遊戯王GX 僕の相棒は盗賊王:re 作:たら子
――キーンコーンカーンコーン
終了のチャイムが鳴り、生徒たちが一斉に帰宅の準備を進める中、1人の少年が一足早く準備を終えて廊下を歩いている。それは至って普通の光景で、特筆すべき点は何もない。ただ一つ。少年の周りの生徒たちが、少年を見てある者は侮蔑の目を、ある者は喋り声を潜め、そしてある者は怯えたように道を空けた以外は。そんな普通ではない光景に、少年はもう慣れたかのように、あるいは諦めたかのように家路を急いだ。
◇◆◇◆
Hotel Domino
所々、というか全体的に老朽化し、看板の文字さえ読めなくなったホテルの一室にその少年はいた。みずぼらしい外観の割に部屋は清潔に保たれており、生活するには十分な広さと家具を有している。
『どーした宿主様?ここが気に入らねぇのか』
ベッドに横たわる少年の耳に、正確には頭の中に声が聞こえる。
「別に…ただ、疲れただけだよ」
僕、高槻麟は溜息と共に口を開いた。僕の答えに頭の中でバクラ君が再び話し出す。
『何か疲れるようなことでもしたのか?』
「ハア…」
また溜息を吐いてしまう。それもこれも全ては自分の中に眠るもう1人の人格、バクラによるものだった。あの日、士道との決闘の際に現れたこの奇妙な友人?との契約を交わした後意識が途絶え、気がつくと決闘は僕の勝利で終わっていた。負けた士道のグループは、リーダーの士道が行方を眩ませたことと、メンバーの入院により消滅し、これで僕への嫌がらせは無くなった…はずだった。全く知らなかったが、士道たちは学校ではかなり人気があったのだ。弱いことを嫌い、強さを求める士道のカリスマ性に加え、一から童実野町の不良グループの頂点に立った男の人気は相当のものであったらしい。
そんな士道を倒した僕への皆の反応は良くなかった。噂はあっという間に広がり、今までヒエラルキーの底辺にいたものの、特に何事もなかった日常は一変した。ある者には無視され、ある者には怯えられ、ある者には白い目で見られるようになったのだ。
もっとも、それはまだ序の口で、士道の後釜を狙い連日のように不良がデュエルを仕掛けてくる始末ーーまあ、バクラが全て撃退したが…
思い返すと気分がまた憂鬱になってきたので、備え付けのコーヒーメーカーを起動させる。インスタントの粉をいれ、水を注ぐ。トポトポとカップに珈琲を淹れ、匂いを嗅ぐ。うん、いつも通り良い匂いだ。思えば、このホテルにも慣れたものだ。元居たアパートは、バクラが貧乏臭いと言い出し、気がついたらこのホテルの一室にいた。築何十年のボロアパートから、三食宿代無料のホテルにどうやって引っ越したかは怖いので聞いていない。ただ一つ言えることは、このホテルの支配人が僕を見た途端に逃げ出したことだけだ。
『まあせいぜい気を付けてくれよ。宿主様の体はオレ様の体でもあるんだからよ』
珈琲を飲もうとする僕にバクラが言う。誰のせいだと思ってるんだ誰の。
『そろそろ時間だ。変わってもらうぜ』
「分かったよ…早めに終わらせてね」
バクラは夜な夜な体を借りてどこかに行っているらしい。その間は意識はないが、体は共有しているため毎日体が怠いのだ。
ーー段々と意識が薄らいでいく。この感覚は悪くないなと思う。あ、そう言えば珈琲飲むの忘れ…
カクン、と少年の頭が下がる。再びあげた顔には、先ほどまでの優しげな雰囲気はまるでない。そこにいたのは、邪悪な瞳に三日月のように口を広げて笑う盗賊王バクラだった。
バクラは一度目を閉じ、調子を確認するようにパキッポキと首を左右に振る。
( ちっ…まだ慣れねえか。やっぱ千年アイテム無しだとキツイか)
バクラは現在、千年リングを所持していない。千年アイテムそのものが、数年前の闘いの儀の際に失われてしまったからだ。
「!?…美味ぇ」
コトッ、と麟の飲み忘れた珈琲カップを置く。今の宿主には色々と不満だらけだが、珈琲の味だけは認めて良いかもしれない、などと柄にもないことを考えつつ、デュエルディスクを装着してホテルを出た。
暫く歩き、人気のない廃工場に辿り着く。
「コソコソ隠れてないで出てきたらどうだ?」
ふいに立ち止まったバクラが誰もいないはずの空間へ話し始める。そして、バレてたか、という声と共に制服を崩し、金髪の頭にそれぞれ赤、青、緑のバンダナを巻いた3人の不良が物陰から姿を見せた。
「馬鹿な野郎だぜ。こんな人気のねえ工場にノコノコ一人でくるなんてな」
「全くだぜ。こんな奴が士道倒したなんて嘘なんじゃねえのか?
「嘘かどうかなんて関係ねぇだろ。コイツさえやっちまえばこの町のキングは俺たち黄金の三連星だ」
上から順に赤、青、緑のバンダナの不良少年たちが馬鹿にしたように笑う。
「ちっ…雑魚か。まあいい。こんな雑魚でもないよりかはマシだ」
バクラがディスクを起動させる。
「話が早えじゃねえか。デュエル方式はバトルロワイヤル。四人目からドローと攻撃ができる。悪く思うなよ」
「雑魚をいちいち相手するのは面倒なんでな。好都合だぜ」
黄金の三連星もそれぞれのディスクを装着し、起動させる。
「「「「決闘‼」」」」
バクラ LP4000
赤バンダナ LP4000
青バンダナ LP4000
緑バンダナ LP4000
「俺のターン。俺は魔法カード融合を発動。手札のブローバック・ドラゴンとリボルバードラゴンを手札融合。二挺の銃よ、交わり溶けてて新たなドラゴンへと生まれ変わらん!融合召喚、現れ出でよ。レベル8、ガトリングドラゴン‼」
二挺の銃が轟々と燃ゆる釜に入れられ、新しい銃龍を生み出した。キラリと光る銃身が、バクラに狙いを定め、咆哮した。
【ガトリング・ドラゴン】
融合・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻2600/守1200
「リボルバー・ドラゴン」+「ブローバック・ドラゴン」
コイントスを3回行う。表が出た数だけ、フィールド上のモンスターを破壊する。
この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに使用する事ができる。
「俺はカードを2枚伏せてターンエンド」
赤バンダナ 場 ガトリング・ドラゴン 伏せ2枚
「俺のターン。俺はおろかな埋葬を発動。デッキからスクラップ・ビーストを墓地へ落とす。そして手札からスクラップ・キマイラを召喚。効果によりスクラップビーストを特殊召喚」
【スクラップ・ビースト】
チューナー(効果モンスター)
星4/地属性/獣族/攻1600/守1300
フィールド上に表側守備表示で存在する
このカードが攻撃対象に選択された場合、
バトルフェイズ終了時にこのカードを破壊する。
このカードが「スクラップ」と名のついた
カードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、
「スクラップ・ビースト」以外の自分の墓地に存在する
「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。
【スクラップ・キマイラ】
《スクラップ・キマイラ/Scrap Chimera》
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻1700/守 500
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「スクラップ」と名のついた
チューナー1体を選択して特殊召喚する事ができる。
このカードをシンクロ素材とする場合、
「スクラップ」と名のついたモンスターのシンクロ召喚にしか使用できず、
他のシンクロ素材モンスターは全て
「スクラップ」と名のついたモンスターでなければならない。
「そしてレベル4スクラップ・キマイラに、レベル4のスクラップ・ビーストをチューニング」
屑鉄の獣が光の輪となり、屑鉄の合成獣を包み込む。
「打ち捨てられし屑鉄の龍よ、今こそ蘇りその怨みを晴らせ!シンクロ召喚、レベル8スクラップ・ドラゴン‼︎」
【スクラップ・ドラゴン】
《スクラップ・ドラゴン/Scrap Dragon》
シンクロ・効果モンスター
星8/地属性/ドラゴン族/攻2800/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分及び相手フィールド上に存在するカードを
1枚ずつ選択して発動する事ができる。
選択したカードを破壊する。
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
シンクロモンスター以外の自分の墓地に存在する
「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する。
「俺は歯車街を発動。伏せカードを2枚伏せてスクラップ・ドラゴンの効果発動。歯車街を破壊して相手のカード1枚を破壊する。スクラップ・バーク‼︎」
歯車街と赤バンダナの左のリバースカードが破壊される。
「破壊された歯車街の効果発動!デッキから古代の機械巨竜を特殊召喚する」
【古代の機械巨竜】
効果モンスター
星8/地属性/機械族/攻3000/守2000
このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
このカードの召喚のためにリリースしたモンスターによって以下の効果を得る。
●グリーン・ガジェット:このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
●レッド・ガジェット:このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
相手ライフに400ポイントダメージを与える。
●イエロー・ガジェット:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、
相手ライフに600ポイントダメージを与える。
「破壊された伏せカードは呪われた棺。その効果により相手の手札1枚をランダムに捨てさせるぜ」
【呪われた棺】
通常罠
セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
相手は以下の効果から1つを選択して適用する。
●自分の手札をランダムに1枚捨てる。
●自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。
赤バンダナの伏せカードが発動し、緑、バンダナとバクラの手札が1枚ずつ墓地へ捨てる。
「………」
「俺はこれでターンエンド」
青バンダナ LP4000 場スクラップ・ドラゴン
古代の機械巨竜 伏せカード2枚
「俺のターン‼」
緑バンダナ LP4000 手札4枚
「俺は墓地に機械族モンスター、パーフェクト機械王のみ存在するため、手札のネジマキシキガミを特殊召喚。そして死者蘇生を発動し、墓地のパーフェクト機械王を特殊召喚」
【ネジマキシキガミ】
効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻 100/守 100
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地のモンスターが機械族のみの場合に特殊召喚できる。
1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在する
モンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで0になる。
【パーフェクト機械王】
効果モンスター
星8/地属性/機械族/攻2700/守1500
フィールド上に存在するこのカード以外の機械族モンスター1体につき、
このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
「そしてレベル8のモンスター2体でオーバーレイ!きらめく銀河よ、その輝きで敵を討て!瓦礫の化身ここに降臨!エクシーズ召喚、ランク8!廃品眼の太鼓竜‼︎」
【廃品眼の太鼓竜】
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/地属性/機械族/攻3000/守2500
機械族レベル8モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
このカードの攻撃力は次の相手のエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。
エクシーズ素材を持っているこのカードが破壊された場合、
自分の墓地の「SDロボ」と名のついたモンスター1体をゲームから除外する事で、
このカードを墓地から特殊召喚する。
その後、自分の墓地の「SDロボ」と名のついたモンスター1体を選んで、
このカードの下に重ねてエクシーズ素材とする事ができる。
「廃品眼の太鼓竜の効果発動。ORUを1つ使い、次の相手ターンのエンドフェイズまで攻撃力を1000ポイントアップする。カードを2枚伏せてターンエンド」
廃品眼の太鼓竜 ATK3000→4000
緑バンダナ LP4000 場 廃品眼の太鼓竜
伏せカード2枚
「オレ様のターンカードドロー」
バクラ LP4000 手札4→5
「待ちな!俺は罠カードナイトメア・デーモンズを発動。スクラップ・ドラゴンをリリースしてお前の場にナイトメアトークン3体を特殊召喚する」
「ここで俺はナイトメア・デーモンズにチェーンしてバトルマニアを発動。このターンお前のモンスターは必ず戦闘しなければならない」
【ナイトメア・デーモンズ】
通常罠
自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールド上に「ナイトメア・デーモン・トークン」
(悪魔族・闇・星6・攻/守2000)3体を攻撃表示で特殊召喚する。
「ナイトメア・デーモン・トークン」が破壊された時、
このトークンのコントローラーは1体につき800ポイントダメージを受ける。
バクラのターンにも関わらず緑、青バンダナが連続して罠カードを発動させ、バクラの場に3体の悪魔が召喚される。
(ククク…ばーか、このデュエルが始まった瞬間からテメエは俺たちの術中にハマってんだよ。)
彼ら黄金の三連星が行っているのは『積み込み』というイカサマであった。イカサマと言ってもタネはいたってシンプルなもので、デュエルディスクのシャッフル機能に細工し、望み通りの順番で山札を操作する。後は3人で示し合わせた通りにプレイするだけである。しかし、シンプルな仕掛けの割に効果は抜群。カードゲームという特性上どうしても運に左右されるデュエルモンスターズにおいて、最高の手札と、それを用いた最適なプレイングは使用者に莫大なアドバンテージを与える。それを3人で行われると、大抵の相手は何も出来ずに終わる。
バトルマニアの効果でこのターン、お前のナイトメア・トークンは必ずバトルしなければならない。何かしようものならブルーの神の宣告で止め、それでも突破しようものならイエローのリミッター解除がある。そしてそれさえ凌いだとしても、俺の伏せカードは相手のあらゆる罠を麻痺させるトラップスタン。そして次のドローは死者蘇生。まず勝ちは揺るがねえ。これが必殺の『ゴルドストリーム・アタック』だ‼
「オレ様は儀式魔法、闇の支配者との契約を発動。場のトークンニ体をリリースし、闇の支配者を呼び覚ます」
「馬鹿な!?このタイミングで都合よく儀式魔法だと!?まさか、イカサ」
「テメエらがやってる狡いイカサマと一緒にすんじゃねえ‼」
「なっ⁉」
( コイツ気づいて…)
【闇の支配者ゾーク】
儀式・効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻2700/守1500
「闇の支配者との契約」により降臨。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する。
●1・2:相手フィールドのモンスターを全て破壊する。
●3・4・5:相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊する。
●6:自分フィールドのモンスターを全て破壊する。
2体の悪魔が炎に包まれ、闇が場を支配する。そして現れたのは、紅のマントを身に纏った悪魔。時折マントが風に靡き、見る者全てに怖気を感じさせた。
「そっ、その召喚は無効だ!カウンター罠神の宣告ぅ‼ライフを半分払ってその儀式魔法を無効にする」
緑バンダナ LP4000→2000
闇が消え、神の雷がゾークに直撃する。断末魔をあげ闇の支配者が消滅した。
「ナイスだブルー‼」
「よくやった!」
一般的に勘違いされていることが多いが、神の宣告では儀式召喚を無効にすることはできない。そのため、儀式魔法を無効にした緑バンダナの判断は、正にファインプレーと言えた。
恐怖を撒き散らしていたゾークが消えたことで、歓喜する三連星。その希望を嘲笑うかのようにバクラが手札を切る。
「オレ様はこのターン通常召喚を行っていない。オレ様は幻影騎士団ダスティローブを召喚。更にテメエらが調子に乗って墓地におくってくれたもう1枚のダスティローブの効果発動。デッキから幻影騎士団サイレントブーツを手札に加え、効果で特殊召喚。サイレントブーツは場に他の幻影騎士団モンスターが存在する場合特殊召喚出来る」
場にボロボロのローブと、ブーツを履いた騎士の亡霊が現れる。
幻影騎士団ダスティローブ
☆3/ATK800/DEF1200
幻影騎士団サイレントブーツ
☆3/ATK200/DEF1200
「準備は整った。オレ様はレベル3モンスター2体でオーバーレイネットワークを構築。騎士たちの亡霊共よ、今こそその怨み晴らす時ぞ!エクシーズ召喚、ランク3!幻影騎士団ブレイクソード‼︎」
幻影騎士団ブレイクソード
★3/ATK2000/DEF1000
「ブレイクソードの効果発動。このカードとテメエの伏せカードを破壊するぜ。デッドリィ・バランス!」
「リミッター解除が⁉︎だが、これでお前のモンスターは0。次のターンに総攻撃して」
「ククククククッ…」
「何が可笑しい⁉」
「可笑しいさ。これから絶望に染まるテメエらの顔を想像するとな!ブレイクソードの効果発動。破壊された時、墓地から幻影騎士団モンスター2体を、レベルをあげて特殊召喚する」
幻影騎士団ダスティローブ
☆3→4
幻影騎士団サイレントブーツ
☆3→4
「レベル4となった2体のモンスターでオーバーレイ!漆黒の龍よ、今こそ我に運命に反逆する力を与えよ!エクシーズ召喚、ランク4!ダーク・リベリオン・エクシーズドラゴン‼︎」
《グオオオオオオオオオ‼︎》
ダーク・リベリオン・エクシーズドラゴン
★4/ATK2500→4500
半逆の龍の咆哮が、廃品眼の力を奪う。
「何っ⁉」
「ダーク・リベリオンは相手の力を奪い、己の物とする力があるのさ。更にオレ様は装備魔法ジャンク・アタックとヘル・ガントレットをダーク・リベリオンに装備」
「バトルだ!ダーク・リベリオンで古代の機械巨竜を攻撃!反逆のライトニング・ヘルクロー‼」
籠手を装着し、雷を帯びたたダーク・リベリオンの鍵爪が、古代の機械巨竜を襲う。無残な残骸となった巨竜が、バンダナ達へと隕石のように降り注いだ。同時にバンダナ達の身体に切り裂かれたような激痛が走る。
「うわああああああ‼︎」
赤バンダナ LP4000→2500
青バンダナ LP2000→1500→0
緑バンダナ LP4000→2500
「言い忘れてたが、ジャンク・アタックは相手のモンスターを破壊した時、その攻撃力の半分のダメージを与えるぜ」
「何なんだ、この痛みはよーーー⁉」
赤バンダナが激痛にその身を捩らせ叫ぶ。あまりの激痛のためか地面から起き上がることもできずに喚く姿は、癇癪を起こした子供のようだった。
「これが闇のゲームだ。お坊ちゃん。にしてもみっともねーなー。士道の野郎は弱音1つ吐かなかったてーのによー。こりゃ本格的にハズレじゃねーか」
苛立つバクラに赤バンダナは理解が追いつかないように口をポカンと開いていた。
「おっ、おいブルー!ブルー‼しっかりしろぉ‼」
突然両者の沈黙を破るようにグリーンの叫び声が割って入る。半狂乱になって叫ぶグリーンの腕に抱えられているのは、顔を蒼白にし、力無く眼を閉じたブルーの姿であった。
「クククククク…闇のゲームで負けた人間は、その命を闇に喰われるのさ」
「そんな…⁉ブルーは、まさか…」
「テメエ!絶対に許さねえ‼」
ブルーの死に怯えたように伏したまま、ガタガタと体を震わせるレッドに対し、グリーンは顔を怒りで赤く染め、激痛に喚く体に叱咤し立ち上がる。その姿にほぉ、とバクラが愉快そうに口を歪める。
「そうだ怒れ。憎め。そうすりゃちょっとは魂の味も上等になるってもんだ」
「次のターンで八つ裂きにしてやる‼」
「ククク…次のターンなんて言わずに、今やろうぜ」
「何…⁉
」
怒りに我を忘れたようなイエローに、動けない筈のダーク・リベリオンが振り向いた。
「ヘル・ガントレットを装備したモンスターは、自分フィールドのモンスターを生贄に捧げることで、もう一度バトルを行えるのさ」
【 ヘル・ガントレット】
装備魔法
装備モンスターは自分フィールド上のモンスター1体をリリースする事で
もう1度だけ攻撃を行う事ができる。
その場合は相手プレイヤーに直接攻撃を行う事ができない。
この効果は自分のターンのバトルフェイズ中にのみ発動する事ができる。
「行け、ダーク・リベリオン!ナイトメア・トークンを供物とし、その爪を敵の血で染め上げよ。反逆のライトニングヘル・クローー‼」
「うわあああああ‼」
緑バンダナ LP2500→0
「グリーン…⁉
」
ブルーと同様遥か後方へ吹き飛び、動かなくなったグリーンに、呆然としたように呟くレッド。
「さあて、ジャンク・アタックの効果を受けてもらうぜ」
「がああああああ‼」
赤バンダナ LP2500→1000
「おおっと。まだ眠るには早いぜ坊や。まだ生贄は残ってんだからな」
「やめ…助け」
「消えちまいな!ライトニングヘル・クローー‼」
「ああああああああああ!?」
赤バンダナ LP1000→0
赤バンダナが、ダーク・リベリオンの爪にちぎられ、勢いよく倒れた。バクラがバンダナ達に近付き手をかざす。すると、バンダナ達から銀白色のオーラが溢れ出し、バクラの掌に吸収されていく。
「チッ…たったこれっぽっちかよ。シケたヤロー共だぜ」
悪態をつくバクラ。そして吸い終わると同時に、廃工場を取り巻いていた闇がいつの間にか消えていた。数枚のカードを彼らから奪い取ると、長居は無用と立ち去るバクラ。
外には青白い光を放つ、美しい満月が登っていた。
「流石の腕前ね…高槻麟。いえ、盗賊王バクラ」
そしてその人物は、バクラの背後に立っていた。
「っ……!」
尋常ではない気配を察知し、慌てて身を翻すバクラ。その人物は、フードから覗く薄い唇で弧を描き、笑う。
「テメエ…何もんだ」
「月からの使者、とでも言っておこうかしら?」
月の光が、両者を明るく照らし出した。
今回のデュエル内容はいかがでしたか?出来うる限り一枚一枚余す所なく活かしたつもりです。厳密にはワンターンスリーキルではないかもしれませんが、ご理解頂けると幸いです。
デュエル描写が毎回大変です。描いていると、デュエルを作ることはパズルのような気がします。最初に思い描いたように出来たと思うと所々噛み合わなかったり、無理矢理はめ込もうとすると崩れてしまいます。と、そんな話は置いておいて読者の皆様に質問したいことがございます。作者は毎回デュエル描写の度に使用カードの詳細を載せておりますが必要ですか?というのも作者としましてはカードしがない方が上手く書ける気がするのです。もしあった方が良いという方、無かった方が良いという方がいましたら、お手数ですがお知らせして頂けますと助かります。それでは、メリークリスマス。