遊戯王GX 僕の相棒は盗賊王:re   作:たら子

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 〝デュエルモンスターズ〟

 

I2社社長、ペガサス・J・クロフォードが三千年前の古代エジプトから着想を得た物で、アメリカに始まり、今や世界中で親しまれている大人気カードゲームである。しかしその深淵に三千年前のファラオと邪神達の因縁が渦巻いていたことを知る者は殆どおらず、その詳細を含め、真実を知るのは、伝説のデュエリストとその仲間を含めた極少数の人間のみである。

 

◇◆◇◆

 

「テメエ…なぜオレ様の正体を知ってやがる?」

 

ここで盗賊王の正体を隠すのは意味のない行為だろう。目の前のフードの人物が出した名前が良くあるような人物の名前なら話は別だが、生憎と『バクラ』という名前はかなり珍しい部類であるし、何より名前の前につけた『盗賊王』という二つ名。この2つに該当する人物は三千年見渡したとしても1人しかいない。

 

「……」

「チッ、だんまりかよ。なら仕方ねえ」

 

ディスクを展開しようとするバクラ。フードの人物はソレ、と人差し指を突き出した。

 

「まだ息があるわ」

 

フードの人物の指の先には、決闘に敗れ、倒れ伏した不良達。全員気は失っているものの、命に別状はないようだ。

 

「闇のゲームの敗者が死んでいない。これはつまり、貴方がまだ本来の力を取り戻していないということ。違うかしら?」

「テメエ…どこまで知って」

「全てよ…貴方がかつて、名も無きファラオとの最終決戦の際の保険であったこと。本体の消滅に伴い、力を無くし復活するのに時間がかかってしまったこと。そして、今は高槻麟という宿主がいなければ自由に動くこともできず、そこらの不良少年を殺す力もない惨めな亡霊だということもね」

 

容赦のない、それでいて相手を挑発するように言葉を重ねていく。しかし、バクラも黙ってはいない。

 

「ってぇことはそこで伸びてる不良どもはテメエの差し金か」

「ええそうよ。彼らのデュエルディスクをイカサマ出来るように改造したのも私。……まあ、ここに来るまでに大分遊んでいたようだけど」

 

不正に手を貸し、尚且つそれをダシに使った。普通ならば少しは罪悪感を感じるものをしかし、目の前の人物は全く悪びれる様子もなく淡々と返していく。

 

「宿主の居心地はどう?」

「はぁ?」

 

予想外の問いに戸惑いを隠せないバクラ。フードの人物は構わず進める。

 

「今の貴方が本気を出せないのは、貴方自身の問題というよりは、宿主の資質によるところが大きいのではなくて?」

「……⁉」

 

(こいつ、本当にどこまで……!?)

 

「私なら、貴方の力になれる。盗賊王バクラ、私と組まない?」

「目的は何だ?」

「私には、成さねばならない大事な使命がある。その為に貴方の力が必要なの」

 

フードの人物の腕輪が光り、視界を瞬く間に光が埋め尽くす。フードが外れ、その素顔が露わとなる。

 

「私の名は瑠那。近い内に会いましょう、盗賊王」

 

瑞々しい果実を思わせる桃と、濡れたような純黒の長髪を靡かせ、瑠那は姿を消した。その場に、純白の封筒を残して。

 

◇◆◇◆

 

……何だか、最近バクラの様子がおかしい。通学路を歩きながら僕はそんなことを考えていた。具体的に何が、と言われるとはっきりとした答えは出ない。ただ何となく口数が減ったというか、此方の呼び掛けにも反応しないことがあるのだ。

 

『おい』

 

白髪の青年が前方に浮かび上がる。と言ってもこれはイメージで最初は驚いたものだがもう慣れっこである。向こうから呼びかけてくることは少ないので内心ちょっと驚きながらも「何?」と返す。

 

『お前士道と決闘してたってことは、ちったぁ決闘できるんだろうなぁ』

「まあ…ルールくらいなら知ってるし少しならね」

『よし、ならアレにでるぞ』

 

そう言ってバクラは視線を上方へと向ける。釣られて僕も視線を向けた。

 

【童実野町デュエルカーニバル】

 

『童実野町、並びに全国のデュエリスト諸君!この度海馬コーポレーションは、まだ見ぬ才能発掘のため、童実野町デュエルカーニバルを開催することを決定した。優勝者には我が海馬コーポレーションが設立したデュエルアカデミアへの特待生枠での入学権を与えるものとする。諸君らの参加を待っているぞ。ワハハハハ‼』

 

襟元に『KC』のロゴがプリントされた銀のコートを羽織った茶髪の男がスクリーン上で高笑いしている。一般には恥ずかしいことの筈なのだが、この男がやると不思議と似合って見える。それはこの男の、誰もが魅せられるような雰囲気、所謂カリスマ性によるものだろう。そして画面上で男、海馬瀬人がひとしきり笑うと画面は次のCMへと移った。

 

「あっ、あれに出るつもり?無理だよ。もう選考は終わってる」

『出場ならできる。テメエの制服の胸ポケット探ってみな』

 

言われてポケットを探ってみる。すると、出てきたのは純白の封筒。

 

「⁉……これは、招待状?」

 

【招待状】

『高槻麟様。この度便りを送らせて頂いたのは童実野町デュエルカーニバルの件でございます。カーニバルには、海馬コーポレーションが選出した有力プレイヤーが出場する予定です。本来私どもは士道和哉を出場させる予定でしたが、現在彼は失踪し連絡が取れません。かといってカーニバルに欠員を出すわけにも行きません。よって、最後に彼と決闘し勝利した貴方に招待状を送りたいと思います。それでは良い返事を期待しています』

 

 

「いつの間に…?」

『どうすんだ?出るのか、出ないのか?…おい、どうした?』

 

バクラが麟を見ると、彼は俯き、震えていた。肌に血の気はなく、オマケに額には脂汗が浮かび上がり、今にも崩れ落ちようとしている。

 

「はあ…はあ…だっ、大丈夫だよ。大丈夫。ちょっと疲れただけだから。出るよ、大会に。君に協力するのは、僕たちが最初に会った時の約束だから」

 

(大丈夫だ。落ち着け。あいつがいるはずないんだ。)

 

明らかに嘘だと分かるが、大会には宿主である麟の協力が必要不可欠である。その麟がOKしているのだ。バクラにとっては何の不満もなかった。もとよりバクラにとっては麟など都合の良い器にすぎないのだから。

 

…まあいい。あの女の正体を探るためにはこの大会を勝ち進むしかねぇ…そのために、テメエにはせいぜい働いてもらうぜ

 

様々な者の思惑が絡まりながら、舞台は大会へと進んでいく。その先に一人の少年と盗賊王。二人の運命が大きく変わることなど、二人はまだ、知らなかった。

 




やっと…書きたかったものがかけます。
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