シュンside
「お茶の間の皆様、今日はとんでもない大ニュースがあります。ISが出てから10年、ISは女性しか動かせない。これが私達の常識でした。しかし、それが今日、覆されました。世界初の男性IS操縦者がこの日本で発見されたのです。そしてその人物とは、モンド・グロッソで大会2連覇を果たしたあの織斑千冬の弟、織斑春樹です。これを受けて世界各国と国際IS委員会は……」
俺は、そこでテレビを切った。
「束さんの言っていた通りになったな」
以前、束さんは、俺が動かせるなら多分春樹も動かせると言っていたのだ。束さんの推測は、俺と春樹が一卵性の双子で、遺伝子が似ているからだと言っていた。今回のこの発見は、束さんが仕組んだことなのだ。この発見に合わせて俺達の会社をお披露目すると決めていたからだ。すると、一緒に見ていたライナが、
「そうだな。これから俺達の会社のお披露目を始めるから二人とも準備しておけよ」
「「了解」」
今日、WR社の発表の際に、俺達が作った量産型ISのGN-XⅣを使って、俺とアリアがデモンストレーションを行うのだ。それと同時に、俺の存在も公表する手筈となっている。ビーム兵器を搭載したISを公表するのだから、安全装置は考えてある。まず、外付けされている擬似太陽炉のデータを取ろうとする、あるは外そうとすれば、全てのデータが初期化されるようにしてある。さらに、トライアルシステムを搭載したISを作り、俺達で保有しておく事も考えてある。量産型ISには外付けで擬似太陽炉が搭載してあるが、無理矢理外そうとすれば、一度俺達の所へ持ってこないと二度と使えなくなるようにもしてある。何の安全対策も無くこの機体を世界にばら撒けば、俺達は唯の武器商人になってしまう。それ故の安全装置なのだが、肝心のヴェーダとトライアルシステム搭載機が完成していない。今、急ピッチで束さんとC.B.メンバーが製作しているところなのだ。俺とアリアがIS学園に行った時に使うISも作製していたもんだから、かなりのハードスケジュールになっている。この発表会見も何とか合間を縫って行うのだ。
それはさて置き、俺とアリアは、量産型ISが置いてある場所へとそれぞれ向かった。
ライナside
いよいよ、俺達C.B.メンバーで設立したWR社のお披露目だ。あらかじめ、この会社には、篠ノ之束が関わっていると噂を流しておいた甲斐あって、多くの報道陣が詰めかけている。
「いよいよね」
サリーが言ってくる。サリーの役割は、俺の補佐だ。この会見で、篠ノ之束が関わっている事実も発表する。
「よし、行くか」
俺は、自分の頬を軽く叩いて気を引き締めた後、外に用意した会見場に入った。
「本日は、この新進気鋭の我が社の会見にお集まりいただき、ありがとうございます。私がこのホワイトラビット社の社長、ライナ・ヴェザリウスです。本日は、よろしくお願いします。さて、皆様は、この会社に篠ノ之束が関わっているという噂を聞き、それに興味を持ったからこそ、今回の会見にお越しいただいたと思っております。そしてそれは、事実です。それでは、ご本人に登場して頂きましょう」
俺は、上空から人参型の装置に乗って降りてきた束にマイクを投げて渡した。
「ハイハイ〜‼︎みんなのアイドル束さんだよ。さてさて、さっき紹介があったように私は、この会社に大きく関わっているんだよね。何たって、この会社の技術開発主任かつ、出資者でもあるからね。そして、ここで重大な発表しちゃうよ。なんと、私とこの会社にいる開発担当のみんなと協力して、ビーム兵器を標準装備した新たな量産型ISを完成させちゃいました。それでは、大空をご覧あれ!」
その言葉を合図として、二機のIS版GN-XⅣが左右から飛び出してきた。打ち合わせ通り、シュンとアリアが乗っている。
「全身装甲(フルスキン)だって!今時古くないか?」
どこからか、そんな声がした。その後もどこかバカにするような声と、疑問が混じった声が聞こえてきたが、演習が始まるとその評価は次第に変わっていった。
現れた二機は、次々と出てくるターゲットをビームライフルとビームサーベルを駆使して次々と破壊していく。
一通り終わった後、二人で模擬戦を始めた。
「な、なんて性能なんだ」
「す、凄い」
上空は、見にくいのでモニターに演習の様子を映し出していると、ふと誰かが呟いた。俺は、この位でいいと思い二人に通信を開いて、降りてくるよう指示した。
「さて、皆様には我々が開発したISの性能の高さがお分かりになったと思います。この機体を簡単に説明しますと、ビーム兵器を標準装備する事により高い攻撃力を持っております。更に、オプション武装も豊富で、実体弾の装備や、大型のソードなども用意してあります。詳しくは、この後の購入を希望する者が集まる、交渉の場でお話ししたいと思います」
「あの、一つ質問をよろしいでしょうか?」
記者の一人が質問を要求してきた。
「どうぞ」
「あのISのコアは、日本政府から与えられたものですか?」
やはりそこにくるか。ISコアは467個しか存在していない。そこまでしか束が作っていないからだ。
「ハイハイ〜〜。それには、私が答えるよ。私が新しく作ったコアを使ってるよ。この会社には、新しく作ったコアを4個渡してあるからね。これでISコアは、471個になったね」
「「「「「!!!!!!!!!」」」」」
会場は、驚きで包まれた。それは、そうだろう。新しく作られたコアがこの会社に"だけ"渡されたのだから。
「みなさんは、驚きの連続でしょうがまだ、重大な発表がもう一つ残っています。先日、世界初の男性IS操縦者が発見されたとニュースがありましたが、それは間違いです。真に初の男性IS操縦者は、我々が保護していました」
またまた会場は驚きに包まれ騒ぎ始めた。
「何故、すぐに公表しなかったのですか?」
「それには、ちゃんと理由があります。一つは、彼を我が社の企業代表とする為に訓練を受けて貰っていたからです。この者は、元々その者の親が不明な為、私達が保護していました。そして、企業代表になるというのは本人の意思ですので悪しからず。二つ目は、今回の発見の時のように大きく騒がれるのが目に見えていたからです。本人が目立つのはなるべく避けたいと言っていましたので、初のビーム兵器搭載ISと同時なら少しは話題性が薄れるかと思い、今にしました。それでは、紹介いたしましょう。この者こそが真に世界初の男性IS操縦者であるシュン・エルガスターです」
俺がそう言うとシュンは、フェス部分だけ解除して顔を晒した。それから更に数個の質問を受けた後に会見は無事終了した。
シュンside
無事に俺とWR社のお披露目は終わったが、俺とアリアには、まだやる事がある。極秘裏にIS学園の学園長と話を通しておき、来週には、特別に俺とアリアの入学テストが行われる。メインは、やはりIS操縦だ。だから、まだその準備が残っているのだ。俺達がIS学園で使う機体は、MSをIS版にしたものなのだが、ここで問題が起きていた。システムが上手く動かないのだ。これにかなり時間が取られており試験、いや、入学にも間に合うか微妙な位だ。などとこの事に頭を悩ませつつ、アリアと合流してから秘密ドックへと向かった。
春樹side
テレビの生中継を見ながら俺は、手を力強く握り閉めていた。
あの忌々しい弟の一夏が消えから約3年、俺はその喜びを噛み締めていた。凡人のくせにこの天才である千冬姉と俺に追い付こうと努力している姿が目障りだった。そんな時、俺にはISを動かせる事がわかり、特例としてIS学園に入学する事に決まったのだ。その時に思ったのは、やっぱり俺は選ばれた者だという確信だった。そして、入学試験でのISを使った模擬戦で相手の教官を倒した。IS学園での俺の天下は、決まったようなものだと思っていた時にこのニュースが入ったのだ。
「世界初の男性IS操縦者は、俺じゃないのか」
と、思わず1人毒付いていた。折角女子しかいないIS学園で唯一の男性として入学し、そこでのハーレムを想像していたというのに、その気分が台無しだ。だがまあいい 。なにせ俺は、あの織斑千冬の弟なのだ。そして、神童と呼ばれし織斑春樹なのだ。そこらの有象無象なんて相手にならないだろう。だったら、ISでの戦闘でもう一人の男性IS操縦者を叩き潰せばいいだろう、などと思いニヤリと笑った。
箒side
政府の要人保護プログラムによって用意された部屋で一人テレビを見ていたら、いきなり姉さんが出てきたことに驚いて思わず、飲んでいたお茶を吹き出してしまった。
「あちっ!」
随分と行儀が悪いが、私は慌てて溢した所を拭いてから、会見が終わると同時に姉さんに電話した。数回のコールの後、姉さんが電話に出た。
「もすもすひねもす〜。みんなのアイドル束さんだよ」
私は、電話を切りたい衝動に駆られながらもグッと我慢して、すぐに聞きたい事を聞いた。
「何をやってるんですか姉さん!いきなりどこかへ消えたと思ったら、いきなり新しく出来た会社の技術主任をやるなんて。昔から姉さんは、千冬さん、一夏、私にしか興味を示していなかったじゃないですか。それがどうして」
「それはねぇ〜「ん、束さん。誰かと電話しているんですか?」あ、いっくん」
「えっ………」
私は、その言葉を聞いた時、自分の時が止まったように思えた。姉さんがいっくんと呼ぶのは、今から約3年前に行方不明になった一夏しかいない。そして、一夏は私の好きな人でもあった。
「ね、姉さん。それはどういう事ですか?」
聞こうとすると、電話口からこんな音声が聞こえてくる。
「ちょ、束さん。流石に電話中にそれで呼ぶのは困ります。俺の正体がバレたらどうするんですか?」
「ごめんごめん。うっかりしてたよ」
「気を付けて下さいよ。次やったら、いくら束さんでも叩き潰しますから。仮に明かす事になるとしても、それは自分で決めます」
「わ、分かった。気をつけるよ。ハイハイ〜。で、ゴメンね。急に電話をかけたままにして。それで、さっきの箒ちゃんの質問だけど、私には詳しい事は言えない。でもね、いっくんは生きていたよ。そして、必ずまた箒ちゃんと会えるから」
「それはどういう………」
更に詳しく聞こうとした時には、既に電話は切れていた。再度かけ直したが、姉さんが出る事はなかった。結局私は、政府に無理矢理入れられるIS学園入学まで悶々とした日々を過ごすのだった。
オリ兄の性格が垣間見えましたか?更に箒の事もちょっとだけ書いてみました。最初はちょっとアンチぽっくなると思いますが、完全なアンチにはしないつもりです。