束side
私はいっくん達にブリーフィングルームへと案内され、いっくんの居た世界の事を聞いた。MS、戦争、ソレスタルビーング、ガンダムマイスター、ガンダム、機動エレベーター、イノベイター。それらを上げていくとキリがない。私は更にこのオーバーテクノロジーの塊に興味が出た。
「いっくん、大変だったね」
「ええ、まあ。でも、俺は戦争という出来事を通して変われたと思っています。それが良いことだとは思いませんが。でも、大切な仲間と大切な人と出会う事も出来ましたからイーブンってぐらいですかね」
いっくんは顔を少し綻ばせながら言った。以前はこんな顔を見る事がなかったはずだから驚きだ。
「シュン………」
「いっくん、大切な人って彼女でも出来たの?それともここにいる今のいっくんの仲間達の事?」
「そうですね、どっちもですけど一番は彼女が出来たからですね。紹介しますよ。彼女が、俺の恋人のアリア・フィルネストです」
私は、いっくんのこの言葉を聞いて、少し残念に思った。箒ちゃんを選んではくれなかったみたいだから。でも、私はいっくんの意思を尊重するって決めたからお祝いしないとね。
「改めて、初めまして。シュンの恋人で、ガンナーストライクのガンダムマイスター、アリア・フィルネストです」
「君がいっくんを変えてくれたのかな?」
「それは……「そうだよ、束さん」シュン……それって……本当?初めて聞いたけど」
「ああ、本当だ。もちろんライナ達や今いる仲間達のお陰でもあるよ。でも、一番はアリアだ。俺が自分から変わったって事も大きいんだろうけど、俺が変わりたい、って思ったのはアリアが居たからだ」
私はいっくの言葉を聞いて、いっくんがどれだけ今の仲間達を大切に思っているのかが伝わってきた。だから私は、一つの決意を固めた。
「そっか。なら私も彼らの事を無碍には出来ないね。私からもお礼を。いっくんの事を大切にしてくれてありがとう」
「なぁ〜に、俺達の方がシュンに助けてもらってばかりさ」
ライナが答える。これからはラーくんかな?
「そんな事ないよ。みんなに世話になっているだから」
私は、そんないっくん達のやり取りを微笑ましく見ていた。
「ソレスタルビーングは今、資金難だって言っていたよね」
「はい。スポンサーがいなくなってしまった事も大きいですし、この世界には、バックに付いて貰えるような人物も全く分かりませんし、下手に接触すると、このオーバーテクノロジーに必要以上に興味を持たれてしまう可能性もありますから」
私は、この言葉に心に矢を放たれたようにグサリと刺さった。が、気をとり直して口を開いた。
「だったら私の一つの提案を聞いてくれないかな?」
「どんな提案だ?」
「それは、君達で会社を作るのだ‼︎だって君達はこの戦艦を隠したり、機体の装甲とかを作ったりするお金がないんでしょ。私も出資してあげるからさ。その代わり、私をその会社の技術部門の最高責任者にして、私にあの機体達を触らせて」
ライナside
篠ノ之束からの提案には驚きと、戸惑い、そして困惑があった。出資してもらえるのがありがたいが、機体を弄るとなるとデータを渡さなければならなくなる。ガンダムなどのデータは機密性が高い。故に早々教えられるものでもない。
「束さん、ガンダムなどの情報は機密性が高いんで簡単には教えられないですよ」
俺の代わりにシュンに言わせちまったな。さて、どうしたものか?会社を設立してそれを隠れ蓑にする案はいいと思うが、やはり情報の開示が痛い。それならこっちからも条件を出すか。
「篠ノ之束」
「私の事は束でいいよ〜」
「なら、束。こちらの条件を呑むなら情報を開示してもいいと思う」
「おいおい、ライナ。ガンダムの情報は、この世界ではオーバーテクノロジーの塊なんだぞ。束さんなら多分、教えれば限界はあるだろうが再現出来るんじゃないか?」
「そうだね〜。この天才束さんに不可能はないのだ!」
ここまで自信満々に返されるとガンダムを設計したイオリア・シュヘンベルクに匹敵する天才なのではないのか?と思ってしまう。
「だが、俺達には活動資金と隠れ蓑が必要だ」
「そりゃそうだけど……」
なおもシュンは、渋るが仕方がないだろう。それだけガンダムの情報が重要なのは俺だってわかっている。
「ライナさん、束さんにどんな条件を出そうと思ったんですか?」
「それは、情報を決して外に漏らさない事は大前提だが、他にもある。ISと言ったか、それに俺達の技術を勝手に使わないでもらいたい。仮に使う事になる場合は、こちらが依頼した時だけだ。無闇に使われ、それが世界に広まれば無用な争いを生んでしまう。紛争根絶を掲げている俺達が、戦争の幇助をしてしまったら元も子もない」
「それでいいよ〜」
これで俺達は、資金を集めながら紛争根絶の活動ができる。
「じゃあ、これで契約成立だ。これからよろしくな」
そう言って俺は手を出し、束と握手した。更に、その上にサリーとシュンとアリアも手を重ねてきた。すると唐突に、束が口を開いた。
「こっちこそね。ねぇねぇ、私もソレスタルビーングに入ろうかな?」
おっと、中々ビックリするようなことを言ってくるな。
「何でだよ、束さん」
シュンが少し動揺しているのが顔に出ている。
「だって、戦争がなくなれば私のISも軍事利用が止まるかもしれないでしょ。そしたら、私の本来の目的であるISを使った宇宙進出ができるでしょ。君達は、宇宙に行く術を持っているのかもしれないけど、やっぱり私は、ISを使って宇宙で活動したいんだよね」
宇宙に行く術でちょっと動揺したが、束の顔を見るとかなり真剣な表情だ。これは本気で思っている事だな。俺は束の表情を見てソレスタルビーングに入れても大丈夫だと思った。
「ソレスタルビーングに入って貰えるのはありがたいですけど、守秘義務がありますからね。ちゃんと守って下さいよ」
「わかったよ」
「それならコードネームを渡さないとな」
「何々?私にはどんなコードネームが付くのかな?」
束にはどんなコードネームが似合うかな?
「ミラ・ファウンダーなんてどう?」
サリーが案を出してくれた。中々いいネーミングだ。流石俺の嫁だ。
「中々いい感じじゃないか」
「うん、私も気に入ったよ」
「それじゃあ、ソレスタルビーングとして活動している時の名前はそれに決定って事で」
「会社の名前はどうする?それとどんな会社にするつもりだ?」
「会社は私がいるんだから表向きは、ISの開発会社だよ。裏で、MS用の部品を作ればいいでしょ。あと、名前はどうしようかな?」
ふむ、確かに妥当な線だな。後は…名前か。
「「ホワイトラビット社(以降WR社)なんてどう(かな)?」」
アリアとシュンが同時に言うか。相変わらず仲良いなと、俺はニヤニヤしながら思った。
「ライナ、ニヤニヤ笑ってる顔、気持ち悪いわよ」
え、サリー。お前俺にそんな事言うのか。俺はその言葉に傷付き、肩を落とした。
そんな俺をほっといて話がドンドン進んでいった。
シュンside
「うんうん、会社の名前はそれにしよう。後は、設立の準備だね。その辺りは私がやっておくよ」
どうやら束さんは気に入ってくれたようだ。
「ありがとうございます」
「そうそう、早速だけど君達、ISが欲しくない?」
なにやら束さんがいきなりIS欲しくないなんて聞いてくる。
「あれ?俺は動かせないはずですよね。ISは女性にしか動かせないんじゃなかったですか?」
「私もよくわからないんだけどね、いっくんのデータをISに入れたらいっくんが動かせる事がわかったんだよ」
これにはビックリだ。男の俺が動かせるなんて。世界に知られたら大問題になるな。
「でも、束さん。普通のISだとイノベイターに覚醒した私達にとっては、性能不足になってしまいますよ」
アリアがなにやら言っている。さっきちょっとだけ束さんにISのデータを見せて貰っただけなのにそんな事も分かるのか。流石だな。
「反応速度が僅かに遅れる可能性があります。それに、武器の性能不足が目立ちます。」
「成る程成る程。ならさ、IS版太陽炉なんて作れないかな?」
お、束さんは中々難しい事を言ってくる。
「束さん、それは難しいですよ。オリジナルの太陽炉は、木星の高重力下でないと作れないんですよ」
「ならなら、ISの重力制御を利用して高重力空間を作ればできないかな?流石にまだ、MSサイズを作るのは難しいかもしれないけど、ISサイズなら、MSサイズより小さいし、作る時間も短くて済むんじゃないかな?」
「お、それならやってみる価値はあるな」
あ、サリーさんからの言葉で撃沈していたライナが復活した。
「なら、IS版ガンダムを作ってみましょうか。MSは簡単には公の元に晒すわけにはいかないですし、ISサイズなら武力介入しやすかもしれないですね」
お、サリーさんも同意のようだ。
「よし、なら作ってみるか。そうと決まれば全員でやってみるぞ」
「「「「「「「「おーーーーーーーーーーーーー」」」」」」」」」
こうして俺達はIS版ガンダムの開発と同時に、ソレスタルビーングの隠れ蓑としての会社の設立へと向けて準備を始めた。
これが、俺とアリアがIS学園に入学し、かつての姉と兄に再会する半年前の事だった。
束をソレスタルビーングに入れて、コードネームもつけちゃいました。ただ、あんまり束の事はコードネームで呼ばない気がする。
感想、評価やアドバイスなどをお待ちしております。