみなのかよ……」
「? そうだけど」
「いや、邪推だな。忘れてくれ。あんな可愛い子と幼馴染とか羨ましい限りだ」
巨乳だしな。何? あの胸のサイズは……。素晴らしいだろ、アレ。全ての栄養が胸に集まってる感じ、いいと思います(恍惚。
「よろしくて?」
「ん? おお、金髪美人さん」
「あら、よくわかってるじゃありませんこと」
「いえいえ。俺の様な小市民には出すことの出来ない高貴な輝き、まさしく貴き人と言われるに相応しく思います」
「そ、そうかしら」
「ええ。誇るべきです。だからこそ、気安く話しかけていただけるだけで俺は天にも昇りそうな気分でございます。素晴らしい。なるほど、美の結晶とはアナタの様な方を指すのですね!」
「ふ、フフ。そうですか。そうですか」
少しばかり赤くなって口に笑みを浮かべている金髪美人さん。名前は確か、セシリア・オルコットさん。
果たして性格はわからないけれど、代表候補生である事をわざわざ強調して言っていたからプライドは高いのだろう。
「……なあ、夏野」
「なんだ、織斑。わざわざ声を潜める必要がある会話か?」
「誰だ? というか、どうしてそんなに敬った様な態度なんだ?」
「彼女はイギリスの代表候補生。名前はセシリア・オルコットさん。見て分かる通りに愉快な人だ」
「なるほど……なるほど?」
「ちょっと! 聞こえてましてよ!」
「それは失礼。それで、代表候補生様が小市民と有名人に何用で?」
「夏野って有名だったのか」
「有名人はお前だバカ」
「何!?」
「ジャパニーズマンザイはよろしいです!」
「アリガトウゴザイマシタ!」
「そうじゃありませんわ! いい加減にしてくださいまし!」
「へいへい。ありがとうございました。 それで、俺はともかくとしてコイツに何か用でも?」
「なんで夏野は関係ない風を装ってるんだよ」
「いいか、この高貴で知的で愉快極まりないオルコットさんが話し掛けてるんだぞ? 一時間目で醜態さらしたお前に自らの知恵を授けんと勇んで来たんだぞ。俺におちょくられて顔真っ赤にしてっけど」
「あー、お前って分かっててやってたんだな」
「当然だ。むしろ意識せずにやってたら悪意の塊だろ」
「いや、どちらにしろだと思うぞ、それは」
まあそれもそうか。
どちらにせよ、プライドの高いだろうオルコットさんは見事に蚊帳の外だったり無理矢理引き入れられたりで、明らかに怒ってます、という感じに眉を吊り上げている。怒ってるのに美人って可愛くみえるから凄い。まあ怖いものは怖いけど。
「まあ、落ち着いてくださいよ。主席様」
「落ち着いていられますか! 貴方は人を
「まあまあ。小市民の戯言だと思って流すのも高貴な方のお役目ですよ。入試で教官を倒したオルコット様がよもやそんな事で目くじらを立てるなど……ねぇ」
「……ふんっ。まあわたくしは優秀ですから、貴方の様な小市民でも優しくしてあげますわ」
「え? 優しくシてくれるのか……緊張するな」
「は?」
「夏野。たぶん、いや、絶対それは勘違いだ」
「期待だけしてる」
唖然としたオルコットさんとは違いスグに意味を理解したのかかなり呆れ気味に俺の肩を掴んだ織斑。俺だってわかってるよ。ああ、当然だ。
このスタイルもよく、プライドも程よく高く、少しタレ目な美少女に優しくイケナイ事をされるなんて思ってない。思ってないさ……。
「というか、代表候補生ってそんなに偉いのか?」
「この場合は代表候補生である、というよりはオルコットさん自身が入試で教官を倒したエリートだからこそ俺たち凡愚に知恵を授けてくださるのだ」
「そうですわ」
「故に俺たち凡愚は彼女の優しさをその身いっぱいに受ければいい。俺は期待してる」
「ん? 入試ってISを動かして戦うやつか?」
「それ以外に入試はありませんわ」
「なら俺も倒したぞ、教官」
「おいおい、織斑。嘘はダメだろ。見ろよ、オルコットさんをきっと今にも『ぷんすかぴー』なんて言うぞ。可愛いなぁ」
「言いませんわよ!」
「嘘じゃないぞ。というか、どうして嘘だと思ってんだよ」
「俺は入試自体受けてないからな」
「俺としてはそっちの方が嘘だと思うんだけど」
「ほら、俺って、ユ、ウ、シュ、ウ。だからねッ」
「うぜぇ……」
「いやん。渾身のドヤ顔だったのに、酷い」
「アナタ達! こちらの話を――」
とオルコットさんが言葉に割って入ったチャイム。オルコットさんは何かを飲み込んで、やっぱり可愛い顔を真っ赤にして怒ったように言葉を吐き出していく。
「またあとで来ますわ!」
「教室は一緒だな」
「逃げないことね!」
「教室は一緒だって」
「よくって!?」
「よくってよ!!」
「っ……!」
「なあ、思いっきり睨まれてたぞ」
「ハッハッハッ。可愛い人に睨まれて嬉しい限りで」
「夏野は楽しんでるなぁ……。俺は知らないからな」
「逃げるなよ。俺も胃が痛いんだから」
少しだけ腹を擦りながら言葉を漏らせば溜め息を吐かれて笑われた。
それにしても、オルコットさんから睨まれるのはわかるんだけれど、篠ノ之箒さんから睨まれるのはさっぱりわからん。幼馴染を取られたことによる嫉妬とか? いや、男同士だぞ……はっ! 篠ノ之箒さんは腐女子だった可能性がッ!?
些事説明
>>やまや「は?(威圧」
彼女を怒らせると「首は地獄、背中は天国」という究極の技の餌食になる。怒らせよう。
>>「アイエエエエ!?」
ザッケンナゴラー
>>夏野 穂次
夏の 補欠
……やきうかな?
>>ポニテさん
篠ノ之箒。巨乳
>>篠ノ之箒さんは腐女子だった可能性が
(可能性は)ないです。