今回は、まだ名前はありませんがあの子が少し登場します。
ロックオンがソレスタルビーングに合流してから二週間程経った頃、世界中の国々、組織は様々な動きをしていた。その間にソレスタルビーングは、様々な紛争地域に武力介入していた。
シュンside
「はははは、見ろよこれ。シュン、お前の介入している時の姿が世界中の国で極秘裏に取り扱っているぞ」
「そ、そんなに笑う事ないじゃないか。俺だって恥ずかしいんだぞ」
画面には、俺が何度か紛争に介入した時の写真が、軍のトップシークレットに載っている。それを見てロックオンが笑ったのだ。そこには、暫定として『青き死神』や『青き天使』などと、中二病全開の様な名前が付いていたのだ。どうやって軍のトップシークレットを見てるかだって?そんなの簡単さ。ヴェーダの小型ターミナルユニットとリンクしているアリアを使って、世界中にハッキングしたのさ。
「だけど、ロックオン。そんなに笑ってる余裕ないかもよ」
そう俺が言うと、ロックオンはすぐにふざけた態度から真面目な顔つきになった。
「何?どういう事だよ」
「これを見てくれ」
俺は、ロックオンに今画面に出ている文字を見せた。
「おいおい、こいつは……。でも、変じゃないか?これは、俺たちしか持っていないはずだろ?」
ロックオンは、目を見開きながら言った。驚くのも無理はないだろう。なぜなら、そこに書かれていたのは《MS》という単語だ。
「覚えてるか?イオリアが作った、《ワールドムーブメント》という装置を。もしかしたら、俺達と同じ様に別世界から飛ばされてきた者がいるのかもしれない」
「おい、ちょっと待てよ。その装置は動かないんじゃなかったのか?それに解析も進んでないはずだろう?」
「だからこそだ。まだよくわからないからこその可能性だよ」
「それが事実なら、世界は大きく動くぞ」
MSという存在が公の元に晒されれば、今の世界の女尊男卑は一気に崩れるだろう。MSは男性も女性も問題無く使えるのだから。だが、それによって世界中の国々の軍備は増強され、多くの死者が出てくる可能性がある。もちろん、俺が介入して出た死者もゼロではないだろうが、これでは犠牲が増えてしまう。もし明かすにしても、まだ時期が早すぎる。
「アリス、どこが作っているかわからないか?」
“不明です。真に重要データは、データ化していない様です”
「そうか」
アリスでもわからないなら、今の俺達にはお手上げだ。情報収集能力は、まだそんなにないのだ。精々、アリスをネットに繋いで片っ端からデータを集めるしか方法がない。データ化されていなければ探しようがない。
「とにかく、シュンはISを使った武力介入に集中しておけ。こっちは、俺が気にしておく」
「わかった」
「いっっっっっっくーーーーーーーーーーん」
そんな大事な話をしている事お構いなしに束さんが俺の名前を叫びながらこっちに飛び込んできたので、俺は体を軽く捻って躱した。
(ゴロゴロゴロゴロ、ガッシャーン!)
すると束さんは、頭からヘッドスライディングをしてコンクリとあいさつしながら、機材が積んであった場所へと突っ込んだ。そして、そこから頭を摩りながら出てきた。
「いったぁーい。酷いよいっくん、避けるなんて」
「こっちが真面目な話をしている時に突っ込んで来るからですよ!」
「束さん、戯れるのはそれ位にして下さい。シュンに頼みがあってきたんでしょ。仕事をほっぽり出して」
「なんだ、アリアも来てたのか」
俺は、束さんが突っ込んできた方に意識を取られて、アリアが来ていた事に全く気づいていなかった。
「恋人が来たのに、私はついで扱いなんてね。今回はその態度、見逃してあげる。束さんの話の方が大事だからね」
「大事な話?」
「うん、大事な話というよりお願いなんだけどね」
俺は益々よくわからなかった。そもそも束さんからのお願いなんて聞いた事ないかもしれない。
「それで、頼みって何ですか?」
「それは、この子をある施設から連れて来て欲しいの」
そう言って、束さんは俺に写真を見せた。そこには銀髪の女の子が写っていた。
「誰ですか、この子は結構綺麗な子みたいですけど?」
この一言がいけなかった。アリアがこめかみをひくつかせながら、どこからかハンマーを取り出した。
「あ、いや、ちょっと待てアリア。俺はアリア一筋だから安心してくれ。だから頼む!そのハンマーしまって。そんなので殴られたら死んじゃうから!」
取り敢えずアリアはハンマーをしまってくれたけど、まだ機嫌が悪い。後でちゃんとフォローしとかないとな、と思いながら話題を戻した。
「それで、その子は何なんですか?」
「この子は、試験管ベイビーなんだよ」
「人工的に作られた人って事ですか?」
「正確には、その失敗作だね。目的の性能を得られなかったから、訓練によってどこまで上げられるかを実験されている被験体の一人。この子以外の子達は、もう死んじゃっているから」
俺は、内容を聞く前に怒りが爆発しそうだった。ガンダムが存在した世界にも子供を実験体として超兵なんて存在を作ろうとしていたが、これもかなり酷い。人は「造る」ものではないのだ。ただ、既に生まれた子達は否定しない。既に一個の命だからだ。
「どんな訓練だったかわかりますか?」
怒りを滲ませながら束さんに聞いた。
「仲間同士の殺し合いだよ。前々から知ってはいたんだけど、警備が厳重過ぎて近づけなかったのと、準備していた戦力である無人ISを盗まれたりしちゃって、手が出せなくなっていたんだ」
「無人ISが盗まれた、という話はひとまず置いておきます。これは、俺達C.B.が武力介入するには十分過ぎる理由だ。これは戦争の元となる施設だ」
「そうだな。確かにこれは武力介入の対象だ」
ロックオンも同意している。
「ただ、気をつけてね。この施設関わっている企業がMSを作っている可能性があるから」
「どこでそれを?」
俺達は束さん以外全員驚いた。小型とはいえ、ヴェーダの演算処理能力を持っているアリアでも見つけられなかった情報を持っていたのだから。
「偶然なんだけどね。前に監視衛星をハッキングして、その当時は分からなかったんだけど、今思えばあれはMSのパーツだったんだろうね。私は、偶然その運搬の様子を見ていたんだよ。それは、ドイツにあるんだ。ドイツが作ったのか、それとも企業が作ったのかはわからないけどね」
束さんは、少し落ち込んだ感じで言ってくるが十分な情報だ。
「束さん、安心して下さい。この子を助け出しますよ。C.B.の武力介入対象の施設でもあるようですから。アリア、出撃準備だ。念の為、MSも持って行くぞ」
「わかったわ。準備完了まで一時間程かかるからね」
そう言ってアリアは退出した。
「ありがとう、いっくん」
「気にしないで下さい。こっちもC.B.の目的の為に動くんですから。ですから、こちらの方は俺達に任せて、こっちの準備や、機体開発の方をよろしくお願いします」
「この天才束さんに任せておいて!」
この件を了承した事で、少し束さんに元気が戻ったようだった。
「シュン、俺には機体がないから、ちょっと世界各地を回って情報を集めてくる」
俺の返事を聞かないままロックオンも出ていった。俺もアリアの手伝いをしに部屋から出た。
「機体はどっちを使うの?」
「ヴァリアブルストライクの方。トライアドストライクは、切り札だからな。もし本当にMSがあるなら、いきなりこっちの全力を見せるわけにはいかないだろう。それに、ヴァリアブルストライクの方が一撃離脱に向いているしな」
「そうだと思った。だからもう、残っている太陽炉と大型粒子貯蔵コンデンサーを交換する作業に入っているわよ」
さすがアリアだ。俺の考えがよくわかってる。この分なら後三十分程で準備完了だ。ここをアリアに任せて俺は、輸送機の方の準備をする事にした。
ドイツのとある上空
「じゃあ、行ってくる」
俺は既に《ガンダムアメイジングエクシア》を纏っていた。
「じゃあ私は、万が一の時の為に《ガンナーストライク》で待機しているわね」
「ああ、頼む。アリアも俺の指示があったら俺の機体を持ってきてくれ」
“了解しました”
それを言うと俺は、輸送機から降下した。
????side
グーワン、グーワン、グーワン。
急に施設の警報が鳴り始めた。どうしたんだろう?と、考える間もなく施設の何処かが爆発した。
ドカァーン‼︎ドカァーン‼︎
「敵襲ーーーーーー」
この施設の職員達が走り回って叫んでいる。
「おい、被験体達を………ぐはっ」
ドサ‼︎
一人の職員が何かを言おうとした時、何者かによって鳩尾を思いっきり殴られ、気絶させられた。
「君が束さんが連れてきて欲しいと言っていた子か。君、名前は?」
その声を聞いてビックリした。男性の声がしたのだから。その動揺を隠しながら答えた。
「私には何もない。名前すらも」
そう言うとISを纏っている人は、少し悲しそうに「そうか」と言った。
「君は、今の生活から脱したいか?」
これを聞かれて私は体に電気が走った様に感じた。私が願って止まなかったこの生活から脱することなのだから。私はこの時、この全身装甲のISが天使の様に見えた。
「私はこの生活から脱したい。だから連れて行って‼︎」
私は生まれてから初めて自分の願望を口に出した。
「わかった。後で、束さんに名前を付けて貰うといい」
そう言って、私はそのISに抱き抱えられ、施設から脱出した。
C.B.の武力介入の理由、変じゃないですよね?ちょっと心配だな。
活動報告にて、新たな作品(何を題材にして書くかは書いてある)を書いて欲しいかどうかアンケートを取ることにしました。ですのでアンケートに答えて貰えると嬉しいです。選択肢を3つ用意してます。
次回、戦闘シーンを出すので暫しお待ち下さい。