それにしても、ニール出した途端に感想が増えるとは。ニールの登場を望んでいた人は多かったのかな?
シュンside
俺は、ロックオンに似た人物を連れて輸送機に戻った。ハッチを開けてもらう時に、アリアが何も言わなかった事が逆に恐ろしい。勝手に連れてきたから怒鳴られると思っていたんだが。これは後で怒られるな、と思いながらISを展開したままコックピットに入った。
アリアside
全く、シュンは勝手に行動しちゃって。後でどうお仕置きしようかなと、物騒なことを考えながらシュンが来るのを待った。
ちょっと待つと問題の人物を連れて入ってきた。さすがに、ISは展開したままのようだけど、それは及第点レベルね。
「おかえり」
「あ、ああ。ただいま」
シュンの声が震えている。どうしたんだろう?
「声が震えているけど、どうしたの?」
ニコッという擬音語が付きそうな笑顔をシュンに向けながら聞くと、体をブルッと震わせながら答えてきた。
「怒っているのはわかってるから、頼む。その笑顔やめて‼︎本当に怖いんだ」
「失礼ね。人の笑顔が怖いなんて」
「普段はいいが、怒っている時にその顔は恐怖しか湧いてこないんだよ。後で何でもするから今は保留って事で、な?」
「わかった。後で、楽しみにしていてね」
また、笑顔を向けたらさっきより大きく震えていた。顔は見えていないけれどきっと真っ青になっているわね。それっきりシュンは彫像のように固まって動かなくなった。
「おい、いい加減夫婦漫才はやめてくれよ。俺は、完全に蚊帳の外じゃないか」
すっかり忘れていた。よく見ると、本当にロックオン・ストラトスによく似ている。別に夫婦漫才じゃないんだけどなと思いながら、気になっていることを聞いた。
「ねぇ、何でガンダムのことを知っていたの?あれは、この世界で知っている人なんていない筈の代物よ」
「その前に一つ聞きたい。お前達は本当にソレスタルビーイングなのか?」
それは非常に答えにくい。この世界でソレスタルビーイングの事は、暫く公にしないと決定しているからだ。ライナさんに繋いだ方が早いかな?変な行動をしようとしたら私達なら感知できるし、シュンが私に危害を加えようとする者を見逃すはずないしね。そう考えて私は、ライナに判断を仰ぐ事にした。
ライナside
「あぁ、会社を設立してカモフラージュする案は良かったが、こんなに書類仕事が多いなんて」
「文句言わないの。私達には、資金が必要だったんだから良いじゃない」
笑いながら言ってくるサリーに、さすがにちょっとイラついた。ずっと書類作業ばかりやっているのだ。文句の一つ二つくらい言いたくなってくるっつーの、何て言ったら後で折檻されるなと思いながら答えた。
「サリー、完全に他人事のように言いやがって。そのシワ寄せが俺に来ているんだぞ。社長っていう立場になっているからな」
「会社の工事を束さんが主導してやってくれているから、通常の工事期間より早く終わるから良いじゃない。それともそっちの方も同時やらせた方が良かった?」
「そうじゃなくて、俺は工事の方を担当したかったんだよ」
「諦めなさい。書類の上では貴方が社長なんだから」
くそう。結局その言葉で締めくくられる。でも、いつかは………と思っていると、アリアから通信が入った。
『ライナ、今大丈夫?』
「ああ、大丈夫だ。丁度気が滅入っていたから良い気分転換になるしな」
うん?アリアが困った顔している。何にか言いにくい事なのか?
『今回介入した戦場でシュンが、一人気になった人物を私に無断で、輸送機に連れてきたのよ』
「おい、シュン!どういう事だ!」
『あぁ、二人とも。せっかくさっきアリアと話している時にワザと名前出さなかったのに。これじゃあ俺の努力が水の泡じゃないか』
仕事のストレスも相まって今のシュンの一言で俺は、久しぶりに完全にブチ切れた。
「そんな事聞いてるんじゃないだよ!こっちは書類仕事で疲れてんだ!余計な厄介ごとを持ってくるんじゃねぇよ‼︎」
あ、ヤベ。我を忘れて切れちまった。しかも、年下相手にだ。サリーは、俺を見て苦笑しているし、アリアは画面の向こうで真っ青だ。シュンはISを纏っていてよくわからない。ISを纏っているって事は、もしもの時にすぐに対処出来るようにはしているのか。俺は微妙な空気になったのを戻すべく、咳払いを一つして話を戻した。
「怒鳴って悪かった。ちょっとストレスが溜まっていてな。当たってすまない。それで、シュンが持ってきた厄介ごとは?」
『俺が一人、イノベイターの直感で気になる奴がいたから輸送機に連れてきた』
「そいつをモニターの前に出してみろ」
『分かった』
俺は、画面の前に出てきた人物に驚いた。
「ロックオン・ストラトス」
『やっぱり、その名を知っているのか。ならお前達は、ソレスタルビーングなんだな』
「何当たり前の事を言ってるんだよ。こないだのELSとの戦いの時だって一緒に戦ったじゃないか」
『ELS?何だそいつは?俺が知っているのは国連軍との戦いだぞ』
俺はその言葉に驚く。俺達と時間の感覚がズレている。確か、俺達のよく知っているロックオンは二代目だったな。初代ロックオンは確か国連軍との戦いで………。は!そういうことか。
「お前は、ニール・ディランディだな。初代ロックオン・ストラトスの」
おお、向こうは完全に驚いている。初代ロックオンは、肩をすくめながら答えた。
『俺はあんたらのことを知らないんだがな。確かに俺は、ソレスタルビーイングのガンダムデュナメスのガンダムマイスターだった。それを知っているということは、間違いなさそうだな』
「シュン、こいつは大丈夫だ。通信機越しもなんだからここに連れて来い」
『分かった。俺が感じていた違和感は、ライルじゃないからか』
「多分な」
『おい、ライルってどういうことだよ』
急に焦った表情になり始めやがった。
「それも話してやるから取り敢えずここに来いって」
少しの間があったがすぐに答えが返ってきた。
『いいだろう。敵って訳でもなさそうだからな』
「それじゃあ、待っているからな」
それを最後に通信を切った。
ロックオン(ニール)side
俺は、ライルのことや今だにISを纏っているガンダムタイプと思わしきこのISのことを聞くためにこいつらに付いて行く事にした。通信が終わると、ISを纏っていた奴が展開を解いた。
「な、何!お、男だと‼︎」
「ああ、そっか。ISは、男には動かせないって言われてるもんな。俺は、元々動かせる。それに、俺の稼働データを集めれば男でも動かせるようになるらしいぞ」
今の発言には聞き捨てならない事があった。いづれは男もISを動かせると。そしたら、今ある争いの一部は沈静化するのかもしれない。それに、女尊男卑も改善されるかもしれないな。俺は、この世界に飛ばされてもソレスタルビーイングの理念である、紛争根絶を忘れた事はなかった。今、俺に出来ることを考えてやってきた。あの忌々しい奴と同じ傭兵紛いの事をやっているが、一般市民に被害を出すような組織の依頼は、全て断った。俺自身、テロを憎んでいるからだ。寧ろテロを起こそうとした小規模組織のリーダー格を殺したりしたくらいだ。
「シュン。それ、かなり上のレベルの機密情報よ。わかってる?」
「わ、わかってるよ。でも、アリアだって感じてるだろう。この人は、俺達の敵どころかむしろ、仲間になると思うけど」
「た、確かに私もそう感じてるけど、確定しているわけじゃないでしょう」
また、蚊帳の外にされているが、そんな事は問題じゃない。俺は問題ないと自信を持って言っているこいつらの根拠の方が気になる。
「おい、それはお前達の勘か?どうしてそこまで確信を持った声で言える?」
「積もる話は、目的地に着いてからおいおいライナに話して貰えるはずだけど、その質問には答えるよ。それは、俺とアリアが人の革新であるイノベイターだからだ」
「イノベイター?」
俺は、聞きなれない言葉に首を傾げた。
「そう。イオリア・シュヘンベルクがその存在の出現を望んだ者達の事だよ」
「イオリア・シュヘンベルクだって!おい、今すぐにお前達の知っている事を教えろ!」
「だから、着いてからだって。現状の中で話せる事は全部話すよ。それまで待ってくれ」
「わかった。気になる事を聞けなくなる方が困るからな」
俺は、不承不承ながらも目的の場所に着くまで待った。
ライナside
待つこと数時間。ようやくシュン達が帰還した。
「おかえり。厄介ごとというか、お手柄というか。何て言えばいいかわからんな」
俺は、鏡を見れば何とも言えない顔をしているだろう。
「あれ、サリーさんは?」
シュンが少し青くなった顔で聞いてくる。何かあったんだろうか?
「サリーなら、応接室の準備をしているよ。万が一聞かれてると色々マズイからな」
「成る程ね。さて、シュン。ロックオンに説明するのはライナ達に任せて、貴方はこれからお・し・お・き・よ。覚悟してね」
成る程な。シュンの顔が青くなっているのはこれか。確かに俺も今のアリアを怖く感じる。
「ラ、ライナ。助けてくれ〜」
俺に助けを求めながらアリアに首根っこを捕まれ、引きずられながら何処かに連れて行かれた。
その日は、一日中シュンの叫び声や悲鳴が聞こえていたとかいないとか。真相を知るのは、本人達だけだ。
「さて、ではこっちについて来てもらおうか」
俺は、そう言ってニールを応接室に案内した。そして、俺とサリーはニールにニールが死んだ後の出来事を話した。その中で反応が大きかったものは、ライルが二代目ロックオン・ストラトスになった事や、アリー・アル・サーシェスが生きていたがライルが倒したこと、刹那がイノベイターへと変革し、イオリア・シュヘンベルクの真の目的とELS襲来からの対話。それから俺達がこの世界に飛ばされたこと。今後の目的なども話した。そんな事を話している内に何時間も経過していた。
一通り話し終えるとニールが口を開いた。
「ライルの生きる未来の為に、と思って戦っていたが、ライルが俺の後を継ぐとはな」
「ニールにも戦う理由があったように、ライルも自分の戦う理由を持ってソレスタルビーイングに参加していたんだ」
俺が言った後、暫く沈黙流れてからニールが口を開いた。
「そうか。なぁ、お前達は、この世界でもソレスタルビーイングとして紛争根絶を目指すんだよな」
「ああ、そうだ」
「そう、か。なら、俺は、お前達に協力するさ。ソレスタルビーングとして活動するなら、例えこの世界にライルがいないとしても、その理念にかつては……いや今も共感しているんだ。入らない理由がないな」
「そうか。おかえりとでも言えばいいのか?ロックオン・ストラトス」
「よしてくれ。俺はあんたらを知らないんだ。だが、これからは同じ目的を持った仲間だ」
「そうと決まればロックオンに機体を渡したいところなんだが、生憎機体がない。太陽炉はあるがな。この会社の製造施設完成まで待ってくれ。その代わり、ニールからライルへと引き継がれたハロのデータを入れたハロを渡しておく。カラーも同じ黄色だ」
その言葉が終わると同時に、黄色ハロが飛び跳ねながらこっちに来る。
“ロックオン、ロックオン。ヒサシブリ、ヒサシブリ”
「ハロ、久しぶりだな。何から何まですまないな」
「気にするな。仲間だろ」
俺は、ロックオンにロックオンの部屋の場所を教え、会社のマップデータを渡した後、仕事に戻った。
ニールが再び、ロックオン・ストラトスのコードネームでソレスタルビーイングに参加しました。
シュンは、どれ程のお仕置きをアリアから受けたんでしょうね?ご想像にお任せします。
さて次回は、あの人の付き人が出てくるかな?