さて、今日も今日とて執務である。
なんとか10日で25を超える数の艦娘たちが来てくれた。
そのおかげで鎮守府近海での戦闘で負けることはなくなったし、鳳翔さんのおかげで制空権を取られることも、鎮守府近海では、ない。
ただ、鳳翔さんは現在この鎮守府唯一の空母だ。
それゆえ、1日三回の他の鎮守府との演習にも出ているし、出撃にもほぼ毎回出てもらっている。
それ以外にも、食堂の間宮さんのお手伝いもしてくれている。正直このままだと疲れてしまいそうなので、なんとかして休日を作ろうとしてはいるのだが。
天龍、龍田組には基本的に、駆逐艦達を連れて遠征に行ってもらっている。
確保した製油所から燃料をとってきてもらったり、少し遠くの島まで行って鉄鋼を確保したり。
まあ製油所は稼働していないから、正確には製油所跡を勝手に使わさせてもらっているのだが。
今いるうちの駆逐艦たちは、叢雲、時雨、夕立、響、如月、不知火、雷、電、暁、吹雪、雪風である。
ぶっちゃけ少ない。正直少なすぎる。
そんななかでも演習、出撃、遠征、秘書艦のローテーションを、天龍と龍田が考えてくれている。
まあまだこれから慣れていくまでは調整が大変だと思う。こればかりは時間がかかるため、仕方ない。
初めは俺がローテーションを組もうとしたのだが、天龍も龍田も口を揃えて
「他にもっと大事なことがあるだろう。提督にしか出来ないことをやって欲しい」
と言われているため、任せっぱなしとなっている。
しかし二人とも頑張りすぎる部分があるので、那珂ちゃんや球磨型にも手伝ってくれるよう、こっそりと頼んでいる。
軽巡は比較的余裕があるので、いろいろと鎮守府内で動いてもらうことが多い。
天龍、龍田以外の軽巡は、川内こと夜戦バカ、神通、那珂ちゃん、球磨、多摩、大井っち、北上様、キソー、長良、五十鈴改になりました!の12人。
川内は間宮さんの手伝いに秘書艦の事務仕事の手伝い、ゴーヤとともに鎮守府の皆の手伝いに雑用と、奔走してくれている。
進んで雑用をやってくれる、まさに良い女の鑑である。
あとは夜に一人で夜戦しに飛び出そうとしなければなぁ…。
神通は、駆逐艦達の教官役をかってくれている。
うちの鎮守府は活動し始めたばかりで、まだまだ未熟である。しかし、最前線ではないとは言え、我が鎮守府は、本州といくつかの大きめの離島に挟まれており、島々を深海棲艦たちに制圧されれば、本土が目の前という場所にある。
そのため、のんびりと育成とは今は言えない状態だ。
那珂ちゃんは天龍、龍田の交代要員として頑張ってくれている。
遠征、演習、出撃もこなしつつ、時間を見つけては
「那珂ちゃんの歌で、皆に笑顔になってほしいんだー、キャハッ♪(*≧∀≦*)」
なんて軽い調子で言って、ライブの練習をしている。
那珂ちゃん本人は決して見せようとはしないが、本当にハードに頑張っていることを、俺は知っている。
球磨型5人組も、天龍、龍田組の交代要員として働いてもらっている。
それ以外の時には海で魚を取ってきてもらったり、菜園で野菜づくりを手伝ってくれている。
定期便でも、ある程度の食料は届くのだが、やはり柱島は本土から離れた離島である。
そのため、自給自足を目指して野菜畑を作り、育てている。
球磨達が手伝ってくれるようになったのは、俺が叢雲と共に畑だったらしき場所の土を耕していた時からだ。
その時には木曾が俺達が畑を耕しているのを見かけ、手伝ってくれた。
その後球磨達に夕食時にそのことを話したらしく、それ以来球磨達はちょくちょく手伝いに来てくれたり、自主的に畑の様子を見に行ってくれる。
球磨と多摩は魚を取りに海へ行くことが多い。逆に木曾なんかは菜園に頻繁に来る。
まあ木曾が菜園や花が好きという、乙女な一面を見せたのは意外だったが、大井っちがそれ以上に畑や菜園大好きっこだったのには驚いた。
北上は魚を取りに行くのも菜園も、どちらも基本やらない。
しかしさすがに皆が頑張っている中でぐうたらするのは悪いから、ということで、駆逐艦寮や軽巡寮の掃除をしてくれている。
まー、提督も頑張ってるしさ。私もやるときゃやるのよー。
なんて言っていた様子は普段と変わらない調子で心配だったが、それも杞憂だった。
長良と五十鈴はそれぞれ、長良は神通のサポートを、五十鈴は間宮さんの手伝いをしている。
今の規模でも、25人分以上のご飯を毎日三食作るので、手伝いが多すぎるということはない。
30人くらい居るからね。あ、俺を入れたら30か?
重巡は未だ摩耶様とアホバ…ではなく青葉が二人だけ。
本当はまだ重巡寮の補修が一部終わっておらず、壁に弾痕があったり木の床にけっこう大きめの穴が空いていたりする。人が入る程の大きさではないが、腕くらいまでならすっぽりと入るほどなので、まだ修繕が終わっていないと言ったら、青葉が
「お任せください!ほら、摩耶さん行きますよー!」
と言って連れて行ってしまった。
その後どうなったか聞くと、元気よく
「はい!重巡寮は既に内部はきっちり直しておきました!ご安心下さい!」
と言われたので、摩耶様にも確認した。
本当に全て内部は直したらしい。
直せなかったのは屋根くらいなもので、これでいつ重巡が増えても大丈夫だとのこと。
…重巡、増えないかなぁ。
戦艦もいいなぁ。
うちには戦艦いないからね。きっつい。
あ、あとはゴーヤこと伊58。
彼女はまだうまいこと運用の仕方が分かっていないので、たまに出撃、それ以外は皆のお手伝いをしてもらっている。
また、潜水艦寮はまだボロボロのままで、今も俺とゴーヤでせっせと補修中である。
今は使える部屋を使ってもらっているからいいが、次々と潜水艦が来たら、一時的な処置として、まだまだ空きがあって、かつ、急いで補修したので使える状態の駆逐艦寮を使ってもらうことになるだろう。
古鷹?加古?
ああ、二人には基本、演習のみをさせている。
古鷹は左目が使えない分のハンデと、やはりこれまでの地獄のような環境からの変化になれていないのか。それともまた別のトラウマかはわからないが、動きがぎこちない。
しかも、うちの貧弱貧弱ゥ!な武器在庫のために艦上偵察機もないため、状況把握がワンテンポついていけていないようだ。
うちの開発状況ェ…。
加古はそういう目に見えるハンデはないが、どことなくわざと協調性のない態度をとっている感じだ。
いつも古鷹を守るようにしていることに加え、古鷹と共に演習に出すと、艦隊行動そっちのけで古鷹を守りに行くので、恐らく古鷹を守ることを最優先しているのだろう。
この二人のこともあるし、1ヶ月ごとに大本営に定期報告もある。
しかも謎のビニールハウス的な建物も手付かずである。
大麻かなぁ…麻薬かなぁ…。
薬物じゃなければ良いんだけど。
コーヒー栽培とかならめっちゃ嬉しいんだけど、あのやたらセキュリティ性高いことから、嫌な予感しかしない。
まあ間宮さんの手伝いには、ほぼ毎日鳳翔さんが、頻繁に五十鈴が、ちょくちょく古鷹と加古、たまにゴーヤと川内が行っているので多分しばらくは大丈夫だろう。
さて、今日もまた、頭を悩ませる日々である。
ん、出撃した艦隊が戻った?
ありがとう神通さん。
え!暁ちゃん中破した?
空母?しかも軽空母じゃなくて正規空母?
ヲ級とな。
ヲっちゃん来ちゃったか。
とりあえずお疲れ、しっかり休んでくれ。
ヲ級については、なんとか対策を考える。
【おまけ】
神通が執務室に報告に来た時、提督はいつものように書類の山を相手に仕事をしていた。傍らには、大井が立っている。今日の秘書艦だ。
「提督。出撃していた艦隊が、帰投しました」
私がそう声をかけると、いつもの通り、感情の読み取れない表情で、こちらに顔をあげました。
「聞こう」
「はい。暁が中破、夕立と吹雪が小破。その他は損傷、軽微です。
敵艦隊に正規空母ヲ級を確認しました。
鳳翔さんのおかげで全敵艦を撃破しましたが…」
「そうか。
空母ヲ級に関しては、こちらで対処を考えておく。また、何か意見などがあればいつでも対応する。
ご苦労だった。傷ついた者は全艦入渠し、疲れを取れ。ゆっくり休むといい」
「はい、ありがとうございます」
提督はいつも私たちのことを第一に考え、私たちのために動いてくれる。
でも、提督。
私たちは、あなただからこそ、あなたと共に闘うのですよ。
私たちに、大変そうな素振りなんて全く見せてくれませんし、何も言わなかったら一人で畑に行ってしまいます。
提督…。私たちの誰も、あなたが疲れて倒れたり、無理をしてほしくなんてありません。
間宮さんも、提督の最近のハードなスケジュールに心配されています。
自由奔放な北上さんさえ、提督が大丈夫か心配していらっしゃいます。
どうか、無理はしないで下さいね…