欲望にはチュウジツに!   作:猫毛布

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戦闘描写が薄い……あと時間飛び過ぎ。
もっと細かく書けるだろ……

という言葉はフヨウラ!
自覚してますスイマセン。


負けない機体

 その日はよく晴れていた。空が遠く、まるで吸い込まれる様な秋晴れであった。

 会場は既に満員で、その群が一斉に歓声をあげて空気を揺らした。

 

 二年生によるレースは非常に盛り上がりを見せていた。抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げ、次になる一年生の――織斑一夏と夏野穂次を含む一年生専用機持ちのレースに期待が高まる。

 その一人、織斑一夏はと言えばピットの中まで響く歓声に僅かに驚きつつも、迫る時間に胸を高鳴らせていた。

 

「あれ? 二年生のサラ・ウェルキンってイギリス代表候補生なのか」

「そうですわ。専用機はありませんが、優秀な方ですわ」

 

 緊張を紛らわせようと世間話をしてみたが、やはり緊張はあまり解けない。尤も、一夏自身はこの緊張を心地よい物と感じれるだけの余裕はある。いいや、余裕というよりは訓練に裏付けされた自信か。

 ともあれ、ピットを見渡すだけの余裕は幾らかあった。

 既にISを纏っている箒、ラウラ、鈴音、シャルロット、セシリアを見渡してから、ふと気付く。

 

「あれ? 穂次は?」

「え?」

 

 一夏の出した声に全員が辺りを見渡す。そこに彼の姿はない。へらへら笑いながらISスーツに関しての感想を言っている彼の姿はない。

 シャルロットとセシリアは即座に彼へと通信を入れてみたが通じない。お互いに顔を見合わせて首を横に振る。その動作を見た面々が徐々に冷や汗を流し始める。

 ある程度緊張を保ったピッチの中が別の緊張に満たされていく。そんな中、扉が開いた。

 

「いやー、迷った迷ったー」

 

 へらへらと笑いながら緊張の原因が現れた。全員が安堵の息を吐き出した事で穂次は疑問を顔に浮かべ、なるほどと得心がいく。

 

「そんなに緊張しても、いい事なんてないんだゾ☆」

「アンタのせいでしょうが!!」

「ヒェ……俺はちょっと用事に行って、迷っただけなんですが……」

 

 怒鳴り声を上げた鈴音に怯えながらも穂次は悪びれながら言い訳を口から吐き出した。

 その言葉に一夏は少しだけ引っ掛かりを感じた。

 

「用事?」

「おう。つーか、用事自体はスグに終わったんだけど、緊張でお腹が痛くなったんだ。あとは言わせるんじゃぁない……」

「そういえば穂次って前のタッグ戦の時もそんな事言ってたね」

「何なの、アンタ。自意識が希薄な癖に緊張なんてするの?」

「希薄だから緊張するんですよー。一定までは大丈夫なんだけど、ソレを越えると死にたくなる。つーか希薄ってより優先順位が低いからどうしても自分が見られるって思うと、こう……うん、お腹痛いんで、休んじゃダメッスかね……」

「無理だろ」

「でっすよねー……うぅ、頑張らねば」

 

 汗を額に浮かべて腹部を抑えた穂次は弱音を吐き出す。

 うぅ、と少しだけ唸りながらISを展開した穂次。黄色の装甲に黒いラインを走らせ、左腕には大きな盾が着けられたいつも通りの村雨がそこには在った。

 

「穂次はいつも通りなんだな」

「ま、色々と仕込みはしてるけどな」

「ほう……」

「ラウラさん、そうやって戦闘者の目付きにならないでくれますかね?」

「お前とはちゃんと戦った事が無かったと思ってな」

「そりゃ俺が皆の模擬戦をサボってるからダナ! データ解析はしてるから許して、許して」

「たまに参加してもデータ解析ばかりだからな」

「皆のスリーサイズが成長してるのはしっかり見てるから許してください!」

 

 空気が凍った。へらへらと悪びれなく笑っている穂次と何を言ったか奇跡的に聞き逃していた一夏だけの時間が進んでいる。

 各々が、自慢の武器、そのロックオンを穂次へと向ける。ピッチ内なんて関係は無い。

 穂次は村雨から伝えられる警告音を聞きながら逃げる準備をする。一夏を盾にする算段だけは即座に立てた。

 

「みなさーん、準備はいいですかー?」

「準備万端ですよ! 山田先生! よーし、穂次頑張っちゃうぞー!」

「ゴラァ待てぇ!!」

「ひえっ! スリーサイズが成長してない鈴音さんやめてください!」

「殺す! アンタだけは絶対殺す!」

 

 山田先生ののんびりとした声が響き、穂次はソレをきっかけに逃げ出そうとする。追いかけようとした鈴音の怒りにしっかりと油を流し込む事は忘れない。

 その姿に毒気が抜かれたのか溜め息を吐き出しながら他の面々もマーカーに合わせてスタート位置へと移動する。

 クルリと一夏を支点にして、鈴音からの睨みを回避した穂次とどうにか鈴音を抑えこんだ箒とラウラ。ドウドウ、と言っている辺り箒もラウラも鈴音を煽っている様な気がしてならないが……。

 

「あんまり鈴を煽るなよ」

「はっはっは。まあ緊張は解れただろ? 相棒」

「……まあな」

 

 へらりと笑ってみせた穂次に一夏は少しの驚きを含んで笑みを浮かべた。返事に何かを感じたのか「まあ意図してやってはねぇけどな」と冗談めかしてニヤリと笑った穂次に一夏は改めて苦笑を浮かべる。

 

『それではみなさん、一年生の専用機持ち組のレースを開催します!』

「そうだ、一夏」

「ん?」

 

 各自位置に着いた状態でスラスターに火が灯る。低い音からゆっくりと高くなっていく音の中、一夏の隣にいる穂次が声を掛ける。

 一夏は高速起動用のバイザーを下ろしながら、穂次の方を向いた。その穂次の顔はへらりとも笑ってなどいなかった――

 

「大丈夫だと思うけど――」

 

 シグナルランプが点灯し、カウントダウンが開始する。そんな事もお構いなしに穂次の言葉は続く。

 

「警戒はちゃんとしとけよ?」

 

 その言葉と同時に穂次が一歩目を踏み出した。それに続くように各自が飛び出し、一瞬だけ遅れて一夏も飛び出した。

 吹き飛んだ景色の中で、真剣味を帯びていた穂次の顔が一夏の脳裏に焼き付く。何故、そんな事を言ったのか。疑問は残る。

 けれど、一夏はその疑問と音を置き去りにして集団へと追いついた。

 

 先頭には穂次が駆けている。その穂次は先程から迫る攻撃をクルリと前に回転して盾で防いでから器用に宙に着地して、また踏み込みを繰り返している。

 

「フーッハッハッハッハ! 盾持ちに通常攻撃など愚の骨頂!」

「一々イライラするわね!」

 

 穂次に近い鈴音とセシリアの口が歪む。わかっている事はあまり穂次に攻撃をしてはいけないという事だ。コレは決して穂次の特性の都合ではなく村雨の都合だ。

 攻撃し、防御されればエネルギーを蓄えさせるだけである。崩し難い護りだ。けれど、崩せない訳ではない。

 セシリアに軽く目配せをした鈴音は加速し、穂次へと迫る。横を向いていた衝撃砲が前を向き、圧縮された空気弾が穂次へと連射される。

 

「――チィッ!」

 

 それを最低限の動きで防ぎ、穂次は舌打ちをした。大型の盾で防げる攻撃は一方向のみであり、僅かにでも角度を変えられると回避をしなくてはならない。

 鈴音の後ろから現れたセシリアの一撃を回避して、穂次は宙でたたらを踏んでしまう。

 

「お先ですわ」

「――甘いな」

 

 速度を落としてしまった穂次を軽々と抜き去るセシリアが語尾にハートでも付けそうな口調とウインクをした辺りでその後ろに控えていたラウラに抜かされる。

 ちょっとだけムキな顔をして「もう!」と小さな怒りを口にしながらもセシリアは自身を抜かしたラウラへと迫っていく。

 鈴音も同時に向かったがラウアがクルリと反転しリボルバー・キャノンによる牽制射撃を行う。当たらずとも、掠るだけでいい。高速機動に置いて小さな誤差はそれだけで大きな歪みに変化する。

 大きく回避したセシリアと違い、小さく回避しようとした鈴音は掠ってしまいコースラインから大きく外れてしまう。

 

「おーこわ」

「最初にトップを悠々と走ってた穂次が言う言葉でもないよ」

「虎視眈々とトップを狙うシャルロットさんには言われたかねーですよ」

 

 へらりと笑い合い、同時にカーブを曲がる。滑らかで綺麗な曲線を描くシャルロットとは違い、穂次は壁を蹴る様にやや角度の付いた曲がり方ではあるが。

 ちらりと穂次は背後を確認した。最下位にはコースを外れた鈴音がいるが、その次はスペック上は上位にいてもオカシクはない一夏がいる。更に言えばカーブの度に前との差が広がり、後ろの差が詰まっている。

 そんな誰かを見て穂次は小さく溜め息を吐き出してしまう。その溜め息に気付いたシャルロットはクスクスと笑みもらした。

 

「心配?」

「別に、一夏が遅いのは知ってたし」

 

 別に一夏とは言ってないんだけどなー、と思いながらシャルロットは余計に笑みを深くする。その深くなった笑みに不満そうに口をへの字にした穂次はそれを振り払う様に、前を向き目を細める。

 

「仕掛けるのは二周目か……」

「そうだね」

「ん? ああ」

 

 小さく呟いた言葉を返されたからか、シャルロットの同意の言葉に驚いた様に応えた穂次。少しだけシャルロットは疑問を浮かべたが、それはアッサリと思考の底へと流されてしまった。

 

 二周目に入り、穂次は深く踏み込んで速度を上げる。その背後へ、スリップ・ストリームを利用してシャルロットも同時に速度を上げていく。

 

「来たか」

「来てやりましたよーっと」

「わっ! 防ぐなら全部防いでよ穂次!」

「次からはちゃんと防ぎますデス」

 

 トップを飛ぶラウラがリボルバー・キャノンを放ち、幾つかをワザと避けて他を盾で防いだ穂次の後ろから非難が声が飛ぶ。当然、そこに責任などは求めてないので穂次もへらへらと笑いながら適当な答えを返した。

 スリップ・ストリームから抜けて穂次の隣にいたシャルロットだからこそ、気付けた――気付いてしまった。

 穂次の顔が一瞬だけ苦々しく歪んだ事に。そしてその疑念が強制的に打ち切られる様に、シャルロットとラウラは天から落ちてきた光線に撃ち抜かれた。

 些細な誤差が大きな歪みを生む高速機動において、ソレは無視する事など出来ない要素である。

 

「――ッ」

「シャルロットさん! ラウラさん!」

 

 更に穂次を撃ち抜かんばかりの光線をヤツクビで防ぎながら穂次はコースアウトしていくシャルロットとラウラを追い、盾へと戻したソレを構えた。

 

 バイザーをしたそのIS――サイレント・ゼフィルスはチラリと一瞥し、にやりと口元を歪ませてから一夏達へと顔を向けた。

 

「穂次ッ!」

「コッチは大丈夫だ!」

 

 短い応答。通信越しに交わされたそれだけのやり取りで二人はある程度の意思疎通を熟した。非常事態ということもあり、一夏の声は幾らか緊張を含んでいた。

 

「二人とも、大丈夫ッスか?」

「スラスターはイカれてるけどね」

「コッチも戦闘には参加出来そうには無いな」

「無事で何より」

 

 あからさまにホッと一息吐き出した穂次は顔を今も戦っている一夏と鈴音、セシリア、箒へと向ける。四人を相手――いいや、箒は戦力となっていないがそれでも三人の杜撰な連携を圧倒的な機動性を持って翻弄し、攻撃を加えている。

 

「イギリスの強奪機か」

「サイレント・ゼフィルス。BT武装の――ブルー・ティアーズの姉妹機だな。シールドビットが思ったより厄介そうだなぁ」

 

 のんびりと言葉を吐き出しながら穂次はへらへらとした笑みを顔に貼り付けて戦場を見つめる。

 彼の心情を表している様に、拳が強く握りしめられていた。

 

 

 

 

 サイレント・ゼフィルスによるBTライフルの最大出力から一夏を守った鈴音は守った男へと拳を向けて気を失った。その鈴音を抱えながら一夏は歯を強く噛み締めた。

 そんな思考もスグに後ろへと送られ、戦場へと意識はシフトする。けれど既にエネルギーは枯渇している。

 サイレント・ゼフィルスから向けられた銃口に一夏は顔を顰めた。

 

「一夏さん!」

 

 そんな一夏とサイレント・ゼフィルスの間に青を纏ったセシリアが入り込み、サイレント・ゼフィルスへと体当たりをする。

 ただの体当たりと侮るなかれ。高速機動装備であるブルー・ティアーズの推進を用いた体当たりである。

 

「今のうちに箒さんから補給を! その間――いいえ、戻るまでに終わらしてみせますわ!」

 

 余裕を少しだけ含んだ物言いに一夏は落ち着きを取り戻す。落ち着けば冷静さも戻り、一夏は箒の元へと急いだ。

 ソレと同時にその横を()がすり抜けていき、一夏はソレを振り返る。

 

「穂次……?」

 

 

 

 サイレント・ゼフィルスへと当たり、市街地へと追いやったセシリアであったが、一夏へと宣言した通りともいかず戦況は不利であった。

 

 併走しながらもセシリアは相手の強さを認めた。認めたからといって相手が手加減してくれる訳でもないのだが。

 だからこそセシリアは彼の言葉を思い出す。自分なら出来る、と根拠もなく言ってのけた。けれど確定事項を喋る様に言った彼の言葉を。愛しい男の言葉を信じた。

 

「ブルー・ティアーズ!」

 

 機体はやはり何も応えてくれない。そもそもISの言葉など、常人には聞こえない。

 曲がらない。当たらない。セシリアは舌打ちをして、サイレント・ゼフィルスは沈黙していた。

 

 セシリアは自身に苛つきながらも冷静に頭を働かせていた。偏向射撃は今で無くてもいい。今は相手を落とす事を考えなければいけない。

 戦術が頭に浮かび、ソレが消えていき、同時に回答へと辿り着く。僅かに眉間を寄せてセシリアは『インターセプター』を握りこみサイレント・ゼフィルスへと突撃した。

 

 高速機動での接近戦は精神を大きく摩耗する。格闘戦の慣れていないセシリアにとってソレは余計に強く感じてしまう。

 そんなセシリアを嘲笑う様にナイフを取り出したサイレント・ゼフィルスは簡単にセシリアの攻撃を防ぎきってみせる。

 金属が当たる度に弾ける火花の一つ一つが情報解析され、置き去りにされ、更に新たに火花をあげる。

 ドレだけ防がれようと食い下がるセシリアに痺れを切らしたのか、サイレント・ゼフィルスはインターセプターを弾き飛ばし、その銃口をセシリアへと向け、放った。

 

「ああッ!」

 

 連続射撃によりブルー・ティアーズのバリアエネルギーは大きく削られ、左手で支えていたライフルは破壊された。

 辛うじて地表に叩きつけられずに急上昇する程度が、今のセシリアには精一杯だった。

 

 その様子を見たサイレント・ゼフィルス――エムはニタリと笑みを浮かべ宙で静止し、ライフルの先端に取り付けられた銃剣が青い光を灯す。

 

「私達の目的は? と聞いていたな……」

「言う気に、なりましたの?」

 

 息も絶え絶えに、セシリアは言葉を促した。情報を後へと繋ぐために。

 エムもそんな事はわかっている。ソレも踏まえて、()()()()()()()()

 

「ああ、今回に限っては言ってやろう……。

 

 

 

 お前だよ、セシリア・オルコット」

 

 冷たい声がセシリアの鼓膜を貫いた。対してエムは笑みを堪え切れない様に口元を歪めている。

 

「正確にはお前だけとは言わないが――まあソレは良いだろう。どちらか一人を狩れれば問題ない」

「何を……言ってますの?」

「コッチの話さ。そして、もうお前には関係の無い話だ」

 

 ライフルを構えたエムに対して、セシリアは心の中にあるトリガーを絞る。これだけ油断している状態、この距離ならば外しはしないっ!

 

「ブルー・ティアーズ・フルバースト……!」

 

 閉じられている砲口からの、パーツを吹き飛ばしての()()()()()()。空中分解というデメリットも含めた手段。

 だから、避けれる訳がないと思っていた。

 

()()()コレが切り札か……」

「なっ」

「わかっていれば、避ける事も出来るだろう。尤も、あの程度は知らなくても避けれたがな……」

 

 容易く回避された攻撃に目を見開き、セシリアは歯を食いしばる。

 もっとわたくしが強ければ。

 もっとわたくしが弱くなければ。

 もっと、もっと、もっと、もっと。

 

 銃剣で貫かれた二の腕の痛みがセシリアの脳を犯す。鋭い痛みが右腕から伝わり、喉を引き攣らせて叫んでしまう。

 その叫びを聞いたエムは歪に嗤う。

 

 まるで何かを求める様に、セシリアの左腕がエムへと向けられる。

 

 自分の力だけでは無理だから。

 自分だけなら立つことも出来ないから。

 ああ、なんて弱いのだろう。

 なんて、わたくしは弱くて、愚かだったのだろう。

 

「――お願い、ブルー・ティアーズ……」

 

 だから、愚かだけど。弱いけど。

 こんなご主人様だけど。

 こんな相棒だから。

 

 心の中に一滴の雫が落ち、水面に広がる。瞬間にセシリアは理解した。状況が状況なら泣いていたかも知れない。けれど、こんな状況だからこそ、セシリアは至る事が出来た。

 いいや、ソレは誰かにとっては必然だったとも言える。

 

「何っ!?」

 

 エムは突如として背後に浴びた()()()()()()に驚き、セシリアから距離を取った。

 セシリアは微笑みを浮かべる。一矢報いた事もそうだけれど、それ以上に彼が信じていた自分になることが出来た。

 だから、痛みによる汗を流しながらもセシリアは後ろへと()()()。背中に当たる感触と労る様に回された腕。

 ボヤケた視界に誰かの顔が映った。

 

「見て、くださいました?」

「ああ。見てたよ」

 

 力なく呟いた言葉にも、やはり彼はちゃんと返してくれた。その声はいつもの彼よりも何かを含んでいたが、彼に見てくれたなら、それだけでよかった。

 

「やっぱ、セシリアさんはスゲーわ」

「ふふ……でも、少しだけ、寝ますわ……」

「ああ。あとは任せてくれ」

 

 セシリアの瞼が落ちていく。ボンヤリとした視界の中、()()()()()にした装甲を目にしながら、セシリアはゆっくりと安心して、意識を落としていった。

 そんなセシリアをしっかりと抱きかかえた男は近くのビルへとセシリアを下ろし、息を吐き出した。

 

「もう、負けない戦いはやめだ」

 

 まるでソレがキーだったように、蠢いていた黒の粒子が装甲へと浸透していく。僅かに残った装甲が黄色のラインへと変化し、男はその顔をエムへと向けた。

 

「セカンド」

「アンタらの目論見通りだ。ハハッ。クッソ情けない俺をここまで呪った事は今まで無いね。どうもありがとよ」

 

 自嘲を含んだ言葉とすぐ側まで迫っている戦闘への期待。左頬に刻まれた黒い電子線模様が激しく脈動し、徐々に瞳へと侵食していく。

 左腕に装備された盾が戦いを待ち望んでいる様に黒い粒子を撒き散らす。

 

「でも、だから、決心した。いいや、気付いたって言った方がいいのか?」

 

 決心した、と言いながらも男は――夏野穂次は少しだけ迷って、けれどハッキリと言葉を吐き出す。 

 

「俺は――()()()()()()()()()()を愛している。

 

 だから、アンタらにはもう手を出させない」

 

 穂次はゆっくりと盾に手を当て、一振りの刀を取り出す。揺らぎなど決して無い、黒い粒子刀。ISと同じ名前を冠した刀を構える。左目が黒に染まり、瞳が黄色へと発光する。

 

「覚悟しな、亡国機業(ファントム・タスク)。俺達はもう()()()()()()()ぞ」




>>前から言ってた勘違い
 穂次は元々二人の事が好きだったこと。
 好きだからテキトーな世辞も言わなかったし、一夏が夏祭りに誘ってくれた時に自分以外を紹介してるのに二人を除外した。
 あとは何かあったような気がしないでもないけど……まあイイデショ(白目

>>セシリーの偏向射撃
 一人で頑張ってたセシリーがちゃんとISへ頼った結果……としときます。
 まあ色々と深く掘り下げて言い訳すると、シンクロ率がー、とか色々言えるので(震え声


>>黒村雨
 え、演出だから(震え声
 感想でも言いましたが、普通に書き手のミスです。申し訳ありません。誤字を探していると設定のミスを見つける書き手の屑。
 まあ後付設定でフォロー出来るから大丈夫だな(白目




>>誤集
「あれ? 二年生のサラ・ウィルキンソンってイギリス代表候補生なのか」
「なんですの、その、炭酸水みたいなファミリーネームは」

「スリーサイズが成長してな……ウエストだけ成長してる鈴音さんやめてください!」
「(´;ω;`)ブワッ」

「その間に――いいえ、戻るまでに倒してしまって構わないのでしょう?」
「フラグかな?」
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